妊娠25週目になると、赤ちゃんの胎動を感じ、「こんなに元気なら大丈夫」と油断しがちな時期なのですが、油断しすぎるとトラブルが起きてしまう可能性があるので、25週目も慎重に過ごすようにしましょう。
体調やメンタル面が安定してくるので「旅行をしたい」「運動したい」とを考えるようになりますし、何かと行動的になります。しかし、あくまでも妊娠中の身ですし、旅行などをするとなると様々な点に注意が必要となります。妊娠25週に知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠25週の胎児の成長、お腹の様子
妊娠25週 胎児の体重 感情も徐々に発達するように
妊娠25週胎児体重は正常発育児の95.4%が546g~996g 平均体重:771gとなります。※1
25週目の赤ちゃんは、既に海馬が発達しているので物事を記憶できるようになっていますが、この時期を過ぎると感情が出てくるようになり、感受性が徐々に高まるようになります。
まだまだ、喜怒哀楽といった感情は育っていないのですが、この頃から精神などの、人間的な部分が形成されていくので、より敏感になった赤ちゃんの感受性を健やかに育てるためにも、母体にストレスを与える行為は避けるようにしましょう。
赤ちゃんの大脳皮質が発達します
脳には様々な層があり、お腹にいる時の赤ちゃんの脳は、各層が徐々に徐々に形成されていきます。25週目の段階になると大脳皮質が発達するようになり、ますます赤ちゃんの神経が細やかになり、それに伴って記憶や感性に関する能力が出てきます。
この頃にお母さんがしていた趣味の事が胎児にも記憶されて、出生後大きくなってから同じような趣味を持つようになりやすいのです。
例えば本を読む・音楽を聴く・手芸をする等、赤ちゃんの好みはもうすでに胎児の頃から決定されやすいのです。爆音を聴かせたり、圧迫したりといったことをしてしまうと、この時期の赤ちゃんは如実にそのストレスを体感してしまうので、激しい行為は避けるのが無難です。
目のレンズが出来て見る準備を始める
これまではまぶたが分かれても視覚があったわけではありませんでした。ただぼんやりと明るさが分かる程度だったのですが、この週には目のレンズである水晶体が出来上がるので、これから視覚が発達するようになります。
ただ、しっかりと物が見えるようになるには、水晶体を周りで引っ張ってピントを合わせる筋肉が十分に機能していなければなりません。少しずつ筋肉は増えているけれども全体的にはまだまだな胎児には、水晶体の周りにある毛様体の筋肉も発達していないので、視覚が完成するにはまだ時間がかかります。
胎教 音楽を聴かせるのに最適な時期
25週目になると、記憶や感受性といった機能が備わるようになり、聴覚もかなり発達しているので、音楽を聴かせると赤ちゃんがその音楽を覚えるようになります。
この時期に聴かせた曲は、産後にも覚えていることが多く、25週目以降は音楽を聴かせることが胎教の一貫として成り立つようになるので、音楽が好きな方はぜひとも、赤ちゃんにクラシックや童謡などを聴かせてあげるようにしましょう。
胎教としてクラシックや英語の歌を流すのもいいのですが、お母さんがつまらなければ胎児もつまらなく思ってしまうので、その中でも自分が興味を持てるものを選びましょう。
口周りの神経が発達する
25週目以前の赤ちゃんは、まだ唇などがそこまで発達しておらず、皮膚もまだ薄い状態なのですが、25週目を過ぎると、おっぱいを飲むための準備が始まるので、その関係で唇が発達するようになります。
口元の形成が進み、乳首をくわえるための準備も整うようになり、呼吸もできるようになっていくので、この頃の赤ちゃんは、お母さんのお腹の中でめざましい変化を遂げています。
おっぱいを飲むための準備を始める
