妊娠しない理由や原因について知っておきたいこと

不妊の原因について知っておきたいこと 妊娠前

きちんとタイミングを測っているつもりなのに、なかなか妊娠しない。もしかしたら不妊になっているのでは?と悩む方はたくさんいます。

妊娠しないのはさまざまな原因があり、ひとつだけでなく、複数の原因が絡み合っている場合もあります。不妊は何故起こるのか、そして何が原因なのかを探ることで、不妊を解決していきましょう。

不妊(妊娠しない)とは?

不妊(妊娠しない)とは?

そもそも、不妊とはどのような状態のことを指すのでしょうか。不妊とは定期的に性行為を持っているにもかかわらず、妊娠しない状態が長く続くことを指します。

婦人科では2年ほど妊娠しないケースの場合、不妊と判断しますが、半年経っても妊娠しない場合、自分は不妊だと感じる方も多いようです。しかし、実際に100%不妊であるということではなく、単にタイミングが合わないというケースもよくあります。妊娠にはさまざまなタイミングが合致して初めて成立するものなのです。

不妊症

不妊症は「生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間,避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という.その一定期間については1年というのが一般的である.なお,妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」※1 とされています。

今までは10組に1組が不妊症とされてきましたが、現在では割合が増えています。「WHOが発表している不妊原因の割合は、女性側のみが41%で男性側のみが24%・両方が24%で残りの11%が原因不明となっています。」※2 比較的女性の方に原因が多いとしても、男性側の原因割合は無視できる数字ではありません。

赤ちゃんが欲しくても不妊症の定義に当てはまっているという夫婦は、原因によって対策がガラッと変わりますので、その原因を判明させるために必ず二人で病院を受診する必要があります。

妊娠するメカニズムとは

妊娠のメカニズム

では、妊娠はどのようにして成立されるものなのでしょうか。妊娠は、卵子が排卵されたタイミングで精子と結びつき、受精して着床した結果起こるものです。

卵子が排卵されるタイミングに精子がいなければ受精することはできませんし、うまく着床しなくても受精は成立しません。妊娠のタイミングを見計らうには、排卵日の予測が必要不可欠で、基礎体温や周期から割り出されることがほとんどです。確率的には排卵日の2日前が最も妊娠しやすいと言われており、そのタイミングに性行為を持つことが大切になります。

排卵、月経などで妊娠しない理由、原因

排卵が不規則な状態で妊娠しない

排卵が不規則

排卵日の予測には、規則正しい生理周期であることが条件になります。規則正しい生理周期であれば、排卵のリズムを割り出しやすく、妊娠する確立も高くなるからです。

しかし生理周期が不規則な場合、排卵日の予測が難しくなるため、妊娠しづらい傾向が強まってしまうのです。実際に不妊となっている方の原因として、生理周期の乱れはかなり影響するものです。不妊の原因を取り除くためにも、生理周期を正常化することが大切です。

排卵障害とは

卵子が成熟して卵巣から出てくるのを排卵と呼びます。これらの働きはすべてホルモンが関係しますが、ホルモン分泌を指示するのは脳の視床下部で、脳にストレスやプレッシャーを与え続けるとその分泌活動が鈍くなってしまい、排卵がしっかり出来なくなります。

多嚢胞性卵巣症

また多嚢胞性卵巣症候群も不妊の原因となりますが、これは卵巣の皮が固くなり卵子が成熟しても卵巣から出てくる事が出来ない病気です。

卵胞に包まれた卵子は正常に育っているので、ただ排卵する事が出来ないまま卵巣に卵子がどんどんたまり、レントゲンで見ると1つにつながっているように見える事から「ネックレスサイン」とも呼ばれています。

月経異常で妊娠しない

月経異常

一般的に月経の周期は28日とされていますが、多少短くても長くても毎月同じような間隔で月経があるのならば心配ありません。しかし、生理の周期が24日以下の頻発月経や39日以上の稀発月経、90日以上月経のない生理不順の場合は、排卵が正常に行われていない可能性があります。

また急激なダイエットで体重を落としてBMIが18以下になった人は、ホルモン分泌のバランスが崩れて更年期障害のような症状を引き起こし、月経が止まってしまう可能性も少なくありません。

女性ホルモンと皮下脂肪は大きな関わりがあって、皮下脂肪量が少なすぎても多すぎても正常なホルモン分泌が行われなくなり、月経異常を引き起こすのです。

生理周期が不規則で妊娠しない

生理周期の正常化

不規則な生理周期は、不妊の原因になります。きちんと排卵日を予測するためにも、生理周期を正常化していきましょう。生理周期は、少しのことでもすぐに変動してしまうものです。

環境の変化であったり、ストレスを大きく感じたり、睡眠時間が短くなることでも周期は変化します。まずは整えやすい生活習慣から改善していきましょう。睡眠時間はできるだけ多く取れるように調整し、栄養バランスの整った食事を1日3回決まった時間に取るようにしましょう。ストレスは最も生理周期を乱す原因のひとつですから、定期的に息抜きすることも大切です。

