妊娠23週目になると、胎児の顔の表情が豊かになり、手足も曲げ伸ばし元気に成長しています。耳の発達によりお母さんの体の音を感じられるようになります。
大きくなった子宮によって横隔膜が押し上げられ、お母さんの心臓が圧迫されるようになります。今まではなかった動悸や息切れなどの症状が現れるようになり、歩くだけでも疲れてしまうようなコンディションになりがちなので、栄養だけはしっかり摂るようにしつつ、毎日を健康的に過ごすようにしましょう。妊娠23週の知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠23週の胎児の成長、お腹の様子
妊娠23週 胎児の体重大きさは?
妊娠23週胎児体重は正常発育児の95.4%が386g~733g 平均体重:560gとなります。※1
子宮がどっしりとした大きさになるので、赤ちゃんの存在感をより間近に感じられるようになります。
エコーで表情が楽しめるように
赤ちゃんの顔はこの時すでに、完成に近づいていいます。しかめっ面をしたり、顔をくしゃくしゃにしたり変化が超音波検査で確認できるようになっています。
23週目の段階ではもう手足も曲げ伸ばしできるようになっており、何かを掴んだり蹴ったりする動作も見せるようになっているので、身体全体が元気である様子を確認することができます。
胎児の聴覚が発達、細かい音も
胎児の聴覚はこの時期にますます発達していきますが、23週目になるとより細かな音を聞き分けるようになっていますし、お母さんの声もお母さんの声として認識できるようになります。
話しかけることで赤ちゃんとコミュニケーションをはかることができますし、赤ちゃんとの繋がりを感じることができるとストレス解消にも効果的なので、定期的に赤ちゃんに話しかけるようにしましょう。
お母さんの声を聞き分ける
聴覚が発達している最中で、これまでよりも更に色んな音が聞こえるようになってきます。子宮内を流れる血液の音だけでなく、お母さんのお腹や腸の動く音や心音までもきちんと分けて聞くようになります。
一番身近なお母さんの声はすでに聞こえていましたが、これまで外から聞こえる音とは区別できていませんでしたが、今はもう出来るようになっています。出産後すぐにお母さんの声に反応するのは、この頃からすでに聞き慣れているからなのでしょう。残念ながらお父さんの声や兄弟の声を聞き分けるのは、耳が完成するもう少し先になります。
すい臓の機能が更に発達する
体内器官は全て形成が終わっていて、機能し始めながら発達しているまっ最中です。この週にはすい臓の機能が目立って発達するようになりますが、インスリンの分泌が主な働きであるすい臓が発達する事は、代謝システムの完成に近づいているのを意味します。
胎児のすい臓から分泌するインスリンは、成人のインスリン分泌と異なり成長を促す作用を持っているので、すい臓が発達するにしたがって胎児も成長していきます。ただ、お母さんが糖尿病だと、胎児インスリンが過剰分泌となり巨大児になる可能性が出てくるので、体重管理はとても大切です。
妊娠23週 胎動がある状態に慣れてくる
最初は、「蹴り」を感じる度に感動していたかもしれませんが、23週目にもなると胎動がある状態に慣れてきます。
赤ちゃんはお腹の中で寝たり起きたりを繰り返しているので、胎動があればその時間帯は起きているということですし、胎動がある時間帯に話しかけるようにすると、お腹の中から「返事」がもらえる場合もあるので、様々なかたちでコミュニケーションをはかってみてください。
お腹の赤ちゃんの位置を感じる
お腹の赤ちゃんの位置が分かるくらいの胎動を感じるようになります。この週の赤ちゃんは体重600gと、6ヶ月初めに比べると1.5倍にも成長します。増えた体重のほとんどが骨と筋肉なので、胎動が前に比べて更に強くなってきたのが分かるお母さんも多くなるでしょう。
子宮にはまだ動くスペースがあるので、胎児はくるくる動きながらお母さんを叩いたり蹴ったりしますが、手足がどこにあるのかが分かるくらいの力強さに。