妊娠中期以前から、親指をしゃぶったり羊水を飲みこむ反射作用を持って、胎児は出生後に母乳を吸う練習を始めています。しかし吸い飲み込む動作があっても、その前の乳頭を探し当てるシステムは無く、この週に入ってからやっと出来始めるのです。
新生児の視力は非常に弱く、自分の目の前の距離のものしか見えません。ぼやけた視界ではおっぱいを飲むのも一苦労ですが、それをフォローするように妊娠中の前脳部の発達に伴って、唇や口周りの神経が発達していき、赤ちゃんも問題なく母乳を吸えるようになります。
妊娠25週胎動
25週目の赤ちゃんは自由闊達な動きができるようになっており、宙返りをしてみたり、キックをしてみたり、ダンスのような動きをしてみたりと、様々な動きを見せるようになります。
こういった動きは外に出た時のための準備運動であり、赤ちゃんはこの時期にお腹の中で元気に動くようになるので、お母さんは赤ちゃんの準備運動をサポートするためにもしっかりと栄養のあるものを食べるようにしましょう。また、お腹にショックを与えるような行為は引き続き避けるようにしてください。
さい帯(へその緒)のトラブル
この頃の胎児は、くるくる回ったり身体を捻ったりして自由気ままに子宮の中を動いています。胎盤と胎児を繋ぐさい帯は、十分余裕をもった長さがあるのですが、身体や頭に巻きついているケースが見受けられます。胎児は羊水に浮かんでいるため締め付けられる事はほとんどありませんし、胎児が動いているうちに解けて直る場合が多いです。
しかし頸部に2重に巻きついていると分娩時のトラブルや死産の可能性が高くなります。また、さい帯過捻転というさい帯の中の動静脈が捩れすぎて栄養や酸素が胎児に届きにくくなる病気は、これもまた発育不足や死産の可能性が高くなります。予防も対策も取れないのが難点ですが、あまり不安にならずに毎日を過ごすのが大事です。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠25週の母体の症状などについて
ホルモンの影響で体毛が濃くなります
妊娠した女性は、ホルモンの影響を受けて様々なかたちで身体が変化するのですが、その変化の一つとして「体毛が濃くなる」ことがあります。
女性ホルモンが多量に分泌されている妊娠中は、女性ホルモンのメラニン色素を増やす作用が大きくなり、シミやそばかすが増える方も多いですが、そのメラニン色素は体毛にも影響して、一本一本が濃くなって目立つように。シミそばかすは我慢できても体毛は無理、なんて方も多いです。
体毛は女性にとってあまり好ましいものではないので、ショックを受けてしまう女性が多いのですが、体毛が増えるのはホルモンの関係上仕方のないことであり、出産さえしてしまえば身体の毛は自然と元に戻ります。
しかし、自分が気にしている部分についてパートナーに何か言われると口喧嘩になりやすいので、健診に一緒についていってもらって、妊婦の身体は変化するのだと医師に忠告してもらうのがベストです。
美意識の高い方はストレスを感じてしまいがちかもしれませんが、必ず元に戻るので、気にしすぎないようにして過ごすようにしましょう。
貧血やつわりが辛い場合は長期休暇を
お母さんは、気持ちがあれば出産直前まで働くことができてしまいますし、つわりや貧血が辛かったとしても、根性のある方は我慢に我慢を重ねて乗り切ってしまいがちです。
シングルマザーで貯金を作る必要がある方などは、つわりが続いていてもとにかく無理をしてしまいがちなのですが、この時期に無理をすると早産に繋がってしまいますし、努力が裏目に出てしまう可能性があります。
休職を検討したり、思い切って家事を休ませてもらったりしておくと、その休暇がいい方向に働き、安産となる可能性が高まるので、妊娠中期になってもつわりの症状が出ているような場合は、無理せず休むようにしましょう。
膀胱圧迫によりトイレが近くなります