自分なりのリラックス方法を見つけておくと良いでしょう。少しずつ生活を変えていくことで、生理周期は徐々に改善していきます。生理周期が規則正しいものに近づけば、排卵日の予測も立てやすくなるため、妊娠しやすくなるでしょう。

子宮または卵管の異常で妊娠しない

子宮または卵管の異常2

卵管が炎症を起こして癒着してしまうと、卵子が子宮内に取り込まれないので受精が出来ません。それから子宮にも妊娠できない原因が様々あり、今一番多いのが皆さんもご存知の子宮内膜症でです。

子宮内膜組織が子宮外の場所に癒着して妊娠を妨げますが、その中でも卵巣内に子宮内膜組織が癒着するとその膜に血液が溜まっていくチョコレート嚢種になり、卵胞の成長が妨げられるためこれも不妊の原因となります。これを放っておくと卵巣がんになる可能性が高くなります。

精子を異物と判断して妊娠しない

抗精子抗体

アレルギーは体内に入ってきた物質を異物と認識して攻撃するのが、かゆみや腫れとなって現れるものです。

抗精子抗体も同様に子宮内に入ってきた精子を異物と認識して、抗体が精子と結合して動きを停止させてしまうのが不妊の原因です。血液検査で抗体があるかどうか分かりますが、卵子や精子の働きが正常であれば体外受精を行う事で妊娠が可能になります。

子宮の病気や感染症の影響

子宮がんの種類

不妊の原因として、病気が挙げられます。女性の場合、子宮筋腫や子宮頸がん、粘膜異常などが強く影響します。病気の場合は治療して回復しない限り不妊の原因は解消されませんので、治療を優先するようにしましょう。気になる場合は、速やかに医師に診察してもらいましょう。

子宮筋腫とは

これらの病気は、生理周期の乱れにも通じるものです。長期間生理周期が乱れているという方や、生理の度に激しい痛みを生じる場合、また痛みがどんどん増していく場合は、何かしらの病気を抱えている可能性がありますので、早めに病院で検査してもらうようにしましょう。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症

クラミジアは日本では患者数が最も多い感染症です。男女ともに自覚症状がないため、感染していると知らずに性行為を続けてどんどん広がり、現在は10代~20代の患者が激増しています。

症状としては男性が尿道からの分泌物や精巣上体の腫れ・尿道の不快感などで、女性はおりものの増加や不正出血・下腹部痛があります。

女性も症状が出ない人が多いのですが、放っておくと子宮内部に炎症を起こして子宮外妊娠を引き起こし、男性は輸精管が閉塞して精子が出ない無精子症になるなど、どちらも不妊症になる可能性が大変高いです。

また出産時に母子感染したり、感知してもHIVなど他の性感染症にかかりやすくなるなど、不妊症以外にも深刻な事態が発生します。

年齢による影響で妊娠しない理由、原因

年齢による影響

不妊の原因として、もうひとつ大きなものに年齢があります。女性の年齢が35歳以上の場合、不妊となる確率は高くなります。実は、女性の身体は33歳を過ぎた頃から徐々に老化が始まっていきます。

そして、35歳を過ぎた頃から加速していくため、健康な卵子が排卵されづらくなってしまうのです。中には、排卵日であるにもかかわらず、排卵されないというケースもあります。排卵される回数が少なくなるため、どうしても妊娠しづらくなってしまうのです。

また、せっかく排卵されても、卵子が不完全な状態だと、受精が成立せずに終わることも増えてきます。卵子の老化は、年齢を積み重ねる以上仕方がない部分ではありますが、老化の速度を緩めることはできますので、病院で治療を受け、アドバイスを受けるようにしましょう。

年齢による確率・質

年齢による確率・質

男性も女性もは35歳を超えると精子や卵子の質が落ちて受精しにくくなります。20代後半の1年以内の妊娠確率は90%前後ですが30代後半になると65%に落ち、40歳では30%になり、1年毎にどんどん減っていきます。

また不妊治療で体外受精を行う場合も、個人差はありますが44歳がタイムリミットと言われています。もう一つ高齢での妊娠・出産が難しいのは流産の多さです。

卵子の質が落ちるとともに子宮や卵管も老化するので、もし受精したとしても妊娠状態を維持できず、流産する可能性が高まります。

男性側の問題で妊娠しない理由、原因

乏精子症

無精子症

不妊の原因は、女性ばかりにあるものではありません。男性にも不妊の原因は潜んでいます男性の場合、乏精子症や無精子症などが原因となります。

つまり、精子に問題がある場合や、精子そのものが含まれていないケースがあるため、妊娠しないということになります。これはおたふく風邪や手術の影響を受けている場合もあれば、先天的に受けている場合もあります。

