切迫流産について知っておきたいこと

切迫流産について知っておきたいこと 流産

女性にとって流産というのは非常に辛い体験です。とくに待望の赤ちゃんを妊娠したにも関わらず、妊娠初期で流産してしまうと、大きな精神的ショックを受けることになります。しかし流産は決して珍しいことではありません。

妊娠が判明した途端に流産してしまう場合は、お腹の赤ちゃんになんらかの問題があったと考えられます。これとは別に母体に妊娠継続を阻む原因がある場合もあり、この場合もまた流産や切迫流産が起こります。

切迫流産の兆候は出血とお腹の痛みになりますが、たとえ出血があったとしても医師の指示に従い、安静にすることにより、そのまま妊娠を継続できる場合もあります。実際に切迫流産を乗り越え、出産に漕ぎつける方も大勢います。ここでは切迫流産について知っておきたいことを幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。

切迫流産とは

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切迫流産とは妊娠第22週目までに起こるもので、名前が示すとおり、流産ではなくあくまでも流産が起こる可能性があるという状態を指します。これに対して、妊娠第23週目から36週目に起こるものは切迫早産と呼ばれています。

切迫流産と診断されたら、絶対安静にして出来るだけ動かないようにするしかありません。切迫流産に関しては、避けられない理由により流産してしまう場合もありますが、医師の指示に従って安静に過ごすことで、そのまま妊娠を継続できる妊婦さんも多いです。

流産という悲しい結果を防ぐためにも、妊娠が分かったら自分の体の異変によく注意するようにして、切迫流産の兆候があったら何よりもまず安静にするようにしましょう。

着床出血と切迫流産の兆候の違いとは?

着床出血の仕組み

妊娠が発覚したあとの出血というと、流産や切迫流産をまず思い浮かべてしまいますが、正常な妊娠の場合でも出血が起こることがあります。これは着床出血と呼ばれているもので、受精卵が子宮内で着床する際に起こる少量の出血を指します。

この着床出血が起こるのは生理開始よりも一週間程度前のことが多く、出血というよりもおりものに若干血が混じっているという感じになります。着床出血が起こるのはまだ本人も妊娠に気付いていない時期ですので、生理だと勘違いする方が多いようです。

切迫流産の出血とは起こる時期が異なっているので、まず混同することはないかと思われますが、妊娠中に起こる出血の種類として、知識として備えておくようにしましょう。

子宮外妊娠(異所性妊娠)とは

子宮外妊娠(異所性妊娠)の危険性について

子宮外妊娠とは受精卵が子宮内ではなく、子宮外に着床することを指します。子宮外妊娠は卵管や卵巣、そして腹膜への着床を指しますが、子宮内の頸管での妊娠もこれに類するため、最近では異所性妊娠と呼ばれることが多くなっています。

異所性妊娠は、最悪の場合命を落とすこともある非常にリスクの高い症状になります。子宮には成長していく赤ちゃんの大きさに合わせて収縮する機能が備わっていますが、子宮以外の部分には収縮性がないため、卵管破裂といった事態に陥ってしまいます。出血とともにお腹に激痛がある場合には、即刻、診断してもらうようにしましょう。

切迫流産の兆候とは

切迫流産の兆候とは

切迫流産の兆候はお腹の痛みや下腹部痛、出血です。注意したいのは出血にもお腹の痛みにも個人差があることで、とくに出血がわずかで、痛みもほんの少ししか感じられない場合、切迫流産の兆候を見逃しやすくなります。妊娠が分かったら、お腹の痛みや出血には常に留意するようにしてください。

切迫流産かなと思ったら、とりあえず安静にします。出血が止まらない場合は病院に連絡するようにしましょう。妊娠初期の切迫流産の兆候は、お腹の痛みと出血以外にはほとんどありません。

出血とお腹の痛みに関しては、妊娠初期に限らず、妊娠したことが分かった瞬間から出産までの間、ずっと注意しなくてはならない、妊婦さんにとっては非常に重要な兆候になります。まだまだ妊娠初期だからといって油断せずに気をつけるようにしましょう。

