妊娠すると、今まで気にならなかったことに疑問を感じるようになります。「これって妊婦さんがしても大丈夫なのかな?」とひとつひとつのことが気になるようになるでしょう。
妊娠中に気になることのひとつとして、ヘアカラーがあります。妊娠中もオシャレに過ごしたいという方にとっては、非常に重要な問題ではないでしょうか。そこで、妊婦がヘアカラーしても良いのか悪いのか、さまざまな意見を幅広くご紹介していきましょう。
妊娠中にヘアカラーはしていいの?
妊娠中もオシャレに過ごしたい!という方にとって、妊婦がヘアカラーをしてもいいのかどうか気になるところではあると思います。
妊婦がヘアカラーを行うことに関しては、賛否両論別れるところです。大多数が大丈夫だという意見ですが、その一方でできれば避けた方が良いという意見もあります。そのため、両方の意見を取り入れて自分で判断する必要があるでしょう。
妊娠中にヘアカラーをしても良いという意見
妊娠中のヘアカラーの賛否は分かれますが、妊娠中にヘアカラーをしても良いという意見では、どのような観点から良いとされているのでしょうか。詳しくみていきましょう。
毛穴から薬剤は浸透しないという考え
妊娠中にヘアカラーをしても良いという意見では、ヘアカラーの薬剤が毛穴から浸透して赤ちゃんに影響することはないと考えられているからです。そのため、妊娠中に何度ヘアカラーを行っても、何の問題はないとされています。
妊婦もオシャレがしたい、気分が上がる
妊娠中にヘアカラーをしても良いという意見では、妊娠中にオシャレをして楽しむことで、気分をあげることができるからという意見もあります。
妊娠すると、つわりがひどかったり、身体が思うように動かなかったりすることで、ストレスが溜まりやすくなりますが、ヘアカラーをして気分転換することで、気持ちを盛り上げることができるようになるでしょう。
髪が伸びてプリン状態になっている頭では、外出したり友人に会ったりする気持ちになれませんが、オシャレをして自信がついた状態なら、よりアクティブに妊娠生活を楽しむことができるでしょう。
妊娠中にヘアカラーは避けるべき意見
妊娠中はヘアカラーをしても良いという意見がある一方で、妊娠中にヘアカラーはすべきではないという意見もあります。どのような観点から避けるべきだと言われているのか、詳しくみていきましょう。
頭皮が敏感になっている
妊娠中はホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れやすいため、皮膚が妊娠前よりも敏感な状態になります。そのため、今まで使用していた化粧品やスキンケアの方法が合わず、肌トラブルを引き起こしやすくなります。頭皮も皮膚の一種ですから、ヘアカラーの刺激に負けて荒れてしまう恐れがあるでしょう。
今まで何度も使用していたヘアカラーが急に合わなくなることも考えられるため、妊娠中のヘアカラーはできるだけ避けるべきだと考えられています。
長時間同じ姿勢が続く
妊娠中にヘアカラーすると、薬剤が浸透するまで同じ姿勢で過ごさなければなりません。じっと座ったままの状態でいると、血流が滞って、お腹に張りを感じたり、腰が痛くなったりするようになるでしょう。髪に薬剤を塗った状態だと、横になることも難しくなるため、できれば妊娠中のヘアカラーは避けた方が良いと言われています。
ニオイに過敏になっているので無理
妊娠中にヘアカラーをすると、気分が悪くなってしまうことがあります。妊娠中は嗅覚が敏感になるため、ヘアカラーの独特のニオイがきつく感じてしまうからです。特に妊娠初期のつわりがひどい時期に行うと、ニオイだけで嘔吐してしまうこともあります。
頭皮のかぶれの心配
妊娠中にヘアカラーを使用すると、かぶれる可能性があります。妊娠中は皮膚が敏感になりやすいため、ヘアカラーの薬剤に負けて皮膚がかぶれてしまうことがあるでしょう。
かぶれ症状としては、皮膚が赤くなったり痒くなったりするだけでなく、水ぶくれや顔全体がパンパンに腫れてしまうことがあります。また、強いアレルギー症状が引き起こされると、血圧が急速に低下したり、呼吸困難になったりすることもあります。
妊娠中にかぶれが起きても、薬を服用できない場合も多いため、このような症状が出ても対処しにくくなるのも、ヘアカラーを避けた方が良いとされている原因です。