妊娠は、排卵された卵子の場所に、精子がたどり着いて初めて受精できるものなので、精子にたどり着く力がない場合や、精子そのものがない場合は、妊娠することはできません。ただ、このような症状を持つ全ての人が不妊の原因を取り除けないというわけではありません。

例えば、無精子病でも、精巣内では精子が作られていて、精液中に精子が出てこない閉塞性無精子症という症状がありますが、閉塞した通路を再び通すことができれば、回復することが可能です。ほかにもさまざまな治療や医薬品が開発されていますので、継続して治療を行い改善していけるようにしましょう。

勃起障害

勃起障害

勃起障害とはいわゆるEDの事ですが、50代は身体面で勃起できないのに対し、30~40代の男性はストレスによる勃起障害が多いのが特徴です。

大きな仕事を任されたり、ある程度の役職についた仕事に対するストレスなどもあるでしょうが、ちょうどその年齢になると不妊治療を行っている方も多く、性行為が子供を作る義務のようになってしまい、それがプレッシャーとなってEDを発症する男性もいます。

また、今注目されているメタボリック・シンドロームには血管を傷つけたり血行が悪くなる高血圧・動脈硬化が含まれていて、症状が進むと陰茎海綿体にまで血液が届かなくなり勃起できなくなる器質性EDを発症します。

生活習慣や病気で妊娠しない理由、原因

喫煙と飲酒に注意

喫煙と飲酒に注意

不妊の原因として、喫煙と飲酒についてもご紹介しておきたいと思います。どちらも妊娠を望む人にとってメリットとなる要素ではありませんので、できるだけ早く禁煙、禁酒することをオススメします。

その理由として、喫煙を続けることで血行不良に陥り、生理周期が乱れやすくなります。また、飲酒も体内バランスを乱してしまうため、妊娠を望む方には少し強すぎるでしょう。

また、喫煙も飲酒も妊娠している状態では続けることのできないものです。妊娠に気づかず続けてしまうと、流産したり、胎児の発育に影響が出たりする恐れもありますので、リスクが高いと言えるでしょう。

糖尿病

糖尿病

日本の5人に1人が糖尿病患者と糖尿病予備軍と言われていて、糖尿病予備軍は毎年数を大幅に増やしています。

糖尿病は気がつかないうちに取り返しのつかない事態になる事が多くサイレントキラーなんて呼ばれるほどで、治療しないでいると血管が血液内のブドウ糖で傷つけられて損傷し、細い血管がある体の先端から駄目になっていく怖い病気です。

糖尿病が引き起こす病気の一つに不妊があります。女性の場合はインスリンが過剰分泌されると男性ホルモンが増えて、排卵障害を起こしやすくなり、男性の場合は勃起障害や射精障害の原因になります。不妊検査をする場合には、糖尿病検査も併せて行う病院もあります。

夫婦のプレッシャーで妊娠しない

夫婦の関係性

不妊の原因に、夫婦の関係性も絡んできます。排卵日を予測して、きちんとそのタイミングを狙って性行為を重ねているのに、なかなか妊娠しないという場合、夫婦の性行為が義務となりつつあることが考えられます。

妊娠を強く望む夫婦によく見られるものですが、子供が欲しいばかりに性行為がプレッシャーになってしまうのです。妊娠しなければという気持ちが主流になるため、お互いに性行為を楽しむという発想にかけてしまいます。

そうなるとただ単に行為だけで終わってしまうため、心の満足感が得られなくなってしまうのです。実際に不妊治療を長く続けていればいるほど、この傾向が強まるため、一度不妊治療から距離を置くことも大切です。不妊や妊娠というキーワードから離れたとたん、妊娠するケースもよくあります。妊娠にはリラックスが重要ですので、不妊の原因に囚われすぎないようにしましょう。

授乳期の妊娠しにくい理由、原因

高プロラクチン血症

授乳期は妊娠しにくいと言うのを聞いた事ありませんか。それは脳の下垂体から出る、プロラクチンというホルモン分泌によるものです。乳汁分泌促進や無排卵月経を起こしますが授乳期に関係なく起こるのが問題で、プロラクチンの血中濃度が高いと妊娠を望んでいても排卵が起きにくくなるため不妊症の原因とされています。

自然に起こる以外にも、胃薬・睡眠薬・精神安定剤の服用でも引き起こされる薬剤性高プロラクチン血症があります。

まとめ

不妊の原因とその対処法についてご紹介しました。不妊の原因にはさまざまな事があり、女性だけでなく男性にも不妊の原因はあります。赤ちゃんは夫婦2人で授かるものですから、一緒に治療を続けていく気持ちを持つことが大切です。ひとつひとつの原因を見直し、改善していくことで、ふたりの可愛い赤ちゃんに少しでも早く出会ってください。

参考:※1不妊の定義 日本産婦人科学会
参考:※2増える不妊治療「子供を持つのは当たり前」なのか

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