臨月になるとおなかはいよいよ大きくせり出してきて、立ったり座ったりといった日常的な動作もゆっくり行わなければなりません。破水や陣痛のことも気になり、外出してもいいかどうか迷ってしまう妊婦さんも多いでしょう。
仕事をしている方の場合は否が応でも外出しなければなりませんが、とくに外出する必要のない場合、果たして外出していいのかどうか、非常に迷ってしまいます。
まだ出産予定日まで日にちに余裕があるからといって不必要に遠出を繰り返すのは考えものですが、家の中に閉じこもっているのもストレスになります。妊婦さんが臨月に外出するとき、外出したほうがいいの?それとも外出しないほうがいいの?など知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
臨月に外出してもいいの?悪いの?
臨月に外出してはいけないという決まりはありませんが、臨月の外出にはそれなりの準備と心構えが必要です。出産予定日も近づいていて、破水や陣痛はいつ起こってもおかしくありません。臨月だけに限りませんが、そそも妊婦さんが外出する際には、持参したほうがいいものや、外出する範囲や時間帯など、いろいろな点に注意することが必要です。
しかし臨月に外出してトラブルにあってはいけないと思うあまり、まったく外出しないでいると運動不足になってしまいます。臨月ですので体を激しく動かすことは禁物ですが、難産予防のためにも無理のない範囲で体を動かすことが重要です。
出産前の不安感解消や気分転換のため、軽い散歩程度の外出であれば、医師の指示に反しない限りとくに支障はないかと思われます。ただし臨月の過ごし方に関して、医師からの厳密な指示がある場合には、どんな場合でもこれを優先させるようにしましょう。
臨月の妊婦さんの状態は
臨月とは妊娠最終月、妊娠週でいうと妊娠36週目から39週目まで。出産予定日ももうすぐ、出産のための入院準備や赤ちゃんを迎える準備で忙しくなる時期です。
赤ちゃんは分娩に向けて、どんどん下に下がってきますので、足の付け根のあたりに痛みを感じることも多くなってきます。頻尿や尿漏れといった症状も見られるようになり、出産の兆候が気になり始めます。
臨月に注意したいこと
臨月に入ったら、いつ破水や陣痛が起こってもおかしくありません。妊娠37週目から41週目までは正期産と呼ばれる時期で、この期間内の出産であれば、赤ちゃんの身体や臓器の発育も十分ですので、障害が生じるリスクも少ないといわれています。
妊娠37週目は臨月のちょうど2週目に当たりますので、臨月に外出する際にははこの点をきちんと理解しておくようにしましょう。
ちなみに早産とは、妊娠22週目から36週目までにおこる出産、過期産とは妊娠42週目以降の出産になります。早産、過期産の場合には、母体と赤ちゃんの両方にトラブルが生じるリスクがあります。
臨月に入ったら出産の兆候について学んでおく
出産の兆候と呼ばれるのが、おしるし、陣痛、破水の三つ。臨月に入ったら、これら出産の兆候について把握しておくことが必要です。
陣痛に関しては、陣痛の間隔がどのくらいになったら病院に向かうべきか、自宅で破水した場合の対応など、必ず知っておくべきことを今一度おさらいし、分からないことがあれば医師や助産婦さんに尋ねておくようにしましょう。
臨月に外出する際の準備・持ち物
臨月に外出する際に必ず持参しなければならないものを挙げてみましょう。いざというときのために必ず携帯しなければならないアイテムをリストアップしてみました。
母子手帳と診察券
母子手帳は外出先がどんなに近い場所でも必ず携帯してください。近所に買い物や散歩に出る際にも、絶対に忘れないようにしましょう。外出先で破水や体調の変化があった場合、そのまま病院に行かなければならない事態も予想されます。
母子手帳は外出先の距離・時間・乗り物に関わりなく、どんな場合でも必を携行しましょう。次の健診の日までまだ日にちが十分にあっても、病院の診察券も母子手帳とセットにして持っておいたほうが安心です。
健康保険証
基本的には自然分娩(経膣分娩)の場合には、健康保険の適用外になりますが、帝王切開手術により出産を行う場合には、手術費や投薬費など健康保険の適用を受けることが出来ます。
