妊娠超初期~妊娠初期の食事内容や食べ方で知っておきたいこと

妊娠初期

妊娠初期は、妊娠に伴うホルモン分泌の変化やつわりにより体調を崩しやすい時期。つわりの症状がひどい方は食事どころか、飲み物さえ喉を通らず、妊娠しているにも関わらず体重が減少してしまうこともあります。

妊娠初期はおなかの赤ちゃんの身体器官が形成される重要な時期。妊娠初期の過ごし方には特別な注意が必要です。食事の内容や食べ方にしても同様で、食材や飲み物の中には妊婦さんは避けたほうがいいものもたくさんあります。

妊娠中の体は自分ひとりだけのものではありません。妊娠中はおなかの赤ちゃんにとって悪影響を与えるおそれのあることは出来るだけ慎むことが大切です。妊娠したと判ったらまずは、妊娠中にNGな食べ物や食事の仕方に関する知識が不可欠になります。

妊娠超初期から妊娠初期にかけての食事について、注意したいポイントや避けたほうがいい食材など、妊婦さんに必須の知識をまとめてみました。妊娠初期のつわりの対処方法とも深い関連がありますので、ぜひ参考にしてください。

妊娠初期のつわりの状態は?

妊娠初期のつわりの状態

妊娠を機に体と心には大きな変化が起こります。待望の赤ちゃんを授かって嬉しい気持ちでいっぱいにも関わらず、つわりがひどく体調が悪いため、憂鬱な気持ちになる妊婦さんも大勢います。

これが初めての妊娠の方にとっては、すべてが初めての体験でいろいろと悩むことも多いはず。妊娠したと分かったら、いろいろな知識を学び、不安なことや疑問点を解消しておくことが必要です。

いろいろな疑問や不安がある中、妊娠初期の妊婦さんをもっとも悩ませるのがつわり。つわりの感じ方や症状には個人差があり、軽く済む方もいれば、食べ物はおろか飲み物さえ喉を通らないほど重症になる方もいます。

つわりになり食欲が減退すると、おなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすのでは?と心配する方もいますが、これについて詳しくみていきましょう。

つわりによる食欲減退や嘔吐

つわりによる食欲減退や嘔吐

妊娠初期のつわりが重いと、食べ物の匂いを嗅いだだけでムカムカしてしまい、食事も満足に取れない状態になります。ムカムカ、吐き気、そして度重なる嘔吐により、体力を消耗してしまい、さらに食欲が減退するという悪循環に陥る場合もあります。

つわりの中でも出来るだけ体力を低下させないよう、母体が必要としている栄養素を得るためにも、食事の内容や食べ方、避けるべき食べ物、お勧めの食べ物に関してよく把握しておかなければなりません。

つわりの種類について

つわりの種類について

つわりといってもその症状や度合いはさまざま。「吐きつわり」とは、食べ物の匂いを嗅いだり、口にしただけで気持ちが悪くなり、すぐに吐いてしまうこと。

「食べつわり」とは、少しでも空腹を感じるとムカムカと吐き気がするため、常に食べ物を口にしてしまうタイプ。

またつわりになると、食べ物の嗜好も突然変わり、妊娠前は大好きだった食べ物が食べられなくなったり、反対にあまり好きでなかった食べ物ばかり食べてしまうことがあります。

他にも眠気がひどい場合、唾液の量が異常に増える場合、温かい食べ物の匂いが我慢できなくなる場合など、つわりにはさまざまな種類がありますので、症状にしたがって対処法を考える必要があります。

妊娠初期の赤ちゃんの栄養源

妊娠初期の赤ちゃんの栄養源

おなかの赤ちゃんとママをしっかりと結ぶ胎盤が完成するのは、妊娠16週目頃。妊娠初期とは妊娠0週から妊娠15週目までを指しますので、妊娠初期にはまだ胎盤は完成していません。

