妊娠8ヶ月目になってくると、胎動に個性が出たり、前駆陣痛を幾度となく経験します。逆子が気になる頃ですので逆子体操などで改善し、出産にそなえる時期になります。お母さんが気を付けなければならないことは、体重増加に注意が必要です。
心の準備を整えて産まれてくるのを待つのみなのですが、この時期だからこそ注意しなければならないことなどもありますので、知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠8ヶ月の胎児の成長、お腹の様子
妊娠8ヶ月 胎児の体重は?様子は?
妊娠28週 胎児体重は正常発育児95.4%が853g~1474g 平均体重:1163gです。
妊娠29週 胎児体重は正常発育児95.4%が972g~1653g 平均体重:1313gです。
妊娠30週 胎児体重は正常発育児95.4%が1098g~1842g 平均体重:1470gです。
妊娠31週 胎児体重は正常発育児95.4%が1231g~2039g 平均体重:1653gです。※1
妊娠8ヶ月 胎児体重は正常発育児95.4%が853g~2039g 平均体重:1163~1653gです
外の光を感じたり、呼吸の練習をしたりすることができるようになってきます。もちろん、赤ちゃんの成長に伴ってお母さんはますます歩くのが大変になってきます。疲れやすくなったり、体調がおかしくなったりすることも出てくるので、異変を感じた際は休むようにしましょう。
胎児の全ての器官がほぼ完成する
器官形成期からここまであらゆる身体の器官が出来上がり機能し始めてきましたが、まだ少し残っていました。しかし、この月ではほとんど全ての器官が完成します。
特に血液を作り出す骨髄が機能を開始し始めるので、お母さんから血液をもらわなくても自分で作れるように。その他に脳の中枢神経が発達し脳からの指示を受け取れるようになるので、身体の隅々まで自分自身がコントロールできるようになります。
胎児が呼吸の練習を始める
肺と鼻の穴が出来上がって、呼吸に必要な器官はすべて揃いました。しかしただ揃っただけでは肺は機能せず、呼吸するには横隔膜の動きが非常に重要になります。他の体内器官と違い肺は筋肉で出来ていないので、自らが呼吸するために動く事は出来ず、その肺の下にある横隔膜が上下する事によって、呼吸システムが正常に動くのです。
妊娠8ヶ月になると、胎児の横隔膜は上下に動き始めて呼吸をするような動きの呼吸様運動をするようになり、出生後すぐに呼吸を始められるような準備が進められているのです。
妊娠8ヶ月 胎動に個性がでます
妊娠中期終わりごろから感情や理性を司る大脳皮質が急激に発達を続けているため、今の胎児は自分の意思を持って動きをコントロールしています。
この頃には既に脳やそれ以外の器官も発達しています。胎動のリズムやタイミング・強弱にも胎児によってことなり、元気な性格の子はお腹の中でドンドン暴れたり、静かな子は胎動が静かだったりします。
暴れるからいけないわけでもなく、静かだからいけないわけでもなく、これはそれぞれのお子さんの立派な「個性」なので、外側から話しかけるなどしてコミュニケーションをはかりつつ、お子さんの個性の成長を見守ってあげましょう。赤ちゃんが起きている時に今日の天気や温度・食事内容・お母さんが思った事などを、赤ちゃんに報告するスタイルでも十分です。
妊娠8ヶ月 逆子について
子宮の中で自由に動く事が出来なくなると、胎児は頭を下に向けて手足を縮めた体勢に固定するようになります。身体の位置が決まるので、今までのようにお腹のあちこちで胎動を感じるのは少なくなりますが、その分力が強くなり痛さを感じるほどになります。
また、反対に頭を上に向ける体勢をとる胎児は逆子と呼ばれますが、この時期になると、赤ちゃんが逆子かどうかまでわかるようになります。逆子は治らないもの、どうしようもないものだと思い込んでいる方も多いのですが、基本的に逆子は治すことができるものですし、この時期であればまだ位置を直せるので安心してください。
