妊娠を待ち望んでいる女性にとっては、生理予定日前後に妊娠の兆候がないかどうか、非常に気にかかるものです。妊娠初期の兆候の一つが熱や微熱。なんとなく熱っぽい、顔や手足がほてる、風邪の引き始めのような感じがする。これらはすべて妊娠初期の兆候になります。
妊娠初期の兆候としての熱っぽさだと思っていたら、実は風邪を引いて熱が出ていた、ということもありえます。妊娠初期・妊娠超初期の熱っぽさと、風邪やインフルエンザによる熱の違いをはっきり区別できるよう、妊娠初期の兆候の特徴に関しての情報を備えておきましょう。
妊娠初期・妊娠超初期の熱や微熱の症状について、その原因や特徴、注意すべき点や対策法についてご紹介します。
妊娠超初期の兆候を見逃さないように
不妊治療を行っている方や妊娠を待ちわびている方は、生理予定日前から妊娠の兆候を見逃さないよう、体の変化に注目しているはずです。妊娠超初期と呼ばれているのは、受精や着床が起こる頃。生理予定日よりも少し前の時期がこれに相当します。
すべての妊婦さんが妊娠超初期の兆候を感じるわけではありません。実のところ、妊娠超初期の兆候は、そのつもりで注意深く気に留めるようにしなければ、見過ごしてしまうものばかり。妊娠しているかどうか一日も早く知りたい方は、普段から体の変化には人一倍注意を払っていなければなりません。
微熱、熱っぽさは妊娠超初期の兆候
妊娠超初期の兆候にはさまざまなものがありますが、風邪の引き始めのような熱っぽさも、その一つになります。なんとなく体がだるい、怒りっぽくなる、熱っぽい、下痢や便秘、眠気、食欲の変化、これらすべては妊娠超初期の兆候といわれています。
妊娠の兆候?それとも生理前?風邪の症状?
妊娠超初期の症状は、月経前症候群の症状に非常によく似ています。そのためこれらを妊娠の兆候ではなく、単なる生理前の症状として捉えてしまう方も多いようです。熱っぽくだるい、という症状の場合、妊娠や生理前の兆候という可能性だけでなく、風邪やインフルエンザにかかっているという可能性も捨て切れません。
妊娠超初期に熱っぽい、あるいは微熱がある場合には、しばらく様子を観察することが重要です。それと同時に、他にどんな症状が出ているかも把握するようにしましょう。風邪やインフルエンザであれば、微熱とともに喉の痛みや咳なども併発することがあります。単に熱っぽいだけなのか、それとも他に風邪の症状が出ているか、慎重に見極めるようにしましょう。
妊娠初期に微熱、熱っぽく感じる原因とは?
妊娠初期になんとなく熱っぽく感じる原因は、妊娠を機に分泌の多くなる黄体ホルモン。黄体ホルモンは排卵日を境に分泌量が増えますが、そのはたらきは受精卵が着床しやすいように、子宮に血液をたっぷり集めること。子宮が収縮することを防ぎ、体温を上げておくことも黄体ホルモンの機能の一つです。
妊娠初期に熱っぽく感じる理由はここにあります。基礎体温が低温期よりも高くなり、さらに妊娠を継続させるために免疫力は少々低下していますので、ちょっとしたことで体が熱を持ちやすくなっています。
低温期と高温期
女性の体温は低温期と高温期に分かれています。基礎体温は月経開始を境に低温期へと移行し、その後排卵日を境に今度は高温期へと移行していきます。妊娠していない場合は、低温期と高温期が約2週間ごとに交代であらわれます。低温期と高温期にくっきりと基礎体温が分かれている場合、排卵があり、生理周期が正常に推移していることをあらわしています。
高温期はいつからいつまで続く?
