妊娠初期の眠れないときに知っておきたいこと

妊娠初期の眠れない(不眠)ときに知っておきたいこと 症状 原因 対処方法 など 妊娠初期

妊娠初期は妊娠に伴う急激なホルモン分泌の変化により、体にさまざまな変調をきたします。睡眠に関する不調やトラブルもそのひとつ。

妊娠初期には眠気や倦怠感、熱っぽさといった症状も顕著ですが、同時に夜眠れない、寝つきが悪い、何度も目が覚める、熟睡できない、早朝に目が覚めてしまう、など睡眠に関する悩みも多くあらわれる時期。つわりもひどく、その上夜眠れないのは辛いもの。妊娠初期を上手に乗り越えるためには、妊娠初期に眠れない原因や対処方法を知っておく必要があります。

妊娠初期はおなかの赤ちゃんの器官が形成される大切な時期。どうしたら質の良い睡眠を取れるのか?妊娠初期の不眠対策など、妊娠初期の眠れない不眠について、知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。

妊娠初期の体と心の状態について

妊娠が成立すると体にはさまざまな変化が起こります。乳腺が発達することにより起こる胸の張りや痛み、女性ホルモン分泌の変化による体のだるさや熱っぽさ、疲れや眠気。また体の変化だけでなく、妊娠は精神的にも大きな変化を引き起こします。

妊娠初期の体調不良やストレス

妊娠初期の体調不良やストレス

妊娠を待ちわびていた方にとって、妊娠成立はとっても嬉しい出来事ですが、つわりや体調不調によりストレスを抱えてしまうこともあります。妊娠すると食生活や生活習慣にさまざまな制約が出てくることも精神的なプレッシャーに拍車をかけます。

妊娠中は避けたほうがいい食べ物・飲み物、生活習慣を正すこと、体重管理を厳重にすることなど、日常生活を送る上で注意しなければならないことがたくさん。これらに加えて妊娠初期のつわりにより、食事の時間やタイミングの乱れ・食欲減退、さらには胃腸のトラブルや体力の低下も生じます。

このように妊娠初期は体調が乱れ、精神的にもプレッシャーを感じやすい時期。つわりで気分が悪いこと、体にだるさを感じること、無意識にストレスを感じることから、体を動かす機会や昼間の外出が減り、自律神経のバランスも乱れます。妊娠成立から安定期に入るまでの間は、妊婦さんの多くは体調不調とストレスに悩まされます。

妊娠初期の不眠の症状

妊娠初期の不眠の症状

妊娠初期はだるさと眠気を感じる妊婦さんが多い一方で、眠れないという悩みを抱える妊婦さんも同様に大勢います。妊娠初期に体と心に生じる変化についてはすでに述べましたが、食欲の変化同様、睡眠トラブルに関しても妊婦さんひとりひとり症状が違ってきます。妊娠初期の眠れない症状について詳しく挙げてみましょう。

睡眠トラブルの種類について

睡眠障害とまではいかなくとも、妊娠中はさまざまな原因により睡眠トラブルが生じやすくなっています。睡眠トラブルの症状のあらわれ方にはいろいろな種類があります。妊娠初期の眠れない症状を分類してみました。

寝つきが悪い

寝つきが悪い

寝ようとしてもなかなか眠ることができない状態を指します。この状態は入眠障害と呼ばれるもので、布団に入って1時間以上たっても眠りに入ることができず、結果として睡眠不足になります。

何度も目を覚ましてしまう

何度も目を覚ましてしまう

夜間何度も目を覚ましてしまう状態を中途覚醒と呼びます。夜間に何度も目が覚めてしまい、十分な休養が取れず、翌日まで疲れを持ち越してしまいます。

熟睡できない

熟睡できない

睡眠時間は十分であるにもかかわらず、熟睡した感じが得られない状況をさします。これは不眠症のうち熟睡障害と呼ばれるもので、眠りが浅く、たくさん寝ても芯から疲れが取れない感じがつきまといます。

早朝に目が覚めてしまう

早朝に目が覚めてしまう

起きようと思っている時間よりも数時間早く目が覚めてしまい、その後眠りにつくことができない状態を指します。これは早朝覚醒と呼ばれる睡眠トラブルで、いったん目が覚めてしまったら最後二度寝できません。

妊娠初期の不眠の原因について

妊娠初期の不眠の原因について

妊娠前はたっぷりと良質の睡眠を取れていたのに、妊娠した途端に急に眠気に襲われたり、逆に眠れなくなる、妊婦さんの多くが経験する睡眠トラブルの典型例です。どうして妊娠初期に睡眠の質が低下してしまうのか、その原因をいくつか挙げてみましょう。

