妊娠30週目になると、胎動も強く感じられ、赤ちゃんの成長を感じられる時期です。依然として切迫早産や早産の危険はありますので油断は禁物です。赤ちゃんは様々な器官が完成に近づき、人間としての機能が高まるようになるので、体重管理などを徹底しつつ、赤ちゃんの成長を見守るようにしましょう。
お腹だけでなく胸やふとももなども大きくなってきます。体型が変化することによって妊娠線ができやすくなる時期です。妊娠30週の知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠30週の胎児の成長、お腹の様子
妊娠30週 胎児の体重は?様子は?
妊娠30週 胎児体重は正常発育児95.4%が1098g~1842g 平均体重:1470gです。※1
赤ちゃんは毎日毎日、成長しています。今までは外の声は羊水越しに聞こえるためくもって聞こえ、よく聞こえるお母さんの声をメインでしたが、今はきちんとお父さんや外の音がしっかり聞こえています。
お父さんはなるべく毎日胎児に声をかけてあげると、生まれた後のお父さんに対する反応が強くなりパパっ子になる可能性だって出てきます。一説には男性の低い声を胎児は聞き取れないといいますが、毎日同じ時間・同じリズム・同じ口調で話しかければ、声以外の他の部分で「お父さん」だと認識するようになります。
呼吸や体温調整などの機能が備わる
30週目の赤ちゃんは、既に呼吸もできるようになっていますし、体温調整もできるようになっています。この頃の赤ちゃんはお母さんの想像以上にしっかり成長しており、脳のしわなどもどんどん形成されているので、お腹の外から話しかけつつ、胎教などをしてみるようにしましょう。
クラシック音楽にはリラックス効果があり、母体のメンタル面などを安定させることにも役立つので、ぜひとも音楽をBGMにしつつ過ごすようにしてみてください。
寝ている時と起きている時がはっきりと
この週になると睡眠サイクルが長くなり、また眼球の動きで睡眠と覚醒がはっきり分けられてきた事が分かってきます。今まではうたた寝に近い睡眠スタイルでしたが、視覚や聴覚・触覚から送られた情報を脳が処理する機能が稼動し始めたので、もう少し長く睡眠する時間が必要になってきました。
眠りから覚めると、眼球をきょろきょろ動かしたり、瞬きしたり口を動かすなど、起きたサインがはっきりエコーで分かるようになります。
お母さんから免疫力を分けてもらう
赤ちゃんは、無菌状態の子宮の中ですくすくと成長しているのですが、外に出れば無菌状態ではありません。30週目を過ぎる頃から、免疫系も徐々に発達していくようになります。とはいっても、この時期の赤ちゃんの免疫システムがいきなり発達するわけではなく、お母さんの免疫システムで赤ちゃんの免疫機能を補うようになるのです。
胎児期に自分ではないものを攻撃する抗体は1種のみ作られますが、数が少ないため免疫機能は働きません。そこで胎盤を通してお母さんから抗体蛋白質である免疫グロブリンをもらうようになります。哺乳類が持つ免疫グロブリンは5種類ありますが、胎児が自ら作るのはIgMでお母さんからこの時期にもらうのは、IgGと出産後母乳の中に含まれるIgAです。
このお母さんから分けてもらった抗体は、胎児が自分ですべて産生できる生後3ヶ月くらいまで、代わりに赤ちゃんを守ってくれるのです。
30週逆子について
逆子の状態になっていることを産婦人科で告げられたお母さんは、逆子を治すために賢明に体操・運動を続けています。
逆子を治すための体操・運動をしっかり続けてきたお母さんは、この時期にお腹の中で逆子が治ったような感覚を覚えることがあり、その後、産婦人科へ行くと、実際に逆子が治っていることが告げられ安心できます。
逆子を治す体操・運動を続けるのは大変なことですが、これからの時期に逆子体操・運動をしなくて済みますので、諦めずに続けるようにしましょう。
30週胎動について
お腹の中で元気に動き回ったり、しゃっくりをしたり過ごしているので、胎動も強く感じられます。
個人差がありますが、お腹の赤ちゃんが子宮の壁に接近するまで成長すると、身動きも取れなくなり、胎動も落ち着いてくる場合もあります。
胎動が落ち着いていく、ということを覚えておくと、胎動の回数が急変しても慌てずに済みますので、胎動の変化についての知識を頭に入れておきましょう。ちなみに胎動が臨月まで感じる妊婦さんもいらっしゃいます。
胎児体重が重いと巨大児の可能性が
この時期に2・3週間成長が早く、体重が2000gを超えてしまうような場合は、母体の異常の有無を検査します。胎児が大きくなる理由はお母さんの糖尿病がほとんどですが、もしお母さんに問題がない場合は、遺伝や胎盤が大きく栄養吸収状態が良い等の理由が考えられます。
出生体重が4000gを超える新生児を巨大児と呼びますが、体内器官システムが体の大きさにあっていないため、出生時に呼吸障害や黄疸を引き起こす可能性が高くなります。大きく生むのは大変なので、血糖コントロールや運動・食事に十分注意をして、お母さんもお腹の赤ちゃんも太り過ぎないように気をつけましょう。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠30週の母体の症状などについて
30週 体重増加について
これまで体重コントロールを頑張ってきた方も、生活スタイルや食事内容は同じなのに一気に体重が増えてしまったと悩む方が多くなります。妊婦は通常、妊娠前よりも7~10kg太るものなのですが、体重が10~15kgも太ってしまっているとなると、難産の原因となるので体重のコントロールが必要となります。
減量が必要とは言っても、ボクササイズのような激しい運動は避けなければなりません。ウォーキングなどの方法で地道にカロリー消費していくしかありません。しっかりと有酸素運動をしつつ、体重を適正な範囲まで減らすようにしましょう。
また胎児の現在の体重は平均出生体重まであと1.5kg程なので、太りすぎと指摘されてしまった方は、最高で1.5kg程度の体重増加はしても良いと考えると少し楽になります。体重管理はやはり食事面のコントロールがポイントで、野菜を主食よりもたくさん食べるよう意識しましょう。
外食の際も油断は禁物!