切迫流産の出血量や色は

切迫流産の出血量や色は

切迫流産といっても、出血量や腹痛の程度は人によって異なります。出血といっても、生理中のときのような出血ではなく、茶色や茶褐色のおりものが出ることもあります。また白いおりものに小量の鮮血が混じっていることもあり、一口に出血といっても様々です。

そのまま放置すると流産につながる可能性が高くなるという点では一緒ですから、出血が少量だったから・数日で終わったからと自己判断で受診しないのはNGです。

出血が無くなったとしても子宮内では出血が続いて血液が溜まっているケースや、腹痛がないまま症状が進行してしまう感染症が原因のケースなど、見た目は変わらなくても悪化してしまう可能性もあるので、必ず病院を受診するようにしましょう。

ただ、夜間や休日など病院の診療時間外に出血があった時、あわてて夜間緊急に行くのではなく、まずはかかりつけの病院に電話して指示を仰ぐようにしましょう。

自覚症状のない切迫流産ってあるの?

自覚症状のない切迫流産ってあるの?

急な出血や腹痛・腰痛などが現れ病院を受診したところ切迫流産と診断されたというように、たいてい何らかの自覚症状を伴います。

しかし、初めて妊娠する方はお腹の張りがどういったものか分からずに放置し定期健診で始めて発覚したり、仕事の忙しさに自分の体の変調に気づかなかったというような、自覚症状のない方もいらっしゃいます。

また、外部から細菌が進入して炎症を起こす「絨毛膜羊膜炎」も自覚症状がなく、妊娠中期の切迫流産の原因の1つとなっています。自覚症状がない方は、普段どおりの生活をしているうちに一気に流産へと進みかねないため、常日頃から自分の体調をチェックする事と、定期健診や検査は欠かさず受けるように気をつけましょう。

胎児が問題で流産するケース

胎児が問題で流産するケース

妊娠12週目までに起こる流産(初期流産)に関しては、そのほとんどが胎児の側に問題があると考えられます。なんらかの事情により胎児の染色体に異常が発生した場合に起こります。

これは遺伝的な要因で起こるのではなく、単なる偶然の状況が重なり起こるもの。胎児に問題があり早期流産が起きた場合、次回以降の妊娠には問題ありませんので心配する必要はありません。

胎児に問題がある場合

胎児に問題がある場合

流産や切迫流産は大きく分けて胎児側に問題のある場合と、母体に問題がある場合、そして原因がはっきりと特定できない場合の三つに分けることが出来ます。

なんらかの理由により胎児に問題がある場合には、ほとんどの場合妊娠12週目までに流産(初期流産)してしまい、これを未然に防ぐ手立てはありません。胎児の染色体異常などによる流産の多くは、妊娠8週目から10週目までに起こることが多いといわれています。

母体が問題での切迫流産

妊娠13週から22週の切迫流産

胎児に問題がある場合は、自然淘汰的に妊娠初期の段階で流産が起こってしまいますが、これに対して母体に問題がある場合には、妊娠12週目を越えた頃(後期流産)から流産や切迫流産が起こりやすくなります。

23週目以降に起きる陣痛に似た兆候は、切迫早産と呼ばれますので、切迫流産とはそれ以前に起こるものを指します。

母体側の問題として通常挙げられるのが、生活習慣の乱れ、過労、無理な仕事、上の子の世話、過度なストレス、感染症、多胎妊娠、激しい性行為、たばこ、アルコール、冷え、子宮や胎盤の異常、子宮筋腫、子宮頸管無力症などですが、他にも糖尿病や膠原病などによっても切迫流産が起こることが知られています。

有効な療法は安静にすること

有効な療法は安静にすること

切迫流産と診断されたら、とにかく安静にすることがいちばんの治療法になります。妊娠初期の段階ではまだお腹の赤ちゃんも小さく、妊婦さんの自覚もまだあまりなく、これが原因で安静にしているということが辛く感じられます。