また出産だけでなく、外出先での怪我や病気により治療を受ける可能性が出てこないとも限りません。万が一のことを考え、外出する際には健康保険証も持っておくようにしましょう。
タクシー会社の電話番号など
近場に出かける際にもいざというときのことを考え、タクシー会社の電話番号を必ず控えておきましょう。普段は自分で運転している方でも、陣痛や破水が起こったときには自分で運転していくのは進められません。
臨月にひとりで外出する際には、外出先で緊急に何かあった場合、どのような方法で病院まで行くのか、きちんと考えておく必要があります。
臨月にタクシーに乗る場合の注意事項
タクシーの場合、破水や陣痛の起こっている妊婦さんの乗車は断られることもありますので、あらかじめタクシー会社に確認しておいたほうが良いでしょう。陣痛や破水といった切羽詰った状況ではなく、単に気分が悪くなったのでタクシーで帰宅したいというケースも考えられます。
近隣のタクシー会社の電話番号などは必ず控えておくようにしましょう。また緊急の場合に、家族や友人に送迎してもらうことを考えている方は、その方との連絡方法を前もって確認しておくことが必要です。
陣痛タクシーの登録 産後の乳児検診にも利用可能
今から陣痛や分娩に対してナーバスになっている方は、陣痛が起きてからではなく、今のうちに陣痛タクシーの登録をしておきましょう。事前登録や使用料などが必要ですが、いざという時に電話するだけですぐ自宅から病院まで連れて行ってくれますし、何より妊婦さんに対する訓練をつんでいる運転手なので、病院まで安心してお任せできるでしょう。
また、陣痛タクシーは陣痛時だけでなく、退院時や乳児検診時にも利用できますので、病院までの足が無い、新生児用のチャイルドシートを買おうかどうか迷っている、という方にはピッタリ。サービス内容や料金はタクシー会社によって異なるので、早めの問い合わせをおススメします
ナプキンやバスタオル
外出先で破水してしまったときにナプキンを持っていないと困ってしまいます。夜用ナプキンと下着の替えは必ずバッグの中に入れておくようにしましょう。
また病院に向かうときに、車やタクシーのシートを汚してしまわないよう、大きめのバスタオルなどを用意しておくと便利です。
携帯電話 スマホ
いつどんな場合にもご主人や病院にすぐさま連絡が出来るよう、携帯電話は必ず持っていくようにしましょう。近所にちょっと買い物や散歩に行く場合でも、万が一のことを考えると携帯電話は外出の必需品です。
臨月の遠出について
近所にちょっと出かけるという程度であれば、臨月の妊婦さんでもさほど不安はありませんが、遠距離の外出はどうでしょうか?臨月なので不必要な外出はなるべく控えている方でも、冠婚葬祭などやむを得ない事情により、遠出をしなければならないこともあります。
出産予定日が近づいているのであれば、観光目的の旅行は避けたほうが安心ですが、やむを得ない状況で遠出をする場合、まずは医師に相談した上で計画を立てることが基本です。臨月に遠出をする場合の注意点について考えてみましょう。
飛行機での旅行について
臨月に飛行機で遠出をする場合には航空会社の決まりにしたがって、医師の診断書の提出が必要です。これは出産予定日の28日目以降8日目までに搭乗する場合で、それ以降は医師あるいは助産婦さんの同行が必要になります。
どんな理由であれ臨月に飛行機を利用する場合には、前もって医師に相談することをお勧めします。
臨月の外出の際の注意点
臨月に外出する際の注意点についていくつか挙げてみましょう。おなかが大きく前にせり出してきていますので、傾斜のある坂道や階段などには格別の注意が必要です。
妊婦さんが臨月に外出する際に注意しなければならないポイントを挙げてみましたので参考にしてください。
混雑した場所は避ける
人ごみや混雑した場所はなるべく避けましょう。人ごみの中で思わぬトラブルに見舞われないとも限りません。満員電車や大勢の観客が集まる会場などは、やむを得ないとき以外、出来るだけ避けたほうが無難です。
体調にとくに問題ない場合でも、混雑の中であやまって転倒したり、怪我をしてしまうおそれもあります。出産前の大事な時期ですので、不必要なリスクはおかさないようにしましょう。
外出する時間帯を考える
