妊婦生活は、つわりがひどい時期があっても、お腹のなかですくすくと赤ちゃんが育って楽しいものです。しかし、ふとこの先のことを考え始めることもあるのではないでしょうか。
妊婦にとって気になるのが、里帰り出産です。安心して産みたい。産前や産後はゆっくりと過ごしたい。そんな妊婦に里帰り出産は支持されています。そこで、里帰り出産において知っておきたいこと、そして注意点についてご紹介していきたいと思います。
里帰り出産とは
里帰り出産とは、自分の住んでいるエリアで産むのではなく、実家に里帰りして出産するスタイルのことを言います。
祖母、母と代々同じ産婦人科で出産しているという家もありますし、生まれ育った家で安心して過ごしたいということから、里帰り出産は支持されています。
里帰り期間は いつからいつまで
里帰り出産で家を空ける期間は、平均するとどのくらいなのでしょうか。多くの妊婦が、遅くとも妊娠9か月~臨月には里帰りし、出産後1か月検診を受けてから自宅に戻るようです。
つまり、約2か月ちかく家を空けることになります。夫は家事が得意ではない、またする時間がないという場合は、さまざまな対策や準備をしておかなくてはなりません。
簡単な食事を大量に作り、冷凍保存しておく。週に1回ハウスクリーニングを申し込んでおく。また夫の実家に面倒を見てもらう、ということです。そのようなサポートがなければ、夫はあっという間に根をあげてしまうでしょう。
里帰り出産いつからは旦那さんと話し合う
里帰り出産をすると決めたら、夫と里帰り出産で家を空ける期間についてよく話し合うようにしましょう。なぜなら、家を空けている期間によって、あとあとケンカになる可能性が高いからです。
妊婦としては、実家で安心して出産できるのでメリットは多いですが、夫からすればずっと一人にされて、出産してもなかなか会えないという現実が待っているからです。
また、仕事が忙しい人の場合、食事や洗濯などが追い付かないことも多い為、どちらかというと夫側の負担が大きくなってしまいます。だからこそ、里帰り出産の期間を、あらかじめ決めておくと安心なのです。
里帰りが出来なくなるケースは?
里帰りを希望していたとしても、急な体調の悪化で医者がOKを出さないケースがあります。例えば急な切迫早産だと、体調が安定するまで入院しなければなりません。
その時に医者が里帰りは難しいという判断を下した場合、なるべく早く里帰り先の病院へ予約キャンセルの電話をしましょう。里帰り先の病院もこのキャンセルに対してトラブルを起こす事はありませんので、不安になって連絡が遅れてしまうよりは一刻でも早く連絡する方が大事です。
また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になってしまった場合はハイリスク妊婦として里帰り先の病院に断られるケースもあるので、気になる方は予約する際に確認してください。
里帰り出産の準備
里帰り出産は、どれくらいの時期に里帰りするものなのでしょうか。里帰り出産をするなら、まず実家近くの産婦人科で里帰り出産を受け入れているかどうかを確認しなくてはなりません。
遅くとも妊娠20週目で出産予約は済ませておきましょう。臨月にあわてて連絡して出産というのでは、妊娠期間中の経緯を十分に把握できていないため、安全な出産をサポートできない可能性があるからです。
また、自宅近くの産婦人科には妊娠中の経過を伝えるための書類をそろえてもらいましょう。紹介状として作成されることが多く、5000円くらいかかります。
里帰り先の病院にまずは電話
実家へ帰る時期を決めたら、次は里帰り先で出産する病院を探しましょう。ネットで実家近くの病院を検索する以外にも、地元の友人や親戚の中で出産経験がある方からの口コミも大きなポイントです。
やはり経験した方からの情報が一番確実かもしれませんね。病院の目安がついたら、すぐに予約を入れるのではなく一度電話をしてみましょう。分娩・入院費の支払い方法や予約の仕方・分娩予約方法など詳細な部分が確認できると同時に、病院側の対応の仕方や雰囲気なども掴めます。
周りがいくら良い病院だと言っても気になる点があれば、それがストレスの原因になってしまいかねません。話をしてみて、自分がよさそうだと思った病院を選ぶのが一番です。
里帰り先の病院で検診する時期
里帰り出産をするなら、妊娠34週には実家近くの産婦人科で一度経過を見てもらっておきましょう。
遅くとも妊娠35週目には受診しておくべきです。つまり、妊娠9か月目にはもう里帰りしていることになります。
里帰りする前に揃えるものは
里帰り出産をする前に、するべきことはたくさんあります。母子手帳や印鑑など出産時に必要な書類は揃えておきましょう。また、出産後に着る衣服や、ベビーカーなども準備しておかなくてはなりません。
実家に帰ってから選べばよいと考えている妊婦の方も多いようですが、その結果、夫が取り残された気分になり、あとあとケンカになったというケースもあります。二人の赤ちゃんですから、できるだけ二人で選ぶようにしましょう。
実家に持っていくものは最低限に
