妊娠36週目になると、妊娠10ヶ月目に突入しとうとう臨月を迎えます。この頃には赤ちゃんの内臓もしっかりとした大きさになっており、様々な機能を備えるようになっています。
子宮が下がってくることにより、お母さんの体調も少し落ち着いてきますので、栄養のある食事を摂りつつ出産に備えましょう。妊娠36週の知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠36週の胎児の成長について
妊娠36週 胎児の体重は?大きさは?
妊娠36週 胎児体重は正常発育児95.4%が1927g~3086g 平均体重:2507gです。※1
子宮は妊娠前の何倍もの大きさになっているので、体に負担が増えるのではないかと心配してしまう方も多いです。臨月であるこの時期を境にだんだんと子宮が下りてくるようになるので、内臓への圧迫感は減っていきます。この時期は、栄養を必要する時期を迎えるので食事はしっかり摂るようにしましょう。
成長には個人差があります
赤ちゃんの身長は、36週目以降になると個人差があるので、この時期に50cm程度にまで成長している子もいれば、40cm程度にしか成長していない子もいるのですが、身長にはもともと個人差があるものです。
医師から、未熟児や巨大児になってしまう可能性や、それに関する注意事項などを伝えられていないのであれば、通常通り育っていることなので、赤ちゃんのサイズが平均よりも小さかったとしても、気にしないように心がけましょう。
胎児が4000g以上な場合
36週目の段階で赤ちゃんが4000g以上に育ってしまうと、難産になる可能性が濃厚になってしまいます。肩甲難産(肩が引っかかってしまうタイプの難産)になってしまう危険性もあるので、医師の判断で「36週目の今、産んでしまいましょう」と判断をすることがあります。
この辺りの判断は、医師にすべて任せてしまうべきなので、医師のアドバイスをしっかり受け入れるようにし、この時期に産んだ方が良いと言われた場合はそれに従うようにしましょう。
内臓機能がきちんと整います
36週目の赤ちゃんは、皮膚も筋肉もしっかり形成されていますし、既に新生児と同じような外見になっています。
この時期に産まれてしまったとしても、赤ちゃんは呼吸をすることもできますし、体温調整もできます。内臓機能もきちんと整っていますし、この時期の赤ちゃんは既に人間として生きていくためのあらゆる機能を備えています。
腎臓機能完成で胎児のむくみがとれる
妊娠5ヶ月くらいから腎臓が機能し始めて、羊水を飲み込み尿となって排泄することを覚えていきますが、腎臓機能が十分でない時期は飲み込んだ羊水量より少ない尿量を排泄しているため、結果として羊水量はあまり増えません。
しかし、最大羊水量になる妊娠32週には飲み込む量も排泄する量も増えて、尿量は1000ml程度になっています。また、この頃になると、尿の排泄量と飲み込む量は400~500mlとほぼ同量となり、これは腎臓機能が成熟を指していて、これまで胎児の体内に溜まっていた水分も排泄されるため、胎児はすっきりしてきます。
歩くような仕草を見せる
この頃には、足を前後に動かしてまるで歩いているような自動歩行反射が見られるようになります。すでにエコーで確認しているお母さんも多いかもしれません。
また、お腹に強い光を当てると、胎児は光の方向に顔を向けるようになりますが、これも定位反応またはオリエンティングレスポンスと呼ばれる原始反射の一つです。子宮の外に出ても、世界に適応して生きていく力がしっかりついてきているのが分かります。
胎毛・胎脂が落ちます
顔やお腹をのぞいた全身に胎毛が残っていましたが、この週になると全て抜け落ち、身体のむくみがなくなるのも相まってツルツルした張りのある肌になります。皮下脂肪も順調に増えているので、張りがあるのはその要因もあるかもしれません。
また、胎児を寒さから守っていた胎脂も、エネルギーを産生できるようになってきたため不要となり、剥がれ落ちてピンク色の肌が見えるように。ただ、胎脂は出産時に潤滑油の役目を果たすため、全て剥がれ落ちてしまうわけではありません。
胎動を数えるカウント法で異常を発見
胎児の異常を感知する一番の方法は、胎動をチェックする事です。この頃の胎児はすでに睡眠と覚醒のサイクルが出来上がっているので、お母さんもちょっと注意すればいつ・どのくらい胎動があるかは、すぐ分かるものです。
そこで、胎動を10回感じるのにどれくらいかかるか、胎動カウント法で計測して比較すると、胎動に異常があった場合はすぐ発見できます。胎動の強弱は胎児の個人差によるものも大きいため、このカウント法が一番分かりやすいです。毎日決まった時間に横になって落ち着いた気持ちで計測するのがポイントです。
胎動の感じ方はそれぞれ
これまでは子宮の中で自由な動きを見せていた赤ちゃんも、36週目あたりになると骨盤にどんどん埋まっていきます。子宮が徐々に下りてくるので、それに従ってお母さんの胃腸はさらに圧迫されるようになりがちなのですが、これも出産のための準備なので、出産までどうにか堪えるようにしましょう。
