妊婦が牡蠣・生牡蠣を食べるときに知っておきたいこと

妊婦が牡蠣を食べるときに知っておきたいこと いいの 悪いの 注意点は 影響は など

「海のミルク」と呼ばれる牡蠣。亜鉛やタウリンを豊富に含む栄養価の高い牡蠣は、生で食べても、軽く焼いても、また揚げ物にしても美味しくいただける海の幸。殻付きの牡蠣を使ったメニューも人気です。

亜鉛、鉄分、カルシウムなどのミネラルをはじめ、ビタミン、各種アミノ酸を含む牡蠣は、女性にとって嬉しい成分が盛りだくさん。妊婦の貧血予防にも役に立ちそうな気がしますが、その一方で妊婦は牡蠣を食べてはいけない、という話をよく耳にします。

妊娠中はどうして牡蠣を食べないほうがいいのでしょうか?妊娠中に牡蠣を食べると何か悪い影響があるのでしょうか?妊婦は牡蠣を食べていいの?悪いの?と迷ったときに参考になるようにいろいろな情報をご紹介します。

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妊婦は牡蠣を食べていいの?悪いの?

妊婦は牡蠣を食べていいの?悪いの?

妊婦は牡蠣を食べないほうがいい、といわれることがありますが、これは生牡蠣の場合で、しっかりと火を通して適量であれば、妊娠中に食べてもとくに支障ありません。

生牡蠣がお好きな方にとっては残念ですが、妊娠中は牡蠣を生で食べることはお勧めできません。しっかりと火で調理したものを口にするようにしましょう。

牡蠣などの二枚貝にはノロウイルスがついていることがあります。ノロウイルスは食中毒を引き起こしますので、妊婦は生牡蠣だけでなく、生もの全般をできるだけ避けるようにしましょう。

妊娠中の免疫力低下について

妊娠中は免疫力が若干低下してしまいます。妊婦の免疫力が低下する原因は、ホルモン分泌の変化やつわりによる体調の悪化、栄養不足、運動不足による自律神経のバランスの乱れ、マタニティライフがもたらす精神的なストレス、睡眠不足など。妊婦は免疫力が低下しやすい環境に置かれています。

これとは別に子宮内の胎児を異物と判断して攻撃しないように、細胞性免疫力も低下する傾向にあります。このような原因があいまって、妊婦は感染症や食中毒にかかりやすくなっており、いったん感染すると症状が重くなります。

生牡蠣を控える理由 ノロウイルスとは?

ノロウイルスとは?

牡蠣などの二枚貝にはノロウイルスがひそんでいる可能性があります。ノロウイルスとは感染力の強いウイルスの一種で、とくに冬にかけて猛威を振るうことで知られています。

ノロウイルスは小腸の粘膜で増殖するウイルスで、少量でも感染し、胃腸炎を引き起こします。年間を通じて感染しますが、とくに11月から3月までの間に大発生します。

感染経路は三つ。ノロウイルスに感染した人の吐物や便に触れることによる起こる、人から人への感染、もうひとつは調理する人/食品を取り扱う人から食品/食品から調理する人への感染、そして三番目が牡蠣などの食品を食べることにより起こる、食品から人への感染です。

ノロウイルスによる食中毒

ノロウイルスによる食中毒

ノロウイルスの潜伏期間は10時間から数日程度で、ほとんどの場合1日から2日間で症状があらわれます。主な症状は嘔吐、吐き気、下痢、発熱などで、健康な大人の方であれば数日で症状は改善します。嘔吐や下痢は一日に数回程度から、ひどい場合には10回以上に及びます。症状が重篤化しやすいのは、体力のない子供や高齢者、そして免疫力の低下している妊婦など。妊娠中は牡蠣を食べないほうがいい、といわれるのは、このことに理由があります。

ノロウイルスによる食中毒の治療

ノロウイルスによる食中毒の治療ですが、これといった特効薬はなく、経過観察が基本です。食中毒にかかった場合の治療の基本は、出ている症状やその度合いを観察しつつ、必要があれば薬を処方することで、抗生物質などは用いません。

健康な成人の方であれば、感染してもすぐに回復するため、症状が重症化することは稀です。しかし上述したように、妊婦や高齢者、乳幼児の場合は免疫力や体力が低下しているため、症状が重篤化しやすい状況にありますので、感染症予防の方法を知っておくことが大切です。

妊婦がノロウイルスに感染した場合のリスク

妊婦がノロウイルスに感染した場合のリスク

妊婦がノロウイルスに感染した場合、胎児に対する直接的な悪影響はないとされています。しかしながら、感染により起こる下痢や嘔吐の症状により、確実に体調を崩してしまいます。つわりにより食事が思うように取れない妊娠初期にノロウイルスに感染すると、嘔吐や下痢により脱水症に陥ることも考えられます。

