妊娠中に気をつけたい市販薬というと、風邪薬やアレルギー性鼻炎の薬のことをいちばんの思い浮かべますが、では目薬はどうでしょうか?風邪薬などには十分注意を払っている妊婦さんでも、目薬のことは考えていなかった、という方が多いようです。
妊娠中は目薬を使っていいの?悪いの?など妊娠中に目薬を使うときに知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊婦は目薬を使っていいの?悪いの?
目薬はその他の内服薬と違い、体内に入ってくる量は微量。妊娠中に使っても差し支えない気がしますが、それでもやはり薬は薬です。
妊娠中の目薬がおなかの赤ちゃんや母体に悪影響を与えるのであれば、目薬の使用は差し控えたいと思うのは当たり前でしょう。妊娠中の目薬の使用は、使ってもいい目薬と控えるべき目薬があります。
市販薬は使用上の注意書きをよく読む
点眼薬の種類によっては妊娠中の女性に関する注意書きがあるものもあります。目のかゆみや充血、疲れ目などにより目薬を使いたいと思ったら、まずは使用の注意書きをきちんと読み、妊娠中でも使えるかどうか確認することが絶対に必要です。また、薬剤師に相談することも大切です。
妊娠中でも使えるものであればとくに問題はないかと思われますが、できるだけ医師の処方したもの、薬剤師のアドバイスによるものを使うことが安心につながります。
医師の処方した目薬を使う
妊娠中に使用する薬に関しては、かかりつけの医師から処方してもらうことが原則です。
また反対に妊娠中の使用は控えるべきと注意されている成分でも、状況により医師の判断次第で処方されるものもありますので、なにかあったら市販薬に頼るのではなく、どんな症状でもまずは医師に相談するほうがベターです。
どんな症状があるのかを詳しく説明した上で、病院で医師から薬を処方してもらうほうが安心です。
妊娠中に注意が必要な目薬について
妊娠中に控えたほうがいいとされる目薬の成分について挙げていきましょう。目薬に含まれる有効成分の量はごく微量ですので、内服薬ほど神経質になる必要はないといわれています。
ただし目のかゆみや充血といったありふれた症状の緩和に使用される市販薬の中にも、妊娠中や授乳中は使用できない、という注意書きのある目薬があります。どんな成分が問題になる可能性があるのか、詳しくみて見ましょう。
抗炎症物質を含むもの
目のかゆみ、涙目、充血といった目の炎症を抑えるために使用されている抗炎症成分に、プラノプロフェンがあります。この成分は妊娠中の女性への安全性がいまだに確立されていないため、使用するのは有用性がリスクを上回るときだけに留めます。
プラノプロフェン以外にも、ステロイド剤や抗菌剤に中にも妊婦さんや幼児に対する安全性が医学的に確認されていないものがあります。アレルギー性の目のかゆみや涙目といった症状が出た場合は、産婦人科で目薬を処方してもらうようにしましょう。
緑内障の目薬
緑内障の目薬の中にも妊娠中の安全性が完全に確立されていないものがあります。緑内障の目薬に含まれる成分タプロスやアイファガンに関しても、プラノプロフェン同様、有益性が危険性を上回る場合、医師による処方を受けて使用することになります。
プラノプロフェンにしても、タプロスやアイファガンにしても、医師の判断次第では妊娠中もそのまま使用することもあります。あくまでも安全性が確立されていないということで、使用すると必ず危険が生じるわけではありません。
目薬は使用する量がごくわずかであり、しかも眼球から鼻を通って体内に吸収される量はそれよりもさらに少量。つまり妊娠中や授乳中にこれらの目薬を使ったからといって、必ず問題が生じるというわけではなさそうですが、絶対に安全であるという証明もありません。
妊娠中に緑内障の目薬を使用することに関しては、眼科医によって見解が異なりますので、不安なことや分からないことがあれば、眼科医だけでなく産婦人科医にもよく相談するようにしましょう。そのまま使い続けることが不安な妊婦さんに対しては、効果は同じで、効き目のより弱い薬に変更してくれます。
