妊娠31週目になると今まで以上に横隔膜への圧迫感が増すため、息切れや動悸に困るようになります。出産まであともう少しのところまで来ているのでお腹もかなり大きくなっていますし、これまで以上に様々な諸症状に悩まされるようになります。
諸症状は様々な対策によって改善されますので、工夫してみるようにしましょう。妊娠31週の知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠31週の胎児の成長、お腹の様子
妊娠31週 胎児の体重は?様子は?
妊娠31週 胎児体重は正常発育児95.4%が1231g~2039g 平均体重:1653gです。※1
まだ脳には発達しきっていないところもありますが、この頃には骨もしっかり整って、ほとんどの臓器が完成している状態です。
胎児は縦に落ち着くように
31週の胎児は、子宮の中で動き回るには窮屈な大きさになってきました。この時の子宮は横よりも縦に長いので、胎児もそれに合わせて手足を縮めて頭を下にする頭位の姿勢をとるようになります。
それでもまだ、羊水に浮いているため子宮の上方にいますが、出産近くになるとこの姿勢のままどんどん骨盤の中に降りて行き、いつでも出産できるような体勢へと移っていまます。お腹の膨らみ方でなんとなくお母さん自身もお腹の赤ちゃんが、どのような格好でいるのかが分かるようになります。
身体が丸みを帯びてきます
皮下脂肪が少しずつつき始め、今は新生児に近い身体や顔の丸みが出来上がっている最中で、また、まつ毛や髪の毛が出来ているのをエコーで確認できる頃でもあります。
頬がふっくらしてくれば、それと対比して顔のパーツ一つ一つが小さいながらもしっかり目立つようになり、うまくいけばエコーでアップの胎児のエコー写真が撮れますので、それを見て誰に似ているなんて話すのも楽しいです。
赤ちゃんの目がまばたきをするように
形成された瞼が上下に分かれるようになり、31週目にはまばたきもできるようになります。基本的に子宮の中は真っ暗なのですが、薄い光を感じることはできますし、昼か夜かは既にわかるようになっています。
そのため、強い光などを浴びると赤ちゃんがビックリしてしまうので、ショックを与えてしまうような強い音や強い光は避けるようにしましょう。
肺呼吸の練習を続けています
31周目を迎えるこの時期も、赤ちゃんは呼吸の練習を続けています。肺機能はほとんど完成しており、妊娠8ヶ月目の最後の週であるこの時期には、赤ちゃんは毎日欠かさずに呼吸の練習をするようになっているのです。
赤ちゃんは羊水を吸って吐くことを延々と繰り返しており、横隔膜を上下させることに慣れるようになります。こういった訓練をしているため、赤ちゃんはお腹の外に出てもすぐに呼吸ができるようになるのです。
聴覚もほとんど完成しています
31週目になると視覚だけでなく、聴覚も完成に近づいています。この時期の聴覚はほとんど完成しているため、お母さんの声を聞き分けるようになっていますし、音楽を楽しむこともできます。その音を記憶することもできます。胎教に音楽を使うのに適している時期なので、胎教にいい音を聴かせるようにしてみましょう。
逆子の頭位が自然と治るケースも
産婦人科で赤ちゃんが逆子だと診断されたケースでも、特に逆子を治すための工夫をせずともに通常に過ごして改善するケースもあります。羊水がもともと多い人の場合は赤ちゃんが体勢を変えることが多いので、31週目のこの時期に自然と、逆子がなおる場合もあります。
逆子が治ると、感覚で察知できる場合も多いですが、産婦人科で診てもらった方が正確なことがわかるので、逆子に関する心配のある方は産婦人科でチェックしてみるようにしましょう。
31週胎動について
まだ胎動が強く感じる時期ですが、赤ちゃんの大きさが子宮いっぱいに広がるようになるので、それによって個人差がありますが胎動の感じ方が減少する場合があります。
最初は、胎動が大人しくなったことに不安を感じるかもしれませんが、この時期に胎動が少なくなるのは赤ちゃんが子宮の壁に接近するほど大きくなっている証拠なので、そこまで不安に思う必要はありません。
しかし胎動が臨月まで継続する妊婦さんもいます。また、胎動の感じ方は太っている方と痩せている方では感じ方に違いがあります。