赤ちゃんは背中を丸めた状態で、両目でまばたきをしたりしているのですが、もうこの時期には手足もバタバタ動かせなくなっていますし、その分、胎動の感じ方も様々で穏やかに感じる方と動いた時に激しく感じる方がいます。全くなくなった場合はすぐに病院に行くようにしましょう。
逆子が直る外回転術とは
胎児が羊水の中で動ける間に頭位にしてしまおうと、逆子体操や寝方を工夫した方も多かったはず。しかし、胎児が成長して動きが取りづらくなったこの週にこそ、逆子を直せる方法があります。それは外回転術といって、子宮収縮剤を投与しながら骨盤を上げた姿勢を妊婦に取らせて、外から手で胎児を回転させる方法です。
30週辺りで行う場合もありますが、早産のケースになっても大丈夫なようにこの週に行う事も多いです。ただし、どの医師でも出来るわけではなく、技術や経験がないと母子へのリスクが上がるので、外回転術を受けたい場合は医師によく相談してから行うようにしてください。
※1 参照 日本産婦人科学会 胎児計測と胎児発育曲線について
※1 参照 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」
妊娠36週の母体の症状について
動悸や息切れが解消に
子宮によって横隔膜が圧迫されることの影響により、息切れや動悸などが激しくなっていた方も、36週目以降になると症状が落ち着くようになります。
子宮は36週目を境に、下に向かってどんどん下りてくるようになりますし、それによって横隔膜への圧迫感は解消されます。その代わりに、依然として胃腸への圧迫は続いてしまうのですが、動悸がラクになるだけでも体調は随分変わりますし、36週目を迎えれば、日常的に受けていた身体的ストレスが一つ減ります。
体内の水分量が増えるように
出産を間近に控える、臨月のこの時期は、体内の水分量がさらに増えるようになります。妊娠していると、足などがむくんでしまうのはどうしようもないことなのですが、それでも、寝る前にマッサージをして、入浴時や就寝時に足を上げたまま寝るようにすれば水分が移動するので、それによってむくみがラクになります。
出産前の1ヶ月間は、むくみが出てしまう時期なのですが、これもあと1ヶ月程度の辛抱なので、マッサージなどをしつつ、やり過ごすようにしましょう。
パートナーとの性生活は基本NGに
36週目以降は、性感帯に触れるだけでお腹が張るようになってしまうので、してはいけないわけではありませんが、性生活はお休みしましょう。パートナーに対しても、事前にNGということを伝えておいた方が良いので、きちんと臨月に入る前の時点で伝えておくようにしましょう。
この時期は、性感帯に指が触れただけで刺激を受けすぎてしまうような時期であり、子宮の状態が驚くほど過敏になっているので、お腹の張る原因になりうることは控えるようにしなければなりません。
体重管理も注意が必要 でも栄養を
お母さんは、高血圧や妊娠糖尿病に気をつけなければならないですが、36週目以降になると、カロリーを制限することが母体をキケンな状態へと導いてしまいます。
もちろん、もともと巨大児を産む可能性を示唆されていた人や、様々な諸症状の関係で医師から食事制限を勧められている方の場合は、カロリーを気にしなければならないですが、この時期には出産のための身体の準備で相当量のカロリーを消費する時期です。
カロリーの高いものを多少、食べすぎたとしても、臨月以降のお母さんはその分、たくさんのカロリーを消費するようになるので、しっかりとたくさんの食べ物を食べるようにしましょう。
何も食べられない場合
お母さんの子宮は段々と下がってくるので、胃腸への圧迫感がこれまで以上に増えてしまいます。そのため、この時期に食欲をなくして何も食べられなくなってしまう人もいるのですが、なるべく工夫しつつ、1日2000カロリー程度は摂取するようにしましょう。
時期のお母さんはお腹に新生児と同等の機能を備えた赤ちゃんもいますし、とにかくカロリーが必要なので、出産するためのパワーを溜めるためにも、きちんと食べるようにがんばってみてください。
休息をしっかり摂ることが重要
臨月を迎えたお母さんの身体は、とにかく疲弊してしまっています。痔があったり、おりものが多かったり、日常の何気ない動作が辛かったりと、疲労の原因になるようなことが山ほどある時期なので、休息だけはしっかりと取るようにし、疲れを溜め込まないようにしましょう。
マッサージを受ける場合も、無理のない姿勢で受けた方が無難なので、きつい姿勢のまま長時間過ごすことは避けるようにしてみてください。
妊娠36週出産,陣痛,おしるし,破水など
出産時期について
出産予定日は40週0日
臨月は妊娠36週0日~39週6日まで
正産期は妊娠37週0日~41週6日まで。正産期の出産を正期産と言います。
過産期は妊娠42週以降。過産期の出産を過期産と言います。
兆候から出産の流れは?
「おしるし→陣痛→破水→出産」
「おしるし→破水→陣痛→出産」
「破水→陣痛→出産」
「陣痛→破水→出産」
4パターンが一般的な流れです。
病院に行く陣痛間隔は?
