妊婦の体重管理について知っておきたいこと

体重の急激な増加に警告!妊婦が知るべき14の体重管理方法 妊娠中

女性の身体は妊娠すると、胎盤や子供の成長のために食欲が増えていきます。確かに、身体がどんどんと変わっていく時期ですから、栄養は必要です。

しかし、だからといって食欲のままにどんどんと食べ続けていくと、体重は右上がりで増加してしまいます。育児の発育や出産の負担にもつながりますので、きちんと体重管理をしていきましょう。妊婦の体重管理について知っておきたい情報をご紹介していきます。

目次

体重管理のスタートは妊娠5ヶ月目から

体重管理のスタートは妊娠5ヶ月目から

お母さんの妊娠前の体型に違いがあっても、胎盤が完成するまでは胎児の成長具合は全て同じと言うのをご存知ですか?

成長に差が出てくるのは妊娠4ヶ月の終わりから5ヶ月ごろで、胎盤が完成してお母さんが摂取した栄養分が胎児に送られ始める時期です。妊娠状態を維持するプロゲステロンが多量に分泌されているのに加え、つわりの時期も終わるため急に食欲が増して、この時期から体重がぐっと増えてしまう方も少なくありません。

妊娠5ヶ月から出産までに胎児の体重は3倍以上、羊水や血液量は1.5倍に増えるので、今体重を増やしてしまうといくらこれから体重管理を頑張ったとしても良い結果が出ないので、なるべく始めのこの時期から体重管理を始めるべきです。

妊婦の仕事は体重管理!

妊婦の仕事は体重管理!

体重が急激に増加しないよう、きちんと体重管理を行うことは妊婦にとって大切な仕事のひとつです。食欲が増える時期だし、子供のためにとついつい多めに食事を食べている方は要注意。そのまま食べ続けていると、脂肪だらけの身体になってしまいます。

食事の量は1.5人分

食事の量は1.5人分

子供のためにもしっかりと栄養をつけないといけないから、2人分ちゃんと食べないと!と大盛りご飯を3食食べる方がいらっしゃいます。周囲も、口癖のように2人分食べなさいと薦めてくるでしょう。

しかし、実際に2人分ものカロリーを摂取するのは明らかなカロリーオーバーになります。体重の増加だけでなく、体脂肪も増加してしまうでしょう。目安にしたいのは1.5人分。いつもより少し多め程度が理想的な量です。

実際にどれくらい食べていいの?

実際にどれくらい食べていいの?

妊婦にとって、適量は1.5人分の食事です。では、実際にはどれくらいの量に匹敵するのでしょうか。カロリーの目安としては、1日のうち約300~350kcalをプラスすると、急激な体重増加にはつながりません。

食事に追加するなら、ご飯1膳分なので、3食お米をいただくという方は、普通盛りより気持ち大盛りという程度です。間食にバナナ1本追加、キウイやみかんを1個プラスするくらいがちょうど良いでしょう。

体重増加には理由がある

体重増加には理由がある

妊婦の身体は、栄養を確保しようとする働きが強まるため、通常よりも太りやすくなります。このため、いつもと同じ量を食べていても体重が増加しやすくなるのです。

しかし、体重管理を徹底しようと食事の量を減らすのは避けましょう。妊娠中は、良質の栄養をしっかりとっておかなければ、子供の発育にも影響してきます。大切なのは、量より質と心得え、バランスの良い食事を意識するようにしましょう。

妊婦は皮下脂肪が付きやすい

妊婦は皮下脂肪が付きやすい

本格的に胎児の身体が成長する妊娠7ヶ月頃になると、エネルギーを得る為多くの糖質を必要とします。その成長をサポートする為に、お母さんの身体はお母さんが摂った糖質を全て胎児へと送るように身体のシステムを変えてゆきます。

お母さんは糖質の代わりに脂肪からエネルギーを得るようになるため、お母さんの身体には多くの皮下脂肪が必要となるのです。皮下脂肪は妊娠中期から臨月にかけて、お母さんの生命活動を支えるために無くてはならないものなので、ある程度は必要である事を覚えておきましょう。

体重が増えるとどうなる?

体重が増えるとどうなる?

