妊娠後期に入ると、出産が間近に迫ってきている実感が増えてくるため、「いつごろ赤ちゃんは産まれてくるだろう?」とソワソワすることが多くなりますよね。しかし、出産予定日にピッタリ産まれてくるのは少ないと言われているため、いつ陣痛が来るのかわからないことがほとんどです。
そんな時気になるのが、出産予定日よりも早いお産となった場合です。早く生まれてしまうと、その分赤ちゃんに問題があるのではと不安になる方もいらっしゃるでしょう。特に、予定日よりもだいぶ早い33週、34週、35週、36週、37週、38週で産まれた場合、どのような可能性があるのか知っておくべきです。
そこで、出産予定日よりも早い出産について、さまざまな情報を幅広くご紹介していきたいと思います。
出産予定日の決め方について
出産予定日は、産婦人科で伝えらえることがほとんどです。妊娠初期の早い段階から出産予定日は決まっていますが、どのような計算方式で決められているのでしょうか。
出産予定日の計算方法
出産予定日は、妊娠する前に最後に来た月経の初日からカウントしていきます。最終月経の初日から280日目(40週)を出産予定日としています。また、最終月経の初日の月から3を引き、日に7を足して計算することも可能です。月から3が引けない時は、9を足すようにしましょう。
ただ、出産予定日はあくまで目安であって、生理周期などによっても変動しやすくなります。そのため、あくまで参考程度に決められることが多いでしょう。
生理周期28日が目安
出産予定日は、生理周期が28日周期で、毎月決まった時期に生理が起こることを想定して計算されています。そのため、最終月経の初日から280日目が出産予定日として計算されているのです。
しかし、生理周期は人によって周期が異なります。26日周期の方もいれば、31日周期の方もいらっしゃるでしょう。また、毎月生理が決まった周期で訪れる方も少ないのではないでしょうか。そのため、出産予定日は変動しやすくなるのです。
初産と経産婦 出産予定日よりも早い遅い?
初産は遅れやすい?
赤ちゃんが産まれるのは、妊娠39週や妊娠40週などほぼ予定日に近い日に起こることがほとんどです。しかし、初産の場合は少し違う傾向が見られます。
初産の場合、出産予定日よりも遅れるケースが多いと言われています。そのため、初めての出産に挑む方は、遅れる可能性もあることを頭の片隅に覚えておきましょう。
経産婦は早い?
初産の場合、出産予定日を過ぎて産まれることが多いですが、出産を経験した経産婦の場合、出産予定日や出産予定日よりも前に赤ちゃんが産まれることが多いと言われています。これは、赤ちゃんを産んだ経験があることから骨盤が開きやすく、産道が通りやすいからと言われています。
初産婦・経産婦以外で早い出産になりやすいケースとは
初産婦は出産予定日よりも遅く、経産婦は出産予定日よりも早く生まれる傾向にあると述べましたが、それ以外にも早い出産になりやすいケースがあります。
まず多胎妊娠の場合、出産予定日まで待つとお母さんや赤ちゃんへの負担が大きいため、出産予定日前に計画分娩で出産することが多いです。また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などを発症し、お母さんの体が妊娠状態に耐えられなかったり、赤ちゃんの成長に悪影響が出るような場合も、医師側と妊婦側が相談の上で計画分娩を行うことがあります。
加えて前置胎盤・前期破水・子宮頸管無力症など妊娠中に起こるトラブルも、妊婦さんと赤ちゃんの状態によってはそのまま緊急帝王切開につながる原因となります。
正産期の正期産について
出産予定日は、あくまで参考とされているものですが、赤ちゃんの発育を考えると出産予定日ピッタリに生まれるのが理想とされています。身体の機能が充分成長し、お腹の外に出ても生きていける身体や体力を備えて準備万端となるのが出産予定日だと言われているからです。
ただ、出産予定日の前後で産まれても充分元気に成長して行くことは可能で、出産予定日の前後2週間の「正産期」に生まれれば正常だと言われています。
正産期はいつからいつまは?