胎盤が完成したあとは、赤ちゃんはママから血液、酸素、栄養をたくさんもらいますが、それ以前には、卵黄嚢と呼ばれる栄養の入った袋から必要な栄養を取り出して成長しています。卵黄嚢の栄養供給源としてのはたらきは妊娠13週目頃まで続き、その後は母体からのみ栄養・酸素・水分を取るようになります。

妊娠13週目までは、卵黄嚢と母体の両方から必要な栄養分をもらっていますので、つわりでどうしても食べ物が食べられない場合でも、おなかの赤ちゃんが栄養不足に陥ることはありません。ただし、喫煙やアルコールの摂取は、妊娠初期であっても出来るだけ控えたほうが安心です。

妊娠初期に避けたほうがいい食べ物とは?

妊娠初期に避けたほうがいい食べ物とは?

妊娠初期とは妊娠が成立してから妊娠15週目までの時期を指します。妊娠初期は赤ちゃんの身体器官が出来る非常に重要な時期。

この時期は食事の内容だけでなく、薬の服用などに関しても細心の注意を払わなければなりません。妊娠前にはごく普通に食べていた食べ物の中にも、妊娠を機に控えたほうがいいものがあります。妊娠初期に控えたほうがいい食べ物について挙げていきましょう。

水銀を含む大型魚や深海魚

水銀を含む大型魚や深海魚

水銀を多く含む大型の魚や深海魚に関しては、妊娠中はなるべく控えたほうがいいといわれています。お寿司やお刺身を食べる際にはこの点によく注意しましょう。

もちろんすべての魚がNGなわけではありません。魚介類の水銀に関する注意については、厚生労働省からも発表されていますので、お魚好きな方はこれをよく読んで参考にしましょう。

高レベルの水銀を含む魚とは、クロマグロやキンメダイ、メカジキなどで、一回に食べる量を80gとすると、週に一回程度にするよう指導されています。

80gとはお刺身一食分相当に当たります。魚介類は良質なタンパク質や不飽和脂肪酸を含む理想的な食材ですので、完全に避けるのではなく、摂取量に注意しながら上手に取り入れるようにしましょう。※1

生ものに注意

生ものに注意

妊娠中は生ものは控えるようにしましょう。生魚、生肉、生卵、生チーズなど、加熱していない生もの全般は、妊娠中は控えたほうがいいといわれています。これはサルモネラ菌などによる食中毒の懸念があるため。どうしても食べたい場合には鮮度に注意して摂取することが必要です。

生肉や生ハムの場合にはトキソプラズマに感染してしまうリスクもあります。トキソプラズマに感染すると、胎児に障害が生じる可能性もあります。妊娠中は出来るだけ生ものは避け、加熱調理して食べるようにしましょう。

海外産の生チーズ

海外産の生チーズ

妊娠中にもうひとつ注意したい生ものに関する菌がリステリア菌。国内ではリステリア菌への感染は非常に稀ですが、欧米ではリステリア菌による集団感染も報告されていますので、海外産(加熱処理がされていない)のナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなどの加工食品にも、十分に注意することが必要です。※2

ビタミンAの過剰摂取について

ビタミンAの過剰摂取について

ビタミンAは体内ではたらき、皮膚や爪を健康な状態に保つはたらきを担っています。体内でビタミンAが欠乏すると、夜盲症や皮膚や眼球の乾燥、成長阻害、筋力・免疫力の低下などの問題が生じるおそれがあります。

胎児にとっても不可欠な栄養素ですので、妊娠中でも積極的に食事に取り入れたい栄養素のひとつですが、反対に度を越えて摂取すると、胎児に問題が生じるおそれもあります。

ビタミンAの種類について

ビタミンAの種類について

ビタミンAには二種類あり、ひとつは緑黄色野菜などに含まれる植物性ビタミンAで、これは別名βカロチンとも呼ばれています。もうひとつはうなぎやレバーに多く含まれる動物性ビタミンA(レチノール)。

このレチノールを妊娠中に過剰摂取すると、胎児に障害が出てしまう可能性があります。妊娠初期は胎児の器官が形成される大切な時期で、この時期にレチノールの過剰摂取が行われると、重篤な障害が出る可能性が指摘されています。

レチノールを多く含む食べ物とは?