プロゲステロン分泌の変化による影響

エストロゲンとプロゲステロンの分泌の変化は、女性の生理機能を司っています。排卵後に受精・着床が起こらなかった場合にはプロゲステロンの分泌は減っていきますが、妊娠が成立した場合にはプロゲステロンの分泌量は増えたまま。妊娠8ヶ月から9ヶ月目まで分泌量が増えたまま推移し、その後分泌量は減って生きます。妊娠初期の不眠の原因はこのプロゲステロンにあります。

プロゲステロンのはたらきと睡眠の関係

プロゲステロンには基礎体温を上げるはたらきがあります。このため熱っぽさ、だるさ、眠気を感じます。妊娠初期に昼間うとうとと眠くなってしまう原因は、このプロゲステロンのはたらきにあります。

プロゲステロンのはたらきにより眠気を感じるのであれば、不眠にはならないような気がしますが、実際にはプロゲステロンは夜間の睡眠の質を低下させます。

睡眠と体温の関係

睡眠と体温の関係

人間の体は眠りに入ろうとすると、体温を調節し、代謝機能を下げていきます。体の深部の温度が低いほど眠りに入りやすくなり、また睡眠の質自体も良くなります。つまり体温が下がったほうが眠りにつきやすいのですが、妊娠初期はプロゲステロンのはたらきにより、体温は少し高い状態にあります。体温が高くなっているため、寝つきが悪い、これが妊娠初期の寝つきの悪さの原因です。

トイレが近くなるため

トイレが近くなるため

妊娠中期や後期になると子宮が大きくなり、膀胱を圧迫することにより頻尿になりますが、妊娠初期の段階からトイレが近くなる妊婦さんもいます。膀胱は子宮のすぐ近くにあり、胎児の成長とともに徐々に大きくなってくる子宮に圧迫され頻尿になります。夜間なんどもトイレに行くため、目が覚めてしまい、まとまった睡眠を取ることが難しくなります。

自律神経のバランスの乱れ

自律神経のバランスの乱れ

つわりで気持ちが悪く体調が優れないことから、体を動かすことが億劫になる妊婦さんもいます。体調の悪さ、つわりのムカムカ、運動不足などの悪条件が重なり、知らず知らずにストレスを溜めてしまうことも珍しくありません。ストレスにより交感神経と副交感神経のバランスが乱れることにより、上に挙げた不眠障害があらわれます。

昼寝のため

昼寝のため

妊娠中はいろいろな原因により、夜間の睡眠の質が低下します。夜間十分な睡眠時間が確保できないため、昼間に眠気を感じることが多くなり、昼食後の昼寝を日課にする妊婦さんも大勢います。

妊娠中の昼寝は体力の消耗を防ぎ、気分をリラックスさせるのに効果的ですが、時間に制限を設けずに寝すぎてしまうと、夜寝つきが悪くなるというデメリットがあります。夜間の睡眠不足を補うために、昼間寝すぎてしまうことも妊娠初期の不眠の一因になります。

妊娠初期の不眠の対処法について

妊娠初期の不眠の対処法について

妊娠初期に眠れない原因や症状についてみてきましたが、今度はその対処法についてみていきしょう。夜間睡眠を取れないために昼寝をしすぎると、睡眠不足が解消されるどころか、昼夜の感覚が逆転してしまい、睡眠不足の悪循環に延々とはまってしまいます。妊娠初期の不眠の効果的な対処法を知っておくことが大切です。

昼寝の時間を制限する

昼寝の時間を制限する

夜間の睡眠不足を補うために昼寝をするのは差し支えありませんが、たっぷり昼寝をすると夜の寝つきが悪くなります。昼寝をする場合には午後遅くまで寝ることがないよう注意しましょう。

起床後朝日を浴びる

起床後朝日を浴びる

体内時計は睡眠と覚醒のリズムを整えてくれます。体内時計のずれはそのまま睡眠トラブルにつながりますので、体内時計がきちんとはたらくようにリセットすることが大切。体内時計は起床後朝日を浴びることによりリセットできるといわれています。朝日を浴びることにより、ずれていた体内時計を再び正常なリズムに戻すことが可能です。

また日光を浴びることにより、セロトニンという物質の分泌が促されますが、これは睡眠ホルモンメラトニンの生成に必要な物質です。日光を浴びることにより体内時計がリセットされ、睡眠・覚醒のリズムが正常な状態に整えられま。※参考1