結膜炎の目薬
急性結膜炎やその他の炎症の治療に用いられる成分に、フルメトロンやクラビットがあります。フルメトロンはステロイド、クラビットは抗菌作用のある物質ですが、これらの点眼薬についても使用上の注意書きとして妊娠中の使用は注意すべき、との記載があります。
ただしその他の点眼薬同様、これらの結膜炎の点眼薬に関しても、長期間にわたって頻繁に使用する以外には問題ないと判断する医師もいます。結膜炎の治療としてどのような目薬を、どのような回数で使うかは、診察する医師の判断にかかっています。処方された目薬について疑問なことがあれば、その安全性やリスクなどについて尋ねるようにしましょう。
妊娠中の薬の服用について
上記でご紹介した妊娠中に目薬を使っていいの?悪いの?という疑問は、使ってもいい目薬と控えるべき目薬があります。一般的な薬の妊娠中の服用についてもご紹介しておきましょう。
妊娠中は市販薬の服用に関しては十分な配慮が必要です。内服薬の種類によっては、妊婦さんだけでなくおなかの赤ちゃんに対しても害を及ぼす可能性のある成分があります。
自分で妊娠していることに気がつかない時期に、うっかり市販の風邪薬などを飲んでしまい、妊娠が分かってから赤ちゃんへの影響を心配してしまう。こんな経験をする妊婦さんも少なくありません。妊娠中に不安な思いをしないためにも、妊娠中の薬の服用に関する正しい知識を養っておくことが必要です。
妊娠中に薬を飲む際の注意事項
風邪を引いたり、発熱したときでも、妊婦さんの自己判断で勝手に置き薬を飲むことは慎むようにしましょう。産婦人科と直接関係のない症状であっても、妊娠中はかかりつけの産婦人科に申し出て、薬を処方してもらうことが基本になります。万が一市販薬を飲む場合には服用の注意書きをよく読み、妊娠中の服用に関する警告がないかどうか確認することが重要です。
また既往の病気のために薬を服用している方は、妊娠が分かったらすぐにそのことを産婦人科医に伝えるようにしましょう。妊娠中に服用を差し控えたほうがいい薬があれば、医師のほうから指示があります。
医師から服用を継続するように指示されたものは、妊娠中であってもきちんと服用することが大切です。医師から問題ないといわれたにも関わらず、薬の副作用を根拠なくおそれるあまり、妊婦さんの勝手な自己判断で服用をやめてしまうことにはリスクがあります。妊娠中の薬の服用に関して疑問なことがあれば、最初に必ず医師に確認しておきましょう。
絶対過敏期とは?
おなかの赤ちゃんへの薬の影響に関しては、妊娠週によってもたらさせる影響の大きさの違いがあります。もっとも深刻な影響が及ぶ時期とは、妊娠4週目から7週目、つまり妊娠2ヶ月目ということになります。この時期は胎児の器官が形成される大事な時期で、薬により赤ちゃんに深刻な問題が生じるリスクがいちばん高く、絶対過敏期と呼ばれています。
病院で妊娠検査が受けられるのは妊娠5週目以降。つまり妊娠4週目ではまだ妊娠に気がついていないケースも考えられます。妊娠したと分かってから後悔しないためにも、妊娠を希望している方は普段から薬の服用について慎重に当たるようにしてください。
妊娠8週目以降出産までの相対過敏期
妊娠8週目から15週目までは相対過敏期と呼ばれています。妊娠7週目までに比べるとリスクは少なくなりますが、胎児の先天性奇形の可能性がまったくないわけではありません。7週目までに引き続き、服用する薬に十分注意するようにしましょう。
妊娠中の目のトラブルは
妊娠中の薬の服用についての概要について見てきましたが、では目薬についてはどうでしょうか?妊娠中は免疫力が低下していることもあり、目のトラブルも生じやすくなっています。疲れ目や結膜炎などの症状も多く見られるようになります。
妊娠中は目のトラブルが多くなる?