排卵日以降、基礎体温は高温期に移りますが、妊娠が成立しなかった場合、そのまま次の生理の開始まで続き、再び低温期に戻ります。反対に着床・妊娠した場合には高温期がそのままずっと続き、妊娠15週目以降になりようやく体温が下がってきます。妊娠初期に微熱が出る主原因はこの基礎体温の上昇にあると考えられます。
免疫力の低下
妊娠すると免疫力はやや低下します。これはおなかの赤ちゃんが「異物」として免疫細胞から攻撃される可能性を出来る限り低くするためで、妊娠初期のつわりの症状もあいまって、妊婦さんは細菌やウイルスにかかりやすくなっています。
このことにより、妊娠初期は風邪やウイルスに感染しやすく、ちょっとしたことで発熱しやすくなりますので十分な注意が必要です。
のぼせやほてり
のぼせ、ほてり、動悸などもまた妊娠初期の症状のひとつ。原因は自律神経の乱れや体調不良などで、手足の末端に冷えているにもかかわらず、顔や上半身だけにほてりやのぼせの症状が出てしまうことも多くあります。
そのため体全体にだるさや熱っぽさを感じやすく、あたかも微熱があるように感じてしまいます。妊娠初期の熱っぽさは、ほてりやのぼせの延長ということも考えられます。
妊娠初期の微熱の症状はどんなもの?
妊娠初期を通してずっと微熱が続いた、という妊婦さんは思いのほか多いようです。妊娠を機に分泌量の増える黄体ホルモンは妊婦さんの体温を上げ、そのまま持続します。
妊娠初期や妊娠超初期に熱っぽさを感じるのは、低温期に比べると若干高くなっている体温のため。妊娠初期の微熱の症状について見ていきましょう。
妊娠初期の微熱の特徴
妊娠初期の微熱は単独で起こるのではなく、その他の症状も併発することが多いことが特徴です。なんとなく体がだるい、ぞくぞくする、顔や頭がほてる、異状に眠い、ムカムカする、胃痛を感じる、など、微熱とともにあらわれる症状はさまざまです。
妊娠初期の微熱は何度くらい?
妊娠初期の微熱は大体37℃弱から37.5℃くらいまで、ということが多いようです。妊娠初期の体温がどのくらいになるかは、妊婦さんによって違ってきます。
低温期の体温が35度くらいの方でも、高温期には37℃くらいになることもあります。ほとんどの場合、低温期と高温期の差は1℃から2℃程度ありますので、高温期の熱っぽさにはそれなりの根拠があります。
妊娠初期の微熱はいつまで続く?
排卵日以降ずっと高温期にある体温ですが、胎盤がしっかりと完成するころには再び下がってくるようになります。体温が下がり始める時期は早い方で妊娠12週目くらいから。平均的には妊娠15週前後で再び体温が下がってきますが、中には妊娠20週を過ぎたころにようやく体温が下がる方もいます。
妊娠初期の微熱は、基礎体温の高さと連動して感じられるものなので、胎盤が完成し、基礎体温が下がるまで熱っぽさがずっと続いた、という妊婦さんもいます。反対に微熱があったのは妊娠超初期から1、2週間で、その後は感じなかったという方もいます。
基礎体温が下がった場合は流産の可能性がある?
妊娠初期は基礎体温が高いまま推移していきますが、突然基礎体温が下がってしまったらどうでしょうか。妊娠しているからこそ基礎体温が高くなっているわけで、その基礎体温が下がったということは流産してしまったのでは?と不安に感じてしまいます。
確かに基礎体温が下がることは流産の兆候の一つではありますが、基礎体温には正しい測り方があり、正しい計り方で計測しなければ意味がありません。基礎体温が徐々に下がってきているようであれば、まずは産婦人科で診察を受けるようにしましょう。
流産の兆候とは?