低体重児を避けるために
低体重児は出生体重が2500g未満の新生児をさし、またその中でも1500g未満を極低体重児、1000g未満を超低体重児とさらに区別されています。
正期産であっても低体重児が生まれる割合が年々増えていて、合併症や精神遅滞などになる確率が高くなると問題になっています。最大の原因はお母さんの厳しい体重管理で、胎児に栄養が届かず発達が遅れてしまう事です。妊娠中に体重が増えるのは当たり前の事ですから、自分の体型よりもまずは赤ちゃんが順調に育つように考えて行動するようにしましょう。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠31週の母体の症状などについて
胎児名で呼んであげましょう
もうすでに毎日お腹の赤ちゃんと、コミュニケーションをとっているお父さんお母さんが多いですが、胎児の脳が発達しているこの頃はぜひニックネームをつけて呼んであげましょう。
胎児名とも言われていますが、お父さんお母さんが呼びやすい名前をつけると個人として認識されるようになり、特に実感があまり沸かないパパには胎児への愛情が増す良い方法です。ただ、胎児名と出生後の名前があまりにもかけ離れていると、親も赤ちゃんも後からついた名前に馴染みにくくなってしまうので、そのあたりは良く考えて決めた方が良いです。
妊娠高血圧症候群になることも
血液の増加量は31週目頃にはマックスを迎えるので、心臓に負担が掛かったり、血圧が高くなったりしがちです。
栄養バランスを損なった食事を続けてしまうと、妊娠高血圧症候群になってしまうこともあるので注意が必要なのですが、32週を過ぎるようになると、自然と血液量も落ち着いていくので、辛い時はきちんと休憩を取りつつ、落ち着くのを待つようにしましょう。
諸症状を緩和するためにできること
31週目のこの時期は、胸焼けも酷くなりがちですし、息切れや便秘などに悩まされるようになります。しかしそのような症状も、マッサージやストレッチをおこなって、腹筋を鍛えることによって緩和されますので、症状が重くなりがちな際は様々な工夫をしてみましょう。
腹筋を鍛えておくと、姿勢が自然と良くなるので、腰の負担が一気に軽くなります。また、立ち仕事が多い方は、座って休む回数を増やすだけでかなりラクになるので、負担を掛けすぎないようにしつつ過ごすようにしてみてください。
腰痛に注意 背が反りがちに
お腹の中に2kg相当のものが詰まっている状態ですので、とにかく背が反りがちになります。姿勢が悪くなってしまいますので、余計に腰痛などを悪化させてしまう時期です。姿勢を何とか前に持ってくるようにし、まっすぐ立つようにするとそれだけで諸症状が緩和されます。
身体が反ったままの状態で過ごし続けると、どうしても腰に負担がかかってしまうので、なるべく姿勢を整えるように心がけるようにしましょう。
むくみ改善のため水分補給も
足腰への負担は子宮が膨らむにつれてどんどん増していきます。むくみはどうしても、出産後まで続いてしまいます。水分を摂取することでむくみが改善されることも多いので、少しでもむくみを解消するためにも、水分を定期的に補給するようにしましょう。
脂っこいものは血流を悪くしますし、塩分の多いものを大量に食べてしまうと、むくみが中々改善されなくなるので、食べ物にも注意が必要です。
息切れや動悸、胃もたれが悪化
息切れなどの症状が悪化する時期です。この時期の赤ちゃんは相当な大きさに成長していますので、子宮周りの内臓がさらに圧迫されるようになります。子宮が上がってきますから、横隔膜や肺・胃の圧迫感は相当なものになります。
胃腸だけでなく、横隔膜や心臓なども圧迫されるようになり、お母さんは日常の何気ない動作を苦しく感じるようになってしまいがちです。無理をすればめまいや貧血のような症状を引き起こす可能性が高くなります。
無理をせずにゆっくり休むこと、それからむくみや貧血・身体の冷えがその症状を悪化させているケースが多いので、それらの改善も一緒に行いましょう。このような苦しみも、赤ちゃんが子宮口へ下がってくる37週以降にはラクになってくるので、それまでの辛抱と捉えましょう。
安産体操で出産に備えましょう