妊娠前はほとんど感じなかったにも関わらず、妊娠すると目にトラブルを感じることがあります。疲れ目や眼精疲労、目のかすみや乾燥、違和感だけでなく、視力の低下を感じる妊婦さんもいるようです。
産前・産後に目のトラブルや視力低下に悩む妊婦さんは決して少なくありません。目のかすみや疲れ目など、妊娠するとどうして目のトラブルが生じやすくなるのでしょうか?
妊娠中の目のトラブルの原因とは?
妊娠中の目のトラブルの主な原因は、女性ホルモンバランスの変化や免疫力の低下にあると考えられます。妊娠中はプロゲステロンとエストロゲンという二つの女性ホルモンの分泌量が増え、それにともない体にはいろいろな変化が起こります。免疫力の低下や血流の増加もそのひとつで、これにより目に炎症や充血などが起こりやすくなっています。
ストレスや自律神経バランスの崩れ、つわりや体型の変化による体力の消耗、運動不足なども、妊娠中の目のトラブルの一因。妊娠中の目のトラブルはこれらの要素が絡み合って生じるもの。妊婦さんの目のトラブルは対処法を心得ておくことが大切です。
妊娠中の疲れ目やトラブルの予防対策
免疫力の低下する妊婦さんは、些細なことで炎症やかゆみを起こしやすくなっています。結膜炎や目のかゆみ・充血といった不快な症状を少しでも軽減するには、効果的な予防法や対処法を知っておくことが必要です。
妊婦さんなら誰しも、おなかの赤ちゃんや母体に対してごくわずかでもリスクのある薬の服用は避けたいと考えるものです。
妊娠生活をできるだけ健康に、薬を服用する必要に迫られずに過ごすには、それなりの対処法・予防法を把握しておかなければなりません。目のトラブルの予防・改善に効果的な方法について見ていきましょう。
スマホやパソコンの利用はほどほどに
医師に安静を命じられたわけではなくても、妊娠中はいろいろな理由により、妊娠前に比べると外出の機会が減ります。つわりや体調不良、どんどん大きくなっていくおなかを抱えて、外出がままならないため、自宅でついついスマホやパソコン、テレビにばかり向かってしまう方もいるでしょう。
疲れ目や充血の改善・予防にはスマホやパソコンに向かう時間を出来るだけ少なくすることが肝心。スマホやパソコンは時間を制限し、長時間続けて行わないようにしましょう。
食事内容に配慮する
疲れ目を改善するのに効果のある食材を積極的に食べるようにしましょう。疲れ目に効果のある栄養素と言うと、ビタミンAやB群。ビタミンAは涙の生成を助ける作用があり、ビタミンB群は相互作用で視神経を高めてくれます。
他にも亜鉛やビタミンC、E、DHAなど、目にいい栄養はたくさんあります。どれかひとつの栄養素を集中して摂るのではなく、出来るだけ多くの食材を少しずつ摂り入れるようにしましょう。
目の周りを温・冷パック
目がしょぼしょぼしたり、焦点がぼやけたりする場合には、蒸しタオルで目のまわり全体を温めると楽になります。反対に目の充血や眼球の奥が熱っぽい場合には冷やしたタオルでアイスパックをすると効果的です。
ホットパックは血管を拡張しますので、目のまわりの凝り固まった血流を促進、アイスパックは血管を収縮させますので、熱っぽくなった目をひんやりと冷やし、腫れを鎮めてくれます。
ホットパックにするか、アイスパックにするかは、目の症状によって決めますが、眼精疲労がひどい場合には、ホットパックとアイスパックを交互に行っても効果的です。
まとめ
妊娠中の目薬の服用について知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。目薬は体内に入る量も少なく、妊婦さんが使っても差し支えないものが大半ですが、種類によっては妊娠中は控えたほうが良いものもあります。
妊婦さん本人だけでなく、おなかの赤ちゃんの安全のため、たかが目薬と考えず、服用に当たっては服用の説明書をよく読み、気になることがあれば医師に確認してから使用しましょう。
※参考 日本産婦人科医会 妊婦の薬物服用
※参考 プラノプロフェン詳細