「逆子体操」をすることも効果的なので取り組んでみましょう。逆子体操は必ず医師の指導のもとにおこなって下さい。また逆子体操をやってはいけない妊婦さんもいらっしゃいますので注意が必要です
逆子体操 仰臥位ブリッジ法
仰臥位(ぎょうがい)ブリッジ法 仰向けで寝て、腰を浮かせる体勢をします。少しの時間(約10分程度)をその体勢をそのままの姿勢で保ちます。腰にクッションなどをあてて楽な姿勢で行っても問題ありません。
逆子体操 胸膝位
胸膝位(きょうしつい)は、うつ伏せの姿勢で、腹部に力を入れない様にし、おしりを高く持ち上げて15~20分続けてください。その後はシムス体位で横になりましょう。
妊娠8ヶ月 前駆陣痛について
この時期になると、前駆陣痛なども経験するケースがあり、お腹の赤ちゃんの器官も完成に近づくため、妊娠の痛みをリアルにイメージできるようになってきます。世の中には「鼻からスイカを出すような痛み」と痛みを表現する人も多く、その表現をそのまま受け取って恐怖してしまう方もいますが、実は通常出産はそれほどまでの痛みではありません。
もちろん、激しい痛みを伴いがちなものではあるのですが、「腹痛の延長線上にある痛み」と感じる人も多く、「想像したよりずっと痛くなかった」と感じる方も多いので、ネガティブなほうにイメージを広げるのは控えるようにしましょう。
ニセ陣痛の頻度が増加
8ヶ月目に突入すると、ニセ陣痛の頻度はさらに増える妊婦もいます。本物でなくてもニセ陣痛はそれ相応に苦しいので、「これがニセモノなのだろうか」「さすがにこれは本物の陣痛なのではないか」と毎回毎回疑ってしまって大変かもしれませんが、疑いを持つようなものは大体の場合ニセ陣痛であり、本物の陣痛ではありません。
本物の陣痛は明らかに、ニセ陣痛とは違うので、「ニセモノっぽい」と感じる場合はそのまま横になりながら、収まるのを待ちましょう。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠8ヶ月の母体の症状などについて
妊娠8ヶ月 腹囲
妊娠8ヶ月の子宮底長は24cm~28cmとなり、みぞおちとへその中間辺りまで子宮の上端が来るようになります。また腹囲は個人差がありますが80cm~90cm超と一回り大きくなります。
妊娠8ヶ月体重増加に注意
妊娠初期につわりがひどく、安定期でつわりが終わり、好きなものを食べ過ぎた妊婦さん多いのではないでしょうか?基準値の範囲内でしたら特に心配はありません。妊娠後期は体重が増加傾向な時期ですから食事の内容の改善や運動など工夫が必要です。
特に注意が必要なことは「間食」です。食べつわりでもないのに常に何か食べている状態や甘いものの取りすぎなどで体重増加は妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などを引き起こすケースがあります。次の健診で先生に注意されないように体重管理を行いましょう。
妊娠高血圧症候群に注意を
8ヶ月目は何かと血圧が上がりやすく、「妊娠高血圧症候群」になりがちです。血圧計をお持ちの方はなるべく家で定期的に血圧をチェックし、血圧が上がり過ぎないように気をつけるようにしましょう。
妊娠高血圧症候群になってしまった場合は、食事指導がありますので医師の指示に従い食事の内容、量などの改善をはかるようにしましょう。
睡眠不足になりがちな時期です
妊娠初期の頃のように再び膀胱が圧迫されるますが、子宮の大きさが以前の時とはかなり違います。この時期はぱんぱんに膨らんだお腹によって膀胱が圧迫されるため、トイレに行く間隔が更に短い頻尿になります。
夜中に何度も何度も、尿意で目が覚めてしまいがちなのですが、毎日続くとやはり寝不足になりがちです。眠れない夜は無理に眠ろうとせず、翌日の昼や休日などにゆっくりと眠るようにしましょう。
