妊娠も後期に差し掛かるようになると、気になってくるのが「陣痛」の二文字ではないでしょうか。初めての出産の場合、どんなふうに陣痛が来るのか見当もつきませんよね。
ひとまとめに陣痛と言っても、本番の出産時に起きる陣痛もあれば、予行練習として行われる陣痛もあります。これらの違いは陣痛間隔により判断することができますが、陣痛を経験したことがない方にとっては、イメージしにくいこともあるでしょう。
どんな陣痛が本番なの?陣痛が来たら何をすれば良い?など戸惑う方も多いと思いますので、陣痛や陣痛間隔についての情報について詳しくご紹介していきたいと思います。
陣痛とは?
赤ちゃんを出産する時に、まず身体に起こるのが「陣痛」ですが、陣痛とはどのような状態のことを言うのでしょうか。
陣痛は、赤ちゃんが子宮の外に出るために必要な子宮の収縮活動のことを言います。子宮が収縮することにより、痛みが生じそれが陣痛として身体に現れてくるのです。
よくドラマや映画などで陣痛が来て動けなくなるというシーンがありますが、実際の陣痛はさまざまな段階を経ており、最初から動けないくらい強くなることはほとんどありません。
陣痛の種類について
陣痛は、赤ちゃんが子宮の外に出るために必要な、子宮の収縮活動のことを言います。ただ、子宮の収縮活動が始まったからと言って、すぐに出産に繋がるというわけではありません。陣痛には大きく分けて2つの種類があり、前駆陣痛と本陣痛があります。それぞれ特徴が異なりますのでご紹介しておきましょう。
前駆陣痛とは
前駆陣痛とは、いわば本陣痛の予行練習のようなもので、出産には繋がりません。ただ、前駆陣痛は「偽陣痛」と呼ばれるくらい急に痛みが生じることがあるため、初めての出産に挑む方は、前駆陣痛を本陣痛だと感じる方もいらっしゃるでしょう。
前駆陣痛の間隔や症状
前駆陣痛の特徴は、本陣痛とは大きく異なります。以下の特徴があてはまる場合、前駆陣痛である可能性があるので、慌てる必要はないと言えるでしょう。
前駆陣痛の痛みに間隔に強弱がある
前駆陣痛の場合、痛みの中に強弱の変化がつくことがあります。ある瞬間は強い痛みを感じるけれど、その後には痛みが和らいだり少なくなったりします。
陣痛間隔が不規則でバラバラ
前駆陣痛の場合、痛みが起きる間隔がバラバラになることが多いです。痛みが起きている時間が30分の時もあれば、15分と短くなったり、再び20分と長くなったりします。本陣痛は規則正しく起こるものなので、陣痛間隔がバラバラになっている場合は、前駆陣痛である可能性が高いと言えるでしょう。
前駆陣痛の痛みがずっと弱い
前駆陣痛の場合、激しい痛みではなく生理痛や便秘の圧迫感に近い痛みのことが多く、妊婦によっては前駆陣痛だと気づかないこともよくあります。
ただ、生理痛に近い痛みと言っても妊娠前に激しい生理痛に悩まされていた方もいらっしゃると思います。ただ、本陣痛に比べると前駆陣痛の痛みは圧倒的に弱いことが多いため、いつものような違和感や痛みなら、前駆陣痛の可能性が高いと言えるでしょう。
前駆陣痛の痛みの場所がバラバラ
前駆陣痛の場合、痛みが起きる場所もバラバラになることがほとんどです。お腹の前側が痛くなるときもあれば、下腹部が痛くなるときもあります。
本陣痛の場合痛みは規則的に広がっていくので、痛みが起きる部分がその時によってバラバラになるようであれば、前駆陣痛の可能性が高いと言えるでしょう。
姿勢を変えると落ち着いてくる
前駆陣痛の場合、痛みを感じている時に姿勢を変えると痛みが治まることがあります。痛みを感じているときに姿勢をいろんな風に変えてみて、和らぐポジションがあれば、前駆陣痛の可能性が高いと言えるでしょう。
前駆陣痛が起きる時期
前駆陣痛が起きる時期は、人によってバラバラです。本陣痛の1ヶ月くらい前に前駆陣痛が起きる方もいれば、前駆陣痛から数時間後に本陣痛が起きる方もいます。
臨月になると、前駆陣痛らしきものが現れやすくなってきますので、見逃さないようにしましょう。
より詳しく:前駆陣痛について知っておきたいこと
微弱陣痛とは何か?(陣痛が弱い)
陣痛の種類として微弱陣痛が挙げられますが、これは分娩に向かう陣痛でありながらも陣痛間隔が不規則だったり、弱くなってしまう状態を指します。陣痛の状態から前駆陣痛と同じと思う方も多いですが、痛みが治まる前駆陣痛に対し、微弱陣痛は本陣痛と同じでも子宮収縮が弱く子宮口が中々開かないという点が異なります。
微弱陣痛は妊婦さんの体質が関係していて、妊娠中の著しい体重増加や筋力不足・睡眠不足・骨盤が狭い妊婦さんは、微弱陣痛の傾向が強いでしょう。
微弱陣痛はお母さんと赤ちゃんの体力低下の原因となるので、長引く時は状況を見て陣痛促進剤の使用や帝王切開に切り替えるケースもあります。
