臨月の運動について知っておきたいこと

臨月の運動について知っておきたいこと 出産

妊婦生活も終盤に差し掛かってくると、いよいよ出産のカウントダウンを日に日に強く感じるようになります。特に、初めての出産となる方の場合、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

できることなら出産はできるだけスムーズに、安産で無事に済ませたいと願う方がほとんどだと思いますが、スムーズな出産は臨月の過ごし方によって大きく影響します。

特に臨月の運動は安産の大切なキーワードです。ただ、運動のやり方を間違えると身体に負担となったり破水してしまったりする可能性があるため、細心の注意も必要です。そこで、臨月の運動について、詳しいやり方や注意点などさまざまな情報をご紹介していきましょう。

目次

臨月と正産期

臨月と正産期

 

臨月に入ると、医師から運動を促されることが多くなります。よく、臨月と正産期と混同する方がいらっしゃいますので、簡単にご紹介しておきましょう。

臨月とは

臨月とは、妊娠36週0日から39週6日にかけての期間のことを言います。妊娠10ヶ月としたカウントされることもあるでしょう。全体的な妊娠時期としては妊娠後期の最終になります。

ちなみに、出産予定日は40週0日として設定されるので、覚えておきましょう。

正産期とは

正産期とは、赤ちゃんやお母さんにとって出産に適した時期のことを言います。37週0日から41週6日にかけての期間を指しており、臨月とは期間が少し異なります。

37週に入ると、赤ちゃんの皮膚や肺呼吸の準備が整うため、いつ出産しても大丈夫だということです。36週未満だと、肺呼吸が難しく人工呼吸器をつける必要があったり、低体重で産まれてしまったりする可能性があるため、37週に入るまでは、安静に過ごすようにしましょう。

安産の為に臨月の運動はなぜ必要?

臨月の運動はなぜ必要?

臨月に入るまでは、基本的に安静に過ごすことが重要視されます。安定期を過ぎると切迫早産の可能性があるため、長時間の外出や旅行などは控えるように促されることが多いでしょう。

しかし、臨月に入った途端、医師の指示が「安静」から「積極的な運動」へと変わるため、そのギャップに戸惑うこともあるでしょう。臨月に入ってから運動が必要なのは、運動がお産に直結しているからです。

運動を勧める理由 分娩時の為

運動を勧める理由 分娩時

妊娠中に運動をするのは体重コントロールのためだけと思われがちですが、実際は出産時と産後にも大きく影響してきます。

分娩は、陣痛が起きて子宮口が全開大である10cmまで開いたら赤ちゃんを分娩する流れになっていて、分娩時間のほとんどは子宮口が全開大になるまでの時間が占めます。

陣痛は子宮という筋肉が収縮することによって発生しますが、ここで筋肉が衰えていると十分に収縮できず、陣痛が長引いて微弱陣痛となってしまいます。陣痛が長引けばその分赤ちゃんは苦しい思いをしますから、このような状況に陥らないように、前もって運動して予防するよう指導しているのです。

身体の状態を万全にしよう

身体の状態を万全にしよう

スムーズに安産で出産するためには、体力、筋力、柔軟性が身体に求められるようになります。そのため、適度な運動が必要になるのです。出産は、思っている以上に体力を使いますし、筋力が弱いことでいきむ力が出なかったり、柔軟性がないことで子宮口が開きにくくなったり骨盤や股関節が開きにくくなったりしてしまうため、身体を万全な状態にしておくことが重要になるのです。

ただ、臨月より前に運動を積極的に行ってしまうと、子宮が収縮して切迫早産を引き起こす可能性があるため、臨月までは安静にし、いつ産まれても大丈夫な状態が整ったら、身体にスイッチを入れて運動をしていくようにしましょう。

運動を進める理由 産後の為

運動を進める理由 産後の為

臨月の運動は、産後太りの解消や母乳量にも大きく関係します。出産後は骨盤が広がったままですが、これを元の位置に戻すのは骨盤周りの筋肉の役目です。

この筋肉が衰えていると、広がった骨盤に脂肪が溜まり体型が変化し産後太りが解消できなくなります。加えて、その位置は本来の位置ではありませんから、影響が全身の骨に及んでゆがみから来る様々な不調が発生しやすくなるのです。

それから筋力低下は血流が悪くなる原因で、血流が悪くなれば母乳量も少なくなります。出産後、母乳で育てたい方は臨月でも運動を継続していきましょう。

臨月にやるべき運動について

臨月にやるべき運動について

臨月に入ると、医師から積極的に運動をするように促されます。ただ、ひとまとめに運動と言ってもジョギングしたり特別なスポーツをしたりする必要はありません。臨月にふさわしい運動は、基本的に有酸素運動になります。

有酸素運動とは?

