妊娠中に生ハムを食べるときに知っておきたいこと

妊娠中に生ハムを食べるときに知っておきたいこと 妊娠中

妊娠中はおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性のある食べ物や飲み物はNG。妊娠したとわかった瞬間から出産の日まで、妊婦は食べ物・飲み物に十分に注意しなければなりません。

生ハムはサラダやパスタの具などによく使われる人気の食材で、日本人の食卓におなじみの一品です。調理する手間がなく、手軽に食べられる生ハムですが、妊娠中に食べることはおすすめできません。

妊娠中に生ハムを食べていいの?悪いの?と迷っている方などに参考になる知っておきたい情報をご紹介します。

妊娠中は生ハムを食べていいの?悪いの?

妊娠中は生ハムを食べていいの?悪いの?

結論から先にいうと、妊娠中は生ハムやスモークサーモンといった加工食品はできる限り避けるべき、とされています。厚生労働省では妊娠中の食事に関する注意を発表していますが、それによると妊婦は生ハムなどの加工食品はできるだけ避けるように、と勧告されています。生ハムはリステリア菌食中毒の主原因のひとつだからです。

リステリア菌の食中毒による影響とは?

リステリア菌による感染は、健康な成人であれば、重症化することはほとんどありません。しかし免疫力が低下している妊婦や高齢の方は、少量のリステリア菌でも症状が重篤化し、髄膜炎や敗血症を発症、危険な状態に陥る可能性も指摘されています。

妊婦はリステリア菌食中毒にかかりやすいの?

リステリア菌の食中毒の症状とは、発熱や悪寒などですが、妊婦が感染すると、妊婦本人だけでなく、おなかの赤ちゃんにも悪影響が及ぶ可能性が指摘されています。妊娠中は免疫力が低下しており、リステリア菌やその他のウイルス・細菌に感染しやすい状態にあります。

妊婦本人とおなかの赤ちゃんの安全のため、妊婦はリステリア菌の主原因のひとつである生ハムをできるだけ避けたほうが安心です。リステリア菌の食中毒について、もっと詳しくみていきましょう。

リステリア菌とは?

リステリア菌とは?

リステリア菌は、野生動物、家畜、魚類をはじめ、河川、下水、家畜用の飼料など、私たちの身の回りの自然環境に広く生息している食中毒菌です。リステリア菌による食中毒は、リステリア菌の付着した食べ物を口にすることにより感染します。

リステリア菌の特徴は塩分に強く、冷蔵庫でもゆっくり繁殖すること。12%の食塩濃度、4℃以下の低温でも菌が死滅しませんので、加工食品だから、あるいは冷蔵庫で保存してあるからといって過信することはNG。リステリア菌の発育温度は0℃から45℃と、他の食中毒菌よりも幅広いため、食べ物の保管や調理法にとくべつな注意が必要です。

リステリア菌は他の食中毒菌同様、加熱することで死滅します。死滅する条件は、65℃の温度で数分間加熱することですので、生ものや加工食品を食べる際にはしっかり熱を通して調理することが大切です。

リステリア菌の食中毒の症状

リステリア菌の食中毒の症状

リステリア菌による食中毒の症状は、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛などで、症状自体はインフルエンザの症状に似通っていますが、健康な成人の場合、感染しても無症状のまま経緯することもあります。

また健康な方の場合、リステリア菌を大量に摂取しない限り、食中毒にかかることはまずありませんが、免疫力の低下している高齢者、妊婦、薬により免疫力を抑えている方は別。このような方は少量のリステリア菌でも食中毒にかかる可能性が高く、敗血症や髄膜炎を発症し、意識障害や痙攣といった重篤な症状に陥ることがあります。

妊婦の場合、悪寒、背中の痛み、発熱といった症状が特徴で、流産や早産につながる可能性もあります。おなかの赤ちゃんに対する悪影響ですが、最悪の場合赤ちゃんが死亡することもある、こわい食中毒です。

リステリア菌 食中毒の原因となる食べ物とは?

リステリア菌食中毒の原因となる食べ物とは?

リステリア菌食中毒の主な原因は、生ハム、肉や魚のパテ、スモークサーモン、ナチュラルチーズ、未殺菌乳、コールスローなど、冷蔵庫に長期間保存できて、加熱調理することなく、そのまま食べられる食品です。妊娠中は食中毒のリスクをできるかぎり避けることが大切ですので、生ハムなどのリステリア菌の主原因はなるべく避けたほうが安心です。

リステリア菌食中毒の主原因は上に挙げた食品ですが、これらの食品に触れることで他の食べ物にリステリア菌が付着してしまうおそれもあります。食品を冷蔵庫や冷凍庫で保管する際には、他の食品と混ざらないようにきちんと包装することも大切です。

妊娠中の生ハムやその他食品の食中毒予防

妊娠中のリステリア菌食中毒予防

リステリア菌に感染しないためには、生ハムやスモークサーモンなどの食品を避けることが有効ですが、その他にも注意すべき点がいくつかあります。

免疫力の低下している妊婦は、食中毒菌に感染しやすく、感染してしまった場合、症状が重篤化しやすいため、食中毒予防に努めることが重要です。リステリア菌をはじめとする食中毒菌に感染しないための注意点について挙げてみましょう。

生ものは避ける

生ものは避ける

妊娠中は基本的に生ものは避けたほうが安心です。生卵や生魚も避け、必ず加熱調理してから食べましょう。生ものによる食中毒にはリステリア菌以外にもさまざまな種類があります。以下に生ものによる食中毒をいくつか挙げてみましょう。