また、この時期はまだ胎児とお母さんの睡眠サイクルが合っていないので、お母さんが寝ている間に胎児が起きて強い胎動を繰り返して起こされる、なんて事もあります。しかしここで目が冴えて電気をつけてしまうと、急に明るくなったのを胎児が感じて、せっかく出来上がった睡眠サイクルがまた崩れてしまうので、目が覚めてしまっても起きてテレビを見たり何かを食べることは注意が必要です。
妊娠8ヶ月 つわり,吐き気,気持ち悪い
大体の方は、この時期になるとつわりが終わっているのですが、中には妊娠8ヶ月を過ぎてもつわりが続いている人もいます。
あまりにもつわりが酷いと、様々な不安がつきまとうようになりがちなのですが、つわりが出産直前まで続くケースは珍しいことではなく、つわりに苦しみ続ける人は一定数存在するので、そこまで不安に思う必要はありません。あまりにも食事が辛い場合などは、医師に相談してみましょう。
ストレスを解消はパートナーと一緒に
この時期を過ぎると、出産までがかなり早く、あっという間に「2人きりで過ごせる時間」が終わってしまいます。ですので、ストレス解消のための運動などはなるべく、パートナーと2人で行うようにしましょう。安定期を過ぎると2人きりで過ごせる時間も急激に減っていきます。
もしこの時期に2人きりになる時間を取ることができるのであれば、どこかへデートへ行くなどし、2人きりで様々な体験をしておくようにしましょう。
妊娠8ヶ月 仕事について
妊婦さんの中には、非常に辛い状態で妊娠後期を過ごされる方もいます。つわりやお腹の張り、ニセ陣痛やそれ以外の症状に悩まされ、それでも「新しく産まれてくる赤ちゃんのために」と仕事を頑張り続けてしまう人もいますが、「がんばり過ぎ」が赤ちゃんに伝わってしまう可能性があるのです。
お母さんと赤ちゃんの身体は一心同体であり、お母さんが無理をすることはそれすなわち赤ちゃんに無理をさせることでもあるので、あまりにも仕事が辛い場合は思い切って「辞める」選択を選んでみましょう。
妊娠8ヶ月旅行の注意
8ヶ月の時点で遠出をすることはあまりおすすめできませんが、妊婦の中には「どうしても遠出しなければならない」事情のある方もいます。
目的地から一番近いところにある産婦人科を調べておくべきですし、救急病院などもリストアップしておけば安心です。どこで何が起こるかわからないので、なるべくいつ陣痛がきても対応できる状態にしておきましょう。
入院グッズの確認・購入を
妊娠後期に入り、お腹の重みや張りがネックとなって安定期のように動けなくなります。まだ8ヶ月は様子を見ながらならば少し遠出をしても問題ないので、ぜひ今のうちに出産の際の入院グッズを用意しましょう。
病院によって必要となるものが異なるので、まずは病院で入院の際に必要なものを確認します。ほとんどを貸し出してくれる病院もありますが、母乳パッド・産褥ショーツ・清浄綿などは毎日必要なため自分で購入する必要があり、また骨盤ベルトやベビーグッズなど個人用品も前もって用意しておかなければなりません。なるべくなら今月中に準備しておきたいものです。
「ネットスーパー」が重宝する時期
8ヶ月目はとにかく、身体が重くなっています。頑張って立ち上がろうにも難しいときなどもあり、歩きたくてもなかなか前に進めなかったり、外でニセ陣痛を起こしてしまったりすることがあるので、「ネットスーパー」をうまく利用しつつ買い物してみましょう。
ネットスーパーは高い、と思い込んでいる方も多いのですが、ネットスーパーは大体3000~5000円以上の買い物をすれば手数料(送料込み)が無料になったり、格安になったりします。そうでなかったとしても、手数料は高くて350円程度なので、買い物に出るのも辛いようなときは積極的にネットスーパーを利用しましょう。
予定をパートナーと一緒に立てる