毛穴から薬剤が浸透するという考え
妊娠中にヘアカラーを使用しても、毛穴から浸透する心配はないという意見がある一方で、毛穴から浸透するという意見もあります。
なぜなら、妊娠中の湿布薬が禁忌対象となっているからです。湿布薬には消炎作用を引き起こす薬剤が含まれており、それが皮膚を通じて血管に送り込まれ、血管を収縮させて痛みを緩和させます。ところが、薬による血管の収縮作用が血液を通じて全身に回り、赤ちゃんの心臓を止めてしまうことも確認されています。
そのため、ヘアカラーの薬剤が血管を通じて、赤ちゃんに何らかの影響を及ぼす可能性はゼロとは言い切れないでしょう。
妊娠中にヘアカラーを行いたい場合
妊娠中にヘアカラーを行うべきか、避けるべきかは、さまざまな意見があるため、最終的に自分で判断する必要があります。いろんな情報を見比べて理解したうえで、それでも妊娠中にヘアカラーをしたいという場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
妊娠中であることをサロンの担当者に伝える
妊娠中に、サロンでヘアカラーしたいと考えている方は、必ず担当者に妊娠中であることを伝えるようにしましょう。使用するヘアカラーを
低刺激のものに変えたり、カラー中の体勢を考慮してもらったりしやすくなるからです。
必ずパッチテストを行う
妊娠中は、肌が敏感な状態になるため、今まで使用したことのあるヘアカラー剤であっても、必ずパッチテストを行うようにしましょう。ヘアカラーを行う前にパッチテストを行うことで、かぶれなどの症状が引き起こされるのを未然に防ぐことができるからです。
ヘアカラーは妊娠初期と後期は避ける
妊娠初期は、つわり症状がひどいことが多いため、ニオイに敏感になりやすい時期です。この時期にヘアカラーを試みると、ヘアカラー剤のニオイで気分が悪くなってしまうことがあるので避けるようにしましょう。
また、妊娠30週以降になるとお腹が大きく重くなってくるため、同じ体勢でい続けることが困難になってきます。あおむけの状態でシャンプーすることが辛くなることもあるので、妊娠後期のヘアカラーも避けた方が良いでしょう。
ヘアカラーの回数は少なめに
妊娠中のヘアカラーは、かぶれやアレルギー反応のことを考え、できるだけ少ない回数にするのがオススメです。少し落ち着いたトーンにしておけば、こまめにヘアカラーをしなくてもプリン状態が目立ちにくいので、負担も軽くなるでしょう。
妊娠後期に入ると、お腹が大きくなってサロンで同じ姿勢が保てなくなるので、持ちの長い色にカラーリングするのもオススメです。
市販のヘアカラー剤に注意
妊娠中のヘアカラーは、できればサロンで行うのがオススメです。市販されているヘアカラー剤は、価格が安い分いろんな成分が配合されているため、かぶれやアレルギー症状を引き起こしやすい可能性があるからです。
また、自分でヘアカラーを行うことで、パッチテストを飛ばしてしまったり、決められている時間より長く染み込ませたりすることが起きやすくなります。
サロンでのヘアカラーなら、担当者がきちんと管理してくれますし、必要な毛髪以外の皮膚に薬剤がつくことも少なくなるため、安全性を重視するなら、市販のヘアカラー剤は避けた方が安心と言えるでしょう。
ヘアカラー剤のジアミンとは
ジアミンは酸化染料という化学成分で、発色したり髪の毛に色をつける働きがあります。ジアミンは少量で濃い色がつき、また色を混ぜ合わせて簡単に多くの色が作れることから、ヘアカラー剤に含まれていることが多いです。
酸化染料には他にも複数の化学成分がありますが、その中で最もアレルギー発症の頻度が高い成分がこのジアミンと言われています。ジアミンアレルギーになると頭皮にかゆみやかぶれが出来たり、ひどい場合には免疫システムにまで影響を及ぼす可能性も考えられます。
妊娠中は免疫力が低下し皮膚が敏感になっているので、人によりますが普段よりもジアミンアレルギーになりやすいと思われます。いつもより頭皮がしみたり痛くなるようであれば、その時点で使用を中止してください。
産後の忙しさを考慮してのヘアスタイル
妊娠中にヘアカラーを気にしている方は、産後のヘアスタイルについても考えておきましょう。出産すると、赤ちゃんのお世話で手一杯の状態になるため、こまめにサロンに通うことは難しくなります。また、赤ちゃん連れでサロンに行くと、泣いたり騒いだりすることから他のお客さんに迷惑になってしまうことも考えられるでしょう。
