妊娠19週目になると、骨盤が出産の準備を始めるようになります。それまでは閉じていた骨盤も、段々とゆるむようになり、腰などに負担がかかるようになってくるので気をつけなければなりません。
また、赤ちゃんの性別がわかったり、胎動を感じたりと喜ばしい変化があるので、19週目ならではの特徴や注意点などを踏まえつつ、過ごすようにしましょう。妊娠19週に知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠19週の胎児の成長、お腹の様子
妊娠19週 胎児の大きさ、様子は
妊娠19週の胎児体重は正常発育児の95.4%が166g~328g 平均体重:247gとなります。※1
赤ちゃんの成長速度はどんどん速くなっていき、どんどんしっかりした大きさになっていくので超音波検査などが楽しみになります。大きく育つということは、その分、腰に負担がかかるということでもあるので、腰痛などには引き続き気をつけなければなりません。
胎児の腎臓や膀胱が完成に
器官形成期は終わり、様々な体内器官は順調に発達を続けていますが、この週になると口から肛門まで続く消化管から様々な消化液を分泌し始めます。
消化液は体内に入ってきた食物を分解して栄養を吸収しやすいようにする働きがあり、人間には無くてはならないもので、胎児にもそれが出来たという事は、すでに体内の栄養吸収システムが出来上がった事を意味します。
この時期の赤ちゃんは、羊水を飲んだり、排出したりを繰り返しつつ、お母さんの身体の外に出たときのための練習をしていますが、19週目になると、腎臓や膀胱が完成します。
白っぽい色をしていた肌も段々と、肌色と呼べるような赤みのある色になっていきますし、19週目を過ぎると赤ちゃんはどんどん、健康的な様相になっていきます。
妊娠19週性別がわかる場合も
これまでエコーを見ても、分かりやすい男の子くらいしか性別が分かりませんでした。19週目になると赤ちゃんの性器もほぼ完成します。
女の子の場合は、内側に性器があるので、判断するのは難しかったですが、原始卵胞だけでなく、卵管や卵巣が完成しますし、膣もきちんと形成されるので、超音波検査でチェックすると女の子であることがハッキリとわかってきます。
また、男の子の場合もこの頃にきちんとした生殖器が出来上がりますし、今までは腕や足の影になっていて確認できなかった生殖器がハッキリと確認できるようになるので、定期的に産婦人科で性別をチェックするようにしましょう。まだ性別が分からないお母さんも、あせらずにお腹の赤ちゃんの成長を待ちましょう。
聴診器で心音が聞こえることも
赤ちゃんの心音は妊娠7週目ごろに多くのお母さんが聞こえますが、それはドップラー胎児超音波心音モニターを通して聞いていたもです。
妊娠5ヶ月も終わりの今では、それを用いなくとも上手くいけば、聴診器をお腹の上に当てるだけで簡単にお腹の赤ちゃんの心音が聞けます。これまでは健診に行かなければ赤ちゃんの心音を確認できませんでしたが、これならば家でも毎日赤ちゃんが元気かどうかを確認できます。
聴診器は意外とカンタンに手に入りますし、お腹の中の赤ちゃんの様子もチェックできるので便利です。
また簡略化された家庭用のドップラー胎児超音波心音モニターも発売されていますが、中には医療従事者ではない限り使うべきではないという意見もあります。まず胎児や母体への影響を考え、事前に確認、医師に相談してから使いましょう。
聴診器で「赤ちゃんは今日も元気なんだ」とリラックスすることもできるかもしれません。しかし、聴診器で赤ちゃんの心音を聞くことができるのは運が良い時だけの可能性のあり、必ずしも赤ちゃんの心音が聞こえるわけではないので、期待しすぎないようにしましょう。。
妊娠19週胎動について
胎動の位置で逆子を判断できる?
