妊婦の足つぼマッサージは控えるべき?その理由と対処方法

妊婦の足つぼマッサージは控えるべき?その理由と対処方法 妊娠中

妊婦は、つわりや身体のだるさ、腰痛、むくみなど、とにかく体調の変化に悩まされ続けます。一刻も早く今の辛い状況を緩和させたいと思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、妊娠中は足つぼなどのマッサージを控えるべきだという意見もあります。本当に妊婦は足つぼなどのマッサージを受けるべきではないのか、さまざまな視点から幅広くご紹介します。

妊婦に禁じられていることとは?

妊婦に禁じられていること

妊娠中は、通常の身体ではないため、妊婦にはさまざまな禁止事項が課せられます。無理な運動はしない、お酒は飲まない、薬も飲んではいけない、など、とにかく制限が多いのです。

その中で、できれば避けたほうが良いとされているものに、足つぼなどのマッサージがあります。特に足つぼは妊婦の身体に良くない影響を与える可能性があると言われているため、避ける妊婦の方が多いのです。

避けるべき理由や意見

避けるべき理由

足つぼを妊婦が避けるべきなのは、足の裏にたくさんのつぼが集まっているからです。基本的に足の裏はどの部分を刺激しても良いとされていますが、意としない作用をもたらす可能性があるため、避けたほうが良いと言われています。

例えば、妊娠初期に生理を促すつぼを刺激すると、流産する可能性がある、デトックス効果のあるつぼを押すと、赤ちゃんまで一緒に流れてしまうなど、いろんな意見があるのです。

意見1 女性ホルモン分泌量が増加?

足ツボマッサージの効果は、冷えやむくみ・頭痛・肩こりなど全身に及びます。女性の場合はこれらの症状が自律神経の乱れから来る事が多いのですが、この自律神経は脳の視床下部でコントロールされています。それだけでなく、視床下部にはホルモンを分泌する脳下垂体をコントロールする働きを持っているので、結果として自律神経と女性ホルモンがとても緊密に関わっているのが分かります。

妊娠中は女性ホルモン分泌量が増加するため自律神経も過敏になりやすく、そこに足ツボマッサージを行えば、効果が出すぎてしまう可能性が出てきます。足裏全体が自律神経の反射区のようになっているので、そこから妊娠中は足ツボマッサージを受けてはいけないという話が生まれたのでしょう。全て可能性の話です。

意見2 広い反射区でお腹のつぼ刺激

広い反射区でお腹のつぼ刺激

手足にはツボが集中していますが、それだけではなくある程度の面積がある反射区を持っています。ツボだけを押すのではなく、反射区を満遍なくマッサージする事でツボ押しと同様の効果を持つとして、リフレクソロジーでは反射区を重要視して足裏全体のマッサージを行います。

そのような反射区やツボといった専門的な事はその道のプロしか分かりませんので、妊婦さんやパートナーが大よその知識で足ツボマッサージをしてしまうと、面積が広い分知らないうちに子宮やお腹に関係する反射区を一生懸命マッサージしていた、なんて事にもなりかねません。その点からも妊婦の足ツボマッサージは避けるように言われているのです。

意見3 足裏は臓器とリンクしている

足裏の親指先から踵は、人体の頭から骨盤にリンクしていると言われています。両足裏をそろえると、両親指が頭で他の指とその付け根は鼻と目、両土踏まずの中央が胃、と言った風に上手くリンクされていて、最後の踵の部分は子宮や生殖器に当たります。

不妊治療を行っている方は、踵のマッサージで子宮の調子を整えるのはすでに当たり前となっていますが、妊娠している最中に子宮に働きかけるマッサージをすると反対にマイナス効果になる可能性も否定できません。また妊娠中は血液量が増加しているので、足ツボマッサージによる血行促進の効果も過剰となって、胎児にとっては逆効果になる事もあります。

意見4 たまたま初期流産

初期流産の確率

では、妊婦は流産するから足つぼをしない方が良いという意見が広まったのはなぜなのでしょうか。それは、偶然が関係していると言えます。妊娠初期は、身体が不安定な状態ですし、いつ何が起こっても不思議ではありません。

実際に初期流産を経験する妊婦は多く、安定期に入る前に流産することが多いのです。初期流産は、母体に原因があるのではなく染色体異常が原因です。つまり、卵子と精子のどちらかに不具合があったから、成長が止まり、流産となってしまいます。

