妊娠を待ち望んでいた方にとっては、普段とは何かが違う生理前の症状を敏感に感じ取ると、妊娠したかも!と結果が出るまでソワソワしてしまいます。
妊娠初期は、妊娠状態を維持するために妊婦さんの体が急激な勢いで変化していきますので、それに伴い様々な症状が現れ、不快に感じることもあります。妊娠すれば仕方の無いことですが、中にはこういった症状が無い、もしくは全く感じない妊婦さんがいらっしゃいます。
つわりで辛い方にとってはうらやましい話かもしれませんが、感じない方だからこそ気をつけなければならない部分もあるのです。妊娠超初期から妊娠初期症状が全く起きない方とはどんな方なのか、またそれゆえに気をつけなければならない事は何か、など詳しくご紹介します。妊娠初期に注意すべきことは皆さん同じですから、症状がない方もつわりが辛い方も是非参考にしてください。
妊娠超初期~妊娠初期とは
まず妊娠超初期・妊娠初期とはいつ頃かご存知でしょうか。日本の出産予定日の計算方法では、生理開始日を妊娠0週0日とします。
生理周期を28日とすると、排卵して受精するのは妊娠2週目となり、受精卵が着床するのは妊娠3週目、そして次の生理予定日は妊娠4週0日となります。
生理予定日である妊娠4週目からすぐ妊娠が分かると思いがちですが、実際に妊娠検査薬が反応するのはそれから1週間後の妊娠5週目が一般的。また、妊娠検査薬が陽性であっても妊娠したとはいえず、病院で赤ちゃんが入っている胎嚢や心音を確認できて、初めて妊娠確定となります。
妊娠超初期~妊娠初期に現れる症状は
妊娠した瞬間が分かった!という方もいれば、ずっと生理が来ないから検査したら妊娠していたなど、人によって感じ方は非常に様々です。
また、妊娠を望んでいる方は、いつ妊娠したって分かるの?と不安になってしまうかもしれません。妊娠超初期~妊娠初期にかけて、一般的にはどのような症状が現れるのか参考までにみてみましょう。
妊娠超初期の症状は
日本の出産予定日の計算方法で考えると、誰でも毎周期に妊娠2週を迎えます。妊娠2週目に受精しなければそのまま生理となり、受精すれば妊娠3週目を迎えますが、この時点での大きな違いは、プロゲステロンの分泌量です。
排卵後、妊娠に備えてプロゲステロンの分泌量が増えますが、受精しなければ生理直前に減少します。しかし、受精すれば妊娠状態を維持するために更に分泌量が増える、という違いがあります。
プロゲステロンは頭痛・眠気・だるさ・便秘などの月経前症候群を引き起こしますが、受精後は更に分泌量が増えるため、これらの症状が強く現れる事があります。普段の生理前よりも症状が強いことから、妊娠したのでは?と考える方も多いのです。
妊娠初期の症状は
妊娠初期の症状といえば、やはりつわり。つわりは胎盤を作る組織から分泌されるhCGホルモンによるものと思われていましたが、関連性は確認できず、ホルモン分泌の変化による自律神経の乱れや、情緒不安定によるストレスなど複数の要因が合わさって、つわりが発生するといわれています。
つわりの症状は様々で、胸焼けや吐き気・眠気・だるさ・よだれが多く出るなどがあります。つわりは病気ではないといわれますが、水も飲めないほどつわりが酷くなると妊娠悪阻へとつながりやすいため、状態を良く管理する必要があります。
また、妊娠超初期から引き続きプロゲステロンが多く分泌されているので、頭痛・便秘や下痢・頻尿に悩まされる方も出てきます。
症状が無い人ってどんな人が多い?