この頃には多くのお母さんがお腹の赤ちゃんが動いているのを感じられますが、その胎動でお腹の赤ちゃんが逆子かどうかを判断する事が出来ます。確かに、まだまだ子宮には胎児が動き回るスペースがあるので、頭が下になったからといってこの時点では逆子と決め付けられません。
ただ通常はお腹のあちこちに感じる胎動を下腹部に感じたり、膀胱や直腸を蹴られたり叩かれたりするのが特徴なので、胎動を感じたらお腹の赤ちゃんがどんな風に動いているかをよく観察してみましょう。これから何週間も下腹部ばかりに胎動があるようならば、医師に相談したほうがいいですね。
中にはまだ胎動が感じられない人も
胎動はこの頃になると感じられますが、中には身体に何の問題もないにも関わらず胎動が確認できないという人もいます。
お母さんの体型などに問題があるというわけではなく、単に家事や他の子の育児に忙しかったりするためである場合が多くなっていますし、一人で静かに過ごせる時間が少ない方は、中々胎動を感じられない傾向にあるので、胎動を感じられるようにあえて、一人の時間を作るようにしてみましょう。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠19週の母体の症状などについて
骨盤のゆるみで腰痛も
妊娠19週目になると、骨盤も徐々に出産の準備を始めるようになります。これから子宮は通常の骨盤サイズよりも大きくなるので、それを支えるために骨盤も下部にある恥骨結合が緩んで、骨盤もスペースを作るようになります。
ただ通常はしない動きをするため、骨盤周辺に負担がかかって腰痛や股関節痛を引起すようになります。骨盤がゆるみはじめるので、その分、負担が腰にくるようになりますし、腰痛を訴える妊婦さんが多くなります。骨盤ベルトを試して緩和するケースもありますので試して見て下さい。
腰周りの筋肉を少しづつ鍛えてみては
腰が出産のための準備を始めるため、何かと疲れやすくなります。産後も赤ちゃんをだっこしたりと、何かと腰に負担がかかるので、できれば腹筋などを鍛えるようにし、腰周りの筋肉で腰をしっかり支えられるようにしましょう。
腰に少しでも負担をかけないようにするためには、やはり適度に椅子に座るなどして休むのがベストなので、腰が辛くなってしまった場合はなるべく、座ったり横になったりしてで休むようにしましょう。
また対策としては、お腹周りの筋肉を鍛えるなど、無理をしないで筋肉をつけるのが一番大事です。お腹に力を入れすぎてしまう腹筋運動の代わりに、姿勢を良くしてウォーキングしたりスクワットなどでも十分効果が出るので一度試してみて見てください。
急に眠りが浅くなった・眠れない 睡眠の悩み
今までは大丈夫だったのに、急に眠りが浅くなった・眠れないと言う睡眠障害に悩む妊婦さんも実に多いです。大きな原因としては、やはり分泌量が増える女性ホルモンが挙げられます。
卵胞ホルモンは眠気を抑える作用がありますが、その反対に黄体ホルモンは眠気を引き起こす作用があります。出産までは卵胞ホルモンの分泌量が黄体ホルモン以上に増えるので、それが睡眠障害となって現れます。またお腹が気になりだして寝れない、ストレスや不安でで寝れないなど様々です。
夜は眠れないのに、日中の眠気が酷いというパターンもありますが、眠れない分を昼寝で確保しようと体が動いているのかもしれません。睡眠不足は赤ちゃんの成長にも影響を与えかねませんから、眠い時は素直に従ってみてはいかがですか。
妊娠線に縦線(正中線)ができるのはなぜ?
妊娠線のケアはしっかりしていても、お腹が大きくなってくるとお腹の真ん中に縦線が出来るのは、残念ながらケアのしようがありません。その縦線は正中線といって、受精した卵子が細胞分裂を繰り返して赤ちゃんになっていく、その名残なのだといわれています。
ホルモン分泌が盛んになってメラニン色素が増えるため、正中線も濃くなって目立ますが、出産後は次第に目立たなくなるので安心してください。どうしても気になる人は妊娠線ケア同様の保湿をしっかり行いましょう。
メラニン色素の影響を受けやすく
19週目に入ると、メラニン色素の影響を受けるようになります。日常生活の中でも、メラニン色素の影響は受けていますが、妊娠中は特にその影響を受けるので、日中に少し外を歩いただけで肌が焼けてしまったりします。
これは皮膚を強くするための反応がそうさせるのであり、赤ちゃんにおっぱいを吸われても大丈夫なようにするための自然作用のようなものですが、日焼けしたくない方は日焼け止めや傘が必須なので、出掛ける際はサングラスなども着用しつつ出掛けるようにしましょう。
体重管理
