前駆陣痛について知っておきたいこと

前駆陣痛について知っておきたいこと 妊娠後期

前駆陣痛(ぜんくじんつう)とは、本陣痛に先立ち起こるお腹の痛みや張りなどの症状を指します。起こる時期としては臨月に入ってからがほとんど。本陣痛が起こる前に感じたという方が大半ですが、中には出産の二ヶ月以上も前に前駆陣痛を感じたという人もいますので、いつ起こるかに関しては一人一人違うということしか言えません。

また前駆陣痛は感じ方に関しても個人差が大きく、生理痛のような痛みと表現する方から、おなかを下したような感じ、下腹部がちりちりする、ちくちくする感じなど、痛みの感じ方に大きな差が出てくるのも前駆陣痛の特徴です。

前駆陣痛と本陣痛、それぞれの特徴をあらかじめ知っておくと、臨月に入って慌てることもありません。本陣痛の前に訪れる前駆陣痛について知っておきたい情報をご紹介します。

目次

前駆陣痛とは?

前駆陣痛とは?

前駆陣痛とは本陣痛に先立って起こる陣痛のことで、本物の陣痛のいわば予行練習のような形で起こるおなかの痛みや違和感を指します。

前駆陣痛は「偽陣痛」とも呼ばれ、実際の本陣痛とは異なる特徴を備えています。臨月が近づいてきたら、出産の兆候を見逃さないようにすることが大切、前駆陣痛と本陣痛の違いを知っておかないと、いざというときに的確な判断が出来ません。

前駆陣痛が起こる理由

前駆陣痛が起こる理由

前駆陣痛が起こるのはいよいよ出産が近づいてきたから。子宮の中で大きくなった赤ちゃんが徐々に下に下がってくることにより、子宮が収縮しやすくなります。前駆陣痛は子宮が収縮することや、大きくなった赤ちゃんが動くことにより子宮が刺激されることから起こります。

また出産に備えて、分泌されるホルモンの種類や量にも変化が表れます。ホルモンが分泌されるのは、出産に備えて子宮や膣を柔らかくするため。このように体全体が出産に備えて準備を整えて始めると、本陣痛の先駆け、予行練習のような形で前駆陣痛が起こります。これが前駆陣痛の起こる原因です。

前駆陣痛が起きる時期とは?

臨月、正産期、過産期の時期

前駆陣痛が起きる時期には個人差があり、いちがいには断定できませんが、もっとも多いのは妊娠第36週目以降出産前までといわれています。

前駆陣痛は起きる時期に個人差があるだけでなく、痛みの強さや感じ方にも個人差があり、中には前駆陣痛があったことにまったく気がつかずに、破水を迎えてしまうこともあります。

前駆陣痛の症状とは?

前駆陣痛の症状とは?

前駆陣痛(偽陣痛)と呼ばれるのは本物の陣痛と似たような症状があるため。お腹の痛みや張りがその主な症状となります。前駆陣痛と本陣痛の症状は言葉で表現すると、お腹の痛みということになりますが、両者にはいろいろ違いがありますので、臨月前にはこれらについてよく把握しておくことが必要となります。

お腹の痛みや張りに加えて、腰痛や腰が重く感じられるなどの症状もあります。下痢のときのようにお腹がなんとなくごろごろするような気がするという方もいて、前駆陣痛に関しては妊婦さんによって、いろいろな感じ方があるのが特徴です。

前駆陣痛の痛みは不規則に続く

前駆陣痛の痛みは不規則に続く

本陣痛の場合、いったん始まると痛みは徐々に強くなっていきますが、前駆陣痛の場合は痛みは不規則で、強くなったり弱くなったりと不規則に続きます。

また前駆陣痛の場合、姿勢を変えると痛みを感じなくなることもあります。これもまた本陣痛と違うところ、本陣痛の場合は痛みがどんどんひどくなり、体勢を変えても痛みがなくなるということはありません。