里帰りの平均期間は約2ヶ月と長いので、里帰り準備にあれもこれもと荷物に加えてしまう方も少なくありませんが、帰る時の事を考えるとなるべく最低限に止めておいた方が良いでしょう。
なぜなら出産後はどうしても赤ちゃん用品が増えてしまうからです。ベビー布団やベビーバスなど大型のものはもちろんですが、その他にもオムツや哺乳瓶など細々した赤ちゃん用品が必要になってきます。
元々持ってきた荷物が多い上にこれらのものがプラスされると、帰りの大変さが目に浮かびますね。自分や赤ちゃんの服は最小限にして、必要不可欠な母子手帳・保険証・お金・デジカメ・新生児服一着さえあれば後で揃えても良い、というくらいの気持ちでいた方が持っていく荷物に悩む事もないでしょう。
里帰り出産のメリット
里帰り出産することで、妊婦は安心して出産体制に入ることができます。なぜなら、自分を生んだ母親が先輩としてそばにいてくれるので、気兼ねなくアドバイスを求めることができるからです。
また、臨月に入るとお腹が大きく、家事をこなすのは大変です。しかし、もう一人主婦をしてくれる母親がいるので、安心して任せることができるでしょう。
さらに、出産後は身体が不安定な状態が続きますが、母親がそばにいるので自分の体調優先にすることができます。赤ちゃんの扱いにも慣れているので、どう対処すればよいのか、すぐにアドバイスしてもらえるでしょう。
里帰り出産のデメリット
里帰り出産をすることは、良いことばかりではありません。デメリットもありますので、ご紹介しておきましょう。まず、里帰り出産することにより、夫が独りになってしまいます。
一緒に妊婦生活を支えてくれた分、急に置いて行かれたような気分になり、不安になることが多いようです。また、里帰り出産の期間が長ければ長いほど、父親という感覚が薄れていきます。
出産時に立ち会い、赤ちゃんを抱っこしたとしても、またすぐに離れてしまうので、父親としての自覚が育たなくなってしまうのです。また、里帰り出産をしている期間に、寂しすぎて浮気をしてしまう男性もいるようです。
このことからも、夫の性格をよく見極めたうえで、里帰り出産を決断するべきだと言えるでしょう。
里帰り出産で母親とケンカ!?
里帰り出産で、実家に来たからもう安心。それなのに、母親が厳しく言ってきてついイライラしてしまう。
実はこういうケースは多々あるのです。母親としては、出産の経験があるため、良かれと思って言っているのですが、初めての出産でデリケートになっている妊婦にとっては、負担に聞こえてしまうこともあるようです。
また、親の世代は、妊婦が安静にしていると「怠けているから働かせなくてはならない」という風潮があったため、身重の体を動かそうとさせます。それが、現代の妊婦の扱いと大きく違うため、ケンカになってしまうようです。
自宅に帰りたくなくなった場合は
里帰り出産で、久々に実家に戻り、いざ自宅に帰る日が近づいてくると、急に心が不安定になる妊婦が増えてきます。それは、これから一人で母親としてやっていけるかと言う不安が襲ってくるからです。
里帰り出産では、実の母親が手取り足取りサポートしてくれますが、自宅に戻ればそれを全て一人でこなさなくてはなりません。また、結婚以来、長い期間実家に帰ったことから、里心がついてしまうことも多いと言います。
里帰り出産の期間が長引けば長引くほど、自宅に帰りづらくなることもあるので、1か月検診を目安に自宅に戻るのが良いでしょう。
意外と大変な産後の手続き
さて、里帰り出産には、メリットもあればデメリットもあります。どちらの要素もありますが、意外と大変なのが、出産手続きなのです。里帰り出産では、母子手帳を持って実家に帰り、出産しますが、出生届は自宅近くの市役所で行わなければなりません。
その際、母子手帳が必要になるため、急いで夫に送らなければならないのです。土日を挟んでいたり、夫との連結がうまくいきにくかったりする場合、手続きがバタバタになることが多いようです。
また、書類の不備があれば受理されませんので、必要な手続きと書類を里帰り出産する前に、夫とよく確認しておくと安心でしょう。
実家にお礼はする?しない?
里帰りするにあたって気になるのが謝礼ですね。約2ヶ月もお世話になって食事や産後の赤ちゃんの世話まで全てお願いするのですから、帰る前には何かお礼をと考えるのは普通です。
しかし親の目から見れば、自分の娘が大変な時に手伝うのは当たり前と思っているのですから、謝礼を水くさいと思うご両親も多いはずです。また日本人はおおっぴらにお金の事を話したりしないので、娘に妊娠中の労働の対価を求めるようで嫌だと思う方も多いでしょう。
食費や検診の際のガソリン代・家電買い替えなど、お金ではなく金額分の物にするとご両親も受け入れやすいので、お礼がしたい方はこちらがお勧めです。
ここまでのまとめ
里帰り出産について幅広くご紹介しました。さまざまなメリット、デメリットがありますが、大切なのは早めに決断するということです。間際になって急に里帰り出産を選択することは難しくなりますので、早めの段階で夫と実家と話し合い、決めておくようにしましょう。
里帰り出産は、親孝行でもあり、夫の試練でもあります。しかし、妊婦が心地よく出産することが第一ですので、自分の気持ちを最優先にしてください。