本番の陣痛「分娩陣痛」
本陣痛とは、赤ちゃんが出産に繋がる陣痛のことを言います。正式には「分娩陣痛」といい、分娩時に赤ちゃんをスムーズに外に出すために子宮が収縮したり、子宮口が広がったりします。
本陣痛の場合、前駆陣痛とは特徴が大きく異なります。以下の条件があてはまるようなら、本陣痛の可能性が高いと言えるでしょう。
陣痛間隔が規則正しい
本陣痛の場合、陣痛間隔が規則正しいことが最大の特徴です。30分間隔で最初は陣痛がきていたのが、徐々に20分、15分と間隔が短くなっていきます。
本陣痛の場合、前駆陣痛のように陣痛が起きる時間が長くなったり短くなったりすることはありません。本陣痛なら、時間が経つにつれてどんどん陣痛の間隔が短くなっていくことでしょう。
陣痛の痛みが広がっていく
本陣痛の場合、痛みの現れ方が大きく異なります。本陣痛の痛みは前駆陣痛と違って痛みが強いことが多く、下腹部から痛みが始まり、徐々にお腹全体に広がって腰全体にまで拡大していきます。
前駆陣痛は、お腹の前や下腹部だけが痛いことが多いので、時間が経つにつれて痛みが広まっていくようなら、本陣痛の可能性が高いと言えるでしょう。
体勢を変えても痛みが変わらない
本陣痛の場合、どんな体勢になっても痛みが変化することはほとんどありません。前駆陣痛の場合、ある姿勢をすると痛みが和らぐことが多いので、違いがハッキリと判るでしょう。
陣痛間隔、段階、流れ
本陣痛が始まっても、すぐに赤ちゃんが出てくるというわけではありません。陣痛が来てから個人差がありますが、経産婦では約7時間前後、初産婦で約15時間前後、また3~4時間で出産するケースや1日以上かかるケースもあります。
本陣痛には、第1期、第2期、第3期と段階がありますので、ご説明しておきましょう。
第1期 陣痛の始まりの間隔
第1期は「潜伏期」と「活動期」に細かく分けることができます。それぞれ見ていきましょう。
潜伏期 陣痛間隔5分~10分
赤ちゃんが出やすいよう子宮口が広がり始める時期です。陣痛間隔は5分~10分くらいになりますが、陣痛の痛みが起きるのは30秒~40秒くらいなので、食事をすることもできますし、会話も落ち着いて行うことができます。子宮口は4センチくらいに広がっている頃です。
活動期 陣痛間隔3分~5分
赤ちゃんを押し出す力が強まっている時期です。陣痛間隔は3分~5分くらいで、陣痛の痛みが起きるのは1分前後になるでしょう。
子宮口は4センチ~10センチに広がり、ここで多くの妊婦が破水します。痛みが強くなり呼吸が乱れやすくなり、いきみたくなりますがまだ早いので我慢しましょう。
第2期 陣痛間隔 1分~2分
子宮口が完全に開くので、いきんで赤ちゃんを押し出していきます。産道を通って出てくるため、痛みのレベルはマックスに達するでしょう。
陣痛の間隔は1分~2分で、陣痛が起きるのは50秒~90秒になります。実際は陣痛間隔が自分で測れない状態になるでしょう。
子宮口が開いてから
子宮口が完全に開いてから赤ちゃんが出てくるまでの時間は、初産婦の陣痛間隔場は45分~1時間半くらいが多く、経産婦の陣痛間隔は30分~1時間くらいが平均的です。
第3期 胎盤の排出
赤ちゃんが出たら分娩は終わりというわけではありません。赤ちゃんを育てるために作られた胎盤などを排出する必要があるからです。軽い陣痛が起きることもあります。
胎盤が排出されるのは、数分で終了することもあれば、30分かかることもあります。
後陣痛
分娩後に胎盤が排出されると、子宮は一気におへその高さまで収縮します。更に少しずつ収縮して1・2ヶ月で元の大きさに戻りますが、この子宮収縮に伴う痛みを後陣痛といいます。
収縮する時のギューッとした痛みは20分~1時間毎とバラつきがあり、お母さんによって個人差が大きいようです。また、分娩後に子宮からの出血を止めるため子宮収縮剤を用いるケースもありますが、その場合は後陣痛が酷くなることも多いです。
子宮収縮剤の効果が強すぎたり後陣痛が辛い時は、担当医に相談して鎮痛剤を処方してもらうようにしましょう。まれに病気による腹痛の可能性もあるため、出血や腹痛が長く続く時は検査を受けましょう。
陣痛が来る前の前兆
陣痛には、前駆陣痛と本陣痛がありますが、本陣痛が起きる前にはさまざまな前兆が身体に現れると言われています。
全ての妊婦の方に前兆が現れるというわけではありませんが、いくつかあてはまる点があると思いますのでご紹介しておきましょう。
赤ちゃんの位置が下がってくる
本陣痛の前兆として、赤ちゃんの位置が下の方へと下がってくるようになります。分娩の準備に向けて子宮の出口に近づいてくるからです。