正産期とは、出産予定日の前後2週間の期間を言います。具体的には、妊娠37週0日~妊娠41週6日の期間です。日数にすると出産予定日を含む35日間が正産期になります。この期間に産まれた赤ちゃんは、「正期産」と言われ、理想的な時期に産まれた赤ちゃんとされます。
早産 正産期より前のお産
正産期は、妊娠37週0日~妊娠41週6日までの期間のことを言います。それより前の36週6日以前に産まれた場合は、「早産」となります。早産となると、赤ちゃんが未熟なのでは?と思ってしまいやすいですが、必ずしも全ての機能が未熟とは限りません。ただ、早すぎる出産になると、保育器でしっかり管理されて過ごす必要が出てくるでしょう。
出産予定日よりも早い出産について
赤ちゃんが予定日よりも早く産まれてきた場合、未成熟や低体重などいろいろ気になることが出てくると思います。そこで、週数別にどのような状況が考えられるのか、ご説明していきましょう。
38週出産について(臨月・正産期)
出産予定日よりも早い38週で赤ちゃんを出産した場合、正産期の37週0日~妊娠41週6日の期間に入るため、早産にはなりません。妊娠38週目の赤ちゃんは、体重が2700g~3200gに成長しており、体長も47cm~49cmになっています。
胎児の体重や大きさには個人差がありますが、体重において2500g以上となっていれば成熟児になっているので、この時期に出産しても何の問題もないと言えるでしょう。
37週出産について(臨月・正産期)
出産予定日よりも早い37週で赤ちゃんを出産した場合、正産期の37週0日~妊娠41週6日の期間に入るため、早産にはなりません。妊娠37週目の赤ちゃんは、体重が2500g~3000gに成長しており、体長も45cm~48cmになっています。
胎児の体重や大きさには個人差がありますが、体重において2500g以上となっていれば成熟児になっていますし、37週なら内臓も完成し、肺呼吸の準備も整っているのでお腹の外に出ても問題なく成長して行くことができます。そのため、この時期に出産しても何の問題もないと言えるでしょう。
36週出産について(臨月)
出産予定日よりも早い36週で赤ちゃんを出産した場合、正産期より早い出産となるため、臨月に入っていますが「早産」の扱いとなります。妊娠36週目の赤ちゃんは、体重が2000g~2900gに成長しており、体長も45cm~47cmになっています。
赤ちゃんの成長速度には個人差がありますが、体重が2500gを超えていれば、基本的に問題がない限り保育器に入らず普通の赤ちゃんと同じように過ごすことができます。
しかし、体重が2500gに満たず低体重で産まれてきた場合、脳性麻痺による運動障害や、呼吸障害などのリスクが発生する可能性があるため、保育器で細心の注意を払って経過を見守る必要が出てくるでしょう。
35週出産について(早産)
出産予定日よりも早い35週で赤ちゃんを出産した場合、正産期より早い出産となるため「早産」となります。妊娠35週目の赤ちゃんは、体重が1950g~2700gに成長しており、体長も43cm~46cmになっています。内臓機能が成熟してくる時期で、胃腸がゆっくりと機能し始める頃です。また、肺呼吸の準備も徐々に整ってきているでしょう。
成長が早く体重も2500gを超えている赤ちゃんなら、この時期に生まれても肺呼吸ができたりすることもあるかもしれませんが、低体重の場合や成長が遅い場合は、保育器に入れられ、新生児集中治療管理室(NICU)で経過観察しなければならないでしょう。
34週出産について(早産)
出産予定日よりも早い34週で赤ちゃんを出産した場合、正産期より早い出産となるため「早産」となります。妊娠34週目の赤ちゃんは、体重が1800g~2500gに成長しており、体長も43cm~46cmになっています。心拍や呼吸の働きは徐々に安定してくるようになりますが、まだ十分に成熟していないため、この時期に出産した場合、保育器に入れられ、新生児集中治療管理室(NICU)で経過観察しなければならないでしょう。
ただ、肺呼吸が充分に成長していない場合や、あまりにも低体重だった場合、新生児集中治療管理室(NICU)で治療を受けても、赤ちゃんによっては亡くなってしまう可能性もあります。