周りの出産経験者に妊娠初期症状やつわりについて聞くと、千差万別の答えが返ってくると思われます。つわりが酷くてすごく痩せた、妊娠悪阻で入院したといった経験から、全く気づかなかった、気がついたら安定期に入っていた、なんていう経験を持つ方もいらっしゃいます。
つわりは軽い方がもちろん楽ですが、その人によって異なりますから、実際妊娠してみないと分からないというのが事実です。それでも、妊娠初期症状やつわりが軽かった・無かったという方にはある傾向が見受けられるようです。つわりが無い・軽いのはどういった方なのかを見てみましょう。
経産婦 出産経験者
最初の妊娠・出産は未知の体験です。現在は手軽に様々な情報が手に入りますので、妊娠経過や出産の流れについてよく勉強している方もいらっしゃるでしょう。また、初産の方は赤ちゃんの成長を第一に考えますから、情報と照らし合わせて、妊娠初期症状などのちょっとした症状にも気づきやすいです。
反対に、第2子以降を妊娠している経産婦は、初産婦のようにお腹の赤ちゃんだけを大事に考えて過ごすという事ができません。上の子供を世話しながら家事をしなくてはなりませんから、毎日の慌しさに追われてつわりが後回しになってしまう方もいらっしゃいます。
もちろん、初産では問題なかったのに今回の妊娠ではつわりが酷くて子供の世話が出来ない、というケースもありますので、経産婦全員に症状がないというわけではありません。
仕事をされている方
妊娠しても仕事を続ける方は多いです。産休制度を利用して、産後に職場復帰を考えている方もいらっしゃるでしょう。また、退職予定でも引き継ぎなどがあり、体調が良いうちはなるべく続けたいという方もいらっしゃいます。
妊娠初期はホルモン分泌量が大幅に増えるため、精神的ストレスを抱えやすい状態です。そんな時に赤ちゃんは大丈夫だろうかと不安になったり、想像とは違った体調の悪さやトラブルの発生に疲れてしまうと、その気持ちが体調に反応してつわりが酷くなる事も十分考えられます。
仕事をされている方は、仕事に集中して妊娠の不安やつわりの気持ち悪さを意識しないため、実際に症状があっても感じない事があるようです。
妊娠に敏感な方は症状に気づきやすい
妊娠を望んで病院に通っている、基礎体温を測り毎月必ず排卵検査薬と妊娠検査薬を使う、など、妊娠を待ち望んで日々工夫されている方は、それだけ自分の体調に注意を払っています。
詳細に気を配っていれば、生理前に起こる症状が通常の生理前症状と同じか、それとも妊娠超初期症状なのかを容易に判断する事ができるでしょう。
症状がない方はこんなことに注意して
妊娠超初期の不快な症状やつわりを感じない、という話を聞くとうらやましく思うかもしれません。しかしその反面、感じないという方は自分が妊娠中であることが分からない、もしくは忘れてしまう危険性があります。
いくら自覚症状が無いとしても、お腹の中ではしっかり赤ちゃんが成長していますから、それに合わせた生活習慣にし、気をつけるべきことはきちんと守らなければなりません。その中でも特に気をつけていただきたい事を挙げましたので、今一度確認してください。
薬の服用
妊娠中の薬の服用は控えるべき、というのは皆さんご存知だと思われます。実は、薬の成分が赤ちゃんへ及ぼす悪影響は、妊娠時期によって異なり、もっとも気をつけるべきなのが妊娠初期で、薬の絶対過敏期と呼ばれます。
妊娠4週から12週までは心臓・脳・神経などの重要器官を初めとした人間のパーツの大元が出来上がる器官形成期ですが、この時期に服用した薬の成分によっては器官形成に悪影響を及ぼし、先天性異常を引き起こす可能性が高くなります。
ただ、全ての薬が問題というわけではありませんので、妊娠を知らず飲んでしまったという方は、病院で相談してください。
薬を服用して妊娠を望む場合は事前に相談する
妊娠中避けるべき薬の中には、リウマチ薬や精神安定剤・女性ホルモンなど長期服用が必要なものがあり、すでに服用を続けている方もいらっしゃるでしょう。
これらの薬の服用を続けている方が妊娠を望む場合は、必ず事前にかかりつけ医に相談して、指示を仰いでください。服用を止めても、胎児への悪影響を避けるために妊娠まで期間を空けるよう指導される可能性があります。
また、ワクチン接種でも毒性を弱めた微生物やウイルスを使った生ワクチンは、お腹の赤ちゃんへ移行する恐れがあり、また残留期間も長いため、妊娠時の接種を禁止しています。もし妊娠がわからない段階でワクチン接種をした場合は、早めに専門家に相談してください。
お酒はやめる
自宅はもちろん、忘年会・打ち上げ・旅行・アウトドアなど、日常のイベントにお酒が登場する場面は非常に多いですね。しかし、妊娠中はやはり避けるべき。