妊婦にとって体重管理は必要な仕事のひとつです。しかし身体が栄養を蓄えようとするわけですから、体重が増加するのは悪いことではないように思います。

確かに、羊水や胎盤の発育、胎児の成長により、徐々に体重は増加していくのは当たり前のことです。ただ、短期間で一気に体重が増加するとお腹周りや産道に脂肪がつくため、出産が辛くなります。

また、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や、妊娠糖尿病などを発症する恐れもあるため、体重の急激な増加は避けるべきなのです。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の影響

妊娠中毒症の影響

急激な体重の増加は、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を招いてしまいます。妊娠中毒症とは、高血圧になったり、蛋白尿が出てしまったり、もしくは脚を中心にパンパンにむくんでしまうことをさします。

この状態が長引くと、胎盤そのものの働きを弱めてしまうため、胎児が育ちにくくなってしまうのです。

妊娠糖尿病の影響

妊娠糖尿病の影響

妊娠糖尿病とは、食べ過ぎによる体重の増加とともに、血糖値が上昇してしまうことをさします。血糖値が上がり続けたままの状態が長引けば、体脂肪はどんどんと増加し、妊婦の身体も大きくなります。

ただ、妊娠糖尿病の怖いところは、妊婦の身体だけでなく胎児の身体も大きくさせてしまうという点です。大きすぎると胎児が産道を通れなくなるため、帝王切開を余儀なくされます。

また、胎児の身体だけがどんどんと大きくなると、内蔵の発育が遅れてしまうため、身体の弱い赤ちゃんとなる可能性もあるのです。

体重増加と腰痛の関係

体重増加と腰痛の関係

体重管理を徹底できず、どんどんと体重が増加してしまうと腰痛を引き起こしてしまうことがあります。もともと、妊婦は腰痛を感じやすいと言われていますが、これはホルモンの影響により骨盤周りの靭帯が緩んでしまうからです。

ただ、骨盤周りの靭帯が緩んだ上に、増加した体重分の脂肪が上乗せされると、途端に腰痛は悪化してしまいます。ギックリ腰のような状態が長引、歩行も辛いという事態を引き起こしてしまうでしょう。

また、腰痛を発症させると動くことが辛くなるため、横になりじっと座っている時間が増えてしまい、脂肪の燃焼率が下がってしまいます。そうなると、体重増加と腰痛を繰り返す悪循環に陥ってしまうので注意しましょう。

次の妊娠に悪影響が出る可能性も

次の妊娠に悪影響が出る可能性も

妊娠中に体重が増えすぎてしまい産後もその皮下脂肪が残ったままだと、次の妊娠にも影響を与える可能性が出てきます。

女性ホルモンの中で排卵を促す働きをするホルモンはコレステロールで作られるのですが、そのコレステロール量が多くなるとホルモンバランスが崩れて排卵の働きが乱れてしまい、産後の生理再開が遅くなったり排卵周期が中々一定に戻らないというケースに陥る事が少なくありません。

特に第一子と第二子の年齢差を少なくしたいと考えているカップルは、産後の体調を早く通常に戻して次の妊娠に繋げるためにも、今の妊娠中から体重を増やしすぎないようにしたいものです。

難産になる可能性が高い

難産になる可能性が高い

体重管理を病院で厳しく言われるのは、ひとえに難産になる可能性が高いからです。

分娩時に胎児を押し出す力が弱まって陣痛が長く続き、お母さんは出血量が増えて体力を消耗してしまい、赤ちゃんは酸欠になって障害が残る可能性がでてしまうので、何十時間も頑張った挙句帝王切開に切り替えるケースも出てしまいます。

そうすると平均的な分娩時間で出産した妊婦よりも産後の体力回復に長い時間がかかって、赤ちゃんに初乳をあげられなかったり最初の親子の時間を持てなかったりと、体重が増えすぎてしまった場合は妊娠中だけでなく産後に渡ってまでデメリットが続きます。産後の生活を赤ちゃんと一緒にスムーズに始めたいのならば、妊娠中の体重管理は必須です。

痩せすぎも注意!体重増加最小限は8kg

妊婦がどこまで体重を増やしてよいかは妊娠前のBMI値で目安をつけるのですが、中には体重が増えるのが嫌だったり酷いつわりで体重が激減してしまい、体重をほとんど増やさないまま出産に臨む方もいます。

ただ、出産近くの赤ちゃんの体重が約3kgで羊水と胎盤で1kg・血液量や子宮筋の増加が約3kg、そして妊娠中・産後に必要とするエネルギーの為の皮下脂肪量と考えると、BMI値が太りすぎと判断された方以外は、最低限でも8kg増えてしまうのは当たり前と思った方がよいでしょう。