33週出産について(早産)
出産予定日よりも早い33週で赤ちゃんを出産した場合、正産期より早い出産となるため「早産」となります。妊娠33週目の赤ちゃんは、体重が1600g~2300gに成長しており、体長も42cm~45cmになっています。
妊娠33週目だと、早産による赤ちゃんの死亡率が高くなります。また、命を引きとめることができても、脳性麻痺や脳内出血などの重い後遺症が残ってしまう可能性があるでしょう。これは、この時期にまだ赤ちゃんが自分で肺呼吸できないことが多いためです。
妊娠33週だと臨月にまだ達していない妊娠9ヶ月の前半の頃なので、早産を防ぐためにも充分安静にしておく必要があります。
早産の場合 新生児集中治療管理室(NICU)
正産期よりも早い妊娠36週より前に赤ちゃんが産まれた場合、早産となります。赤ちゃんが低体重の場合や、さまざまな機能の成熟が不十分な場合、新生児集中治療管理室(NICU)という場所に運ばれ、経過観察されます。
NICUとは、英語のNeonatal Intensive Care Unitの頭文字をとったものです。新生児集中治療管理室(NICU)では、どのようなことが行われるのでしょうか。
お腹の中を再現
新生児集中治療管理室(NICU)では、できるだけお腹の中に近い状態で赤ちゃんを保護していきます。人工呼吸器やチューブ、点滴などで赤ちゃんをサポートし、24時間体制で医師や看護師がケアを続けます。
また、赤ちゃんの治療が優先されるため、お母さんであっても気軽に面会することはできないため、ガラス越しで面会することが多くなるでしょう。出産してすぐに離れ離れになってしまうため、心細くなるかもしれませんが、赤ちゃんも頑張って生きようとしているので、優しく見守ってあげるようにしましょう。
お腹の中での成長の方が早い
妊婦健診に行くと、お腹の赤ちゃんがどんどん成長して行く様子に驚かされることも多いと思います。お腹の中は、赤ちゃんにとって最適の空間となっており、そこで成熟するのが最良とされています。
しかし、早産になり成長途中の段階でお腹の外に出てしまった場合、お腹の中なら1日で成長できることが、お腹の外では1週間以上の時間が必要になるなど、成長スピードが極端に遅くなってしまうのです。
そのため、新生児集中治療管理室(NICU)で万全の状態になるまで、きめ細やかにケアを続ける必要があるのです。
NICUはすべての病院に設備されていない
万が一早産になったとしても、新生児集中治療管理室(NICU)で治療を受けることで命を取り留めることは可能です。しかし、全ての病院に新生児集中治療管理室(NICU)が設備されているわけではありません。そのため、ベッドがいっぱいで受け入れてもらえない場合もあります。
早産を引き起こすことで注意すること
赤ちゃんは、できるだけ正産期に出産するのが理想です。早産だと赤ちゃんが未熟児で生まれてきたり、最悪の場合死産となったりすることもあります。では、何に気をつければ早産を防ぐことができるのでしょうか。
詳しく:早産について
無理は絶対にしない
早産を防ぐためには、無理を絶対にしないことが大切です。運動をしすぎたり、仕事をがんばり過ぎたり、ストレスを溜め込んだりすることで、身体に負担がかかり早産を引き起こしやすくなってしまいます。妊娠後期はできるだけリラックスして安静に過ごせるようにし、決して無理をしないようにしましょう。
タバコや飲酒はNG
妊娠後期に入ると、今まで我慢していたことが一気に爆発してしまうことがあります。もうすぐ出産という気の緩みから、禁煙や禁酒を解禁してしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、このことがきっかけで早産が引き起こされることもあるため、妊娠中は絶対に解禁しないようにしてください。
まとめ
出産予定日よりも早い出産について詳しくご紹介しました。赤ちゃんが産まれるのに最適な正産期は、妊娠37週0日~41週6日なので、できるだけその時期に出産できるようにすることが大切です。
さまざまな知識を知り、無理をせずに安静に過ごすことで早産を未然に防ぎ、可愛い元気な赤ちゃんと出会えるようにしてください。