出産予定日が近づいてくると気になるのが陣痛は?分娩は?胎動はどうなる?など。経産婦さんの場合には前回の経験がありますが、初産婦さんの場合には、出産に関するすべてのことが未経験。陣痛や分娩に関して不安な点や疑問なことがいろいろと出てきます。
陣痛未体験の初産婦さんにとってもっとも気になるのが、陣痛と胎動の違い。胎動とばかり思っていたら、実は陣痛の始まりだった、こんな体験をする方も多いようです。また陣痛時には胎動がないという話を聞いて、胎動があるうちは陣痛は来ないのでは?と考える方もいて、陣痛と胎動に関してはいろいろな考えが見受けられます。
陣痛時に胎動はある?ない?という疑問をはじめ、陣痛と胎動の違いや臨月の胎動の特徴などについて、知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
胎動とは?
胎動とはおなかの中で赤ちゃんが身動きすることにより感じられる動き。胎動を感じ始める時期は、妊婦さん一人一人違っていて、早い方では妊娠16週目頃から、遅い方でも24週目頃には胎動を感じ始めます。
おなかの赤ちゃんが徐々に成長し、手足の動きも活発になる妊娠18週目から22週目。大多数の妊婦さんはこの頃には胎動を感じるようになります。
胎動の感じ方はそれぞれ
胎動を感じ始める時期同様、胎動の感じ方は一人一人の妊婦さんによって異なります。また妊娠週によっても胎動に変化が起こりますので、胎動を感じるようになったら、胎動カウントとともに、どんな胎動を、どの場所で感じたかを記録しておくようにしましょう。
胎動の変化に注意
胎動の強さは、おなかの赤ちゃんひとりひとり異なります。胎動が弱いのは赤ちゃんになにか問題があるせいでは?と不安に思う方もいるようですが、胎動が弱いからといって、必ずしも問題が生じているわけではありません。
胎動に関して注意すべきなのは胎動の変化。普段は感じている胎動が無くなった、いつもよりもひどく弱弱しい、長時間にわたってまったく胎動を感じない。このような場合には自己判断せず、病院に連絡して指示を仰いだほうが安心です。胎動の変化から赤ちゃんの異常を察知するには、普段の胎動の状態を把握しておくことが重要。胎動カウントは必ずつけておくようにしましょう。
妊娠週による胎動の違い
胎動を感じ始めたばかりの妊娠中期の胎動は、おなかのあたりがなんとなくむずむず、ごにょごにょするような感じですが、妊娠週が進むにつれて、胎動の感じ方はどんどん変わっていきます。
最初はむずむず、ごにょごにょ、ぴくぴくする微妙な動きだったものが、妊娠週が増えるにしたがって、どんどん大きく、わかりやすくなっていきます。
もっとも胎動の強い時期とは?
胎動の強さや頻度、そして胎動の感じ方は、おなかの赤ちゃんや妊婦さんによって細かく違ってきますが、大多数の妊婦さんが胎動をもっとも強く感じるのは、妊娠8ヶ月目から9ヶ月目頃になります。
この頃は子宮の中で赤ちゃんが自由に動くことの出来るスペースが十分にあり、大きく手足を動かすことが出来るため、胎動の強さをもっとも強く感じます。手足の形がおなかに浮き出るほど、強くキックされることもあり、胎動が激しく、痛みや張りを感じることもあります。
臨月の胎動は弱い?激しい?
妊娠8ヶ月から9ヶ月目にかけて強く感じていた胎動も、臨月に入ると次第に落ち着いてきます。これは子宮の中で赤ちゃんがさらに大きく成長し、羊水の中で自由に動けるスペースが減るためです。
ほとんどの妊婦さんは臨月に入ると、胎動がこれまでよりも少なくなったと感じますが、これはあくまでも一般的な傾向で、妊婦さんの中には臨月に入っても、それまでと同じ頻度と強さの胎動を感じる方もいます。
臨月の胎動はおなかの張りにつながる?