安産体操をご存知ですか?骨盤や股関節周辺の筋肉を鍛えて出産の時に産道を広げやすくする体操の事で、筋肉の少ない方や冷え性・身体の硬い方でも効果が出やすいのが特徴です。
出産する時は普段使わない筋肉をたくさん使うので、筋肉量が少なかったり力の入れ方が分からないと分娩が長引き、お母さん・胎児双方にとっても苦しいお産になってしまいます。
前もって鍛えておけば比較的短時間に出産できますね。ただ継続して続けないと効果が出ないので、起床前や就寝前に体操する習慣をつけるのがベストです。
出産の怖さやストレスを緩和
ストレスが溜まっている方は、解消するための方法をきちんと見つけておきましょう。ストレスは体調にダイレクトに影響してきてしまうので、なるべく解消しておいた方が無難です。
出産まであと少しとなりましたが、31週目のこの時期は、「きちんと出産できるだろうか」「早産になったらどうしたらいいのだろうか」などに不安を感じがちなので、緊急連絡先のメモを手元に常に置いておくように、不安な方は1人で過ごす時間をなるべく作らないようにしてみましょう。
妊娠中は自分の身体が思うように動かず小さなトラブルも多発するので、それも加わってお腹が大きくなるに連れてふさぎ込んでしまう方もいるのではないでしょうか。
しかし、妊娠後期だからといって、ずっと家にいないといけない事はありません。身体の調子が良い日には、赤ちゃん用品のショッピングやランチをしに出かけて気分転換をはかりましょう。もちろん人ごみや交通機関を利用する時は注意してください。万が一早産になってしまったとしても、周りに誰かがいる環境ならば、助けてもらうことができるので、そのような行動パターンを心がけるようにしてみることも大切です。
妊娠31週お腹の張り,腹痛,出血,破水,早産
これは陣痛?もしかして出産、早産?まずいかもしれないと感じる症状とはどのような状態でしょうか?通常とは違うお腹の張りや圧迫感、胎動ではない腹痛、いつもと違う腰痛、おりもの変化、出血、膣から水が流れる破水などの症状は切迫早産、早産の疑いがありますのですぐに病院に駆け込むようにしてください。
31週の赤ちゃんは現在の医療では赤ちゃんは生存できますが、正産期までお腹の中で過ごすことが一番ですのでできる限り注意、予防し努力をしましょう。
感染症には注意
風疹、性感染、尿路感染、子宮頸管炎、絨毛膜羊膜炎、膣炎、羊水感染などの感染症には注意が必要です。
感染症を完璧に予防することは難しいですが、性交渉の注意、病気の人との接触、生活習慣の改善などで予防できますので、できることを取り入れましょう。
破水したときの対応は
破水で最も怖いのが上記でも記した感染症です。妊娠中にお母さんから赤ちゃんへ移行する免疫の種類は限られているので免疫力は非常に弱く、それをカバーするために卵膜内は無菌の羊水に満たされています。
しかしこの羊水が外に流れ出してしまうと、お母さんには何の影響もない弱い常在菌でも、赤ちゃんが感染すると命にかかわる事になってしまいます。
ですから、破水したら即病院に行くのは感染をなるべく防ぐためやその他のトラブルにならないためと思ってよいでしょう。破水した後は、タオルなどを当てて横になり病院へ行くのがベストです。
早産を防ぐために定期健診を
早産の可能性がある時期なので、お母さんは定期健診を月に2回は受けるようにしましょう。
最近では、医療によって早産の赤ちゃんを延命できるようにもなっているのですが、やはり早産になってしまうとお母さんは心身ともにショックを受けてしまうものです。赤ちゃんの人生のためにも、定期健診を受けておくことは非常に重要なので、なるべくしっかりと産婦人科に通うようにしましょう。詳しく:妊娠後期腹痛:切迫早産:早産:おしるし:破水:帝王切開
ここまでのまとめ
妊娠31週の知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。妊娠31週目になると、お腹の大きさによって腰を痛めてしまいがちです。様々なトラブルが増えたり、胎動が少なくなってきたことを不安に感じたりと、何かと心身ともにの変化します。
あともう数週間経てばいよいよゴールに到達できるので、もうひとふんばりだと考えつつ健康的に過ごすようにしましょう。