妊婦と言えばつわり。でも自分は食べても全然吐き気が起こらないから大丈夫。むしろ食べていないと落ち着かない位だからつわりが軽い、と思っていませんか?実は、食べて吐くことだけがつわりではありません。食べすぎることもつわり症状のひとつなのです。
いわゆる「食べつわり」と呼ばれるつわりですが、きちんと対策しておかなければ、さまざまな不具合を引き起こす可能性があります。食べつわりとはどのような症状なのか、また対策方法についても詳しくご紹介していきたいと思います。
食べつわりの症状について
食べつわりとは、一体どのような症状なのでしょうか。まず、食べたことにより吐き気が催すことはほとんどありません。その代り、お腹が少しでも空いたり、口さみしいと気持ち悪さを感じたりしてきます。つまり、食べつわりは「食べなければ気持ち悪くなる」つわりなのです。
一見、食べることができないつわりよりも良いように感じますが、長い目で見れば、食べつわりの方が苦しい状況になることもあります。食欲を抑えられないからこそ、辛いつわりのひとつなのです。
つわり中にハマる食べ物はフライドポテト、ハンバーガー、ラーメン、トマト、季節の果物、漬物、炭酸飲料、ヨーグルトなど同じものを繰り返し食べる傾向にあります。
食べつわりの食べる量は
食べつわりとひとくちに言っても、その量は人それぞれ違います。1日3食食べる量が増えるという妊婦の方もいれば、何食かカウントできない位食べてしまう場合もあります。
ラーメンを食べ終えるとラーメンが食べたくなったり、ファーストフードのフライドポテトが止まらなくなったりする妊婦の方もいらっしゃいます。いずれにせよ、食べすぎることから胃腸は疲弊し、消化や吸収もしづらくなってくるのが現状です。
食べつわりの原因とは
つわりの原因は、着床した受精卵の絨毛組織から分泌されるホルモンが原因というのが一般的ですが、食べつわりはそれに加えて女性ホルモンの分泌量の増加が一因です。
女性ホルモンのうちエストロゲンはインスリンの働きを促進させる作用があり、それによって血糖値が下がりやすいため、食べてもすぐ満腹度が下がってまた食べ物に手が伸びてしまうのです。
また、女性ホルモン分泌をつかさどる脳下垂体の近くにある視床下部という器官は自律神経をつかさどるためお互いに影響されやすいのですが、妊娠するとホルモン量の増加に伴って自律神経も乱れやすくなってしまいます。それによるイライラを糖分で解消しようとするため、更に食欲が加速するのです。
体重増加に注意が必要
食べつわりの一番厄介なところは、体重が簡単に増加してしまうという点です。妊婦になると、体重管理を徹底するように医師から言われます。
痩せている人なら、8kgから12kgが体重増加の目安です。
標準体重の肩なら、7kgから10kg程度に抑えておくべきでしょう。
赤ちゃんが育つにつれて、自然と体重増加はしていきますが、明らかに急激な体重の増加は、妊婦にとっても赤ちゃんにとっても、よくない症状を引き起こします。それぞれ具体的に見ていきましょう。
妊娠高血圧症候群に注意
食べつわりになると、たくさんの食べ物を食べようとしてしまいます。その結果、塩分を摂りすぎることにより血圧が高くなってしまいます。また、尿たんぱくの数値も上がりやすくなってしまうでしょう。さらに、むくみが生じやすくなります。この3つの症状が発生すると、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を引き起こしてしまう可能性があるのです。
妊娠中は、赤ちゃんへと栄養を送る必要があるため、通常時より血圧は高くなります。しかし、高血圧の目安としては、最高血圧140以上で、最低血圧が90以上となります。尿たんぱくは、健康な人からは出ないものですが、妊娠中毒症の時は、数値が出やすくなります。尿検査で診断された場合、腎臓の機能が低下していることが考えられるでしょう。
また、むくみは地味なようで靴が履けなくなったり、歩きにくくなったり、だるさを感じたりと辛いものです。いずれにせよ、食べすぎにより引き起こされやすいので、注意しましょう。
食べつわり、虫歯にも注意を
あと食べつわりの方が気にしなければならないのは虫歯です。食べつわりの場合は常に口の中に食べ物がある状態なので、食べかすが残りやすく虫歯の繁殖を促進させてしまいます。
妊娠中に痛くなっても鎮痛剤や抗生剤は使用できませんし、歯医者で治療をしようと思っても赤ちゃんに影響がありそうな時期ならば治療を延期する場合もあるでしょう。
歯磨きもつわり中はしっかり出来ないので、食べつわりの方は虫歯が増える環境が整ってしまっていると言っても良いですね。口に入れるものをキシリトールガムにしたり、何か食べた後は必ずうがいするなど、虫歯を予防するために最低限の事は徹底したいものです。
食べつわりを抑えるには 予防方法
食べつわりの症状が出てきたら、食べすぎを抑える必要があります。しかし、口が空っぽになったり、空腹を感じたりすると気持ちが悪くなるため、簡単には食欲は抑えられません。
食欲をごまかす食べ物の活用
カロリーの低いものや、硬めの食べ物をうまく利用するようにしましょう。例えば、カロリーがほとんどない、コンニャクや春雨、ゼリーなどを積極的に食べるようにします。スルメイカや、ナッツ、硬めのパンも噛んで柔らかくなるのに時間がかかりますからオススメです。