聴覚も発達している時期なので、蹴られた回数お腹をポンと叩いたり動く手足を追いかけて指で触ったりして、お腹の赤ちゃんと遊ぶ事が出来ます。ぜひコミュニケーションしてみましょう。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠23週の母体の症状などについて
動悸や息切れに悩まされることも
子宮の大きさが本格的なサイズとなるので、この時期を過ぎると横隔膜にまでその影響が及ぶようになります。
横隔膜が押し上げられると、上手に呼吸ができなくなってしまい、階段を少し上っただけで動悸や息切れが起こるようになるので、激しい運動は極力避けるようにしなければなりません。この時期に無理をしてしまうと、失神してしまったり、早産になってしまったりと様々なトラブルが生じるので、くれぐれも無理だけはしないようにしましょう。
上記の理由で、またつわりになってしまったような気持ち悪さや吐き気・食欲のなさを感じる方も多いです。ここで無理をしては後でぶり返しがくる事も考えられますので、まずは無理をせず安静にして、妊娠初期のつわり対策を再度試してみてください。
皮膚が痒く(かゆく)なってきます
お腹が膨らむと皮膚が突っ張るようになり、足の付け根やお腹などの皮膚が傷んでしまいがちです。
皮膚が引っ張られるとその場所はデリケートな状態になってしまいますし、乾燥しやすくなってしまうので、その影響によってどうしても痒みが出てきてしまいます。痒みがあまりにも酷い場合は皮膚科で痒み止めを貰うべきですし、痒みも立派なストレスの一つなので、我慢しすぎないようにしましょう。
むくみによって様々な変化が
大きくなった子宮は徐々に静脈を圧迫するようになるので、血のめぐりが悪くなりがちです。
血のめぐりが悪くなるとむくみがなかなか解消されなくなってしまいますし、足は太くなったり、靴が入らなくなったりしますので、「夕方になると靴がきつくなってしまう」場合は、サンダルなどの靴を履くことで対処しましょう。
便秘はまだまだ続いています
妊娠中期の段階では、まだまだ骨盤が上に上がってしまっている状態なので、便秘が続いてしまいます。
食物繊維を摂取することも重要ですが、便を柔らかくするために水分をしっかり摂取したりすると便秘が多少改善されるので、「便通が悪すぎて辛い」「便秘によって腹痛が併発してしまっている」場合は、なるべく水分をこまめに摂取するようにし、便通を改善しましょう。
妊娠23週体重増加や管理について
この時期になると、自分では頑張ってコントロールしているつもりでも食欲が抑えられない方が出てきます。その大きな理由の1つは食欲を増進させる作用を持つプロゲステロンの分泌が増えているからなのですが、妊娠状態を維持するためには欠かせない女性ホルモンでもあります。
またこの頃の赤ちゃんは骨や内臓の発達が著しく、大量のたんぱく質とカルシウムを必要としています。お母さんは自然と食欲過多になり、色々なものを食べ過ぎてしまう傾向にあるのですが、妊婦だからといって太っても良いということはありませんし、あまりにも体重が増えすぎてしまうと、肉に圧迫されることによって難産に陥りやすくなってしまいます。
この時期の体重増加を1ヶ月に1kg程度に抑えると、その後の体重管理が楽になりますが、食事内容を気にしても人によっては1kg以上増えてしまう事も。食事だけでなく身体を動かして消費カロリーを増やすのも大事です。
最終的に体重はせいぜい、妊娠前と比べて7~10kg増える程度が限界であり、それ以上を越すと難産の原因となってくるので、食べ過ぎには注意しましょう。
安産の為に適度なウォーキング
赤ちゃんの骨や皮膚の部分がどんどん形成されていく時期ですので、どうしても食べ物を大量に摂取しがちになりますが、23週はその影響で太ってしまう妊婦さんが非常に多いので、ウォーキングなどをするようにしてみましょう。
妊婦さんの中には転倒することを怖がって、家の中にひきこもりがちになる方もいますが、この時期のウォーキングはむしろ赤ちゃんにいい影響を与えますし、安産のためにはとにかく歩くことが良いとされています。体重をコントロールする上でも効果的なので、なるべく一日一回、外でウォーキングをするようにしましょう。
身体が母乳の準備を始めます
23週に入る前の段階で、初乳が出る方もいますが、大体の場合、お母さんの身体が母乳の準備を始めるのは23週目の時期です。