レチノールを多く含む食べ物とは?

レチノールを多く含む食べ物の代表はうなぎやレバー。レバーに関しては生レバーはもとより、レバーそのものの摂取量自体を控える必要があります。

レバーの中でももっともレチノールの含有量が多いのが、鶏レバーで、以下豚レバー、牛レバーと続きます。焼肉やうなぎを食べる際には、食べる回数や量に十分注意しましょう。※3

アルコールの摂取は控える

アルコールの摂取は控える

妊娠中にアルコールを摂取することもまた、出来るだけ控えたほうがいいといわれています。妊婦さんがアルコールを摂取すると、胎盤をとおしてアルコールがおなかの赤ちゃんへと移行します。

妊娠中のアルコールの摂取は、おなかの赤ちゃんの異常だけでなく、流産や早産を引き起こす原因にもなります。妊娠したと分かったら、飲酒は出来るだけ控えるようにしたほうが安心です。

ごく少量を飲む程度であれば問題ないという意見もありますが、このくらいの量ならば安心という基準が実際にあるわけではありません。妊娠中はアルコールは控えるべきといえるでしょう。※4

妊娠初期の食事の仕方のポイント

妊娠初期につわりで食欲がない場合、吐きそうなのを無理に我慢してまで食べる必要はありません。どんなにつわりが重い方でも、安定期と呼ばれる妊娠中期に入ったら、徐々におさまってきます。

妊娠中期に入るまでは、無理せず、少量ずつ、食べられるときに食べられるものを摂ることがポイントになります。

食べられるものを食べる

食べられるものを食べる

栄養に偏りがないよう、すべての栄養素を満遍なく摂ることは非常に重要といえるでしょう。しかしつわりがひどく、食べ物を見るだけで吐きそうなときには、普段と同じように食事を取ることは困難です。

先述したように妊娠初期の赤ちゃんは、卵黄嚢からも栄養を引き出していますので、あまり神経質にならずに、食べられるものを食べられるときに食べるようにしましょう。つわりが始まると、これまでは大好きだったものや、普通に食べられていたものが急に食べられなくなります。

ほかほかと湯気の立ったもの、匂いの強いもの、味の濃いものなどが食べられなくなる傾向が一般的ですが、つわりに伴う嗜好の変化には個人差があり、一人一人の妊婦さんによって、食べられるものは違ってきます。無理せず、食べられるものを食べ、体力を落とさないようにしましょう。

少量ずつ食べる

少量ずつ食べる

一度にたくさんの量を食べてしまうと、胃酸過多になり、胃酸が食道に逆流する胃酸逆流炎が起きやすくなります。

ただでさえつわりにより吐き気やムカムカ感があるところに、食べ過ぎにより胃腸の調子が悪くなると吐き気が増し、悪循環に陥ってしまいます。一回に食べる量は控えめにし、必要であれば食事の回数を増やすことで対応しましょう。

消化のよいものにする

消化のよいものにする

妊娠に伴うホルモン分泌の増加により、胃腸のはたらきはやや弱まっています。つわりで吐き気がするというだけでなく、胃腸の機能自体も低下していることから、胃痛や胸焼けなどの症状が出ることもあります。胃腸に負担をかける食べ物は出来るだけ避け、消化の良い、口当たりの良い食べ物を選ぶようにしましょう。

妊娠初期から薄味に慣れる

妊娠初期から薄味に慣れる

妊娠初期は、何も食べられない方もいれば急に揚げ物や味の濃いものが食べたくなる方もいらっしゃいます。胎盤が完成するまでは、食事が偏っていたとしても赤ちゃんに影響はありませんので、この時期は栄養などを気にせず食べられるものを食べるのが一番です。

