妊娠32週目になると、妊娠9ヶ月目の第一週に突入します。高血圧になったり腰痛になったり、むくみがまだまだ続いていたりと、何かと辛い時期ですがあと1ヶ月で臨月のところまで来ているので頑張りましょう。
おりものが増える時期なので下半身に不快感を覚えることも増えますが、こまめにシャワーを浴びるなどして解消しましょう。妊娠32週の知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠32週の胎児やお腹の状態
妊娠32週 胎児の体重は?大きさは?
妊娠32週 胎児体重は正常発育児95.4%が1368g~2243g 平均体重:1805gです。※1
お母さんの体重も急激に増えるようになります。食欲が増えてたり、体重が必要以上に増えてたりしがちかもしれませんが、体重が必要以上に増加してしまうと、産道付近にまで肉がつきすぎてしまうので、注意しなければなりません。産道に肉が付きすぎると難産の原因となるので、太ってしまった場合は医師と相談の上、食事管理や体重管理に励むようにしましょう。
赤ちゃんの表情が豊かになります
32週目の赤ちゃんは既に喜怒哀楽の感情が出てきているので、エコーをチェックすると、赤ちゃんの笑顔やしかめっ面などがわかる場合があります。
喜怒哀楽の表情は、確認できる場合とできない場合があるので、必ずしもそれをこの時期に見ることができるわけではないのです。脳機能もほぼ完成していますので、お腹の中の赤ちゃんは、様々なことを心で感じるようになっています。
胎動と羊水について
32週目になると、羊水の量も800ml程度まで増えます。しかし、32週目以降からはうってかわって、羊水の量が減少していきますし、赤ちゃんは段々と子宮の底に下りてくるようになります。
羊水は最終的には400ml程度にまで減少し、赤ちゃんは子宮の壁にぴったりとくっつくようになるので、それによって個人差がありますが徐々に胎動も少なくなる傾向です。しかし出産直前まで通常通りある方もいます。
羊水はお母さんと胎児の間のクッションの役目をしていましたが、これからは少なくなって手足が子宮に触れるほどになってくるため、胎動がある時は内側から押されて胎児の身体のパーツが飛び出てくるのを確認できる方もいます。
ただ羊水の減りが少ない、または多いと医師から指摘された場合は、入院して経過観察し胎児のノンストレステストを行う事があります。
胎児は胎毛が不要になり始めます
今までは、羊水の刺激に負けないようにするために、胎児は自分の身体を胎毛で包んでいるのですが、32週目からは羊水も少なくなってきます。
子宮の中の状態がどんどん変化していくので、それに応じて胎児の身体も変化します。今までは必要不可欠だった胎毛が不要になり始めます。外の世界に出た時のために皮下脂肪などを発達させていくようになります。
皮下脂肪がしっかりとついてくる
胎児の皮下脂肪には、ある特定の場所のみに存在してエネルギーを作り出す働きがある褐色脂肪細胞と、作り出した体内の熱を外気に奪われないよう全身を覆っている白色脂肪細胞の2種類あります。
体温発生・調節機能はすでに出来ていますがまだ発達中なため、まずは熱エネルギーを外部へ発散させないようにするための皮下脂肪がつき、この頃になればずいぶん皮下脂肪の量が増えてきます。エコーではさらに赤ちゃんらしくなった胎児が確認できるでしょう。
排泄運動が順調に機能すます
血液が全身を循環するようになり、しっかりとシステムが出来上がりました。動脈は細胞へ栄養を運び、静脈は細胞からの老廃物や余分な水分を受け取る仕事が完成し、体液循環システムの終わりである膀胱もきちんと尿を排泄するようになっています。
ただ膀胱はまだ小さいので、この時の胎児は定期的におしっこをしています。このようにお母さんの血漿でできていた羊水は、妊娠後期になるとその大部分が胎児の尿になります。そう聞くとびっくりされる方も多いですが、子宮内は無菌状態なので安心してください。
32週 逆子について
脳が更に発達を続け、しわもより深く多く刻まれてゆきます。頭自体も脳の成長につられて大きくなってゆくのですが、身体も負けずに手足が伸びて、この時期は4頭身になります。
ほとんどの胎児は頭を骨盤に付けるような姿勢に落ち着きますが、中には逆子で母体の軸と直角に交わる横位と呼ばれる状態になる事もあります。
逆子や横位を直すためには逆子体操の他にも、血行を促進して胎児の動きを活発化させて頭位へ導く方法などもありますので、諦めずに半身浴や運動を続けてみてください。