産後のオススメのヘアスタイルは
産後はサロンにこまめに通うことが難しくなるため、ヘアスタイルは手入れが楽で長持ちすることを優先するのがオススメです。髪が長いとシャンプーやドライヤーで乾かすのに時間がかかるため、育児をしながらだと煩わしく感じることも出てくるでしょう。
ショートカットやボブ、セミロングなどが手入れも楽で、髪を乾かす時間も短いので、多くの妊婦やお母さんに支持されています。
落ち着いたトーンのヘアカラー
産後はサロンにこまめに通うことが難しくなるため、ヘアカラーもトーンが落ち着いたものにするのがオススメです。トーンが落ち着いていることで、伸びてきた上のプリン状態が目立ちにくくなるからです。
ヘアカラーが明るいと、プリン状態を気にしていつも帽子をかぶっていなければならないので、ヘアカラー選びを失敗しないようにしましょう。
産後の髪の悩みについて
妊娠中は、ヘアカラーのことについて考えるほど余裕がありますが、出産すると、髪は思った以上に変化するようになります。そこで、産後の髪のトラブルについても簡単にご説明しておきましょう。
産後は抜け毛が増加する
出産すると、抜け毛が急に増えてくるようになります。これは、ホルモンバランスが急変することと、赤ちゃんに母乳をあげることで栄養出張になっていること、育児ストレスが関係していると言われています。
枕に大量の髪の毛が抜けているのを見るため、ショックを受ける妊婦が多いですが、誰にでも起こる可能性があることなので、神経質になる必要はありません。髪の毛が抜ける部分は前髪が多発しやすく、おでこが広くなったことを気にしてヘアバンドをして過ごす方もいるほどです。
授乳やホルモンバランスが落ち着いて来れば、再び髪の毛は生えてきますが、一定期間髪が薄い状態が続きやすいため、前髪を作る場合は厚めに準備しておくと良いでしょう。
産後の髪質の変化
出産すると、髪質が大きく変化する方もいらっしゃいます。出産前までストレートだったのに、出産してしばらくするとくせ毛のようにうねった髪になることがあります。
髪質が変化するのは、母乳やホルモンバランスの急変により引き起こされていることもありますが、一度抜けた髪の毛が再び生えてくるときにクセを伴うこともあるようです。
コシやツヤの減少
出産すると、髪の栄養が母乳に回され、ホルモンバランスも急変するため、髪のコシが無くなったり、ツヤが消えてパサパサしやすくなったります。そのため、ロングヘアだと髪のダメージ状態がより目立ちやすくなってしまうでしょう。
髪は健康のバロメーターでもあるので、髪のコシやツヤが減少してきたと感じたら、母体にも栄養を巡らせるためにも、食事の栄養バランスに気をつけるようにしましょう。
食べ物で髪質を改善
産後は、抜け毛が増えたりコシが無くなったり、さまざまなトラブルに見舞われやすくなります。ホルモンバランスや授乳が落ち着く頃には自然に回復してきますが、早く回復したい方は、髪に良い食べ物を積極的に摂るようにしましょう。
髪はタンパク質からできているので、肉類、魚類、大豆製品、乳製品がオススメです。特に大豆製品には女性ホルモンに似た作用を引き起こす大豆イソフラボンが含まれているため、ホルモンバランスを整えて髪質を改善させてくれるでしょう。
また、髪の発育を促すヨードをたくさん含んでいる海藻や、頭皮の新陳代謝を活発にするビタミンB群をたくさん含んでいる玄米やレバー、マグロなどもオススメです。ただ、特定の食べ物ばかり集中すると栄養が偏りやすいので、バランスよく配合するようにしましょう。
まとめ
妊婦がヘアカラーをしていいのか悪いのかということについて、さまざまな情報を幅広くご紹介しました。ヘアカラーの使用については、賛否両論に分かれますので、それぞれの意見を見比べて自分が納得できる選択肢を選ぶようにしましょう。妊娠中にヘアカラーを行う時は、さまざまな注意点を守ることで安全性を高めることができます。
また、産後はサロンに通いにくくなるため、妊娠中にお手入れしやすいヘアスタイルやカラーに整えておくことも大切です。産後は髪のトラブルも起きやすいので、栄養をしっかり摂って大変な時期を乗り越え、再びヘアスタイルやカラーを楽しめる時を待ちましょう。