これまではお腹が目立たず、周囲からも妊婦であることが分からなかった方も、19週目を過ぎるとだんだんと、お腹周りに皮下脂肪がつくようになってきます。この頃に食べたものは一気に皮下脂肪として身体についてしまいますし、体重が増えすぎてしまって危機感を覚えるような方も少なくありません。
あまりにも体重が増えすぎてしまった場合は、ウォーキングをするなどして体重を落とした方が良いので、太りすぎには充分に注意しましょう。
お腹に負担がかからないように
19週目はお腹の大きさもかなりしっかりした大きさになっていますし、腰に何かと負担がかかりがちです。
お洒落を楽しみたい女性はどうしても、無理をしてキツめのジーンズやスカートを履き続けてしまいがちかもしれませんが、やはりあまりにもキツい格好をしていると、お腹も痛くなってしまいますし、腰痛の原因が増えてしまいます。
最近ではお洒落なマタニティウェアなどもたくさん売り出されていますので、お洒落を楽しむようにしましょう。
初乳が出る場合も
早い方だと19週目の段階で「初乳」を経験します。初乳は初めて出るお乳のことであり、初めて出るお乳は透明な色をしています。
サラサラしているのではなく、ねばねばしているので、最初は何事かと思うかもしれませんが、これも赤ちゃんを産むための準備の一つなので、初乳が確認されたときは「身体が出産のための準備をしているのだ」という風に前向きに受け取りましょう。
妊娠19週の出血や腹痛 流産について
流産の可能性はかなり低くなってはいますが、絶対に流産しないとは限りません。万が一ということもありますし、不正出血や腹痛、お腹の張りを放っておくと、そのまま流産してしまう可能性もあります。
原因としては、子宮筋腫、子宮奇形、子宮頚管無力症、絨毛膜羊膜炎、破水、無理な運動や仕事、ストレスなどが考えられます。自分でコントロールできることは改善していきましょう。
19週目は体調も安定しやすいため油断しがちであり、異変を見逃してしまいがちてすが、何が起きるかは最後までわからないので、不正出血や腹痛、お腹の張り、破水があった際は早くに医師の診断を受けるようにしてください。
詳しくは::お腹の張り痛み:安定期流産:破水:切迫流産:稽留流産:切迫早産:早産
安定期の油断からの腹痛、出血に注意
胎盤が完成したので母体と胎児がしっかり結びついて、流産や出血等の異常が発生する確率が低くなるこの妊娠中期を、安定期とも呼びます。
それは、つわりもほとんどの妊婦が落ち着き、妊娠を維持させるために高かった体温も胎盤の完成を以って通常体温に戻るので、だるさや辛さが一気に解決する時期だからです。胎動が感じられるようになって、お母さんとしての自覚が芽生えてくる頃でもあります。
体調が落ち着いてきたら家事や仕事を頑張ってしまいがちです。無理が続くとお腹の張り~腹痛~出血で切迫流産の可能性がありますので、自分の体調と相談して日々の生活を心がけるようにしましょう
トラブルは赤ちゃんからのサインでもありますので、赤ちゃんのためにもまずはリラックスした気持ちを持ち、落ち着いた行動をとる事が大事です。
胞状奇胎の危険性について
胞状奇胎(ほうじょうきたい)とは、絨毛に異常が起こっている状態を指します。
胞状奇胎になると不正出血が見られるようになり、子宮に異常を感じたときは、すぐに産婦人科へ行って診てもらうしかありません。放置すると良くない場合もありますので、医師のアドバイスをしっかり仰ぐようにしましょう。
人工死産とは
聞き慣れない言葉かもしれませんが、人工死産は自然流産や死産とは異なり、赤ちゃんが生まれても生存できなかったりお母さんの体が妊娠継続に耐えられない場合に、人工的に陣痛を起こし死産となる事を指します。
赤ちゃん側の症例としては、ダウン症やパトー症候群などの染色体異常、無脳症・胎児水腫等が挙げられ、お母さん側の症例としては妊娠中毒症や子宮頸管無力症・絨毛膜羊膜炎・前期破水などが挙げられます。
手術や入院は全自己負担ですが、妊娠4ヶ月以降の人工死産では出産一時金が支給されますので、忘れず受け取りましょう。今まで順調に育ってきたのを実感している分、この結論に納得したとしても「何か方法があったのでは」と思いつめてしまいがちです。信頼している方に側にいてもらうと良いでしょう。
ここまでのまとめ
妊娠19週目になると、体調も落ち着き大きなお腹にもすっかり慣れるようになります。胎動を確認できたり、赤ちゃんとコミュニケーションをはかったりと、楽しいことも出てきます。
この時期に不正出血などのトラブルがある場合もあり、まだまだ油断できない状態です。食事日記などをつけ栄養管理をすることも、出産直前まで続け気を抜きすぎないようにしましょう。