後期に入れば、出産準備や里帰り・定期健診など何かと忙しくなるので、この時期がパートナーとゆっくり話せる最後のチャンスかもしれません。赤ちゃんが生まれればその世話でばたばたしてしまい、さらに話す時間なんて持てなくなってしまうのは明白です。
名付け・しつけ・教育・育児に対する父母の役割分担・祖父母との関わり等、これから向き合っていかなければならない事を二人で話し合って再確認すると、いざその問題に直面した時に慌てずにすみます。
妊娠8ヶ月お腹の張り,腹痛,出血,破水,早産
妊娠後期8ヶ月~10ヶ月は、お母さんが少し無理をすればすぐ切迫早産へ繋がる、と言うくらいの気持ちを持って行動すべきです。8ヶ月になると不規則なお腹の張り、腹痛を感じるようになりますが、それがただの張りなのか痛みなのか切迫早産の兆候なのか、それとも陣痛の予行演習のようなものである前駆陣痛なのか、特に初産婦には区別が付きません。
お腹の張りや痛みを無視して行動すれば、お腹の痛みだけでなく子宮口までも開いてくるケースがあるので、胎児の事を考えれ、休みすぎじゃないかと思うくらい休憩を取っても行動するように心がけましょう。
カチカチなお腹、出血、破水が見られたときは、切迫早産、早産の疑いがありますおで、すぐに病院に行くようにしましょう。 詳しく:妊娠後期腹痛:切迫早産:早産:おしるし:破水:帝王切開
お腹の張りが収まらない場合
8ヶ月目から段々と、お腹の張りを強く感じることが増えてきて、身体が出産の準備を本格的に始めたことを自覚できるようになります。
しかし、張りがいつまで経ってもおさまらないこともあり、立っていることも辛くなってしまうようなケースも出てくるので、席を譲ってもらったりその場に座ったりして一番ラクでいられる体勢を選ぶようにしましょう。「
外出先でそんなことをするのは恥ずかしい」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、妊婦さんであれば当たり前のことです。それでもおさまらない場合は早産、切迫早産の危険性もありますので、病院に診てもらいましょう。
おりものの変化は 常にチェックを
おりものが再び増えてくる頃ですが、こまめにおりものシートを取り替えて清潔にし、雑菌が繁殖しないようにチェックしましょう。
おりものも白くなったり黄色くなったりしますが程度により感染症の疑いもあります。特に茶色くなった時は少々注意が必要です。茶色なのは血液の色ですが、どの部分から出血しているのかで緊急度が異なるからです。
性交後やびらんからの出血ならば問題ありませんが、子宮口が開いたり卵膜がずれて出血した場合は早急な処置が必要になります。しかし妊婦さんだけでは区別がしにくいですから、やはり病院に相談するのがよいでしょう。
HELLP症候群 症状が同じだから注意を
HELLP症候群は妊娠中期から産褥期にかけて発病し、発生患者のほとんどが妊娠高血圧症候群の方となっています。
症状は突然の胃痛や強い倦怠感・食欲不振が特徴ですが、妊娠中は同様の症状が起こりえますので、症状だけではHELLP症候群であるかどうかが分からないため血液検査でもって判断します。このHELLP症候群では、胎児死亡が起こりやすいですが、妊婦の死亡率は非常に少ないです。
しかし、常位胎盤早期剥離や腎不全・肺水腫などの合併症が起こりやすいため、自宅や入院しての安静が必要です。HELLP症候群を避けるためにも、まずは妊娠高血圧症候群にならないような食事内容や生活習慣に気をつけましょう。
ここまでのまとめ
妊娠8ヶ月の頃は、「赤ちゃんともう少しで会える」事実をより生々と実感できる時期です。腰が重かったり、お腹が張る頻度が多くなったりと何かと大変なこともあるのですが、この頃になると妊娠に身体が慣れてきます。赤ちゃんが出てくることへの期待で胸が一杯になる方も少なくありません。
ここまでくれば苦しかった妊娠期間もあと少しで終わるので、適度に休みつつ最後まで丁寧に生活しましょう。