しかし、たまたま初期流産と診断される数日前に足つぼに通っていた人達がいたから、足つぼが悪かったのではないかと、考えてしまったのではないでしょうか。誰でも初期流産はショックなものです。何かのせいにしたくなるというのも当然だと言えるでしょう。

つぼの影響の信ぴょう性

つぼの影響の信ぴょう性

足の裏には、確かにたくさんのつぼが集まっています。しかし、本当に流産してしまう危険性があるつぼなど存在するのでしょうか。確かに、子宮に刺激を与えるつぼや、生理周期を整えるためのつぼ、デトックス効果のあるつぼはたくさんあります。

しかしそれを押せば全員が流産してしまうとは言えないでしょう。もし、本当に流産してしまうことが確実なら、辛い思いをしてまで産婦人科で人工中絶しないはずです。このことからも、100%足つぼをすれば流産するとは言い切れないでしょう。

歩くことは刺激になる

歩くことは刺激になる

足つぼをすれば100%流産するというわけではない、という考えにはもうひとつ理由があります。それは歩くという行為そのものが、足裏のつぼを刺激しているからです。よく、便秘を解消したいなら歩きなさいと言われますが、それは歩くことで足裏のつぼを刺激しているなどの理由が関係しています。

特に裸足であるくことで腸のつぼが刺激されやすくなるため、便秘解消術としても知られています。歩いていれば必ず足裏は刺激されるのですから、足つぼを受けたからといって何か妊婦に重大な変化が起きるというのは考えにくいと言えるのです。

足ツボを押すメリットもある

足ツボを押すメリットもある

妊娠している時に足ツボを押すのは様々な条件が付いてしまい、どちらかと言うとデメリットに捉えられがちですが、時期によってはメリットもあります。

その時期とは陣痛や出産する時で、予定日を過ぎても陣痛が来ず過産期になりそうな場合に陣痛を早めたり、微弱陣痛で出産が長引きそうな時に、足ツボをマッサージしたり米粒を貼って圧迫し続けて子宮収縮作用を促進させます。ただ、陣痛誘発剤を使用する病院がほとんどで、足ツボで陣痛を強めるのは助産院や漢方を処方するような産婦人科に限るようです。

陣痛の際にトラブルがあったとしても陣痛誘発剤を使いたくないと考えている方は、予定日が近くなったら専門家の足ツボのマッサージを行ってみてはいかがでしょうか。

マタニティ専用の足つぼコースがある所で

マタニティ専用の足つぼコースがある所で

妊婦は足ツボマッサージはダメと言われても、あの即効性は捨てがたいものがあります。ただし妊婦全員がダメと言うわけではなく、時期や体調をきちんと選べば足ツボマッサージも問題ないので、自分の体調を見ながら行いましょう。

ただ、自分や家族にお願いしてマッサージを行う場合に、してはいけない場所にマッサージしてしまう事もあるので、気になる方はリフレクソロジーや鍼灸医でプロのマッサージをしてもらうのも良いでしょう。特に、マタニティ専用足ツボコースがある所ならベストです。もし無い場合は、マッサージを受ける前に妊娠中である事を伝えて店の指示を仰ぎましょう。

心配なら安定期から

心配なら安定期から

足つぼは好きだし、いつでも受けてみたい、でももしかしたら・・と考えると不安になるという方は、安定期に入ってから試すと良いでしょう。不安なまま足つぼを受けても、気持ちが安定しませんしかえってストレスになることも考えられます。

安定期なら胎盤も完成し、母体の状態も落ち着いていますので、心配なく受けることができるでしょう。ただし、安定期だから大丈夫だと、妊娠の事実を足つぼのお店側に伝えず受けて良いというわけではありません。

足つぼマッサージ店によっては、妊婦の施術を受け付けていないところもあります。慎重な考え方を持っているお店もありますので、足つぼを受ける前に申請しておくようにしましょう。

足裏以外のつぼ

足裏以外のつぼ

リラックスするために足つぼを受けたいけれど、刺激が不安という方は、足の裏を避けてみてはいかがでしょうか。足つぼマッサージは、ふくらはぎや太ももものつぼも刺激してくれます。

ふくらはぎの内側を刺激する三陰交(さんいんこう)は、むくみ改善に役立ちますし、お腹が大きくなって生じた腰痛にも効果的だと言われています。ひざ下の外側に位置する足三里(あしさんり)は、足のだるさやむくみ改善に効果的です。