子宮底長で成長がわかる
子宮底長は30cm程度になり、赤ちゃんは窮屈な状態で子宮の中に収まるようになります。
子宮が成長する関係で、こむらがえりなども多くなりがちなのですが、マッサージをすることによって改善することができるので、足の痙攣が酷い場合などは、マッサージをして下半身を休めるようにしましょう。あまりにも辛くて自分ではどうにもできない場合は、パートナーにマッサージをお願いしてみてください。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠32週の母体の症状などについて
膣のゆるみでおりものの量が増えます
32週目になると、赤ちゃんを育てるための産道を柔らかくするために身体が働き出すようになります。膣がゆるむようになり、おりものの量が増えるので、下半身に不快感を覚えることが増えてしまいます。
不快感は、おりものシートを使ったり、下着をこまめに交換したり、シャワーを1日に何度も浴びたりすれば改善できますので、おりものの悩みを解消しましょう。
妊娠高血圧症候群になりやすい時期
出産に備えて造血がさかんになる時期なので、その影響で妊娠高血圧症候群になってしまう人もいます。妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に高血圧になり、尿タンパクが出る症状のことであり、妊娠高血圧症候群になってしまったお母さんはむくみが激化してしまいます。
32週目になると妊娠高血圧症候群になる可能性が高まるようになりますので、血圧には注意しなければなりません。
妊娠高血圧症候群と頭痛の関係
妊娠後期の頭痛は、妊娠高血圧症候群と結びつけて考えられる事も少なくありません。これまでは順調でも赤ちゃんの成長や体の疲れが重なって、自覚がないうちに血圧が上がってしまう可能性があります。頭痛の他にむくみが酷くなるようならば妊娠高血圧症候の疑いが更に高くなります。
この時の頭痛は血管が広がって起きる偏頭痛で、目がチカチカし、頭のどちらか片方だけ脈動を打つようにズキズキ痛むのが特徴です。
薬は飲めませんので、まずは暗い部屋で目を刺激しないようにして安静にします。冷たいタオルなどで痛む場所を冷やすのもよいでしょう。偏頭痛は早く対処するほど効果的なので、痛いかな?と思った時に対策をとるようにしましょう。
おっぱいから初乳(母乳)が出る場合も
早い方では安定期に乳頭から黄色い分泌物を認めますが、乳腺もかなり発達してくるこの頃にも初乳が出る方が多くなります。まだまだ出産までに1ヶ月は掛かるのですが、32週目の時期に「母乳」を確認できる方もいます。
初乳とは、黄色みのあるねばねばとした分泌液のことであり、乳首からそのような液が出てきた場合はそれがその人の初乳となります。しかし、身体からはじめて出る母乳なので、よく言われる初乳なのですが、実は出産後の初乳とは同じように見えて成分が違います。
出産後はプロラクチンとオキシトシンのホルモンが分泌されて、初めて免疫グロブリンやたんぱく質・ミネラル・ビタミンなどが母乳に含まれますが、出産する前の母乳には栄養が含まれておらず、母乳というよりは乳頭や乳腺を掃除して母乳を通りやすくする液体のようなものです。初乳は出産後に生成されますので、あまり心配しないようにしてください。
初乳が出たことは、おっぱいが赤ちゃんを育てるための準備を始めたことなので、分泌液を出やすくするためにも、マッサージをしてみるようにしましょう。
産後の母乳を意識して
お母さんの身体は既に、赤ちゃんにミルクをあげるための準備を始めています。初乳が出ることが多いのもこの時期です。
この時期からお母さんのおっぱいは赤ちゃんのためのミルクを作り始めるので、かかりつけの医師に相談をして、ミルクを作るために必要なビタミンKなどの栄養を摂取するようにしましょう。ビタミンKが不足していると、産後にミルクの出が悪くなってしまうので、注意が必要です。
胃腸の圧迫感で食欲不振になる人も
32週目になると、子宮がかなり大きくなっているため、胃腸もその分圧迫されるようになります。これまでは何とか食事だけは摂ることができていた人も、この時期からは食事が苦痛になってしまいがちなので、せめて消化に良いものを食べるようにし、胃腸にそれ以上の負担をかけないように工夫してみましょう。
なるべく栄養のあるものを摂取するべきですが、食欲不振に悩む場合は、食べたい物を食べることによって改善を試みてみてください。
便通をよくするための工夫を