前駆陣痛の痛みの間隔

前駆陣痛の痛みの間隔

前駆陣痛のもう一つの特徴は、痛みと痛みの間の間隔が不規則なこと。本陣痛の場合は痛みと痛みの間の間隔がどんどん小さくなってきますが、前駆陣痛の場合は間隔が不規則で、しばらく断続的に痛みが続いたかと思うと、ぴたりとやんでしまうこともあります。

本陣痛の場合は、最初は大きかった間隔が徐々に小さくなり、分娩間近になるとその間隔は約30秒まで縮まります。病院に連絡するタイミングの目安は、陣痛の間隔が約10分おきになった時といわれています。前駆陣痛と本陣痛の見極めが出来ないと、出産の重要な兆候を見落とすことになりかねませんので注意しましょう。

前駆陣痛と陣痛の痛みの持続時間

前駆陣痛と陣痛の痛みの持続時間

陣痛の場合、出産が近づくにつれ痛みと痛みの間の間隔は徐々に縮まっていきます。これに対して前駆陣痛の場合は間隔が不規則なので、本陣痛ではないことがすぐに把握できます。

もう一つ本陣痛と前駆陣痛を見極める方法が、痛みが続く時間を計ることです。本陣痛の場合は、最初は短かった持続時間がどんどん長くなり、最終的には痛みが一分間から一分半近く続くようになります。これと違い、前駆陣痛の場合は、痛みの持続時間にも規則性がなく、短く続いたかと思うと長く続いたりします。

痛みと痛みの間の間隔とともに、痛みが持続する時間にも規則性がないのが前駆陣痛の特徴になります。

腰痛と見分けがつかない前駆陣痛

腰痛と見分けがつかない前駆陣痛

前駆陣痛は人によっては、腰痛に似た症状として表れます。腰がやや重い、痛いと感じられることがあれば、前駆陣痛かもしれません。赤ちゃんは出産に備えて下のほうに降りてきますので、いよいよ出産予定日が近づいてくると、お腹は張りやすくなります。

出産日近くになり、お腹の痛みとともに、腰が重い、だるい、お腹が張る、お腹が締め付けられるような感じがあれば、前駆陣痛の可能性が高いといえます。妊娠後期のお腹の張りと混同しないようにしましょう。

前駆陣痛の痛みが激しい場合の対処法

前駆陣痛の痛みが激しい場合の対処法

前駆陣痛をほとんど感じなかったという妊婦さんがいる一方で、下痢のときのような激しい痛みが数日以上、時にはもっと長い間続く場合もあります。痛みがあまりにも激しく続く場合には病院に連絡するようにしましょう。

前駆陣痛かな、と思ったら痛みの続く時間や痛みと痛みの間隔を計るようにします。前駆陣痛が分からないという人がいる一方で、出産予定日はまだ先なのでこれは前駆陣痛にちがいないとばかり思っていたら、実際には本陣痛が始まっていた、という場合もあります。

どんな種類のものであれ、臨月のおなかの痛みには細心の注意を払う必要があります。前駆陣痛のはずなのに、痛みがどんどん増していく、我慢できないほど痛い、このような場合は本物の陣痛に移行している可能性もあります。たとえ前駆陣痛であっても、痛みの間隔は計測は必ず行うようにしましょう。

前駆陣痛と胎動との違いとは?

前駆陣痛と胎動との違いとは?