妊娠初期は胎盤がまだ出来ていないため、お母さんが飲んだアルコールが赤ちゃんに影響することは無いと考えられてきました。しかし、そのような時期でもアルコールの大量摂取を続けた場合は、脳障害・成長障害・特徴的な顔貌が現れやすくなると言われています。
妊娠中の多少の飲酒はOKとする専門家の意見がありますが、それでも影響が出るアルコール摂取量は個人で大きく変わるため、一律にどこまでなら飲酒OKと断言できないとのこと。
また、ホルモン分泌が大幅に変動しているため、お母さんにも酔いやすくなった・二日酔いが残るなどの悪影響が見られます。このようなあやふやな判断の中飲み続けるよりは、すっぱり止めた方が安心かもしれません。参照: 胎児性アルコール症候群 厚生労働省e-ヘルスネット
タバコもやめる
受動喫煙・三次喫煙の害が知られるようになり、タバコを吸わない方も多くなりましたが、悪影響なのはわかっていても、ストレスが溜まってつい吸ってしまう、という妊婦さんもいらっしゃるようです。
しかし、妊婦の喫煙は妊娠する力を低下させ、流産・早産・低体重児・胎盤異常の原因となります。また、赤ちゃんにとっては、乳幼児期は乳幼児突然死症候群、幼児から思春期・青年期にかけては喘息・肺障害など、一生にわたってそれぞれの段階で悪影響が出る恐れがあるのです。
最近は煙や有害成分の少ない電子タバコが人気で、そちらを選ぶ妊婦さんも多いようです。しかし成分が少なくなってもゼロではなく、血管収縮作用や血液内の酸素を減らず成分は含まれたままですから、妊娠・授乳期間だけでもきっぱり禁煙するよう頑張ってください。※参照:喫煙の妊娠出産などへの影響 厚生労働省e-ヘルスネット
生もの
妊娠中は赤ちゃんをお腹の中で育てるために免疫力が低下し、食中毒にかかりやすくなります。妊娠初期は薬が飲めませんし、感染菌によっては赤ちゃんに深刻な障害が残る可能性もありますので、菌の繁殖しやすい生ものなどは避けましょう。
生ものからの感染で怖いのが、トキソプラズマとリステリアです。トキソプラズマという原虫が原因のトキソプラズマ症ですが、特に妊娠初期に感染すると流産や胎児死亡・視力障害など、深刻な症状が現れます。
また、ハム・チーズなどのリステリア菌による食中毒では、悪化すれば髄膜炎や敗血症で妊婦が死亡したり、赤ちゃんに障害が残る可能性もあります。
妊娠症状に気づくためには何が必要?
妊娠超初期から妊娠初期にかけて現れる特有の不快な症状に煩わされること無く、妊娠生活を続けられたらいいなと誰もが思うかもしれません。
ただ、体調も普段と同じならば妊娠している自覚が持ちにくくなってしまうかもしれませんし、反対につわりや体の不調といった症状が現れるからこそ、妊娠を意識し日常生活を改めていこうと思えることもあるでしょう。
特に妊娠に早く気づきたい方は、いつそういった症状が現れるかと毎日チェックしているかもしれません。しかし早く気づくためにはちょっとしたコツが必要です。
基礎体温で生理周期の確認
生理周期が長かったり短かったりと不安定な方は、漠然と妊娠初期症状を待っていても、実際は妊娠すらしていなかったなんてこともありえます。確実に妊娠確率を上げるには、まず自分の生理周期を把握する必要があります。
生理周期の把握は基礎体温計測が一番で、数ヶ月続けていくうちに、自分なりの生理周期や体の変化のパターンが見えてきますので、妊娠のチャンスを確実に得られます。
また、通常基礎体温は低温期・高温期の二相になっていますが、二相にならない・体温が低すぎるといった自分の基礎体温グラフから、なにが問題なのかを判断することも可能です。
生理周期を整える生活習慣
早く妊娠したいという方は、基礎体温グラフを参考にして自分の今の状態を知れば妊活にも上手く活用できるでしょう。しかしグラフが大幅に崩れている場合は、妊娠よりもまず基礎体温を自分なりの周期パターンに戻すことが大事です。
グラフの崩れ方によって原因が変わってきますので、自己判断せずにまずはグラフを持って医師に相談しましょう。指導を受けた後は、それを実行するとともに生活習慣も見直していくと早い効果が期待できるかも。
まとめ
妊娠超初期から妊娠初期にかけての、つわりや妊娠超初期症状は妊婦さん全員に起こるものとイメージしていましたが、実際は生活環境や体質によって、そういった症状を全く感じない方もいらっしゃいます。
トラブルが無ければ楽しい妊娠生活を過ごせそうですが、つわりなどを感じない方は、お腹に赤ちゃんがいる自覚をあまりもてないまま普段どおりの生活を行ってしまうことも考えられます。この時期は、赤ちゃんにとって器官形成の非常に大事な時期ですから、症状を感じない方でも気を引き締めて過ごしていきましょう。