しかし8kgの増加では低体重児が生まれる可能性も考えられますので、BMI値が標準かそれ以下の方は後4~5kg増やすように気をつけましょう。

体重増加のスピードについて

体重増加のスピードについて

妊婦の身体は、月日を重ねるにつれて自然に体重が増加していきます。年齢やBMI値にもよりますが、標準的な身体なら、10ヶ月の間に7~10kgまでの増加に留めておきましょう。

だからといって、短期間で一気に3kg増加するのはよくありません。増加のスピードは、早すぎると妊婦の身体や胎児に影響しますので、1週間に500g以上増加するようならブレーキをかけましょう。

体重増加の割合

妊婦の身体は少しずつ体重が増加していきますが、太っているのか子供の成長の影響なのかわからないという方も多いでしょう。そこで、目安にしていただきたいのが割合です。

例えば、平均的な赤ちゃんの体重は3kg前後です。これを基準に、羊水と胎盤の1kg、妊婦の身体に蓄えられる血液や水分の2kgを加えましょう。すると、赤ちゃんの影響による体重増加は、6kg前後となります。

体重増加が10kgだったという方は、4kgが妊婦の脂肪というわけです。これはあくまでも目安ですが、ひとつの基準に体重管理を徹底していきましょう。

妊婦の体重管理の難しさ

妊婦の体重管理の難しさ

体重管理すべきといっても、妊婦の身体は通常のときと違います。つわりがひどく、食生活が不規則になり、食べられるものが制限されて栄養が偏ることもあるでしょう。

だからこそ、体重管理は難しい面がありますが、放置しておくと体重はどんどん増加し良い影響をひとつも与えません。簡単な方法で構いませんので、まずは1日のうち何を食べているか把握できるようにしておきましょう。

メモや写メを活用

メモや写メを活用

妊婦が体重管理を徹底するためには、食べているものを把握する必要があります。食べたときには必ずメモをするのが理想的ですが、スマートフォンの写メを活用するのもひとつの方法です。

1日に食べたものを写真で把握することができますし、アプリを活用すればカロリー計算も簡単に行えます。自分が続けやすい記録方法を選ぶことで、無理なく体重管理をできるようにしましょう。

無理なダイエットは禁物

無理なダイエットは禁物

妊婦にとって体重管理することは大切です。しかし、あまりにも神経質になると妊婦生活そのものが辛くなってしまいます。体重が増加してしまったと、慌てて食事制限をし、無理に運動することは避けましょう。

1人で体重管理を行おうとすると辛くなりますので、妊婦仲間や家族など周りの人たちに協力してもらいながら行うようにしましょう。会話をしながら楽しく食べることこそ、食べ過ぎ防止につながります。

妊婦に必要な栄養素

妊婦に必要な栄養素

妊婦にとって、摂るべき栄養はたくさんあります。しかし、体重管理も継続していかなくてはなりません。そんなとき、頼りになるのが豆類や野菜類です。豆類には良質のたんぱく質が豊富に含まれているので、カロリーを抑えながら良質の栄養を摂取することができます。

また野菜にはミネラルやビタミンが豊富に含まれていますし、食物繊維もたっぷりあります。特に妊娠初期の頃は、葉酸の栄養素が必要になりますので、野菜をたっぷり食べるように心がけましょう。

豆や野菜を中心としたメニューにすれば、体重の急激な増加は防げますし、体重管理もしやすくなるのでオススメです。

毎日の運動を習慣にしましょう

毎日の運動を習慣にしましょう

お母さんが食べる食事は胎児の成長に直結するため、いくら体重管理が大変でも食事のカロリーを減らす事はできません。摂取エネルギー量が変えられないのならば、筋肉を動かしてどんどん消費エネルギーを増やすしかないのです。

妊娠中は、無理なく30分~1時間続けられる有酸素運動が消費エネルギーを増やす為には一番。また筋肉を動かして筋肉量が減るのを抑えて柔軟性をつけておけば、分娩も比較的短時間ですみ産後の体力回復も早いなど、妊娠中から産後にいたるまで多くのメリットが挙げられます。

ぜひ運動やストレッチを毎日の習慣にしてください。ただし体重を減らす目的でハードな運動を行うのはNG。

ここまでのまとめ

妊婦の体重管理についてご紹介しました。急激な体重増加を防いで、健やかな赤ちゃんを育めるようがんばりましょう!

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