子宮の大きさに圧迫されて便通も悪くなってしまいがちなのですが、食物繊維を摂取するようにするとかなり改善されます。
海藻類や葉野菜を食べるようにしたり、暴飲暴食を控えるようにしたり工夫すると便通が改善されてよりラクに過ごせるようになります。どうしても、妊婦さんは便秘が続いてしまいがちなのですが、食事の内容を工夫すれば改善できるようになるので、消化にいいものを食べるようにしてみましょう。
階段などは足元に注意
この頃には腹囲は100cmとは行かなくても、かなり大きくなって足元がまったく見えなくなります。特に気をつけないといけないのが階段で、建築法で定められている踏面、つまり階段の足を置く部分の幅は最低15cmとなっているため、場所によってはお腹で階段が見えない事も考えられます。
踏み外せばその衝撃でお腹が硬くなって、下手をすれば破水する可能性もないわけではありません。必ず手すりにつかまって一歩ずつ確認しながら降りましょう。また、ヒールのある靴は履かないと考えて、すぐ脱げないようなサンダルやスニーカーに替えて転倒予防を徹底してください。
妊娠32週お腹の張り,腹痛,出血,破水,早産
子宮口が開き子宮収縮がある状態が続くとき、酷いお腹の張り、腹痛、出血、破水が見られたときは切迫早産や早産の兆候ともいえます。
原因として妊娠高血圧症候群、前置胎盤、低置胎盤、子宮頸管炎、絨毛膜羊膜炎、細菌性膣症、子宮頸管無力症、子宮筋腫、子宮奇形、羊水過多症、羊水過小症、多胎妊娠、妊娠糖尿病、疲労、ストレス、喫煙、飲酒、早産経験者、高齢出産、若年出産などの原因が複雑に絡み切迫早産、早産になります。
できるだけ早産は避けたいですが、妊娠32週で早産の赤ちゃんは大丈夫なのでしょうか?後遺症が心配ですが、医療が発達してこの時期であればNICU(新生児集中治療室)で元気に育ちます。胎児の体重が2,500グラム以上あれば様々なリスクは軽減されます。
破水しそうな勢いでお腹が張るように
出産が近づいてくると、破水が心配になるほどお腹が張るようになります。お腹の張りは妊娠している以上、仕方のないことでもあるのですが、張りがあまりにも酷いと破水を心配するようになってしまいがちですし、精神的に落ち着かなくなってしまう方も多くなっています。
この時期に破水することは滅多にありませんが、ここまで安全に過ごすことができればほとんどのお母さんはそのまま赤ちゃんを健康的に出産できるので、心配しすぎないようにしましょう。
ただし、お腹の張りと腹痛、出血、おりものの変化、破水などが感じられた症状は切迫早産、早産に注意が必要です。もしそのような症状があった場合は、焦らす、医師の診断を受けるようにしましょう。
詳しく:妊娠後期腹痛:陣痛兆候:切迫早産:早産:おしるし:破水:帝王切開
切迫早産での自宅安静とは
お腹の張りや腹痛、出血などで医師の適切な処置後、入院や自宅安静するようにと話があります。入院の場合は寝るしかないので、安静している状態になりますし医師の管理下ですので安心です。
問題は自宅安静の仕方です。「とにかく動かない」「寝たきり」です。安静の意味をはき違えて、家の中で通常の生活をすれば大丈夫と勘違いしている方もいますが、最小限の動き、トイレ、食事だけにしましょう。
お風呂も入らない、家事もしない、旦那様、上の子の世話もしない、これらは協力者がいないとできないことですので家族と相談して実践するようにしましょう。赤ちゃんを守れるのはあなただけです、後悔しないように「やりすぎなぐらいに安静」にすることが大切です。
おりものに血が混じっている場合
32週目になるとおりものが多く分泌されるようになるのですが、基本的には色は通常通りの色ですし、血が混じるようなこともありません。
この時期のおりものは量が多くなるだけであり、血が混じることはまずないので、もし血が混じって、臭いがきついような場合は産婦人科へ行くようにしましょう。膣炎になっていると出産の際に赤ちゃんがキケンな状態になってしまうので、治すのならば今のうちです。
ここまでのまとめ
32週目以降は、膣がゆるくなるなど身体が出産のための具体的な準備を始めます。姿勢をまっすぐ伸ばすのが難しくなる時期ですし、動悸や頻尿などがますます酷くなり、諸症状に苦しむようになってしまいがちですが、子宮が下りてくることによって段々と症状も落ち着いてきます。
この時期につわりに苦しむ方も多く、体調不良を原因とした鬱に悩む方も決して少なくないのですが、あと数週間で出産することができるので、前向きな姿勢で妊娠後期の生活を取り組むようにしましょう。