この時期のお母さんはすっかりお腹が大きくなっているため、家事なども苦痛になりがちです。ついついパートナーに連れられて外食をしてしまいがちなのですが、外食が続くとどうしても栄養バランスが崩れがちです。
肉料理やスイーツなどを食べ続けていると、知らず知らずのうちに妊娠糖尿病のリスクを負ってしまうので、暴飲暴食は控えるようにし、外食をする際は「どういった栄養が含まれているか」などの点をしっかりチェックするようにしましょう。
妊娠糖尿病に注意 塩分と糖分の摂取量
30週目も、塩分と糖分の摂取量には注意しなければなりません。塩分を摂取しすぎればそれがむくみを悪化させてしまう原因になりますし、糖分を摂取しすぎると、妊娠糖尿病の原因となります。
妊娠糖尿病になってしまった妊婦は、虫歯にもなる場合が多く、歯痛や妊娠糖尿病の諸症状に苦しみつつ、出産する羽目になってしまいます。なるべく甘いものや味つけの濃いものは控えるようにし、栄養バランスを考えつつ食事を作るようにしましょう。
尿漏れが増えてくる場合も
妊娠中の尿漏れは、お腹がかなり大きくなってきたこの頃に表れる事が多いです。その原因は子宮による膀胱への圧迫とプロゲステロンの子宮付近の筋肉弛緩作用の2つが大きく、ちょっとお腹に力を入れただけで尿が漏れてしまう人すらいるのです。
対策としては骨盤底筋群を鍛えるのが一番で、横になって膝を立て肛門・尿道・膣を意識して締め上げてから力をゆっくり抜くのを繰り返します。お腹の張りに気をつけながら行い習慣にすれば、産後の尿漏れ防止にも役立ちます。
坐骨神経痛になる方も
お腹が大きくなってくるので、腰痛だけでなく坐骨神経痛になる方も多いです。坐骨神経痛とは腰から足にかけて走る坐骨神経が、骨と接触したり圧迫されて後部臀部やつま先・すねなどが痛くなる症状ですが、妊娠中は骨盤の開きや子宮の重さで圧迫されるのが原因なので、特にお尻や足の付け根が痛くなります。
通常坐骨神経痛の治療は、ブロック注射や鎮痛剤を用いますが妊娠中は胎児への影響を考慮して使用しないため、直接的な治療が出来ないのが辛いところ。股関節のストレッチやつぼ押し・マッサージ、それから筋肉を緊張させる姿勢を取らないようにして、まずは悪化させないのが大事です。
妊娠線を作らないためにできること
皮下脂肪は妊娠線の原因となりますが、まったく増えないのも問題です。胎盤が出来上がると、エネルギーとなる炭水化物は全てお腹の赤ちゃんへと送られてしまうので、お母さんの身体は脂肪を代謝してエネルギーを作り出すようになります。
ですから、ある程度の皮下脂肪はお母さんが健康に過ごすためにも必要なのですが、不必要な過剰分は妊娠線を作らないためにもなるべく減らすように努めましょう。食事を減らしては赤ちゃんへエネルギーが届かないので、毎日の軽い運動でこれ以上余計な脂肪はつけない意識を持ちましょう。
お腹やおっぱいなどがさらに大きく
妊娠30週目になると、出産まであと一歩です。お腹やおっぱいやふとももがこれまで以上に大きくなります。肌が張ることにより、乾燥が進むようになり、胸周りやふともも、お腹などに妊娠線ができやすくなるので、保湿クリームをこまめに塗るようにしましょう。保湿クリームはなるべく、風呂上がりなどに必ず塗るようにした方が効果的です。
皮膚を清潔に保つのが難しい時期
身体に脂肪がたくさんつくようになると、汗疹ができたり、不潔な状態に陥りやすくなります。シャワーを何度も浴び、タオルで拭とることを習慣化することによって不快感を解消することができます。
外に出て働いている人などは中々できませんが、皮膚を清潔に保つ工夫が必要です。日常の中でも、通気性の良い服を着るようにするとそれだけで不快感がかなり解消されるので、熱のこもりやすい衣類は避けるようにし、なるべく毎日、お風呂に入るようにしましょう。
痒み(かゆみ)が出てくる時期
女性ホルモンの分泌量が増えると、相対的に男性ホルモン量が減少します。男性ホルモンは皮脂の分泌を促進する働きがあるため、男性ホルモン量の少ない今は、皮脂が減って乾燥しやすくなり痒みへとつながります。
