産婦人科の選び方(妊娠 出産)について知っておきたいこと

産婦人科の選び方(妊娠 出産)について知っておきたいこと 妊娠初期

妊娠していることが分かったら、次に気になるのが産婦人科選び。とくに初めての妊娠の方にとっては、産婦人科を選ぶのは簡単ではありません。

産婦人科病院にはさまざまな種類があり、設備や受け入れ体制など、病院ごとに特色があります。たくさんある産婦人科病院から、どの病院を選ぶか、産婦人科選びに迷ったら、まずは何を大優先させるかについて考え、そこから選択肢を絞っていくようにしましょう。

産婦人科選びは、自分の希望する出産のスタイルを選び取ることから始まります。どのような形で出産したいかを具体的に把握し、それにしたがって産婦人科を選ぶようにすることがポイント。出産はどなたにとっても、生涯忘れることの出来ない貴重な体験です。産婦人科選びに成功するための知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。

産婦人科の種類について

産婦人科の種類について

産婦人科には大きく分けて次の五つがあり、それぞれに特長があります。どれが悪い・良いということではなく、自分にとってもっとも相応しいものを選ぶことがポイントと言えそうです。

産婦人科選びに成功するために、それぞれの特徴、メリット・デメリットを詳しく知っておくようにしましょう。

総合病院の産婦人科

総合病院の産婦人科

大きな総合病院の産婦人科は、医療設備・機器などの点で、規模の小さな産婦人科病院よりも優れています。持病のある方、初産で高齢出産の方、高血圧、心臓病、糖尿病などの高リスクの妊婦さんは、産婦人科以外の科も備えた総合病院のほうが安心です。

また産後の赤ちゃんが低体重の場合や黄疸、何らかの障害がある場合などはICU(新生児集中治療室)を備えている病院もありますので安心と言えます。

総合病院のメリット・デメリット

ベッド数が多く、大勢の医師が勤務している総合病院。総合病院には産婦人科以外の科も揃っていますので、この点が最大のメリット。陣痛や分娩中に緊急事態が生じても、病院内に他科の医師がいるので、素早く適切な処置を受けることが出来ます。

このような大病院では、多くの医師が在籍しているために、診察のたびに担当医が代わることもありえます。一人の医師に最初から最後までかかりたい方には不向きかも知れません。患者数の多い病院では予約を取るのに時間がかかったり、診察までの待ち時間が長いというデメリットがあります。

大学病院の産婦人科

大学病院の産婦人科

大学の医学部付属の大学病院では、最新の医療が受けられます。大学病院の産婦人科は、高度な医療技術や設備を必要とする高リスクの妊娠に適しています。

メリットやデメリットは総合病院とほぼ同じ。大学病院の場合は状況に応じて、かかりつけの医師からの紹介状の提出を求められることもあります。

高リスクの妊婦さんは、優先的に診察を受けられることも多いのですが、反対にリスクのあまりない妊婦さんの場合は、予約状況や病院の受け入れ体制によっては、診察を断られることもありますので注意しましょう。

産婦人科病院・クリニック

産婦人科病院・クリニック

産婦人科専門の個人病院やクリニックは、妊娠・分娩および婦人病などの診察が専門になります。総合病院とのいちばんの違いは、産婦人科病院は妊娠・出産に特化していること。出産に関する希望に細かく対応してくれる病院が多いのが特徴です。

産婦人科病院のメリット・デメリット

産婦人科病院・クリニックの場合、出産に対してきめ細かい対応が出来ることが、いちばんのメリット。また最初の診察から出産まで、ひとりの医師にずっと見てもらえるという安心感があります。産婦人科専門病院ですので、分からないことや疑問なことがあれば、助産婦さんや医師に直接質問できるというメリットもあります。

ただし、小規模なクリニックの場合、総合病院のような最新の医療設備や機器を備えていないため、帝王切開手術や高度な治療は受けられないことがあります。また小児科を併設していない病院も多く、出生後新生児に問題が起こった場合、赤ちゃんは別の小児科病院で治療を受けることになります。

助産院

助産院

助産院は助産婦さんの手助けにより、自然分娩を行う場所で、妊娠の経過に問題のない場合に限り、出産を行うことが出来ます。医師は常勤していませんが、嘱託医師・嘱託病院が定められていて、何か問題があった場合には、医師による診察を受けることになります。助産院の規模は小さく、ベッド数は9床までと定められています。

助産院のメリット・デメリット

出産に関して知識と経験のある助産婦さんがいますので、アットホームな環境の中でリラックスして出産を迎えられることがメリットです。陣痛や出産に関しても、助産婦さんと相談しながら、自分の望むやり方で出来ることもメリットのひとつとして挙げられます。

