待望の妊娠で心の中は幸せでいっぱいのはずなのに、なぜかイライラを募らせてしまう。これは妊娠初期の妊乱れやすく、妊婦さんはちょっとしたことでイライラを覚えてしまいます。
妊娠初期はつわりの症状もあり、妊婦さんにとって精神的にも身体的にも辛い時期になります。この時期を上手に乗り切るには、妊娠初期・妊娠超初期のイライラの原因や対処法など幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
妊娠超初期~妊娠初期のイライラを軽減する方法を身に付け、リラックスした気持ちでマタニティライフを送るよう努力しましょう。
妊娠初期のイライラの原因とは?
妊娠初期の妊婦さんは気分が安定せず、些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなったりします。イライラするだけでなく、気分が急に落ち込んだり、ふさぎ込んだりすることもあります。妊娠初期にこのような気分の落ち込みを感じる原因は何でしょうか?
妊娠を機に盛んになるホルモン分泌
女性の体には生理周期によりさまざまな変化が生じます。女性の体に変化をもたらす主原因は、ホルモン分泌量の変化。排卵日を境に活発になるのが黄体ホルモン。
黄体ホルモンは妊娠の継続に欠かせないホルモンで、重要な役割を果たしますが、この黄体ホルモンこそ、妊娠初期のイライラを引き起こす原因なのです。
黄体ホルモンの機能とは?
基礎体温が低温期から高温期に移るころ、それまで分泌が活発だった卵胞ホルモンに代わって、今度は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が活発になります。
黄体ホルモンの機能として挙げられるのは、受精卵が子宮内膜に着床しやすいよう、子宮を厚くすること。他にも体温を上昇させる、子宮が収縮を防ぐ、乳腺を発達させる、体に養分と水分をたっぷり蓄えるなど、黄体ホルモンのはたらきは多岐にわたります。
妊娠の継続には黄体ホルモンが不可欠ですが、黄体ホルモンの分泌により体にはさまざまな変化が起こります。妊娠初期のイライラもまた黄体ホルモンの分泌により引き起こされます。以下に黄体ホルモンにより起こる症状について見ていきましょう。
黄体ホルモンにより起こる妊娠初期の症状
黄体ホルモンの分泌増加によりあらわれる妊娠初期症状ですが、身体的なことと精神的なこと、両方に変化が表れます。身体的な症状として挙げられるのは、胸が張る、腰がたるい、便秘気味になる、太りやすくなる、眠気を催すなど。
精神的な症状として挙げられるのが、イライラや気分の落ち込み、やる気の喪失などの情緒不安定。これらはすべて、ホルモン分泌のバランスが変化することにより生じます。
妊娠初期の体調の変化によるストレス
妊娠を機に体は急激な変化を遂げます。体は全体的に丸みを帯び、胸や腰が張り、おなかの胎児を育みやすい体型に変わっていきます。
またホルモンバランスの崩れにより、肌荒れも生じやすくなり、妊婦さんの中には、これまで慎重に維持してきた体型やルックスが衰えてしまった、ということにストレスを感じる方もいます。
行動が制約されることから生じるイライラ
妊娠により起こるさまざまな体の変化に対して気持ちのほうがついていけず、これが原因で気分が落ち込んだり、イライラしてしまうことがあります。
赤ちゃんとお母さんをつなぐ胎盤がしっかりと完成するまでは、出来るだけ安静に過ごさなければならず、行動に制約を受けることもイライラの原因になります。
妊娠初期は流産の起こりやすい時期
また妊娠初期はもっとも流産の起こる確立が高い時期。もちろんこの時期に起こる流産のほとんどは、先天的に遺伝子に問題があるなど、胎児側の問題で起こるといわれています。
つまり妊娠初期の流産は防ぎようがないということになります。妊婦さんには防ぎようのないことだけに、流産するかもしれない、という不安な気持ちに駆られ、それが原因でイライラを募らせてしまう妊婦さんもいるようです。
妊娠初期のつわりによるイライラ
妊娠初期はつわりの症状も激しい時期。吐き気やだるさ、異常な眠気、腰のだるさ、食欲不振、口の渇き、下痢、便秘など、つわりの症状は多岐にわたり、どの症状が出るかは一人一人の妊婦さんにより異なります。
つわりの症状が出始めると、それに伴いイライラや気持ちの落ち込みにも拍車がかかります。つわりの身体的症状により体力が落ちてしまうと、精神的に追い詰められ、イライラと怒りっぽくなることがあります。
妊娠初期のイライラはどんな感じ?