痒みに我慢できず掻いてしまうと、湿疹ができたり色素沈着が起きてしまうので、なるべく掻かないようにすべきです。
痒みが出てしまった後では効果がありませんから、痒くなる前にシャワーで体を清潔な状態にする、保湿をするなど、塗り薬を使わなくてもすむように工夫してみましょう。この痒みは産後数日経てば治まってきますので、あと少しの辛抱と思って対処していきましょう。
妊娠30週お腹の張り 腹痛 出血 破水 早産
前置胎盤は切迫早産、早産のリスクに
胎盤が完成する頃に、子宮下方に胎盤が位置する前置胎盤と指摘されても、子宮が上に大きくなるにつれて胎盤も上がり解消される場合があります。
しかしこの頃に再び胎盤検査を行い、前置胎盤と判明すれば出産は自動的に帝王切開となり、妊婦の状態によっては管理入院を行いお腹の張りを抑えるために子宮収縮抑制剤を投与します。
妊娠後期は無理な運動や性交を控える時期ですが、前置胎盤と診断された方はさらに厳しく行動を管理する必要があります
その他の切迫早産、早産の原因としては、様々な感染症、子宮頸管無力症、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形、羊水過多、羊水過小、妊娠高血圧症候群、多胎妊娠、慢性疾患 高齢出産、若年出産、体重増加、ホルモンのバランス、性交渉、疲労、ストレス、喫煙、アルコール、早産経験などがあります。
仕事でのお腹の張り、腹痛
30週目になると、産休の1ヶ月前の時期に入るので、「もう少しの辛抱」と言い聞かせながら働いているお母さんも多いことでしょう。しかし、お母さんの中には30週目に突入してもまだ、つわりが収まらない方もいますし、つわりや頭痛、腹痛、貧血、睡眠不足などに毎日悩まされながら働いている方も少なくありません。
もちろん、外に出て身体を動かしたり、運動をしたりすることは重要なことなのですが、無理をしてまで働いてしまうと赤ちゃんの脳に大きなストレスを与えてしまうことになりかねないです。
また、無理をしてお腹の張り、腹痛、出血、破水などで切迫早産、早産のリスクもありますので、限界を感じた場合は明日からでも、産休に入ってしまうようにしましょう。
詳しく:妊娠後期腹痛:切迫早産:早産:おしるし:破水:帝王切開
胎動に異変を感じたら
胎動の時期は個人差がありますが、30週目のこの時期はまだまだ胎動が続いているものなのですが、稀に、急にパタッと胎動がなくなってしまうケースがあります。あまり考えたくないことかもしれませんが、この時期に胎動が数日消えてしまった場合は、お腹の中で赤ちゃんが切迫早産や最悪のケースも考えられます。
早めに産婦人科へ行くことにより、トラブルが解消する可能性もあるので、胎動に異変を覚えた時はすぐに産婦人科へ駆け込むようにし、赤ちゃんの様子をチェックしましょう。
お腹が下がる感覚のときは
「お腹が下がる」という言葉を聞いた事があるかもしれませんが、これは今まで子宮の真ん中にいた赤ちゃんが子宮口に向かって移動し、出産の準備が始まっている事を指します。
しかし、赤ちゃんが移動したとしても子宮頸管が短くなり子宮口が開くまでは時間がかかり、初産婦の場合はお腹が下りても陣痛が起こるまでは数時間かかります。
ただ妊娠30週に赤ちゃんが移動してしまうと早産となってしまいますから、切迫早産扱いで入院し張り止めの服用と安静を指導されます。
お腹が下りているかどうかはお腹の張りの頻度と子宮頸管長で判断しますが、まだ子宮頸管長を計測していない病院もありますから、お腹が下りたかもと思った時は躊躇せずに病院に相談してください。
ここまでのまとめ
妊娠30週の知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。お母さんは、マイナートラブルが起きやすい時期でもあります。
肌トラブルを抱えがちなのお母さんは、シャワーを浴びたり通気性の良い衣類を着たりと、工夫をしておくと肌疾患を防ぐことができます。肌トラブルを少しでも避けることで、身体的ストレスも回避するようにしましょう。体重管理や食事にも気を配り、お腹の様子を観察し楽しく妊娠生活を送るように心がけましょう。