臨月になっても胎動が今までどおりにあること自体は問題ではありませんが、胎動が激しいためにおなかに張りを感じるのは望ましいことではありません。
臨月に入っても激しい胎動があり、そのためにおなかに張りを感じるようであれば、念のため医師に相談することをお勧めします。
臨月の胎動を感じる場所
臨月に入り出産が近づくと、赤ちゃんは頭を下向きの状態にして、徐々に骨盤腔に頭を固定するようになります。それまでは羊水の中でぐるりと向きを変えることもあった赤ちゃんですが、出産が近づいてくると、頭は下、足は上方向に固定されますので、胎動は赤ちゃんの足先のあるおなかの上方向で感じることが多くなります。
胎動が脚の付け根や恥骨の当たりに常に感じられる場合には、逆子がなおっていない可能性もありますので、病院で詳しく診察を受けるようにしましょう。
出産予定日が近づくと胎動はなくなる?
すでに見てきたように、臨月になると赤ちゃんの胎動が小さく、そして少なくなってきます。その理由を挙げてみると、ひとつは赤ちゃん自身の身体が大きく成長し、羊水の中で自由に動くことの出来るスペースが減ること。もうひとつは出産に備えて、赤ちゃん自身が自分の頭をママの骨盤腔にしっかり固定していくことにあると考えられます。
出産が近くなると胎動が少なくなる傾向にあるのは確かですが、まったく無くなるわけではありません。出産予定日が近いからといって、胎動を長時間にわたってまったく感じないなど異常な点があれば、すぐさま病院に連絡するようにしましょう。
陣痛時には胎動はある?ない?
陣痛時には胎動はなくなる、という話を耳にしますが、これは本当でしょうか?陣痛時に胎動はあるのか?それともないのか?この点に関しては、一人一人の妊婦さんによって違ってきます。
妊婦さんの出産に関する体験談では、陣痛時の胎動に関しては、陣痛時胎動がなかったという方と、陣痛が起こっている最中にも胎動を感じたという方、両方の話を耳にします。陣痛時に胎動がなかった、という妊婦さんも多いのですが、赤ちゃんがおなかの中で元気にしている限り、胎動がまったくなくなることはほとんどないようです。
陣痛時には胎動がない、というよりもむしろ、陣痛の痛みの激しさや分娩に対する不安感によって、小さな胎動には気がつかないことが、陣痛時には胎動がないという話につながったようです。
陣痛と胎動にまつわる疑問点について
陣痛と胎動に関しては他にもいろんな話があって、出産前には胎動がなくなる、胎動があるうちは陣痛が起こらない、などいろいろな体験談を耳にします。体験談の他にも、陣痛と胎動に関する悩みや疑問点もたくさん挙げられます。
たとえば陣痛の始まりのおなかの張りと胎動の張りの違いが分からない、前駆陣痛なのか、胎動なのか判断がつかない、出産予定日が近づいているのに激しい胎動がある、といった悩みから、胎動の痛みによるおなかの張りで陣痛が起こる?前駆陣痛と胎動の痛みの違いとは?といった疑問まで、陣痛と胎動に関する疑問は数限りなくあります。陣痛と胎動にまつわる疑問について考えてみましょう。
前駆陣痛と胎動の違いとは?
出産予定日前におなかに痛みや張りを感じると、それが一体前駆陣痛なのか、それとも胎動なのか、判断に迷うことがあります。前駆陣痛であれば、もうそろそろ本陣痛が始まるという合図。
てっきり胎動だとばかり思っていたら、実際には前駆陣痛だったということもあるようです。前駆陣痛と胎動との違いを見極めるには、前駆陣痛についての知識が必要不可欠です。
前駆陣痛とは?
前駆陣痛とは本陣痛に先立って起こる痛みのことで、これが起こるといよいよ本陣痛も間近というしるしになります。前駆陣痛の起こる時期に関してですが、これは本陣痛が起こる直前ということもあれば、臨月前に起こることもあり、いちがいには言えません。
出産を控えた妊婦さんの心構えとしては、前駆陣痛が起こったら、本陣痛がいつ起こっても差し支えないよう、出産準備や入院準備を万端にしておく必要があります。
前駆陣痛の特徴とは?