生ハムの入ったメニューに注意

生ハムの入ったメニューに注意

外食の際には注文するメニューにも注意を払いましょう。生ハムは料理の付け合せやパスタの具材として、またサラダにそのまま加えられるいることがあります。フレンチやイタリアンには、生ハムやスモークサーモン、魚や肉のパテが多く使われていますので、この点にも注意することが必要です。

生ハムは加熱して食べる

生ハムは加熱して食べる

リステリア菌の原因になる生ハムは、妊娠中は必ず加熱調理をしていただきましょう。リステリア菌による食中毒は、十分に加熱することで予防が可能です。加熱する際には食材の外側だけでなく、中心部まで完全に火を通すようにします。

生野菜や果物は丁寧に洗う

生野菜や果物は丁寧に洗う

生野菜や果物を食べる際には、丁寧に水洗いしましょう。生野菜や果物はリステリア菌やその他の食中毒菌の主原因ではありませんが、保管や調理の際に食中毒菌の付着した食べ物と触れてしまう可能性もあります。生野菜や果物だからといって注意を怠らず、食べる前には必ず丁寧に洗いましょう。

生肉・生魚の保管に注意 まな板や包丁の管理も

生肉・生魚の保管に注意 まな板や包丁の管理も

生肉や生魚を購入したら、必ず個別に包装してもらい、野菜やその他の食品に触れないように注意しましょう。購入後はできるだけ早く帰宅し、冷蔵庫あるいは冷凍庫で保管します。

調理をする際も同様で、生で食べる食材と調理前の肉や魚が触れないようにします。生の肉や魚を切った包丁でそのまま野菜や果物を切ることもNGです。

調理前の肉や魚を切った包丁は、熱湯をかけてきれいに洗ってから、他の食材を切るようにします。調理用の器などにも同様に注意を払い、生肉や魚の汁が他の食材に触れないように工夫しましょう。

生ハムの保管について

生ハムの保管について

生ハムを冷蔵庫で保管する際には、冷蔵庫内の温度に注意しましょう。リステリア菌は4℃の低温でもゆっくり繁殖しますので、それ以下の低温で保管する必要があります。

冷蔵庫の温度は10℃以下に設定する子とが一般的ですが、10℃以下ではリステリア菌の活動をおさえることはできません。チルド室であれば保管温度が0℃から2℃になりますので、生ハムの保管はチルド室に保管したほうが安心です。

チルド室に保管する場合にも、製造年月日や賞味期限に十分に注意し、開封したあとはできるだけ早く食べきるようにしましょう。

チルド室の設定のない冷蔵庫の場合は、冷凍庫での保管をおすすめします。冷蔵庫の場合、扉の開閉により、冷蔵庫内の温度が一定に保たれず、リステリア菌やその他の食中毒菌が繁殖しやすくなります。冷蔵庫を過信せず、チルド室や冷凍庫を適宜利用しましょう。

調理した料理は早めに食べる

加熱調理したからといって、そのまま常温に長い時間置いておくこともNG。調理した料理はできるだけ早めに食べきりましょう。食べきれなかったものは食事後すぐに小分けにして、冷蔵庫あるいは冷凍庫で保管しましょう。

様々な食中毒の種類は

様々な食中毒の種類は

卵、肉、魚の加熱が十分でない場合、サルモネラ菌に感染することがあります。腸炎ビブリオ菌は生の魚や貝を介して感染し、激しい下痢や腹痛がおこります。

貝によるもうひとつの食中毒がノロウイルスで、加熱の不十分なカキ、アサリ、シジミ、ノロウイルスに汚染した井戸水を摂取することにより感染します。

О157は腸管出血性大腸菌と呼ばれる菌で、生野菜や加熱が不十分な肉、井戸水や湧き水が原因です。O157に感染すると、激しい下痢や腹痛が生じます。生や加熱不十分な豚肉を介して感染するのが、トキソプラズマです。生ハムは、塩漬けしたものを乾燥させ、さらに種々の加工を行った上で製造されたものですので、生肉ではありませんが、妊娠中はトキソプラズマ症の予防のためにもやはり注意が必要です。

このように生ものによりおこる食中毒はさまざまで、嘔吐や激しい下痢、腹痛といった症状がおこります。健康な成人であっても、場合によっては食中毒は命にかかわる重篤な症状をもたらします。妊婦に下痢や激しい腹痛がおこると、体調が悪化するだけでなく、おなかが張りやすくなります。妊娠中は食中毒にかからないよう、食べものや飲み物に十二分に注意しましょう。

まとめ

妊娠中に生ハムを食べるときに知っておきたい情報をさまざまな角度からご紹介しました。そのまま食べられて、いろいろなメニューに加えられる生ハムは便利な食材ですが、妊婦にとってはNGです。

生ハムはリステリア菌の食中毒の主原因のひとつですので、おなかの赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。生ハムやスモークサーモンが大好きな妊婦にとっては、ちょっとつらいかもしれませんが、妊娠中はそのまま食べることを避け、加熱してからいただきましょう。

※参照 厚生労働省リステリアによる食中毒
※参照 厚生労働省 これからママになるあなたへ
※参照 公益社団法人 日本食品衛生協会 リステリア食中毒
※参照 食品安全局 リステリアによる食中毒について
※参照 農林水産省 食中毒の原因と種類
※参照 厚生労働省検疫所 トキソプラズマ症

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