トイレ以外にはベッドから起きることも出来ないという絶対安静に至っては、主婦の方にとっては不便以外のなにものでもありません。

しかし切迫流産には安静にするのがもっとも有効な療法になります。どのくらいの間絶対安静が必要であるかは、状況次第。一、二週間で容態が落ち着くこともあれば、出産までずっと絶対安静が続くということもありえます。

切迫流産で入院を勧められたら

切迫流産で入院を勧められたら

切迫流産の場合、病院への入院を勧められることがあります。主婦の方が入院するとなると、いろいろと準備が必要であり、面倒に感じられる方も多いかと思われます。

この場合は主治医及びご主人とよく話し合い、どうすることがお腹の赤ちゃんにとって最適かを優先させ決めるようにしましょう。自宅での安静は便利である反面、家事が気になる分、どうしても動いてしまい、安静を守ることが出来ない方もいるようです。

とくにトイレ以外は絶対に動いてはいけないと指示されている方や、これまでに流産を経験したことがある方は、入院して安静にしたほうが余計な気苦労がなく安心です。

自宅で安静にする場合の注意点

自宅で安静にする場合

安静にしているといってもさまざまな度合いがあります。症状が比較的軽い場合には、自宅で出来るだけ安静にしていればよいことになっています。自宅で安静にと言われたら、必ず確認しなければならないのは、どの程度安静にすべきかです。

料理、洗濯、買い物など、すべての家事を控えるべきなのか、それとも家事を出来るだけ短時間に済ませた上で、不必要な外出を避ければよいだけなのか、では全く話しが別。守るべき安静の度合いにより、行動にかなりの差が出てきます。

安静にという指示をもらったら、行ってよいことと行ってはいけないことをきちんと確認するようにしましょう。

子宮収縮を防ぐ薬 張り止めの薬とは?

張り止めの薬とは?

安静にしている他ないといわれる切迫流産ですが、妊娠第13週以降から治療の一環としてよく使われるのが、「張り止め」と呼ばれる子宮の収縮を防ぐ薬です。

副作用のことを考えると、なるべく薬は飲みたくないという妊婦さんもいるようですが、医師から処方された以上、張り止めの薬はきちんと服用するようにしましょう。張り止めの薬には副交感神経のはたらきを抑える効能があり、これにより子宮が収縮しないようになります。

家族の協力を得るようにする

家族の協力を得るようにする

切迫流産と診断された場合に欠かせないのが家族の協力です。入院する必要がなく、自宅で安静の場合、ご主人の協力なしには、無事出産まで漕ぎつけることは困難になります。切迫流産と診断されたら、ご主人や上のお子さんの協力を得るようにしましょう。

切迫流産治療はいつまで続けるか

切迫流産治療はいつまで続けるか

切迫流産と診断されて自宅安静または入院の指示を出されると、一体いつまでこの状態が続くのか不安になってしまう方も多いでしょう。

一般的には、出血が止まりお腹の張りがなくなると切迫流産の回復となりますが、症状が強く現れる方は早産となる妊娠22週以降まで入院を続けるケースも少なくありません。

ただ、生育限界である妊娠22週を超えればすぐ出産というわけではなく、その時点の出産では赤ちゃんに障害が残る可能性があるため、赤ちゃんがお母さんから離れても問題なく成長できるまでは入院を継続する病院がほとんどです。

安静状態は辛いかもしれませんが、赤ちゃんが順調に成長するためですから色々工夫して乗り越えるようにしてください。

切迫流産にならないための予防

切迫流産にならないための予防

完璧な予防方法はありませんが、予防できることはできるだけ取り入れるようにして、切迫流産にならないたに生活習慣の改善が大切になります。何事もやりすぎない、過度な行動を控え妊婦である自覚を持つようにしましょう。

体の冷えが一番の大敵

体の冷えが一番の大敵

体温が低いという事は女性に多くのトラブルをもたらしますが、実は切迫流産の原因の1つではないかとも指摘されています。妊娠初期はプロゲステロンが多く分泌されて体温を上げ、子宮内の状態を赤ちゃんの成長にとって最適な状態を維持するようなシステムになっていますが、元々の体温が低いと赤ちゃんに最適な環境が整いづらくなってしまいます。