昼間体を軽く動かす

昼間体を軽く動かす

日光を浴びることと同時に体を動かすことも睡眠リズムの安定につながります。妊娠初期はつわりで体調が悪く、体を動かす気にならない方も多いかと思われますが、買い物ついでの散歩や軽い体操など、無理しない程度に体を動かすことにより、自律神経のバランスの乱れを整えることができます。

妊娠したからといってまったく体を動かさないのは、体重管理の面から考えても問題です。産婦人科医からのストップがかかっている場合は別ですが、それ以外の場合は無理のない範囲、妊娠の状態にさしさわりのない範囲で体を動かすようにしましょう。

規則正しい食事

規則正しい食事

妊娠初期はつわりのためにどうしても食欲が減退します。これとは反対に空腹になると吐き気を催すことから、時間を置かずに食べ続けてしまう妊婦さんもいます。いわゆる食べつわりと呼ばれる症状です。

またホルモン分泌の変化やつわりにより、食べ物の嗜好に変化が起こり、食べられない物・飲めないものが増えてしまい、毎日同じメニューになることもあります。

食事をしても吐いてしまう、食べ物を見ただけでムカムカする、飲み物ばかり飲んでしまい、空腹感を感じないなど、食事時間が不規則になるばかりか、最低限必要な 栄養素さえ摂れない方もいます。

できるだけ規則正しく食事をとる

つわりで食事時間・内容が不規則になるのはある程度仕方ありませんが、だからといってカロリーの高い食べ物だけを、好きな時間に好きなだけ食べていると、妊娠初期から体重管理に失敗してしまいます。

できる範囲で栄養バランスに気を使い、必須栄養素を盛り込んだ食事内容を心がけましょう。食事と睡眠は一見すると無関係のように感じますが、どのような食事をどのようなタイミングでとるかは、睡眠リズムの安定に大きく影響してきます。できるだけ規則正しい食生活を心がけましょう。

ストレスを軽減する努力をする

ストレスを軽減する努力

ストレスや疲れもまた睡眠の質の低下につながります。つわりで食事が満足にとれないことや体調の変化により、知らず知らずにストレスを溜めてしまう妊婦さんもいます。ストレスや疲れが溜まらないよう、好きなことをする時間も作るようにしましょう。

就寝前に部屋の環境を整えるを設ける

就寝前に部屋の環境を整えるを設ける

良質の睡眠をとるには部屋の環境を整えることも大切。就寝前には部屋の照明を落とし、安眠しやすい環境を整えましょう。室温にも注意し、暖めすぎないようにします。

眠りに入る前に、体は手足の末端から熱を逃がすことにより体温を下げようとします。このとき室温が高すぎると手足の先から熱をうまく逃がすことができずに、体の深部の温度を下げることができません。湿度に関しても適度な湿度に設定するようにしましょう。

自分なりの入眠儀式を考える

自分なりの入眠儀式を考える

心落ち着く静かな音楽を聴く、リラックスできるアロマアイテムを部屋に置く、就寝前に温かい飲み物を飲む、好きな本を読むなど、心から安らげることを就寝前の日課として行うようにします。

毎日就寝前に同じことを繰り返すことにより、眠りにつきやすい習慣が身につきます。自分なりの就寝前の儀式を意識的に作り、習慣化してみましょう。

注意!眠れないときの睡眠薬の使用

妊娠初期、特に妊娠4~7週は赤ちゃんの先天性異常の可能性に対し、薬の成分への過敏性が最も高い時期です。この時期以降でも薬の種類によっては服用を避けるべきものがあるので、妊娠中はどのような薬であっても安易に服用すべきではない、もしくは必ず医師の処方・確認の上での服用をすべきであると言えます。

妊娠中服用を避けるべき薬には睡眠薬が含まれているので、この時期不眠で辛いとしても薬以外の方法で頑張って対処していきましょう。

妊娠前から睡眠薬の服用を続けている方や、不眠が続いて体に悪影響が出るような時は、必ず医師と相談して対策を検討してください。

まとめ

妊娠初期の眠れない症状について、その原因、症状、そして対処法など知っておきたいさまざまな情報ををご紹介しました。妊娠初期はつわりがあり、どんなに妊娠が順調に進んでいても体調を崩しやい時期。吐き気や頭痛だけでなく、睡眠に関するトラブルも多く発生します。

妊娠中は普段にも増して、良質な睡眠、滋養のある食事、そして規則正しい生活習慣を心がける必要があります。妊娠初期に寝られない場合の効果的な対処法をきちんと身につけておきましょう。

※参考1 厚生労働省 睡眠対策 健康づくりのための睡眠指針

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