本陣痛と違い、前駆陣痛は痛みも弱く不規則なため、赤ちゃんの胎動と勘違いしてしまい、見逃してしまう方もいるようです。胎動とは、子宮の中の赤ちゃんが手足や体を動かすことにより起こるもので、胎動を感じ始めたらその間隔をチェックすることが勧められています。

胎動を常にチェックしておくと、前駆陣痛が起こった際に容易に見分けがつきます。前駆陣痛の場合、痛みは次第に弱まってきます。胎動の場合は、赤ちゃんの寝起きのリズムに合わせて、規則的に感じられますので、自分の体の様子を注意深く観察していると、胎動なのか前駆陣痛なのか、比較的簡単に見分けられるはずです。

前駆陣痛の感じ方の差

前駆陣痛の感じ方の差

前駆陣痛は人によって感じ方に差がありますので、他の人の経験談を聞いてもその通りになるとは限りません。

ただし前駆陣痛の感じ方について把握しておくと、実際に起こったときに気がつきやすくなります。先輩ママや助産婦さんの話をよく聞き、前駆陣痛にはどのような感じ方があるか、あらかじめ勉強しておくようにしましょう。

生理痛のような感じ

生理痛のような感じ

生理痛のような下腹部に重い痛みを感じることがあります。また人によっては生理痛というよりも、下痢をしたときのような激しい下腹部痛を伴うことがあります。他にも下腹部がぎゅーと締め付けられるような感じや、痛みはないけれども、お腹が張る感じがあったりします。

痛みの強さにも違いがあり、生理の軽いときのようなちょっと腰が重い感じ、あるいはお腹が張る感じがするという人もいれば、激しい痛みを感じる人もいます。臨月に入ったら、いつ前駆陣痛が起こってもおかしくないことを自覚しましょう。

出産ごとに異なる前駆陣痛の起こり方

出産ごとに異なる前駆陣痛の起こり方

妊婦さんによって、前駆陣痛の起こり方、感じ方に差があることはすでに述べたとおりですが、陣痛の起こり方や感じ方は、同じ妊婦さんであっても妊娠・出産のたびに異なります。

つまり一人目のときはこうだったからといって、二人目のときにもその通りになるとは限りません。一人目のときに起こった流れを二人目の場合にも想定していると、大きく予想が外れる場合もあります。

本陣痛の兆候としての前駆陣痛

本陣痛の兆候としての前駆陣痛

出産までの流れの中で大切なのは、本陣痛の兆候を見逃さないようにすることです。前駆陣痛も出産の兆候の一つ、おしるしやおりものの増加、頻尿などとともに、前駆陣痛もいよいよ陣痛が始まります、という赤ちゃんからのサインになります。

前駆陣痛とおしるし、どちらが先にあるかは、一人一人の妊婦さんによって異なります。一般的にいうと、前駆陣痛が起こってからおしるしがあり、最後に本物の陣痛が来るという流れになりますが、この順序に関しては絶対ではありません。おりものが増えた、トイレが近くなった、膀胱付近が重く感じられる、吐き気がある、なども出産の前兆になります。前駆陣痛とともにこれらにも注意を払うようにしましょう。

前駆陣痛から本陣痛へ

前駆陣痛から本陣痛へ

前駆陣痛は本陣痛の一ヶ月以上前に起こることもあれば、本陣痛の数時間前に起こることもあります。出産間際に前駆陣痛がある場合、ほんのしばらく前駆陣痛があったのち、そのまま本陣痛が始まってしまうこともあります。

本陣痛が起こる数日前に前駆陣痛が起こり、しばらく痛みが続いたあと再び痛みがおさまり、そしてその数日後に本陣痛が始まる。このような流れであれば、妊婦さんも余裕をもって、出産に向けた心の準備が出来ますが、わずか数時間のうちに前駆陣痛と本陣痛が続いて起こると、少なからず慌ててしまう方もいるでしょう。

前駆陣痛は本陣痛が起こる数時間前に起こることもある、と覚えておくようにしましょう。

前駆陣痛を感じない場合

前駆陣痛を感じない場合

前駆陣痛をまったく感じることなく、おしるしがあり本陣痛が来たという妊婦さんも大勢います。前駆陣痛を感じなかったからといって、出産自体に問題があるわけではないので心配する必要はありません。

ただし前駆陣痛がないからといって、出産はまだまだ先と安心している間に、いきなり本陣痛が始まってしまうことがあります。前駆陣痛を感じずに本陣痛が起こったという場合、前駆陣痛そのものがなかったというよりも、痛みが弱く、単なるおなかの張りや胎動と思い、前駆陣痛に気がつかなかっただけかもしれません。