妊婦のつわりにも効果を発揮すると言われていますので、つわりが辛い時に押してみると良いでしょう。お腹が大きい状態だと、前かがみでつぼを刺激するのは体勢的に難しい場合があります。家族のサポートを受けながら刺激すると良いでしょう。

押す以外の刺激 お灸

押す以外の刺激 お灸

足つぼを刺激したいけれど、できるだけ優しい方が良い、という方は押す以外の刺激にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。お灸なら、強い刺激を与えなくても、つぼに効いてくれるので安心です。

最近は妊婦でも利用できるお灸が出ていますので、調べてみると良いでしょう。お灸の香りにはリラックス効果もあると言われていますので、気になる症状の緩和に役立ってくれるはずです。

足裏全体を刺激するマッサージ器の使用は?

足裏全体を刺激するマッサージ器の使用は?

足ツボを刺激するグッズは多種市販されていて、妊娠前から愛用していた方も多いでしょう。グッズを使えば手軽でテレビを見たり雑誌を読みながらマッサージできるので大変便利なのですが、残念ながら妊娠中はしまっておいた方が良いでしょう。

足の指や付け根くらいならマッサージしてもお腹が張ったりする事は少ないですが、その部分だけをマッサージしてくれるグッズはありません。

大抵のグッズは血行促進や内蔵機能強化のために足裏全体をしっかり刺激してくれるタイプなので、お腹の張りや腸のぜん動運動によるお腹の痛みに直結しやすいのです。お腹の張りが頻繁になれば赤ちゃんも苦しい思いをするので、充分注意しましょう。

心配な場合は医師に相談

心配な場合は医師に相談

どうしても足つぼをしてみたい、お灸をやりたい、でも心配という方は、一度担当の医師に相談してみてはいかがでしょうか。専門家の判断でOKと言われれば、安心して受けることができます。

大切なのは、不安な気持ちを抱えたまま実行しないということです。妊娠中はさまざまなストレスがかかってきますから、このような些細なストレスも蓄積されて大きな影響を及ぼす可能性があります。

少しでも不安を取り除き、ストレスを最小限にするためにも、医師に相談してみる習慣を身につけましょう。

なぜ足つぼマッサージがしたくなる?

妊婦が悩む症状

妊娠中の妊婦が、足つぼをやりたくなるのは、身体にさまざまな症状が現れるからです。どうしようもないからこそ、何かで対処したくなります。では、実際に妊婦の方が悩む症状には、どのようなものがあるのでしょうか。

まず、妊娠初期に現れるつわりは、ひどい人の場合全く食べられなくなってしまいます。軽度の人でも常に胸焼けしているように感じたり、めまいなどの貧血っぽくなったりします。また、頭痛がしたり、腰痛が悪化したり、イライラしたりすることもあるようです。

さらに、運動不足や生活リズムの乱れから全身にむくみが出る妊婦が多く、少しでも改善したいと切実な思いを抱えています。そして、長期間便秘に悩み、医師から処方された妊婦でも飲める便秘薬を試しても全くダメという方もいらっしゃいます。このように、妊婦はたくさんの身体の悩みを抱えているからこそ、足つぼをしたくなるのです。

むくみ・便秘改善には他の方法で

むくみ・便秘改善には他の方法で

妊娠中に足ツボマッサージを行うのは、むくみや便秘改善目的が多いのでは無いでしょうか。マッサージは1回だけでは効果が出ず毎日の習慣にしなければならないため、回数が多くなるほどお腹の赤ちゃんや子宮が影響を受けやすくなります。

むくみや便秘改善が目的ならば、赤ちゃんに影響を与えかねない足ツボマッサージよりは違う方法を試してみましょう。

むくみなら足湯や利尿作用を持つカリウムを含んだ食材を意識して摂取する、それから便秘には果物などの水溶性植物繊維を多く摂取したり毎日軽い運動を行うなど、マッサージに頼らない方法はいくつもあります。マッサージを行う前に、まず他の方法を試してみてはいかがですか。

まとめ

妊婦と足つぼについてご紹介しました。妊娠中に妊婦が足つぼを受けると流産することがあるというのは、100%の事実ではありません。しかし、そう言われている以上、不安になることはあると思います。

大切なのは不安な気持ちを抱えないこと、そして少しでも身体の不調を取り除くということです。医師に相談したり、安全なつぼを調べたりして不安が払拭されたら、足つぼにチャレンジしてみるのも良いでしょう。少しでも身体と心が軽くなることを考えてください。