子宮の大きさも妊娠初期とは比べものにならないほど大きくなっているので、その分、膀胱も圧迫されるようになってしまいます。25週目のお母さんはどうしても、トイレが近くなってしまい、夜に尿意で目覚めてしまったり、出先でトイレを探すことが多くなったりと、何かと尿意のことで困ってしまいがちです。
トイレに入る度に尿を出し切るようにしておけば症状は緩和されますし、工夫をしておけば尿路感染症になる危険性も下がるので、尿はその都度しっかり、出すようにしましょう。
妊娠25週体重 体重管理
おへその上に子宮の上端がくる位大きくなります。これまでに身体に付いた皮下脂肪に加えて、胎児と羊水の重さだけでも結構な重さになってくるので、あちこち動くのが億劫になり始める頃です。
ホルモン分泌の影響で感情の起伏が激しくなるので、落ち込む時には簡単な家事すらしたくなくなる事も。そういう時は仕方がありませんが、お腹の張りも無く気分が上向きの時はぜひ軽い運動を行いましょう。
これからお腹も更に大きくなり、食事内容を変えるだけでは体重コントロールが追いつきません。消費カロリーを増やすためにも、安定期のうちに身体を動かす習慣を身につけましょう。
痩せすぎに困ってしまう場合の対処法
体重の増加に頭を悩ませている方も多い中、この頃になっても妊娠前とあまり体重の変わらない方も少なくありません。
妊婦さんは通常であれば、妊娠後、7~10kg程度は体重が増加するものなのですが、体重コントロールをがんばって少なく体重増加を抑えていた方や、筋肉質な女性の場合は基礎代謝の量が多いので、食べても身体に肉が付かず、妊娠による諸症状の影響によって却って痩せていってしまうような方もいます。
しかし、痩せすぎてしまうようだとやはり、出産のための体力が損なわれてしまいますし、赤ちゃんにも栄養が行かなくなってしまいます。あまりにも体重増加が低い期間が長いと胎児が成長しにくくなる胎児発育遅延の可能性が出てきます。
25週目の段階になっても中々体重が増えず、むしろ痩せてしまうような場合は、栄養バランスを気にしつつも箸の進むものを食べるようにし、間食でも良いので、なるべく何か口に入れるように心がけましょう。増えすぎもいけませんが増えなさ過ぎるのも問題と、中々難しいのですが、自分の体調と相談しながらがんばりましょう。
こむらがえりが頻繁に起こることも
この時期は、足のむくみがなかなか取れなかったり、下半身の張りに苦しんだりが続いていたりするのですが、原因不明のこむらがえりも起こるようになるので、就寝中は気をつけなければなりません。
血行不良があるとこむらがえりが起こりやすく、何かと身体的苦痛を感じることが増えてきてしまうので、なるべく、マッサージなどをするようにし、こむらがえりを避けるようにしてみましょう。
お腹が一気に大きくなる直前です
26週目に入ると、お腹が一気に大きくなるので、もし用事があるならば25週目の段階にすませておくのが無難です。
お腹が本格的に大きくなってくると、美容院に椅子に座っていることさえ辛くなってきてしまうので、美容院に行きたい場合はこの時期にすませておくようにし、遠出しなければならないような事情や用事があるような場合も、この時期にすませておくようにしましょう。
電車の中など無理しない様に
お母さんの中には、電車の中などでも無理して立ち続けてしまう人がいます。25週目のお腹の中には1kg程度に育った赤ちゃんが存在しますし、目の前の人に頼んででも席を譲ってもらうべきなので、無理して立ち続けるようなことはしてはいけません。
自分から頼むのがニガテな方は、マタニティマークを鞄につけておくと、周囲の人も席を譲りやすくなるので、マタニティマークを活用しましょう。
しかしマタニティマークとは私は妊婦ですという印です。そのことで不快な思いや、身の危険を感じる場合もありますので、付けない選択もあります。家族などの意見を聞き判断するようにしましょう。
妊娠25週 旅行