また、味が長続きするガムをかんだり、大きな飴玉を口の中に入れたりしておくのも良いでしょう。大切なのは、いかにカロリーを抑え、食欲をごまかすかということです。
ごはんは腹持ちがいいのでおすすめ
食べつわりは血糖値が下がってしまう事によって起こりやすくなります。ですから、なるべく血糖値が高くなるものや降下を緩やかにする食べ物を選びましょう。
それにはやはり炭水化物で、中でもやはりご飯が腹持ちもよく一番便利です。一口で食べられるサイズのおにぎりを沢山作って、気持ち悪くなってきたら食べるのを繰り返せば食べつわりも多少軽減されるでしょう。
冷たくするか、凍らせて食べる
また、つわり中は湯気や暖かい食べ物がダメという方が多いので、果物を凍らせたりそうめん・うどんなどを冷たくして食べるのも一つの方法です。
ただ、冷たいものを好む妊婦さんの中には氷ばかり食べてしまう方もいらっしゃいますが、その場合は食べつわりの裏に鉄欠乏性貧血が隠れているケースが多いので、注意しましょう。
カロリーの消費する
食べつわりは、なかなか食欲を抑えることが難しいつわりです。食べるものをローカロリーに抑えることも大切ですが、消費することも大切です。できるだけこまめに身体を動かすようにしましょう。しかし、妊婦にとって激しい運動は禁止事項のひとつです。
身体の負担も考えながら行わなくてはなりません。例えば、家事ひとつにおいても、ひとつひとつの所作を丁寧に行うことでカロリー消費を促すことができます。掃除機をかけるときは、脚のストレッチをかねて行い、食器洗いは少し踵を浮かせて行ってみると良いでしょう。窓ふきにおいても、腕を伸ばして大きく拭くことで上半身全体を動かすことができます。また、ストレッチやウォーキング等もおすすめです。
オススメのストレッチ
食べつわりによるカロリー消費の為にも、身体を動かすことが大切です。妊婦の方でも安心して行えるストレッチをご紹介しておきましょう。
まず、椅子に座った状態でタオルの端と端を持ちます。万歳の状態になり、タオルをピンと張りましょう。そのまま、左右に大きく動かすことで、腕や背中の筋肉をストレッチすることができます。
次に、立った状態で足を肩幅に開き、スクワットしていきましょう。膝を曲げるのは浅めで大丈夫です。股関節回りをほぐすことで、腰痛防止にも繋がります。また、たった状態で足を前後に開き、壁を押すようにして脚の後ろ側を伸ばしていきましょう。
歩くとき、脚を蹴る力が強まるため、さらに効率よくカロリー消費することができます。このような簡単なストレッチだけでも、カロリー消費を促すことができますので、是非毎日体調を見ながら継続していくようにしましょう。
つわりの時期が納まったら
食べつわりに限らず、つわりの期間は、安定期に入れば落ち着くと言われています。しかし、食べつわりの場合、口に食べものを入れる習慣があるため、なかなかつわりが納まっていることに気づかず、そのまま食べ続けてしまうことがあるので注意が必要です。
そろそろ安定期に入ったと医師から言われたら、一度、元の食生活のリズムに戻してみましょう。きちんと空腹を感じることができるかどうか、試してみるのです。もし、少し空腹を感じて気持ちが悪くなりそうだったら、無理をせず野菜ジュースや飴を食べてみましょう。
何度かチャレンジしていくうちに、徐々にお腹がすいた時の気持ち悪さが薄まっていくはずです。定期的に空腹と吐き気がどう変化しているかを試すことで、食べ過ぎ期間を少しでも短くできるようにしましょう。
食べつわりが続く場合
つわりは、基本的に安定期に入れば納まるものです。しかし、一部の妊婦は出産するまでずっとつわり症状が続くこともあります。食べつわりが続く場合、どうすれば良いのでしょうか。
まず、カロリーを低くすることを徹底しましょう。医師と相談しながら、対策案をまとめていくことも大切です。また、一度に食べる量を抑え、食事の回数により分散させるようにしましょう。
そして、よく噛むことで、口の中に食べ物がとどまる時間を長くしていきます。こうすることで、肥満や妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などの症状を回避しやすくなるでしょう。
【噂】食べつわりの内容で性別が分かる?
つわりの時に好んで食べているものでお腹の赤ちゃんの性別が分かる、と聞いた事ありませんか?よく言われるのは、フライドポテトなどの揚げ物をつわり中に好んだら男の子という話や、まったく動けず食べても吐いてしまうような、つわりがあまりにも酷い場合は女の子が生まれるという話です。
母親の世代から若い方までかなり多くの方が信じていますが、残念ながら迷信に過ぎません。エコーがない昔はこのような話も信憑性があったかもしれませんが、今は分からなくても後数ヶ月すれば確認できるのですから、あまり根拠のない性別の話に惑わされる事のないようにしましょう。
まとめ
食べつわりの症状と、その対策についてご紹介しました。食べつわりにより妊娠中毒症が悪化すると、身体に大きな負担になりますし、参道が脂肪で狭くなり出産も辛くなります。
カロリーをコントロールしたり、食べ方を工夫したりすることで、乗り越えていきましょう。食べつわりに限らず、つわりはどんな妊婦さんでも辛いものです。少しでも楽しみを見出し、穏やかな妊婦生活を楽しめるようにしましょう。