妊娠11週目母体は徐々に妊婦らしい状態に近づいていきます。乳首が黒ずむようになったり、お腹周りの毛が濃くなったり、食欲が出てきたりと変化が起こります。
まだまだお腹はそこまで大きくなっていませんが、お腹の赤ちゃんは器官形成が進んでいます。初期流産の可能がある時期ですので、不正出血や腹痛などは注意が必要です。つわりが軽くなる方とひどいつわりに悩まされる方いますので、つわりがひどい方はもう少しの辛抱ですので頑張りましょう。
11週ならではの変化があるので、様々な症状を把握した上で、リラックスしつつ過ごしましょう。妊娠11週に知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
妊娠11週の胎児の成長、お腹の様子
胎児の器官の発達
超音波で状態をチェックしてみると、顔がクッキリしてきたことに気づくこともあります。今までは、器官の中でも大きく重要な心臓・脳・肺・胃・腸・肝臓・腎臓・生殖器などが作られてきました。
しかしそれだけでは身体の機能は正常に機能しません。これら以外の小さいけれども、同様に重要な働きを持つすい臓・胆のう・甲状腺など全ての器官が出来上がり、これで妊娠4週目から続いた器官形成期は終わりになります。
この時期にすい臓が出来た事は、インスリンも分泌されるようになって人間と同じ身体のシステムが出来上がった事を意味します。ただこれは、まだ内臓器官の基本が出来上がり機能を始めただけで、これから成熟に向けて更に発達を続けていきます。
赤ちゃんの泌尿器が発達します
赤ちゃんは羊水の中に尿を排泄するようになり、その尿の一部は赤ちゃんが飲んでしまいます。しかし、その尿は菌のない状態なので、飲んでも問題はありませんし、子宮も羊水も決して汚れることはありません。赤ちゃんの尿は無菌状態なので、お母さんの子宮の中で排泄しても、何の異常も起こらないです。
エコーで確認できます
以前にに比べると手足が長さを増して、ついに胎児は頭・胴体・足の3頭身に。エコーを見ても、人間の形をしているのがハッキリ分かります。これまでは胎児の腸がお腹に納まりきれずにへその緒の中へ半分ほど移動していましたが、胴体も伸びてきたので、へその緒から通常ある下腹部へきちんと治まるようになりました。
人間と他の哺乳類の違いは脳の大きさですが、それはすでに胎児の頃から表れていて、3頭身になったこの時期の頭の大きさは、なんと全長の半分を占めています。
妊娠11週の胎動は感じるのか?
手足が伸び筋肉も少しずつ付いてきているので、胎児の動きもお母さんには胎動としてまだ分からなくても、かなり活発になっています。この頃には羊水の中で身体の向きを変えたり手足を動かすので、エコーで顔が見えなかったり心音が聞こえない場合もあります。
また足を動かしてまるで歩いているような動きをする事もあり、それは原始反射と呼ばれる脳幹でコントロールされる反射行動の1つです。首の座らない赤ちゃんを立たせると足を交互に動かす動作をしますが、それが生まれる前から行われているのは非常に興味深いですよね。この頃はお腹の赤ちゃんがどんな風に動いているのかを見るのが、とても楽しみな時期です。
子宮位置がわからない?
女性の中には、「子宮の位置がよくわからない」方も意外と多く存在します。子宮の場所がわからないとなると、ベルトの位置もどうしたらいいかわからず、困ってしまうことなども出てきます。
助産師さんや医師などに子宮の位置を教えてもらっておけば、お腹が窮屈で辛い時などにも、きちんと対処できるようになります。子宮の位置がわからない場合は必ず、お医者さんなどに確認しておきましょう。
子宮のふくらみは感じる?お腹は出る?