妊娠初期は流産の多く起こる時期なので、この時期妊婦さんはどうしても神経質になってしまいます。基礎体温が下がると「もしかして流産?」と焦ってしまいますが、流産しているかどうかの判断を基礎体温だけをもとに下すことは出来ません。
流産の兆候としていちばんに挙げられるのが、おなかの痛みや出血。基礎体温が下がったと同時に生理痛のような腹痛や出血、血の混じったおりものがある場合には早急に病院に連絡しなければなりません。
微熱がいつまでも続く場合
微熱がいつまでもだらだらと続き、喉の痛みや咳、鼻水、頭痛、胃痛といった症状も併発したときは、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。妊娠初期は免疫力も低下していますので、風邪を引きやすくなっています。
また37.5℃を超える熱が続いている場合にも、産婦人科に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。風邪を引いたからといって、おなかの赤ちゃんに影響があるわけではありませんが、妊婦さんは免疫力が低下しているため、風邪をこじらせやすくなっています。
風邪をこじらせて体力を消耗させるのは決して望ましくありません。おかしいな?と思ったら、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
妊娠初期に熱、高熱が出た場合の対策
妊娠初期の兆候としての熱っぽさではなく、風邪やインフルエンザにかかり発熱してしまった、このような場合、どのような対策を講じなければならないのでしょうか。
発熱や咳の症状が出た場合、妊娠していなければ市販の風邪薬や解熱剤を服用することが出来ますが、妊娠中はうかつに市販薬を服用することは出来ません。
妊娠初期に熱が出たらまずすべきこと
妊娠初期に発熱したら、まずは横になり安静にしましょう。熱が出たからといって必ずしも風邪のウイルスに感染しているとは限りません。疲労やストレス、自律神経の乱れから微熱が出ることもあります。風邪かどうかの判断がつかない場合には、とりあえず安静にすることが大切です。
室内の湿度が乾燥しすぎないように注意し、水分補給を忘れずに行うようにします。熱が何度あるか計り、高熱になるようであれば、早めに病院に連絡し、指示を仰ぐようにします。
自己判断で市販薬を飲まないようにする
熱が出て苦しいためについ市販薬を飲んでしまった、そんなことがないよう十分注意しましょう。すでに産婦人科の検診で妊娠していることが確定している場合には、そんな間違いはあまりないかもしれません。
しかし妊娠超初期の段階では、いまだ妊娠の事実に気付いていない方も多く、熱が出たのでてっきり風邪だと勘違いすることもよくあります。妊娠していることに気がついていないのだから、自宅にあった常備薬を適当に飲んでしまうのも無理ありませんが、妊娠している可能性が少しでもあるならば、薬を飲むことに関しては慎重になるべきといえます。
熱、高熱が出たときの応急処置
妊娠初期に熱が出たときの応急処置を覚えておきましょう。安静にすることはもちろんですが、症状がそれ以上悪化しないよう、注意深く観察することが必要です。
37℃台の熱に対する対処法は、水分をたっぷり補給し、滋養があり、且つ消化のよい食べ物を摂り、休息すること。一日、二日様子を見ても症状が改善されない場合や、熱が38℃を超えた場合は自宅でのセルフケアでは不十分なので、かかりつけの産婦人科に連絡するようにします。
診察は内科でも産婦人科でも可能ですが、直接病院に出かける前にまずは電話でかかりつけの産婦人科に症状を伝え、アドバイスを受けることをお勧めします。病院に出かける際にはマスクを着用し、ウイルスの飛散を防ぎましょう。
高熱はおなかの赤ちゃんに影響する?
お母さんが熱を出すとおなかの赤ちゃんに影響がないかどうか、心配になってしまいますが、微熱や38℃以下の熱であれば、まったく心配する必要はありません。安静にして容態の改善に努めましょう。
38℃以上の熱が出た場合も、おなかの赤ちゃんに直接の影響があるとは考えられませんが、体力の消耗や咳などにより間接的な悪影響を及ぼすことは十分考えられます。
また40℃以上の高熱が数日にわたって続く場合には、おなかの赤ちゃんへの影響も若干懸念されます。妊婦さんの体が高熱を持ったままだと、羊水の温度も高くなり、赤ちゃんの心拍数が増えることがあるようです。
薬を飲まずに熱を下げる方法
発熱した場合は出来るだけ早めに手段を講じて、熱を下げるようにしたほうが母体にとってもおなかの赤ちゃんにとっても安全です。熱がそれほど高くなく、病院に行くまでもない場合、自宅で取れる対策を考えてみましょう。
自宅で簡単に出来る対処法は、汗をかいたらこまめに着替えること、熱冷ましシートで首筋や脇の下を冷やすこと、部屋の中を乾燥させないこと、水分をたっぷり補給することなどです。
ここまでのまとめ
妊娠初期・妊娠超初期の微熱や発熱に関して知っておくべき点をご紹介しました。妊娠初期の基礎体温は高温期のままで、これにより風邪を引いているわけでもないのに、妊婦さんは熱っぽさやほてりを感じてしまいます。
感じている熱っぽさが単なる妊娠の初期症状であるのか、それとも風邪を引いているせいで熱があるのか、これを見極めることが重要です。妊娠初期の微熱の原因や対策法について知り、的確に対応するようにしましょう。