ただし助産院には医師が常在していませんので、緊急的な事態が生じた場合には、医療設備の整った他の病院に転院しなければなりません。助産院での分娩は、妊娠の経過が良好で、母体にも胎児にも問題がない場合に限ります。

分娩をしない産婦人科もある

分娩をしない産婦人科もある

産婦人科の種類をいくつかご紹介しましたが、中には産婦人科であっても分娩を行なわない病院があります。通いやすく感じの良い先生がいる病院なのに、分娩できないと言われてショックを受けたという妊婦さんも少なくありません。

もちろんそういった産婦人科は分娩が出来る病院と提携していますから、紹介状を書いてもらい転院することが可能です。また、検診をする妊婦さんが少ないため、ゆっくり診てもらえたり待たずに済むメリットがあります。

ただ、分娩をしていない産婦人科は他の科と同じように夜は閉めてしまいます。分娩が出来る産婦人科のように24時間開いているわけではありませんから、夜間何かあった時にすぐ連絡が取れないデメリットがあります。このようなシステムに不安がある妊婦さんは、早めに病院を移った方が良いでしょう。

産婦人科選びのポイントとは?

産婦人科選びのポイントとは?

産婦人科の種類について上に大雑把にまとめてみました。総合病院、大学病院、市立・県立病院、産婦人科医院、産婦人科クリニック、助産院(助産所)と、産婦人科のある病院はたくさんありますので、産婦人科選びに失敗しないためには、まずはそれぞれの特徴やメリット・デメリットをきちんと把握することが大切です。

もうひとつ重要なのは、自分が希望する出産の形をはっきりさせること。自分自身に迷いがあると、産婦人科選びもうまく運びません。ある程度自分の希望が固まったら、今度は候補に考えている病院に関する情報を集めるようにします。自分にもっとも合った産婦人科を選ぶ上で考慮に入れたいポイントを挙げていきましょう!

自宅からの距離と交通の便

自宅からの距離と交通の便

妊娠中は定期健診に何度も産婦人科を訪れることになります。自宅からの距離や交通の便は必ず考慮に入れなければなりません。

どんなに設備の整った産婦人科病院でも、あまりにも交通の便が悪かったり、自宅からの距離が長く、時間がかかりすぎるのは考えものです。臨月になってからの体調も考え、診察に通うのに無理のないところを選びましょう。

医師とのコミュニケーション

医師とのコミュニケーション

その他の条件をすべてクリアしていても、担当医師との意思の疎通がうまくいかないのは問題です。産婦人科医が多数常勤している病院であれば、診察を受ける前にまずは、助産婦さんや看護婦さんに自分の希望について相談するようにしましょう。うまく相性の合う医師を回してくれることもあります。

とりあえず診察を受けてみようと決めたら、初診の際に注意深く医師の言葉や態度を観察するようにしましょう。医師だけでなく、受付や助産婦さんの対応についても同時に注意を払うようにします。分娩予約を入れてしまってから転院するのは容易ではありません。

出産までを気持ちよく乗り切るには、医師や病院と良い信頼関係を築くことが重要。自分の体と赤ちゃんの安全を安心して任せられるような病院を選ぶことがポイントです。

自分の望む出産が出来るかどうか

自分の望む出産が出来るかどうか

陣痛や分娩に関して希望がある方は、それを行うことが出来る産婦人科を選ぶことが基本になります。陣痛、分娩(無痛分娩、和通分娩など)、入院に関する希望や要望は、妊婦さんそれぞれ異なります。自分の希望や要望を叶えることが可能かどうか、設備や体制、サービスなどについてきちんと確認しなければなりません。

立会い出産が可能かどうか

立会い出産が可能かどうか

ご主人や上のお子さんの立会いを望んでいても、中には立会い分娩の出来ない病院もあります。立会いや出産の様子をビデオ撮影したい、臍の緒をご主人に切ってもらいたいなどの要望がある場合には、事前に情報を入手しておく必要があります。

他にも産声を録音してもらいたい、赤ちゃんが生まれたらすぐに抱きたいなどの分娩中および分娩直後の要望が受けいれられるかどうかは、病院の方針次第です。

入院部屋のタイプの希望など

入院部屋のタイプの希望など

他にも入院中の部屋タイプや費用のことなど、気になることがあれば、必ず前もって調べておき、自分の都合や希望と合致しているか、確認するようにしましょう。

たとえば最近人気のLDR室。陣痛から出産まで同じ部屋で過ごすことの出来るLDR室は、すべての産婦人科に設置されているわけではありません。LDR室を希望しする場合には、あらかじめ下調べすることが必要です。LDR(エルディーアール)とはLabor(陣痛)~Delivery(分娩)~Recovery(回復)まで