それまで子宮により圧迫され胃痛や胃もたれを感じていた方も、急にスッキリしてくることが多いでしょう。胃の圧迫感が無くなるので、食欲が戻ることでも気づく方が多いとされています。
胎動が減ってくる
本陣痛の前兆として、赤ちゃんの胎動が減ってくるようになります。分娩の準備に向けて子宮の出口に近づいてくることで、骨盤に頭が固定されるようになるからです。
今まで活発に動いていた赤ちゃんが、近頃大人しくなってきたなと感じたら、本陣痛が近づいている可能性が高いと言えるでしょう。
お腹が頻繁に張るようになる
本陣痛の前兆として、お腹が頻繁に張るようになってきます。お腹が張るのは、子宮の収縮が起きやすくなるからです。
お腹に張りを感じたときは、無理をしないで一呼吸置くようにしましょう。椅子に座ったり、横になったりしてお腹の張りが治まるのを待つようにしてください。
便秘、下痢、頻尿の変化
本陣痛の前兆として、いつものトイレ事情に変化が生じるようになります。便秘になったり、下痢になったり、頻繁に尿意を催したりするようになるでしょう。
本陣痛が近いと、赤ちゃんが下がってくるので膀胱や腸が圧迫するため、このようなトイレの変化が起きやすくなるのです。いつもよりトイレに行く回数が増えたり、残尿感が多くトイレに頻繁に行くようになったりしたら、本陣痛が近づいている可能性が高いと言えるでしょう。
おしるし(出血)がある
本陣痛の前兆として、おしるしが出ることがあります。おしるしとは微量の出血のことで、子宮が収縮することにより卵膜の一部が剥がれることにより起こります。少量の出血が確認された時は、おしるしの可能性が高いですが、不安な場合は医師に報告しましょう。
このおしるしは、全ての妊婦に現れるというわけではないので、おしるしが無くても本陣痛が起きることもあります。
破水することも
本陣痛の前兆として、破水することがあります。破水とは、卵膜が敗れることにより羊水が漏れ出てしまうことを言います。一般的におしるしの後に破水するケースが多いと言われており、本陣痛の前に来ることも珍しくありません。
陣痛の前に起きる破水のことを「前期破水」と言います。サラサラとした水っぽいものが出てきたと思ったら、すぐに医師に連絡して病院に向かうようにしましょう。
また、破水したときは雑菌の感染を防ぐためにも、シャワーやお風呂に入らないようにしてください。
陣痛が始まったらするべきこと
本陣痛が始まったと思ったら、あわてずやるべきことを順番に行うようにしましょう。あわててしまうことで身体に負担が生じたり、転倒や事故などを起こしたりするなど思わぬトラブルになることもあります。
陣痛間隔の計り方
本陣痛が始まったら、まず陣痛間隔の記録を取るようにしてください。何時から陣痛が始まって、何分間隔になっているのかを記録することで、陣痛の進み具合を把握することができます。
本陣痛の場合、最初は30分間隔から始まることが多いですが、徐々に15分、10分と短くなっていきます。
病院に行く陣痛間隔は?
初産婦は陣痛10分間隔、経産婦は陣痛15分間隔になしたら病院に連絡し、「来てください」と言われますので、焦らず病院に向かいましょう。また病院からの家の距離などを考慮して、電話するタイミングを前もって病院と相談しておきましよう。
家族に連絡を取ろう
本陣痛が始まったと思ったら、家族に連絡を取るようにしてください。夫や両親などへの連絡は、携帯電話以外にも職場や滞在先などを聞いておくと安心です。
家族がいないタイミングでは、タクシーの手配などの連絡も必要になります。
すっぴんに寝る前の体勢になろう
本陣痛が始まったら、顔を洗ってお化粧を落とし、コンタクトやアクセサリーなども外しておきましょう。陣痛の間隔が始まったら、コンタクトを外すことも難しくなるからです。
入院グッズの最終チェック
本陣痛が始まったら、あらかじめ準備していた入院グッズを再度点検しておきましょう。母子手帳や健康保険などを再確認し、いつでも病院に迎えるようにしておいてください。また、戸締りや火の始末などもしておくと、安心です。
ここまでのまとめ
陣痛や陣痛間隔について詳しくご紹介しました。陣痛には前駆陣痛と本陣痛がありますので、痛みや違和感が出た場合はどちらにあてはまるのか確認するようにしましょう。陣痛の前兆を知ることで、少しずつ出産への心構えも整ってくるようになります。
本陣痛の可能性がある場合は、慌てずに行動することが大切です。陣痛間隔を記録したり、家族に連絡したりして備えるようにしましょう。
初めての出産は大きな不安があることと思いますが、陣痛について詳しく知ることで、落ち着いて出産に向き合えるようになるのではないでしょうか。さまざまな情報を知り、出産への準備を万端にすることで、残りの妊婦生活を健やかに過ごしてください。