傾向としては、前駆陣痛の痛みは本陣痛の痛みほど強くなく、そのまま安静にしていると痛みはおさまっていきます。
本陣痛の場合は痛みの間隔に規則性があり、痛みの強さは徐々に増していきますが、前駆陣痛には規則性は無く、時間の経過とともに痛みは引いていくことが特徴。
前駆陣痛だと思っていたのに、痛みがどんどん激しくなり、痛みと痛みの間隔も短くなっていく場合には、本陣痛の可能性が高いので、早急に病院に連絡するようにしましょう。
前駆陣痛と胎動の感じ方は
前駆陣痛の痛みの感じ方には個人差があり、生理痛のような感じという方もいれば、おなかをこわしたときのような感じ、足の付け根や下腹部を締め付けられるような痛み、おなかがきゅっと固くなるような痛みと表現する方もいます。
赤ちゃんの手足が動いているような胎動の場合、前駆陣痛の生理痛のような痛みとは明らかに違いますが、前駆陣痛の痛みは弱いことが多く、胎動の張りや痛みと混同してしまう妊婦さんも多いようです。
とくに胎動の痛みによっておなかが張りやすい方は、今起こったのが胎動なのか、それとも前駆陣痛だったのか、はっきりと判断することが難しくなります。胎動の痛みが張りにつながりやすい方は、これについて前もって医師に相談しておいたほうが安心です。
こんな前駆陣痛は要注意
前駆陣痛か、あるいは胎動とばかり思っていたら、そのうち痛みが激しくなってきて破水してしまった、こんな事態に陥ってしまう妊婦さんもいます。
前駆陣痛か胎動か、見極めがつかない場合でも、おりものの量が異常に多い、痛みが激しい、おなかが異常に固くなった、出血がある、このような場合には病院に連絡して、指示を仰ぎましょう。
胎動と陣痛の違いとは?
今度は胎動と陣痛の特徴や違いについて考えてみましょう。前駆陣痛の場合は痛みが弱く、すぐにおさまってしまうため、胎動と間違えてしまう妊婦さんも多いようですが、本陣痛と胎動に関してはどうでしょうか?
陣痛の特徴とは一定の規則性があること。陣痛は始まったときには、痛みもそれほど激しくなく、痛みが持続する時間は短く、痛みと痛みの間の間隔は長いのですが、これは時間の経過とともに変化していきます。
痛みはどんどん増していき、それにつれて痛みが持続する時間は長くなり、痛みと痛みの間の間隔はどんどん縮まっていきます。胎動の場合は陣痛のような規則性はありません。もちろんママやパパの声に反応してキックなどでかえしてくれることはありますが、陣痛のように一定のリズムをもって、痛みが持続することはありません。持続する痛みがあり、痛みの強度が増していく場合は、まず間違えなく陣痛といえるでしょう。
陣痛時の胎動と赤ちゃんの様子
陣痛がどのくらい続くかは、妊婦さんひとりひとり違います。一般的には経産婦さんよりも初産婦さんのほうが、陣痛にかかる時間は長くなる傾向にあります。
早い方では数時間で出産までこぎつけますが、中には丸1日以上かかることもあり、陣痛中の赤ちゃんの容態が気にかかるママも多いようです。陣痛中でも胎動が感じられることもありますが、陣痛の痛みが激しく、胎動にまで気を配る余裕のない方も多いはず。
分娩中の母子の安全を確保するために、さまざまな処置やモニタニングが行われますが、胎児心拍数モニタニングもそのひとつ。分娩中も胎児の心拍数を計測することにより、赤ちゃんの状態を把握します。
赤ちゃんの心拍数と陣痛を同時にモニタリングし、赤ちゃんが元気かどうか、分娩に耐えられる状態かどうかを医師が判断します。心拍数から赤ちゃんの状態が良くないと判断された場合には、緊急帝王切開や吸引分娩などに切り替えられることもあります。
まとめ
臨月に入ると胎動がかなり減ったという方がいる一方で、陣痛中でも胎動を感じていたという方もいて、胎動に関しては個人差が大きいことが特徴です。陣痛が始まってから胎動があるかどうかは、そのときになってみないと分かりませんが、しっかり学んでおいてもらいたいのは、前駆陣痛や本陣痛の特徴や胎動との違い、陣痛の間隔と病院に行くタイミングのことなど。
そのときになったらすぐに見極められるよう、妊娠後期に入ったら陣痛、おしるし、破水といった出産の兆候についてしっかり把握し、胎動と勘違いすることがないようにしましょう。