子宮の大きさは、11週を過ぎると握り拳よりも一回り大きく成長します。お腹の膨らみはまだまだ、目立たない状態ですが、子宮が大きくなっている気配を感じられるようになる時期なので、気になる方は膀胱を空にした状態で横になり、子宮あたりを触ってみましょう。
この段階ではまだ、子宮の膨らみ自体は感じられないですが、手で触ることによって大きくなる気配や変化を感じられることがあります。
頚部浮腫とは
胎児スクリーニング検査は、妊娠初期と妊娠中期の2回行われますが、初期の検査は妊娠11週から13週にかけて行われます。検査項目はエコーでの血清マーカーと呼ばれる検査で、血清マーカー検査の結果次第では羊水検査を受ける事もあります。
胎児の状態の目安となるポイントはいくつかありますが、分かりやすいのが胎児の首の後ろがむくんでいる頚部浮腫で、この部分が厚さによってダウン症になる確率が変わると言われています。
しかし、頚部浮腫が認められた赤ちゃん全員がダウン症になるわけではありませんし、再度日を置いて計ったら正常値に戻っていたケースもあります。早まった選択はしないように、医者や家族とよく話し合うようにしましょう。
妊娠11週の母体の症状などについて
Rh-妊婦は血液型不適合妊娠検査を
血液型でRhマイナス型を持つ女性が妊娠した場合は、普通よりも検査をする必要があります。特に2人目以降や中絶・流産の経験がある妊婦は病院で検査を進められるでしょう。
その理由は、前の妊娠中に胎児と母体の血液型が違っていて胎児の血液が母体に接触して侵入した場合に抗体を作り出し、自分の血液型と違うものが再度体内に入った場合はそれを攻撃して、赤ちゃんに大きな障害を残すからです。見つかった場合は治療法もあるので、あまり不安にならずに検査を受けましょう。
頭がくらくらする場合は?貧血かも
「脳貧血」とは、頭に血がめぐらなくなることによって起こる貧血のことを指します。この様な種類の貧血が起こると、妊婦さんはめまいや立ちくらみを起こすようになり、酷い場合にはそのまま失神してしまいます。
これは赤ちゃんに流れていく血液の量が多くなり、お母さんの頭に血がいかなくなることによって起きる症状です。この症状が起きることは子宮に血が行っていることなので、赤ちゃんに栄養が届いていることでもあります。
つわりが終わった方への体重管理の注意
つわりが終わった方は一気に食欲が増します。一日に三食以上食べてしまったり、間食が増えたりと、様々な形で食欲が現れるのですが、一つの食べ物を食べ続けてしまうような場合は、注意が必要です。
食べ続けても問題がないような物であればそのまま食べ続けてもいいですが、健康を害するようなものである場合は、なるべく食べる量を調整するようにしましょう。
つわりが続いている方の注意
つわりも無事終了し、食欲が増すことによって体重が増える方もいますが、つわりが続いている方もたくさんいらっしゃいます。
つわりで11週目になっても中々体重が増えず、悩んでしまいますが、つわりはどうしても個人差があります。まだ11週目の段階なので、この時点で体重が増えていなかったとしても気にする必要はありません。身体が食べ物を求めるようになっていくようになり、自然と体重が増えるようになるので、絶食状態を避けつつ上手に生活するようにしましょう。
詳しくは:つわりがひどい場合楽になる方法やつわりの種類の知識
ビタミンCを積極的に摂取
11週目の妊婦さんは、柑橘類を求めるようになりがちです。ビタミンCをたくさん摂取したくなりますが、妊婦さんは1日80~100g程度のビタミンCを必要としているので、毎日ビタミンCを摂取することは決して悪いことではありません。
ただし、ビタミンCは水溶性のビタミンであり、摂取しても身体の外にすぐに流れてしまいがちなので、なるべくこまめに摂取するようにし、栄養として吸収できるように工夫しましょう。
妊娠11週の眠気は?
この時期は眠気を誘発するホルモンが出やすい時期であり、日中に眠くて眠くて立っていられなくなってしまうお母さんもいます。そのような時は無理せず横になるべきですし、お腹に赤ちゃんがいる時は適度に横になって休む方が良いので、無理だけはしないようにしましょう。
また、眠気が強い=怠慢のように見られてしまう可能性もあるので、あらかじめ周囲の人には「この時期の妊婦は眠くなるものなのだ」とのことを伝えておくようにしてみてください。
詳しくは:妊婦が感じる眠気の原因と改善方法!どうして眠いの?
眠くなるのはどうして?
つわりが落ち着くこの頃は、睡眠時間をしっかり取っているはずなのに眠くなります。その原因は急に分泌量が増え始めるプロゲステロンの作用によるもので、生理前に眠たくなるパターンのもっと強力なやつと考えてよいでしょう。胎児のためにはお母さんの休息がとても大事です。
ちょっとしたストレスや悩みが胎児の成長に影響しますが、睡眠はそれらを軽減し心身ともにリラックスできる状況を作ってくれ、また睡眠で筋肉が弛緩すれば、お腹の張りも少なくなります。眠たくなったらお腹の赤ちゃんがお母さんに休息を促していると考えて仮眠を取りましょう。
徐々に乳首が黒ずんできます
この頃になると、ホルモンの関係で乳首が黒ずんできます。乳首の変色は妊婦であれば誰もが経験することであり、出産を終えると段々と元の色に戻ります。最初はあまりの黒ずみにビックリされるかもしれませんが、妊娠している時期に必ず現れる症状の一つなので、慌てる必要はありません。
腰痛がひどく感じる場合は?