朝や夕方の通勤ラッシュや帰宅ラッシュの時間帯はなるべく避けましょう。満員電車で座席を確保することが出来ずに立ったままなのは、妊婦さんにとっては負担がかかり過ぎます。満員電車の混雑でおなかを圧迫されたり、人ごみで気持ちが悪くなったりすることも考えられます。
外出する際には混雑を避けた時間帯を選びましょう。バスや電車での移動は距離が短い場合でも、座れる時間帯を選ぶことがポイント。混雑した時間帯に外出しなければならないときは、タクシーでの移動も考慮に入れましょう。
外出する範囲について
臨月の外出の範囲については、はっきりした決まりがあるわけではありません。どの程度の距離であれば外出しても大丈夫なのかという問題は、一人一人の妊婦さんの考え方や体調次第といえるかも知れません。強いていえば、自宅あるいは病院までにかかる時間が1時間弱程度の場所に留めておいたほうが安心です。
用事があってどうしても遠出する場合には、ご主人やパートナー、あるいは家族や友人の方に同行してもらうといざというときに慌てません。
お財布に多めにお金を用意しておく
バスや電車で出かけたけれども途中で気分が悪くなってしまった、あるいは疲れてしまった、臨月の外出にはこんなケースも考えられます。往復ともバスか電車を利用するはずだったのに、途中で体力を消耗してしまい、タクシーで帰りたくなった。
こんなときにお金の持ち合わせが少ないと心細く感じてしまいます。外出する際にはお財布に少し多めに現金を入れて出かけるようにしましょう。
家族とのコミュニケーションを十分に図る
出産予定日が近づいてきたら、自分の今日一日の日程をご主人やパートナーの方、同居の家族の方にしっかり伝えておきましょう。外出する際にはどこに行くのか、どのくらいで帰宅できるかなどをはっきりと伝えておくと安心です。
ご主人やご家族に運転してもらって病院に行く予定の方は、とくにこの点に注意してください。出産予定日が近づいたら、ご主人やご家族と密なコミュニケーションを取ることが重要です。
外出先で破水・陣痛が起こった場合
まだ大丈夫と思って外出したら、突然破水あるいは陣痛が起こって焦ってしまった。こんな体験をする妊婦さんも大勢います。
ご主人やご家族が側にいた場合は安心ですが、ひとりで外出したときにこんなトラブルに見舞われたらどうすればいいのでしょうか?外出先で破水・陣痛が起こった際の対処法について考えてみましょう。
病院およびご家族に連絡する
破水した場合にはナプキンをつけてまわりに迷惑がかからないようにしましょう。病院に連絡し、現在の状況を伝え指示をもらいます。破水の場合はそのままにしておくと感染症のリスクがありますので、早急に病院に向かわなければなりません。
陣痛の場合は痛みの間隔を測った上で病院の指示に従います。ご主人やご家族の方に病院に送ってもらう予定であっても、破水が起こった場合にはそのまま病院に向かうことも考えられます。出産予定日が近づいたら、いろいろな可能性を想定して、どのような対応を取るか、ご主人やご家族とよく話あっておきましょう。
入院に必要なものの手配
外出先からそのまま病院に向かう場合、ご家族に連絡して入院に必要なものを届けてもらうよう手配します。入院に必要なものは早めにまとめておき、すぐに分かるようにしておきましょう。またいざというときに、どなたに荷物を病院まで持ってきてもらうか、あらかじめよく相談しておかなければなりません。
時間に余裕がある場合には、妊婦さん自身が自宅に戻れますが、その場合でも入院用のバッグをあらかじめまとめておかなければ、いざというときに焦ってしまいます。臨月に入ったら入院の準備と赤ちゃん用品の準備を完全に整えておきましょう。
まとめ
臨月の妊婦さんが外出する場合に注意したいポイントをご紹介しました。臨月に入ったら、いつ破水や陣痛が起こっても不思議ではありません。臨月だからといって、まったく体を動かさないことは難産につながるおそれがありますが、だからといってなんの準備もないままに遠出をしてしまうと、いざというときに焦ってしまいます。
臨月に外出する際のポイントをしっかり学び、いざというときに備えておきましょう。近所に買い物に出かけるだけでも、母子手帳、健康保険証、診察券、ナプキン、携帯など、外出時に必要不可欠なアイテムは必ずバッグに入れて出かけるようにしましょう。