目安は初産婦で陣痛10分間隔、経産婦で陣痛15分間隔
陣痛から出産までの時間は?
目安は経産婦で約7時間前後、初産婦で約15時間前後
数時間から数日まで個人差があります。
おしるしについて
臨月に入りいつ出産してもおかしくない状態に入ります。赤ちゃんが下がり、子宮が収縮し、子宮頚管が開くようになります。子宮口や子宮壁の一部が剥がれ、少量の出血が起こり、それが分泌液と混じり、おしるしとなります。
おしるしは個人差があり、おしるしがなく出産を迎える方もいらっしゃいます。出産の兆候として、「おしるし→陣痛→破水→出産」流れが出産だと思い込み神経質になりすぎないようにしましょう。
おしるしが出てからどれぐらいで陣痛が来るのでしょうか。 これは個人差があり数日後、一週間後、二週間後の場合があり、おしるしが来たからすぐに病院へ行き出産とはなりません。 詳しく:おしるしについて知っておきたいこと
陣痛について
正産期まであと1週間のこの時期、いつ陣痛が来てもおかしくありません。陣痛の兆候として、胎動の変化、お腹が下がる、食欲増加、下痢、便秘、頻尿、おりものの量が増える、お腹の張り、腰痛、睡魔、前駆陣痛、おしるし、などがあります。
陣痛は規則性があります。痛いとき、痛くないときが規則的に感じます。ですから陣痛間隔がわかるのです。間隔が短くなってくると出産が近いです。
計画的な陣痛促進が必要なケースとは
通常はお母さんの自然なお産の進行に合わせるのですが、お母さんの陣痛が途中で強弱を繰り返して本陣痛に結びつかない時はお母さんの体力が消耗し、赤ちゃんへの影響も心配になってきます。陣痛促進剤を用いて、最後の一押しをサポートします。
また、妊娠42週0日目からの過産期に入ると、胎盤機能不全や羊水量の減少によって赤ちゃんへの影響が心配される為、その場合にも陣痛促進剤を使って出産を促します。
ただ、1日に投与できる陣痛促進剤の量は決まっているのと効き目には個人差があるため、促進剤を使っても最終的に帝王切開になったと言うケースもあります。不安な時は陣痛促進剤を使わなくても良いように、出産に向けての体力作りをしておきましょう。
破水について
前期破水とは陣痛が始まる前の破水です。早期破水とは陣痛が始まり、子宮口が開き切る前の破水のことです。いずれの状態も、卵膜が破れて羊水が外に流れ出す状態ですので危険な状態となり、すくに病院に行くようにしましょう。
尿漏れか破水か区別がつかない場合は、臭いをかいでみてください。アンモニア臭は尿漏れです。生臭い、酸っぱい、無臭などは破水の恐れがあります。
36週での破水は、お腹の赤ちゃんの状態を見ながら先生が判断しますが、切迫早産であと数週間正産期まで入院し安静で過ごします。
適時破水とは陣痛が始まり、子宮口が開ききってからの破水です。通常の分娩の破水となります。詳しく:破水について知っておきたいこと
帝王切開について
予定帝王切開と緊急帝王切開があります。予定帝王切開が行われる場合は 多胎妊娠、高齢出産、骨盤位(逆子)、子宮筋腫、前置胎盤など初めから自然分娩では危険が伴う場合です。
緊急帝王切開は何かしらのトラブルにより自然分娩ができない状態での帝王切開となります。帝王切開は赤ちゃんとお母さんを守るために行うものですので柔軟に対応する準備をしておきましょう。詳しく:帝王切開について知っておきたいこと
定期健診が週一回になります
今まではそこまで回数の多くなかった定期健診も、36週目以降になると週に一回、必要な状態になります。この頃の定期健診では、子宮口を開いたり、エコーをチェックしたりをおこなうのですが、早産の可能性のある方の場合は、骨盤をチェックするなどの検査をおこなう場合もあります。
この頃に感染症に罹ってしまう場合もありますし、定期健診をこまめに受けておけば早めに治療できるので、定期健診は怠らないようにしましょう。
退院後の生活をスムーズに今から準備を
1ヶ月は時間があると思っても、出産まではあっという間です。妊娠中も何かと忙しくて出産後の事に気を回す余裕が無いかもしれませんが、出産後はバタバタしてしまい、その時になって初めてしなければならない事が沢山あるのに気がついたりします。
例えば、里帰り出産をしている場合はいつ帰るのか、内祝いはどうするか、出産届け等さまざまな手続きは誰がいつ行うのか、など妊娠中に決められるような事項は、なるべく今のうちに決めてしまった方が良いでしょう。
ここまでのまとめ
妊娠36週目のこの時期になると、赤ちゃんは既に産まれるためのスタンバイをしているので、いざ破水してしまったとしても、そのまま病院へ行けば赤ちゃんを産むことができるのです。
神経が過敏になる時期なのでしてはいけないことも増えるのですが、お医者さんの指示する通りに過ごしておけば安全に過ごすことができるので、あまり冒険的なことはせずに大人しく楽しく毎日を過ごすようにしましょう。