ただ、つわりも段々と治まって通常の食事が出来るようになってきたら、塩・砂糖を控えた薄味に慣れていくようにしましょう。安定期、妊娠後期へと進むと、自分が想像していたよりも食事の内容と体重増加・妊娠高血圧は直結しやすいです。

医師から食事指導を受けて初めて改善したとしても、体重が増えやすい妊娠時は効果が出にくいため、できるだけ早いうちから調味料を抑えた食事にしていくと、その後が楽になります。

水分補給をこまめに行う

水分補給をこまめに行う

1日に何度も嘔吐を繰り返していると、知らず知らずのうちに脱水症状を起こしてしまいます。もうひとつ注意したいのは、水分補給自体が不足すること。つわりによる食欲不振のため、食べ物や飲み物の摂取が足りずに、結果として水分補給が不足することがあります。

妊娠初期はたとえ喉が渇いていないときでも、こまめに少しずつ水分を補給するようにしましょう。コーヒーなどカフェインを多く含むものは摂取量に注意してください。

妊娠初期の食事の取り方

妊娠初期にお勧めな食べ物についていくつか挙げてみましょう。すべての栄養素を満遍なく摂取することは、妊娠中に限らず普段から大切ですが、妊娠中はとくにバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

葉酸

葉酸

葉酸はビタミンB群の栄養素で、おなかの赤ちゃんの正常な発達に必要不可欠な栄養素。葉酸はきわめて重要なはたらきを担っています。妊娠中に葉酸の摂取が極端に不足すると、胎児の神経管閉鎖障害が発症するリスクが高まるといわれています。

胎児の脊髄は妊娠7週目までには形成されますので、妊娠を希望する女性は少なくとも妊娠1ヵ月前から妊娠初期の全期間をとおして、葉酸を積極的に摂取することが勧められています。※5

栄養バランスを考えた食事内容にする

栄養バランスを考えた食事内容にする

葉酸、各種ビタミン、ミネラル、鉄分、タンパク質など、妊婦さんに必須の栄養素をバランスよく盛り込んだ食事を心がけましょう。

つわりで辛いため、食事の内容にどうしても偏りが出てしまいますが、出来る範囲で栄養の偏りを無くすよう努力しましょう。緑黄色野菜や大豆製品、魚、肉、乳製品とたくさんの食材を組み合わせ、さっぱりした味付けの食事メニューにすると食べやすくなります。

妊娠超初期の食事について

妊娠超初期の食事について

妊娠超初期とは妊娠初期よりも早い時期のことを指します。妊娠しているかどうかの判定ができるようになるのは、生理予定日から1週間以上経過してからですので、妊娠超初期の時期ではまだ妊娠しているかどうかも、確定していません。

妊娠超初期はちょうど生理予定日の前後に当たりますが、早い方ではこの時期から妊娠の兆候を感じるといわれています。

妊娠を希望している方や少しでも妊娠の可能性がある方は、この時期から食事の内容や薬の服用に関して注意を払うようにしましょう。排卵日以降生理予定日までの間は、受精・着床が起こる大切な時期。あとで後悔しないためにも、不用意なことは慎むようにしましょう。

まとめ

妊娠超初期および妊娠初期の食事について、注意したいポイントなどをご紹介しました。妊娠初期はつわりのために、食事のタイミングが不規則になったり、偏食をしてしまうこともありますが、あまり神経質にならず食べられるものから少しずつ食べることがポイントです。

安定期に入るとつわりの症状も一段落しますので、それまでは体調を崩さないよう、体力を落とさないよう、妊娠初期を乗り切りましょう。

※1 厚生労働省 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて
※2 厚生労働省 リステリアによる食中毒
※3 厚生労働省 ビタミン摂取について
※4 日本産婦人科医会 妊婦の飲酒について
※5 厚生労働省 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について