妊娠初期には妊婦さんの多くが、程度に差こそあれ、気持ちの落ち込みやイライラを経験します。症状が軽い人の場合は、ただなんとなく気分が優れないという程度ですが、イライラが激しくなると、誰に何を言われてもカッとなってしまう、前後の見境なく喧嘩をしてしまうという妊婦さんもいます。
またイライラが高じて、ストレスがさらに溜まってしまい、これにより胃腸の調子を悪くすることもあります。黄体ホルモンのはたらきによりただでさえ胃腸の機能が低下している時期。イライラを解消する方法をうまく見つけなければ、吐き気やむかつきといったつわりの症状もひどくなってしまいます。
妊娠超初期のイライラについて
妊娠初期とは妊娠4週目から15週目までの三ヶ月間を指しますが、妊娠超初期とはそれよりも前の時期、つまり妊娠0週から妊娠3週目までを指します。
妊娠週の数え方はは最終月経日が基本になります。妊娠0週1日は最終月経の始まりの日で、最終的に着床が起きるのは妊娠3週目、そのため妊娠3週目は「着床期」と呼ばれることもあります。
妊娠超初期の症状があらわれるのはこの妊娠3週目。もちろん妊婦さん全員が妊娠超初期の兆候を感じるわけではありませんが、自分の体に対する変化に敏感な人は、この時期になんらかの兆候を感じ取るようです。
妊娠超初期の兆候とは?
イライラや集中力の低下は、妊娠超初期の兆候の一つになります。他にも眠気やだるさ、便秘や下痢、匂いに敏感になること、胸の張りなど、妊娠初期の症状と同様の症状を感じます。中には「着床痛」と呼ばれる痛みをおなかに感じる方もいるようです。
妊娠超初期の段階ではまだ妊娠しているかどうか、産婦人科での検査でも確定的なことは分からない時期になります。生理予定日前後になんとなくいつもと違う感じを覚えたら、普段よりもさらに注意を払い、体の変化を見逃さないようにしましょう。
月経前症候群と妊娠超初期の兆候の違いとは?
月経前症候群(PMS)とは、生理前にあらわれるさまざまな不快な症状のこと。身体的および精神的な症状の双方が生じます。精神的な症状として挙げられるのは、イライラや気分の落ち込み、情緒不安定、憂鬱、やる気や集中力の欠如、理不尽な怒りや短気などです。
月経前症候群と妊娠超初期の兆候はともにホルモンバランスの崩れにより起こりますので、イライラするという症状だけでは、生理がくるのか、それとも受精・着床が行われたのか、判断することは出来ません。
妊娠超初期の薬の服用には注意を
妊娠超初期にイライラを感じたときの対処法について見ていきましょう。日頃から月経前症候群の症状に悩まされている方は、生理前のイライラや身体的な不快症状を軽減するための薬を服用しているかもしれません。
市販薬の服用は、妊娠している可能性がまったくない場合には差し支えありませんが、万が一にも妊娠している可能性がある場合は、自己判断で軽率に市販薬を飲まないよう気をつけましょう。
妊娠初期のイライラはいつから始まる?