リラキシンとは赤ちゃんの通り道をゆるめるためのホルモンのことです。この時期になるとリラキシンが分泌されるようになりますが、リラキシンが分泌されると、どうしても身体のバランスが崩れがちになり、それによって腰に負担がかかってしまいがちです。
腰痛を我慢しすぎるとストレスになってしまうので、なるべく辛い時はすぐに、椅子に座って休むようにし、腰に負担をかけすぎないように気をつけるようにしましょう。
詳しくは:妊婦の腰痛について知っておきたいこと
便秘による腹痛の対策は?
11週目の段階になっても、まだまだ腸は子宮に圧迫されていますし、ホルモンの関係で腸も緩んでいます。便通が悪くなるので、腹痛に悩みがちになりますが、ココアやバナナ、白湯やヨーグルトなどの食生活や適度に体を動かすことでラクになります。
腹圧はかけないように?
この時期のお腹はまだまだ大きくなっておらず、多少膨らんでいる程度の状態なので、ついつい無意識のうちに腹圧をかけてしまいがちです。
しかし、小さくて目立たなくても中にはちゃんと赤ちゃんがいますし、ベルトなどで締めつけてしまうと母体にも負担がかかってしまいます。腹痛の原因にもなりかねないので、腹圧はかけないように注意してみましょう。
妊娠11週の出血や腹痛 流産について
急につわりがなくなった、胸の張りがなくなった、体温が下がったなどの初期流産の症状が現れた場合は注意が必要です。また不正出血や腹痛、腰痛がある場合も初期流産の可能性がありますので医師の診断を仰ぐようにしてください。
妊娠11週(妊娠初期)の流産の特徴としてお母さん側の問題ではなく、赤ちゃん側の問題があるとされています。赤ちゃんが様々な理由で育たない状態となり流産になってしまいます。そのため間違いない予防方法はなく、生活環境の改善などのリスクを減らして予防する方法しかありません。
詳しくは:妊娠初期出血:化学流産:切迫流産:稽留流産:初期流産:切迫早産:早産
おりものは注意深く観察するように
妊娠中はおりもの量が激増しますが、赤ちゃんを菌やウイルスから守るだけでなく感染症や子宮・膣の異常を教えてくれるバロメーターにもなります。
皆さんよくご存知なのは、カンジダ感染によるおりものの変化でしょう。他にもクラミジア・トリコモナス・細菌性膣炎などは色が変わったり悪臭がするなど、それぞれ特徴があります。
またこの時期茶色のおりものが続く方も多いですが、血液の色でもすぐに流産の危険があるわけではありません。1・2日続いて終わったり、大量の鮮血色の出血や強い腹痛がない場合は、ちょっとしたホルモンバランスの崩れや、子宮頸管にあるびらんからの出血が原因と思われます。それでも心配な時は、躊躇しないで病院を受診しましょう。
前置胎盤と言われたら
胎盤は少しずつ作られていって、今の段階では完成までのあと一息です。今のエコーは非常に高性能なので、昔のこの妊娠週数では分からなかった胎盤の様子が確認できますが、その時に前置胎盤だと医者から告げられる方が多いです。
前置胎盤とは、子宮口に近い部分に胎盤が出来てしまう事で、子宮口を全て覆うほどになってしまうと、帝王切開での出産を余儀なくされます。
しかし、子宮が更に大きく伸びる事で胎盤も一緒に上方へあがっていくので、妊娠11週で前置胎盤と言われても数週後には胎盤が上へ移動して正常になる事がほとんどです。胎盤の位置によっては変化がないケースもあるので、その時は医者とよく相談してください。
妊婦の自覚 定期健診を必ず受ける様に
妊娠初期は流産の可能性やその他多く異常も発見されやすい時期なので、産婦人科では定期健診を2週間に1回行います。病院にもよりますが、妊娠3ヶ月も終わりになると母体と胎児の状態が落ち着きリスク発生率も下がるため、定期健診は4週間に1回となります。
しかし、忙しさから定期健診をさぼる妊婦さんもいます。ただ母体と胎児の状態が落ち着いているからとはいえども、流産や不正出血の確率が0になったわけではありません。横になっても酷くなる腹痛や出血があった場合は、定期健診日を待たずにすぐ受診しましょう。
ここまでのまとめ
11週目になると、つわりが終了することによって食欲が増え、体重が増えたりと様々な変化があります。元気になる分、油断しがちな時期ではありますが、この時期にも体調不良には充分に注意するべきです。
腰に負担がかかりやすい時期でもあるので、休みたい時は横になるようにしつつ、身体に負担をかけずに過ごすことを心がけましょう。しかし、つわりがまだ続いている方はもう少しの辛抱ですので、さまざまな工夫をして乗り切りましょう。
もちろん、ストレス解消のために外に出て運動をすることなども重要なので、家の中に引きこもりすぎないようにしてみてください。