25週目になるとこれまでにあった辛い諸症状が緩和されてくるようになり、「たくさん運動したい」気持ちが芽生えたり、「旅行したい」意欲が湧いてくるようになったりと、メンタル面が明るくなります。
しかし、旅行先で早産となる可能性もありますし、目的地付近の産婦人科は必ず、チェックしておかなければなりません。
保険証や母子手帳はもちろんのこと、マタニティウェアやおりものシート、サプリメントやミネラルウォーターなど、持ち歩かなければならないものも多いので、うっかり旅行してしまうと想像以上に疲労困憊してしまいます。どうしても、といった事情がない限り、旅行は控えておくべきなので、産後の楽しみに取っておくようにしましょう。
妊娠25週お腹の張り 腹痛 出血 破水 早産
妊娠25週に出産してしまうケースを早産と言い生存できない場合は死産となります。妊娠25週では赤ちゃんは1,000グラム程度ですので、まだ出産して外の世界で通常には生きられない状態です。
現在の医学では生存できる可能性はあります。NICU(新生児集中治療室)で医師の管理の上、保育します。しかし障害や病気などの可能性があり、できるだけお腹の中で過ごせるように気を付けなければなりません。
なぜ早産してしまうのか?安定期で無理をしてお腹の張り、腹痛、陣痛、出血(おしるし)、破水、などから早産となる場合があります。
妊娠高血圧症候群、前置胎盤、低置胎盤、子宮頸管炎、絨毛膜羊膜炎、細菌性膣症、子宮筋腫、子宮頸管無力症、子宮奇形、羊水過多症、羊水過小症、多胎妊娠、妊娠糖尿病、疲労、ストレス、喫煙、飲酒、早産経験者、高齢出産など様々な要因があり、自分で防ぐことができるものと、気を付けてもどうしょうもないことがあります。
予防方法としてはしっかりと健診を受けて、トラブルを早期に発見して対処することが大切です。また妊婦の自覚を持つことが大切で、体重管理、仕事の疲労、禁煙、禁酒、適度な運動などできることしましょう。いつもと違うお腹の張り、腹痛を感じたら、すくに医師の診断を受けるようにしてください。
詳しくは::お腹の張り痛み:安定期流産:破水:切迫早産:早産:常位胎盤早期剥離:妊娠高血圧症候群
免疫力が低下、感染症に注意を
胎児という本来は自分にはなかったものを子宮で育てるので、妊娠中は免疫細胞が攻撃を仕掛けないようにホルモン分泌で免疫細胞の働きを抑制しています。結果として免疫力が低下してしまうので、感染症にかかりやすくなります。
妊婦の感染症と言えば、クラミジアやカンジタなど膣付近に常在する菌が免疫力低下のために発症するものですが、その他にもインフルエンザ・水ぼうそう・風疹など、感染力が強いものは、胎児の眼・皮膚・神経に悪影響を与える可能性が高くなります。また切迫早産、早産の危険性もあります。感染症が流行している時は対策をしっかり行い、かからないように注意しましょう。
羊水過多・羊水過少と指摘されたら
赤ちゃんは羊水に守られて成長を続けますが、その羊水に異常が発生すると赤ちゃんにも悪影響が及びます。羊水ポケット法のやり方で羊水量を測り、多い時は羊水過多、少ない時は羊水過少と指摘されます。
羊水の過不足にはお母さん側と赤ちゃん側の原因・外部からの原因など様々あり、複数の原因が絡み合って発生するので、羊水過多・羊水過少と指摘された時は原因を探るのが重要になってきます。
しかし全ての原因が判明するわけではなく原因不明という事も多いので、羊水過多・過少の程度が酷くなければ経過観察に留めるのみのケースもあります。そのため定期健診の回数が増えますが、なるべく休まずに健診を受けて赤ちゃんをサポートしていきましょう。
ここまでのまとめ
25週目は体調が安定する時期ではあるのですが、無理をしがちな時期でもあり、知らず知らずのうちに早産の原因となるようなことをしてしまっている妊婦さんもいます。あらかじめこの時期にしてはならないことなどをチェックしておくと、早産の危険性を回避できるので、激しい運動を避けつつ、体調に気を配りつつ過ごすようにしましょう。