前駆陣痛と微弱陣痛の違い

前駆陣痛と微弱陣痛の違い

前駆陣痛があってから本陣痛が始まりますが、妊婦さんによっては前駆陣痛から微弱陣痛になってしまうケースがあります。

たいてい前駆陣痛と本陣痛にはある程度の期間が開きますが、中には本陣痛にそのままつながる前駆陣痛もありますので、微弱陣痛と区別がつきにくい部分があります。大きな違いは前駆陣痛の間隔がまちまちであるのに対し、微弱陣痛は本陣痛のように一定間隔に陣痛がありますが痛みが弱いという点です。

微弱陣痛が起こる原因は母体側と胎児側それぞれにありますが、長引けば母子に命の危険が及ぶ可能性があるため、陣痛誘発剤や人工破膜・緊急帝王切開などの処置を行う事があります。

前駆陣痛が早く起こると早産になる?

前駆陣痛が早く起こると早産になる?

前駆陣痛が出産予定日よりも一ヶ月以上も前に起こると、このまま早産になってしまうのでは?と心配になりますが、前駆陣痛が早めに来たからといって、必ず早産になるわけではありません。

ただし妊娠後期に入ってのお腹の張りには注意する必要があります。お腹が張るのは子宮が収縮しているため、前駆陣痛でなくても、お腹に張りを覚えたら横になり休むようにしてください。

本陣痛の前にしておきたいこと

本陣痛の前にしておきたいこと

前駆陣痛はもうすぐ出産があります、というしるし、前駆陣痛を感じたら入院準備をもう一度確認し、いつ入院してもいいように最終的な準備をしておきましょう。

いったん本陣痛が始まったら、いつ破水が起こってもおかしくありません。どのくらいの間隔で陣痛が起こったら、病院に連絡すべきかなどをきちんと把握しておくようにしましょう。

疑問は早めに解消しておく

疑問は早めに解消しておく

出産までの流れは、初産婦さんにとっては何もかもが初めての経験で、分からないことや不安なこともたくさん生じてきます。出産の兆候や陣痛などに関してはとりわけ不安なことが多いはず。痛みや分娩に対する不安が高まり、とにかく神経質になる方が多いようです。

前駆陣痛に関しても同様で、どんな痛みなのか、どの程度続くのかといったことが気にかかって仕方ないのが普通です。

前駆陣痛は臨月に入る前に起こることもあります。妊娠9ヶ月目に入ったら、分からないことや聞いておきたいことを、早目に経産婦さんや産婦人科医に尋ね、疑問を解消しておきましょう。

前駆陣痛について神経質になりすぎない

前駆陣痛について神経質になりすぎない

本陣痛に比べると前駆陣痛には個人差が大きく、感じ方や起こる時期、痛みの範囲や頻度など、初めて出産を迎える方にこれを説明するのは容易ではありません。臨月のこの時期に妊婦さんが不安が気持ちを抱えて、神経質になるのは望ましくありません。

前駆陣痛は大切な兆候ではありますが、出産の始まりは本陣痛から。自分の前駆陣痛が他の人のそれと違うからと言って、神経質になる必要はありません。臨月に入ったら、出来るだけ気持ちをリラックスさせて、出産までの残り少ない時間を楽しむようにしましょう。

ここまでのまとめ

本陣痛前に起こることから、「偽陣痛」とも呼ばれる前駆陣痛に関する情報をご紹介しました。出産前に起こる兆候の一つ「前駆陣痛」は、出産まであと少しというしるしになります。

個人差の大きい前駆陣痛、起こる時期や感じ方などの特徴を知っておくと、本陣痛との違いを容易に見分けることが出来るようになります。前駆陣痛のいろいろな特徴を把握し、出産前までのわずかな時間を有意義に過ごしましょう。

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