また下痢があまりにも頻繁に起こると、子宮が収縮しやすくなるなどのリスクが生じます。免疫力と体力が低下している状態で感染症にかかると、体力を消耗してしまい、回復するまでに時間がかかります。妊娠中のリスクを減らすためにも、妊婦さは感染症予防に努めることが肝心です。

ノロウイルスに感染した場合の対処法

妊娠中に下痢や嘔吐の症状が出た場合には、市販の置き薬を服用することは絶対にやめましょう。妊娠中は服用できない薬もありますので、下痢や嘔吐など食中毒の疑いがある場合には、産婦人科で診察を受けた上で薬の処方を受けることが求められます。

下痢を止めるための薬を服用すると、ノロウイルス自体が排出される妨げになることもありますので、自己判断で薬を服用しないことが大切です。

万が一食中毒になった場合は、まず診察を受けている病院に相談し、指示を仰ぎましょう。自宅で安静にし、体力を消耗させないよう、ゆっくり体を休めます。また脱水症にならないよう、水分補給をこまめに行うことも必要です。※参照1

牡蠣の栄養成分について

牡蠣の栄養成分について

妊婦は牡蠣を食べないほうがいい、といわれる理由は、牡蠣などの二枚貝にひそむノロウイルスにありますが、これはあくまでも生食や加熱を十分に行わなかった場合のこと。十分に加熱した上で食べるのではあれば問題ありません。

牡蠣は亜鉛や鉄分を豊富に含む女性には嬉しい食材。ミネラルだけでなく、ビタミンBや牡蠣の栄養成分について詳しく挙げてみましょう。

ミネラルが豊富

ミネラルが豊富

亜鉛、セレン、鉄分、マグネシウム、カルシウムをはじめ、牡蠣にはミネラル13元素が含まれています。とくに亜鉛の量は多く、牡蠣100g中に13.2mg。これはうなぎに含まれる亜鉛の量よりも多く、成人が一日に必要とする推奨量を超えています。

妊婦の推奨摂取目安量は一日10mgですので、牡蠣一食分(50g~60g、5個程度)だけで、一日に必要な亜鉛の量をほぼ摂取できる計算になります。

妊娠中に亜鉛が必要な理由とは?

妊娠中に亜鉛が必要な理由とは?

亜鉛は必須ミネラルのひとつで、体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。亜鉛が不足するとさまざまな弊害が生じますが、貧血もそのひとつ。亜鉛には新陳代謝を活発にし、免疫力を高めるはたらきがあります。

妊婦が亜鉛不足に陥り、貧血になると、おなかの赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼします。貧血予防には鉄分も欠かせませんが、亜鉛の摂取も非常に重要。亜鉛と鉄分、そしてビタミンB群や葉酸も含む牡蠣は、妊娠中の貧血予防にぴったりの食材です。※参照2

ビタミンが豊富

ビタミンが豊富

牡蠣にはビタミンB群やビタミンEも含まれています。ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンEだけでなく、妊娠中に欠かせない葉酸も含まれていることもポイント。

貧血を改善するはたらきのあるビタミンB12の量がとくに多いことも、妊婦にお勧めの理由のひとつ。ビタミンB12は葉酸とともに、赤血球の中のヘモグロビンの生成を手助けするはたらきがあります。

低カロリー!でも揚げ物は注意を

低カロリー!でも揚げ物は注意を

牡蠣のカロリーは1個(20g)約12kcalと低カロリー。一食分を5個として計算しても60kcalですので、体重管理をしなければならない妊婦でも安心して食べられます。

ただし揚げ物にして食べる場合には、油の分のカロリーが別にかかりますので注意が必要です。ちなみにソースをかけて食べるとすると、牡蠣フライ1個のカロリーは50kcal程度になりますので、食べ過ぎないように気をつけましょう。

妊婦が牡蠣を食べる際の注意事項

妊婦が牡蠣を食べる際の注意事項

妊婦が牡蠣を食べる際に注意しなければならないポイントについて詳しくみていきましょう。生で食べるのはもちろんNGですが、表面だけさっと焼いただけの牡蠣もNG。

牡蠣を調理する際の注意点を心得ておくことが、食中毒予防のいちばんの対処法。妊婦が牡蠣を食べる際に注意すべき点とはどんなことでしょうか?