他にも、家族も一緒に寝泊りの出来る大きめの部屋を用意している病院も増えていますが、このような特別仕様の部屋タイプは、標準的な部屋タイプよりも費用が余計にかかってしまいます。

トイレ・バス付き、食事の内容など、気になることがあれば、分娩予約をする前に確認しておいたほうが無難です。

医療設備が整っているかどうか

医療設備が整っているかどうか

妊娠・出産に関してはいついかなるリスクが生じないとも限りません。膣分娩を予定していても、母体や胎児の状態によっては急遽、緊急帝王切開手術をする必要が生じることもあります。

妊娠の経過が順調で、まったく問題のない方にとってはあまり気にならないかもしれませんが、持病がある方や妊娠の経過に問題がある方は、最新の医療設備を備えた病院にしたほうが安心です。

母子同室、母子別室

母子同室、母子別室

出産後、赤ちゃんと同室で過ごしたいか、それとも別室で過ごしたいか、この点も産婦人科選びの大切なポイントです。

出産後からすぐに母子同室に出来るのか、原則母子別室なのか、前もって確認するようにしましょう。これは入院部屋のタイプとも関係がありますので、入院する部屋タイプと合わせて考えるようにします。

授乳についての希望

授乳についての希望

母子同室・別室の希望は、どのような形で授乳をしたいかとも関係があります。母子完全同室の場合は母乳での授乳が可能ですが、別室を希望する場合には、搾乳で時間授乳することも考えられます。

生まれたときから完全母乳を考えている方は、前もって助産婦さんに相談してから、病院を決めるようにしましょう。

見学が可能かどうか

見学が可能かどうか

出産を経験された方の口コミや評判だけでは、なかなか分からないこともあります。入院する部屋や分娩室をはじめ、病院の様子を詳しく知りたい方は、見学が出来るかどうか問い合わせてみましょう。

見学は不可という病院もありますが、電話で申し込みを行い、日にちと時間を決めた上で見学を許可してくれる病院もあります。

実際に自分の目で見て確かめたほうが実感も沸きます。見学の際には助産婦さんや看護婦さんが病院内の説明をしてくれますので、分からないことや知りたいことがあれば、そのときに尋ねてみるようにしましょう。

里帰り出産をする場合

里帰り出産をする場合

里帰り出産を希望する際には、出来る早めに病院を決めるようにしましょう。里帰り出産の場合は、定期健診と出産を別々の病院で行うことになりますので、分娩を行う病院に対して早めに問い合わせを行い、いつまでに分娩予約を済ませなければならないか、などの必要な情報を得ることが重要です。

里帰り出産の場合、受けいれてくれる病院によって、予約の方法・時期、予約前の事前健診の要・不要、予約金の要・不要、紹介状の要・不要は異なります。里帰り出産を予定している方は、妊娠初期の段階で希望する病院に連絡をして、必要な処置を講じるようにしましょう。

病院の中には、里帰り前から検診を受けることが必要なところもありますので、里帰りの予定を立てる前に、まずは病院を決め、その決まりにしたがって里帰りの予定を立てる必要があります。

分娩予約はいつ済ませる?

分娩予約はいつ済ませる?

少子化に伴い、産婦人科を廃止している病院も増加傾向にあります。分娩予約をいつ入れたらいいかは、それぞれの病院によってかなり違いがあります。通常は妊娠5ヶ月目程度をめどにする病院が多いようですが、これはあくまでも目安で、早いところでは妊娠5、6週目から分娩予約を受け付けています。

とくに病院の少ない地域や妊婦さんに人気のある病院では、妊娠週のきわめて早いうちに分娩予約を入れなければ、出産を断られることも多いのが現実です。

分娩予約に関しては、その病院の規模や受けいれ体制、予約状況によって、いつ頃予約を行うべきかが決まってきます。人気のある病院での出産を考えている方や、里帰り出産を予定している方は、のんびり構えずに出来るだけ早めに対応するようにしましょう。

病院によっては、予約を入れる際に予約金を預かるところもありますので、この点に関してもきちんと確認しておくことが必要です。

まとめ

産婦人科選びに失敗しないために知っておきたいさまざまな情報ををご紹介しました。産婦人科を選ぶ際にはさまざまな角度から考慮を重ね、自分の希望や状況にもっとも適当な病院を選ぶ必要があります。

出産は生涯記憶に残る貴重な経験。妊娠が分かったら、早めに産婦人科選びのポイントについて学んでおくようにしましょう。