妊娠中は新陳代謝がアップするため、暑くなってつい薄着をしがちですが、妊娠初期は少しの冷えでも赤ちゃんに影響が出てしまう可能性を考えて対策をとるようにしましょう。特に下半身の冷えはダイレクトに子宮へ響くので、靴下や足の出ない格好をするようにしてみては。

過労やストレス、感染症なども注意が必要

過労やストレス、感染症なども注意

切迫流産と診断され、流産になるかもしれないと心配ばかりしているのはよくありません。たとえば子宮筋腫や頸管無力症といった問題以外にも、過労やストレス、感染症なども、切迫流産の原因の一つとして挙げられています。

母体にも、また赤ちゃんにも問題がないにも関わらず、仕事上のストレスや疲労、そして免疫力が落ちていることから起こる感染症により、流産や切迫流産を起こすのはとても残念なことです。妊娠していることがはっきりしたら、気持ちをゆったりと持ち、ストレスを溜めないようにしましょう。

食生活の改善も重要

食生活の改善

胎児の側に問題がある場合や、お母さんの健康状態に問題がある場合など、流産や切迫流産は防ごうと思ってもなかなか防げるものではありません。どうしても避けられない流産は仕方ありませんが、日頃から注意しておいたほうが良いこともあります。

食生活にも気を使い、母体と赤ちゃんに十分な栄養素が行き渡るように努力しましょう。不規則な生活習慣も改め、冷え性や便秘といった症状の改善にも努めるようにしてください。

妊娠36週目まで頑張りましょう!

妊娠36週目まで頑張りましょう!

早産とは妊娠第23週から36週目までに出産が起こることを指します。それ以降の時期は正産期と呼ばれ、出産に伴うリスクがもっとも少ないといわれています。

切迫流産と診断され、安静を余儀なくされている方は、この正産期に入るまでをとりあえずの目標として頑張りましょう。現在では医療技術が進み、妊娠36週以前の出産であっても、赤ちゃんの命に別状はないことがほとんどです。

しかし正産期以前に生まれた赤ちゃんの体の機能はまだ完全ではありませんので、一日でも長くお母さんのお腹の中にいるのが理想的です。

流産という結果に終わった場合

流産という結果に終わった場合

残念なことに流産に終わった場合、子宮の中の内容物がまだ残っているならば、次の妊娠に備えて子宮内をきれいにする処置を受けることになります。

子宮内に残留物があると、それが不妊の原因になることもあります。流産という結果になってしまったら、医師の判断を仰ぎ、次回以降ベストな状態で妊娠に臨めるよう、必要な処置を受けるようにします。

自分を責めない

自分を責めない

流産や切迫流産ということになると、あたかも自分に非があったかのように、自分を責めてしまう方がいるようです。しかしなぜ流産が起こるかに関しては、いまだに分からないことも多く、自然に起こってしまう流産の約半数が原因不明という統計もあります。

流産を経験してしまうと、あのときもっと安静にしていればよかった、仕事を辞めていればよかったと、とめどなく自分の非を探してしまう方かいます。

妊娠初期に起こる流産のほとんどは、どんなに安静にしていても起こるべくして起こります。起こったことをいつまでもくよくよ悩むよりも、次の妊娠に向けて前向きに考えるようにしましょう。妊婦さんに非がないところで起こるのが切迫流産の特徴です。

まとめ

流産や切迫流産について知っておきたいことをご紹介しました。待望の妊娠をされた方にとって、何よりも怖いのが流産や切迫流産。流産を経験するのは誰にとってもとても辛い体験で、長い間心の傷となって残ることもあります。

胎児の側に問題があり流産してしまう場合は仕方ありませんが、切迫流産の場合には医師の指示通りに安静にしているだけで、そのまま妊娠を継続できる妊婦さんも多いです。

体自体には問題がないにも関わらず、絶対安静にしているのは並大抵の苦労ではありませんが、無事に赤ちゃんを出産するには安静にしている他ありません。切迫流産と診断されたらまずは心を落ち着かせ、それ以上流産が進行しないように安静にするのが最重要課題です。

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