加熱する際は十分に火を通すこと

加熱する際は十分に火を通すこと

生で牡蠣を食べることはいかなる場合にも控えるべきですが、加熱したものであればどんなものでも大丈夫、というわけではありません。ウイルスは熱に弱く、ノロウイルスも例外ではありません。したがってノロウイルスの活性を失わせるには加熱処理が有効ですが、加熱の際の温度は85℃から90℃、時間は90秒以上加熱することが必要とされています。

このとき注意してもらいたいのは、牡蠣の内部まで完全に加熱すること。表面だけを加熱しただけでは、ノロウイルスの活性を失わせることはできません。さっとゆがくだけ、さっとあぶるだけ、という調理法はNGです。牡蠣の内臓の部分まで完全に火を通さなければなりません。

自宅で調理する場合だけでなく、外食をする際にも牡蠣の調理の仕方について十分に注意しましょう。半生状態の牡蠣を食べてしまわないよう、メニューの内容を慎重に吟味した上でいただくようにしてください。

調理器具や食器の取り扱いに注意すること

調理器具や食器の取り扱いに注意すること

ノロウイルスがついた食品に触れたために感染することもあります。生の食品が触れる調理器具やお皿などの取り扱いに十分に注意しましょう。

生の牡蠣を入れた器や調理の際に使った用具は、きちんと洗い、清潔に保ちましょう。また牡蠣を洗ったり、調理する際に、野菜や他の食品と触れないように注意しましょう。

調理前後・食事前に必ず手洗いを行うこと

調理前後・食事前に必ず手洗いを行うこと

調理前後や食事前、外出から帰宅したときなどにきちんと手を洗う習慣をつけましょう。妊婦だけでなく、家族全員に手洗いを実行してもらうことは、食中毒の予防に非常に効果的です。

妊娠中本人は生牡蠣を食べないとしても、家族のために生食用の牡蠣を用意する方もいるでしょう。生食用であれ、調理用であれ、牡蠣を調理したあとは手洗いを忘れずに行うようにします。牡蠣などの貝類には、ノロウイルス以外のウイルスが付いている可能性もあります。

手洗いは食中毒予防の基本中の基本。妊娠中の感染症を防ぐためには、食事の前だけでなく、調理の前と後にも必ず石鹸と流水で手を洗いましょう。本人だけでなく、家族の方にも手洗いを行ってもらうようにしてください。

販売用の牡蠣を食べること

販売用の牡蠣を食べること

妊娠中に牡蠣を食べる際には販売用の牡蠣のみを食べましょう。牡蠣、あさり、ホタテ貝などの二枚貝は貝毒をもっていることがあります。食用として販売する貝の毒性には規制値があり、規制値を越える貝は販売できません。

各都道府県は貝毒の発生状況を監視しており、出荷前に規制値の範囲内にあるかどうか検査を行い、その上で検査に合格したものだけが出荷されます。

貝毒とは?

貝毒とは?

毒素をもったプランクトンを食べた牡蠣やあさりなどの二枚貝は、体に毒を蓄積します。これが貝毒で、毒性をもった貝を食べた場合、食中毒が起こります。貝毒の症状は二種類、麻痺性の貝毒と下痢性の貝毒で、このうち麻痺性の貝毒は、フグの毒による中毒と同じような急性の症状を示します。

麻痺性の貝毒の場合は一刻も早く病院で処置を受けなければなりません。下痢性の貝毒の症状は、感染症による症状に似ていて、嘔吐や下痢、腹痛など。貝毒の場合、ウイルスとは違い熱に強いため、加熱調理をしても毒性を消すことはできません。

貝毒による中毒を予防するには、潮干狩りなどで自分でとった貝を食べないようにしなければなりません。牡蠣を食べる際には必ず販売用のものを買うようにしましょう。※参照3

まとめ

妊婦が牡蠣を食べるときに知っておきたい情報をいろいろとご紹介しました。妊娠中は牡蠣を食べないほうがいい、といわれる理由はノロウイルスによる食中毒を懸念してのもの。生の牡蠣を食べることにはリスクが伴いますので、妊婦は牡蠣を生で食べるのは控えるようにしましょう。

牡蠣についたノロウイルスは85℃から90℃の熱で90秒以上加熱することにより、活性を失わせることができます。妊婦が牡蠣を食べる際には、新鮮かつ安全なものを選ぶことも大切。安全に牡蠣を食べるための適切な調理方法をしっかり覚えておきましょう。

※参照 東京都福祉保健局 ノロウイルスとは
※参照 これからママになる方のための食中毒予防 農林水産省
※参照 農林水産省 ノロウイルスとは 
※参照 農林水産省 ノロウイルスによる食中毒に気をつけましょう
※参照 厚生労働省 食中毒の原因
※参照 国立感染症研究所感染症情報センター ノロウイルス感染症
※参照2 日本食物標準成分表
※参照 厚生労働省 日本人の食事摂取基準の概要
※参照 厚生労働省 妊婦の食事摂取
※参照 妊産婦と胎児環境における亜鉛の重要性と補充療法の重要性
※参照3 厚生労働省 食中毒に関する情報
※参照 農林水産省 ノロウイルス

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