妊娠初期のイライラはいつから始まり、いつごろまで続くのでしょうか。イライラしたり、気分が急に落ち込んだり、という妊婦さんの精神状態は、つわりの一種でもあります。
つわりの症状、起こる時期、症状の度合いに関しては個人差が大きく、比較的軽いつわりで済む方もいれば、安定期に入るまでの間ずっと吐き続けた、という方もいます。イライラに関しても同様で、始まる時期や症状の度合いは一人一人違っています。
自分の体に起こる変化に敏感な方は、妊娠超初期と呼ばれる妊娠3週目くらいからイライラを感じ始めます。いつごろまで続くかに関しても個人差がありますが、ほとんどの場合は安定期に入るまでの3ヶ月間、症状がもっとも顕著にあらわれます。吐き気やむかつきなど、つわりの症状がおさまるころには、イライラや情緒不安定も次第に落ち着いてきます。
妊娠初期のイライラと赤ちゃんの性別は関係ある
妊娠初期の妊婦さんの精神状態で、おなかの赤ちゃんの性別が分かる、という俗説がありますが、これは本当でしょうか。このような話はつわりに関してもいわれています。
たとえばつわりの症状がひどいと男の子、おなかが尖っていると男の子など、つわりや妊娠の状態から、おなかの赤ちゃんの性別を判別できるという話しはたくさん聞きます。
しかしこのような俗説に医学的な根拠はあるわけではありません。つわりの症状などからおなかの赤ちゃんの性別を推定できるというのは、いわば妊婦さんの希望的観測。男の子であってほしい、女の子であってほしい、という気持ちから、このような俗説が生まれるものと思われます。
妊娠初期のイライラ対策
妊娠初期はいろんな点で妊婦さんにとっては非常に辛い時期。食欲不振や体のだるさに加えて、ムカつきや吐き気、胃痛やむくみなど、不快な症状が山のような生じてしまいます。
このような身体的な不調だけならまだしも、この時期はとかく情緒が不安定になり、周囲の人の何気ない言葉にイライラしたり、怒りを爆発させたりします。イライラを募らせていると体調はどんどん悪化してしまいます。
妊婦さんがイライラしたからといって、おなかの赤ちゃんにそのまま差し障りがあるというわけではありません。しかしイライラをそのままにしておくと、ストレス過多になってしまい、自律神経はさらに乱れる一方です。妊娠初期のイライラを緩和する方法について把握しておくようにしなければ、楽しいはずのマタニティライフは遠のくばかりです。
イライラの原因を知る
妊娠初期のイライラの主原因は、妊娠を機に活発になるホルモン分泌にあります。妊娠の継続に黄体ホルモンの分泌は絶対不可欠、黄体ホルモンの分泌自体をコントロールすることは誰にも出来ません。
イライラ対策を考える前に、まず覚えておいてもらいたいのはこの点。ついかっとなり家族に八つ当たりしてしまい、あとで自分を責めたり、自己嫌悪に浸り、さらにイライラを募らせてしまう妊婦さんもいます。イライラや気分の落ち込みはホルモンの為せるわざと考え、感情を出来るだけ後に引き摺らないようにしましょう。
周囲の理解を得る
どうして情緒不安定になったり、イライラしたりするのか、その理由をご主人や家族に説明し、理解を得るようにしましょう。妊娠初期の妊婦さんは何でもないことでイラついてしまいますが、それに対して非難めいたことを言われたり、たしなめられたりすると、余計に怒りが増してしまいます。
家族や友人を始め、毎日顔をあわせる人に対しては、十分な理解と協力を得られるよう、妊娠初期のつわりや情緒不安定に関する基礎的な知識を伝えるようにしましょう。
家族の理解と協力があれば、突発的にイライラが起きても、それを引きずることなく一日を過ごすことが出来ます。
自分の好きなことをする時間を作る
妊娠してからというもの、おなかの赤ちゃんに成長に差し障りのあることは一切できなくなるため、妊婦さんは行動に多くの制約を受けます。また生活習慣に制約を受けるだけでなく、吐き気やむかつき、胸焼けなどのつわりの症状により、食事の内容も時間も不規則になり、ストレスのレベルは非常に高い時期といえるでしょう。
こんな時期だからこそ、少しでもストレスを軽減し、自律神経のバランスを取り戻す努力をしましょう。どんなに忙しいときでも、自分の好きなことをする時間を積極的に作り、ストレスを溜め込まないようにします。
ここまでのまとめ
妊娠超初期~妊娠初期に起こるイライラや情緒不安定について、その原因から対策法までご紹介しました。妊娠初期というつわりのひどい時期に起こるイライラ。黄体ホルモンは妊娠の継続に絶対不可欠なホルモンですが、その機能ゆえに自律神経のバランスを乱すという特徴があります。
ホルモンにより引き起こされる症状ですので、完全にイライラが生じないようにすることは難しいかもしれません。しかしだからといって何も対策を講じないであると、ますますストレスを募らせてしまいます。イライラを軽減する自分なりの対策を立て、ストレスを溜め込まないようにしましょう。