まだまだ母乳は出ないですが、この頃に透明でねばねばとした初乳を確認することができたり、乳首の状態が変わってきたりするので、「ちゃんとおっぱいが出るかどうか心配だ」という方は、産婦人科で相談するなどして、胸の状態をチェックしてもらうようにしましょう。
母乳のための胸マッサージ
23週目から、身体が母乳の準備をはじめるので、この時期は胸のマッサージを始めるのに最適な時期です。お母さんの中には、産後にお乳の出が悪いことに悩んでしまう方もいますし、毎日胸をパンパンに腫らした状態で過ごすことになってしまう方も多く存在します。
この頃から胸をマッサージするようにしておくと、産後母乳が出やすくなり、母乳を出すための苦労が減るので、気になる方はこの頃から胸のマッサージを始めるようにしましょう。
妊娠23週腰痛について
子宮が大きくなると、お母さんはそれを支えるために反り返ったような姿勢になります。しかし、反り返れば反り返るほど背骨や腰に負担がかかってしまうので、赤ちゃんの成長に伴って腰痛などの問題が出てきてしまいます。
マッサージをしたり、横になったり、ラクな姿勢を探してみたりすることで改善していくしかないので、腰痛が酷い方は、色々と工夫してみるようにしましょう。
妊娠23週お腹の張り 腹痛 出血 破水 早産
腹痛、お腹の張り、出血、破水などの症状や兆候がある場合は切迫早産の可能性があります。何かしら異変がある場合はすぐに病院に行くようにしましょう。少しでも早い処置で早産にはならず切迫早産で治療すれば問題ありません。
妊娠23週に早産してしまうと、母体や赤ちゃんに少なからずリスクがありますので、できるだけ長くお腹の中に赤ちゃんがいる状態を継続することが大切です。この時期に早産で生まれた赤ちゃんには、なんらかの後遺症が残る可能性もありますので注意が必要です。
切迫早産や早産の原因は妊娠高血圧症候群、前置胎盤、頸管炎、絨毛膜羊膜炎、細菌性膣症、子宮頸管無力症、子宮筋腫、子宮奇形、羊水過多、羊水過小、多胎妊娠、高齢出産、糖尿病、疲労、ストレス、喫煙、早産経験などがあります。
詳しくは:お腹の張り痛み:安定期流産:破水:切迫早産:早産:常位胎盤早期剥離:妊娠高血圧症候群
旅行の疲れからの腹痛に注意を
意外に多いケースとして、妊娠23週頃の安定期の旅行の疲れによるお腹の張りや腹痛、出血があります。よく旅行中は注意してくださいと医師からも告げられますし、妊婦さんも注意します。また気が張っているのでトラブルがない行動をします。
しかし、問題は旅行から帰ってからの「肉体的な疲れと精神的な疲れ」があります。安定期は胎盤が安定することで絶対の安定ではありません。どうしても楽しかった旅行帰りで、お腹の張りや腹痛、出血などを感じても、旅行に行った罪悪感から我慢し、自分でどうにかしようとしてしまいます。
お腹に異変を感じたときは、必ず医師の相談、診断を受けるようにすることを忘れないようにしましょう。
お腹が頻繁に張って子宮口が開いたら
一般的な子宮頸管は4㎝前後ですが、妊娠中期から後期にかけては少し短くなります。先天性の原因や急激にお腹が重くなるため子宮頸管も短くなっていきます。
しかし、問題なのは極端に短くになってしまった場合です。短くなり始めると止める事はできませんから、即刻入院して処置をします。
ただ、このような動きに外から気づく事はないので、お腹が頻繁に張って病院に行ったら子宮口が開いている・短い(子宮頸管無力症)と言われてびっくりした方も多いです。
子宮口が開けば外から細菌やウイルスが子宮内感染してしまい、赤ちゃんの成長に悪影響が出る可能性があるので、いつもと何かが違うと思った時は、躊躇せずすぐ病院で検査を受けてください。
ここまでのまとめ
赤ちゃんの成長には個人差がありますが、23週目になるとほとんどのお母さんが胎動をハッキリと感じられるようになってきます。
超音波検査で見ると画面いっぱいに、大きくなった赤ちゃんが映るようになりますし、様々な感動的な出来事が起きる時期でもあるので、毎日を大切に生活するようにしましょう。しかし、この時期は必要以上に太ってしまいがちな時期でもあるので、食べるのが好きな方は注意が必要です。