有酸素運動とは、息が切れない状態で一定時間続けられる運動のことを言います。代表的な有酸素運動として、ウォーキングがオススメと言えるでしょう。ただし、激しく行うのではなくゆっくり行うようにしてください。

同じウォーキングでも、一生懸命張り切り過ぎると息が切れて無酸素運動に切り替わってしまいますし、身体への負担も大きくなるからです。

有酸素運動と無酸素運動の違いの目安としては、呼吸を意識するようにしましょう。息が切れない位のスピードを意識するようにし、呼吸が早まってきたと感じたら休憩して整えるようにしてください。

また、一緒に歩いている人と会話ができる状態であることも意識しましょう。会話が続かないほど息が上がってしまう場合は、無酸素運動に切り替わりかけている可能性が高いので、一度足を止めて呼吸を整えるようにすることが大切です。

臨月のウォーキングについて

臨月のウォーキングについて

臨月の運動として、医師から積極的に進められる運動として、ウォーキングがあります。ウォーキングなら、スピードをコントロールしやすいですし、道具が無くてもすぐにスタートできる運動のため、多くの妊婦に促されます。ただ、ウォーキングを行う上で、いくつかの注意点がありますので、ご紹介しておきましょう。

整備された道を選ぼう

整備された道を選ぼう

臨月の運動としてウォーキングを行う場合、近所をウォーキングすることになると思いますが、できるだけ平坦な道で段差や木の根っこなどが張っていない整備された道を歩くようにしましょう。

足元が凸凹していると、ウォーキングしている最中につまずいて転倒してしまう危険性があるからです。臨月になるとお腹が大きくなって足元が見えにくくなるため、足場の悪い道は選ばないようにしてください。

長時間歩き続けない

長時間歩き続けない

ウォーキングをするときは、1回あたり30分くらいを目安にするようにしましょう。1時間も2時間も歩き続けると身体にとって負担となりますし、体力を消耗してしまう恐れがあるからです。

気分がいいからとどんどん遠くに足を運んでしまうと、帰ってくるときに疲れ切ってしまいますので、30分を目安に戻ってこられる距離でウォーキングするようにしてください。

持ち物について

持ち物について

家族と一緒にウォーキングすると安心感がありますが、ひとりでウォーキングすることもあるでしょう。そんな時は、携帯電話、母子手帳、保険証、水分補給のための水などを持っておくようにしましょう。

万が一外出先で破水や陣痛が起きても、携帯電話があればすぐに家族や病院と連絡を取ることができますし、母子手帳や保険証があれば、周りの人にかかりつけの病院を知ってもらうことができます。

また、ウォーキングをすると意外と身体の水分が失われてしまいますので、こまめに水分補給をすることも大切です。脱水症状になると、身体が重く感じたり疲労感が出てきたりするので、喉が渇く前に水分補給するようにしましょう。

荷物は斜め掛けのポシェットやリュックに入れて、両手を自由に使えるようにしておくことで、フォームも良くなりますし万が一ふらついた時もすぐに何かにつかまることができます。

雨や雪の日はお休みする

雨や雪の日はお休みする

ウォーキングは臨月の運動として最適ですが、雨や雪の日には行わないようにしましょう。足元が悪いことで転倒などの危険が高まるからです。

また、雨や雪が降っていることで傘を持つため片手が塞がり、不安定になった時にすぐに手を使えない可能性もあります。どうしても雨や雪の日に出歩かなければならない時は、家族に付き添ってもらうようにしましょう。

臨月の階段昇降について

臨月の階段昇降について

臨月の運動として、医師から階段昇降を薦められることもよくあります。階段を上り下りすることで、股関節や骨盤周辺の筋力をアップすることができるからです。階段昇降ではどのような注意点があるのか、詳しくご紹介しておきましょう。

動作はゆっくりと行う

動作はゆっくりと

臨月の運動として階段昇降を行う場合、必ず手すりを持ってゆっくりと行うようにしてください。臨月に入るとお腹が大きくなって足元が見えにくくなるため、階段を踏み外したり滑らせたりする可能性があるからです。一歩一歩しっかり着地点を確かめながら階段を上り下りすることで、安全に運動することができるでしょう。

明るく人が往来する階段

階段昇降する場合は、できるだけ明るく人通りのある階段を選ぶようにしましょう。明るいことで階段が滑りやすいかどうかやゴミが落ちていないかをチェックしやすくなりますし、万が一体調が不安定になっても、人通りが多いことですぐに助けを求めることができるからです。

息が切れない速度

階段昇降をする場合は、一気に登ろうとせず呼吸を整えながら上り下りするようにしてください。息が上がってしまうと無酸素運動になるだけでなく、脳への酸素量が減りフラフラして危険だからです。階段昇降をしている最中に、少し呼吸が乱れてきたなと感じたら、すぐに停止して呼吸を整えるようにしましょう。

臨月の水泳について

臨月の水泳について

臨月に行う運動として、水泳もオススメですが意見が分かれるのが水泳です。水泳は浮力があるためお腹が大きく動きにくい状態の妊婦でも、スムーズに運動を楽しむことができます。

水中ウォーキングは、地上よりも負荷が大きいのでゆっくりと無理なく行うようにしましょう。呼吸が乱れてきたら、休憩して整えるようにしてください。

長い時間プールに入り過ぎると、身体が冷えてしまう可能性があるので30分を目安に自ら上がるようにしましょう。また破水した時にきずかないことや、トラブルの時の対応を考えると水の中の運動を敬遠するの方も多いです。

臨月のスクワットについて

臨月のスクワットについて

外で行うウォーキングや階段昇降以外にも、自宅内でできる運動もあるのでご紹介しておきます。まず、医師から薦められるのがスクワットです。

スクワットは、股関節や骨盤周辺の関節を柔らかくするだけでなく、筋力アップにも役立ちますので、毎日行うようにしましょう。

脚を肩幅に開いてゆっくりと腰を落とし、太ももと床が水平に近づくように深く曲げるようにしてください。脚を開いている状態なので、意外とお腹の大きさが邪魔にならずにスクワットすることができるでしょう。息をゆっくり吸ったり吐いたりしながらスクワットを行うことが大切です。

今までスクワットをやった経験がない方は、回数を少なくして少しずつ身体を慣らしていくようにしてください。

臨月のストレッチについて

臨月のストレッチについて

自宅内でできる運動として、ストレッチも効果的です。ストレッチは筋肉の柔軟性を高めてくれますし、骨盤や股関節周辺を柔らかくしてくれるため、出産には欠かせない運動となります。

お風呂上りや身体が温まっているときに行うと、筋肉がほぐれやすいのでオススメです。また、硬い部分がある場合は無理をせずゆっくりと呼吸しながら少しずつ伸ばしていくようにしましょう。腰痛に響く場合は無理をしないようにし、座った状態や立った状態など楽な姿勢で行うようにすると安心です。

臨月におすすめしない運動

臨月に入ると、スムーズに安産で出産するために運動を薦められることが多くなります。ただ、臨月にふさわしい運動もあれば、臨月だけでなく妊娠中は行わない方が良い運動もあるので注意が必要です。どのような運動がやってはいけないのか、ご紹介しておきましょう。

身体に振動を与える運動

身体に振動を与える運動

妊娠中にやってはいけない運動として、縄跳びやトランポリン、乗馬など身体に振動を与えるものがあります。ジャンプをしたり乗馬で走ったりすることで、子宮に振動が伝わり子宮収縮を起こしてしまう可能性があるからです。

子宮収縮はお腹の張りに繋がりますし、最悪の場合破水してしまう可能性もありますので、妊娠中は行わないようにしましょう。

転倒の可能性がある運動

転倒の可能性がある運動

妊娠中にやってはいけない運動として、自転車や一輪車、団体スポーツなど転倒の可能性があるものがあります。自転車や一輪車は不安定になりやすく、万が一転倒したときの衝撃は大きいため、妊娠中は乗らないようにしましょう。

また、バスケットボールやフットサルなど、団体スポーツで行う競技は人とぶつかって転倒する可能性があるため、控えましょう。ボールを追いかける競技も、周囲が見えなくなって転倒する可能性があるため、控えるようにしてください。

運動によって破水の心配について

運動によって破水の心配について

臨月に入ると積極的に運動を薦められますが、心配なのが破水です。陣痛がまだ起きていない状態で破水してしまうと、母子ともに感染する可能性が高くなりますし、赤ちゃんの羊水が減って迅速な対応が必要になることもあります。

激しすぎる運動を行うと破水しやすいため、頑張り過ぎないようにすることも大切です。妊娠中は安静にしている期間が長いため、運動をするときは少しずつ身体を慣らして、様子を見ながら行うようにしましょう。

ここまでのまとめ

臨月の運動について詳しくご紹介しました。今まで安静に過ごすように言われていた妊婦にとって、臨月に入った途端運動を薦められるのは戸惑うかもしれませんが、いよいよ出産が近づいているという証でもあります。

無理をせず自分のペースで運動することが大切ですので、家族と一緒に楽しみながら行うようにしましょう。スムーズに安産でお腹の赤ちゃんと対面するためにも、臨月の運動を安全に行い、その日を迎えられるようにしてください。

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