赤ちゃんがほしいと思う夫婦は、まず自分たちの体調をチェックしてみましょう。最近は過激な食事制限ダイエットで筋肉量が少なく冷房で冷え性になる女性が多いので、赤ちゃんを育てられる環境が作りにくくなっています。
また男性側も仕事の忙しさやストレスで精子量が減少したり、奇形変化する事も少なくありません。いくら望んでいても、お父さんとお母さんがこのような体調では難しいです。
このように妊娠するには体調と運が必要なのですが、妊娠までの時間を待てずにイライラすればよい結果は出ません。なかなか出来ないと思う人は、一度夫婦に妊娠力があるかどうか検査してみてはいかがでしょうか。
医師から検査結果と細かい指示があれば、効率的に妊娠でき日々の生活習慣も改められます。しかし通常の検査とは少し違うので不安に思う方もいるでしょう。そんな方のために妊娠力検査の種類をご紹介します。
男女の検査
問診
病院で初診の際は必ず記入するものなので、皆さんよくご存知ですよね。年齢・身長・体重・アレルギーの有無・現在服用している薬など基本的な記入項目の他に、月経周期や性交回数・出産の有無・基礎体温なども項目に記載されています。
男性用と女性用に問診表が分かれている場合、男性は基本的項目の他に結婚暦や喫煙飲酒の程度を聞かれたり、おたふくかぜにかかった事があるか・精巣の手術を受けた事があるか、などの記入項目があります。
ここで違う情報を記入してしまうと診断を間違えてしまう可能性があるので、ありのままを書きましょう。
検査をする年齢は重要
妊娠できるかどうかを検査しに病院に行くと、病院側はまずカップルの年齢をチェックします。
特に妊娠・出産の分野では高齢と言われる35歳以上の女性は、20代・30代前半の女性に比べると検査の結果も思わしくない事が多くなるだけでなく、妊娠に向けての治療を開始したとしても、妊娠できる確率は10%以下と非常に厳しくなってしまいます。
今は結婚前にブライダルチェックをしたり結婚後すぐに検査や治療を行う20代カップルも多くなっていますが、女性の初婚年齢の平均が29歳の現在は、検査が早ければ早いほど妊娠する確率も高いと言うのを心して行動すべきです。
血液検査
血液検査はさまざまな検査の中でも最も一般的ですよね。それだけ血液には多様な情報が含まれているのです。
妊娠力チェックの場合は、血液中のヘモグロビン量に加えてエストラジオール・黄体ホルモン・プロゲステロン・卵胞刺激ホルモン・プロラクチンと妊娠に関するすべてのホルモンを調べて、ホルモン量分泌が適切であるかどうかを見ます。
また、子宮頸がん・卵巣がんといった妊娠を妨げる病気の可能性を見るためにも、血液検査を行います。
フーナーテスト
この検査は排卵日の性交に子宮内の粘膜を摂取して、何が妊娠を妨げている原因なのかを探ります。なかなか妊娠しない原因は一つではなく、子宮・卵管・排卵・卵子・精子の異常や抗体・ストレス・ホルモンの問題と実にさまざま。
あれこれ検査をしてもはっきりとした原因が分からない場合は、このフーナーテストを勧められる事があります。このフーナーテストは精子の動きで判断しますので、精液検査も併せて行われることが多いです。
排卵日の性交後48~72時間の間に採取した子宮頸管粘液内の精子の動きを見ますが、精子検査で問題がなかったにもかかわらず動きが鈍い場合は、女性側の粘液の異常や抗精子抗体が原因と分かります。また、もちろん反対の結果になる事もあります。
クラミジア検査
クラミジアは、性感染症の中ではもっとも感染者の多い病気として知られています。最初は感染症状がないので自分が感染していると分からない人も多いですが、悪化すると男女ともに妊娠に悪影響を与えます。
女性は男性に比べると自覚症状が鈍いのですがしっかり進行していて、膣炎・子宮内膜炎・不正出血・卵管癒着を引き起こし、出産の際には母子感染します。
男性は尿道炎・前立腺炎・副睾丸炎・睾丸の激痛などの症状があり、無精子症を引き起こす可能性が高くなります。クラミジア検査は、男性は尿検査や尿道内の分泌液を採取する方法で女性は膣内分泌液を採取して検査を行います。
クラミジアは性交のみで感染するため、この検査は必ず夫婦で行いましょう。
女性の検査
AMH検査
通常の血液検査は保険適用するものが多いですが、同じ血液検査であってもこのアンチミュラーホルモン検査は実費なので、検査費用が高くなります。
これは自分の体内に卵子がどれだけ残っているかが分かる検査で、卵子は生まれた時から数か決まっているため、検査結果の数字で自分に妊娠できる期間がどれくらい残されているのかが分かります。
特に30代・40代の方は、自分の体のリミットと合わせて考えなければならないのでなかなか辛いものがありますが、数字ではっきり見えるので自分の次の行動が決められやすくなるメリットもあります。
超音波検査
超音波検査も血液検査と並んで一般的な検査方法ですが、妊娠力を見るためには女性だけでなく男性も行う場合があります。女性の場合は膣内に超音波の出る器具を挿入して、子宮や卵胞の状態を確認します。
この超音波検査ではポリープや筋腫など子宮の位置や形・異常の有無や、正常に排卵しているかどうかを確認して排卵日を特定できます。
男性の場合は陰嚢に超音波器具をあて、精巣の大きさを確認するとともに静脈瘤や水腫の有無を確認します。
内診
内診を受ける時の格好が恥ずかしいと産婦人科の内診を嫌がる女性も多いですが、超音波検査では分からない子宮の異常や病気を発見する事を目的としているとても大事な検査です。
大体は内診台という両足を広げる専用の台がありますが、最近ではベッドに寝たまま行う方法もあるとの事。最初は炎症の有無を視診し、それから片手の指を膣内に入れもう片方の手でおなかをぐっと押して、子宮の厚みや位置・筋腫や卵巣のう腫の有無を確認します。
以上は手による触診ですが、膣内部を膣鏡またはクスコと呼ばれる器具を使って膣内を広げ視診する場合もあります。
膣内に器具を入れるので緊張するかもしれませんが、力を入れると痛くなるのでなるべく力を抜いて診察を受けましょう。
ソノヒステログラフィー
聞きなれない言葉ですが、簡単に子宮内腔の異常を探せる検査方法なので比較的多くの方が検査を行っています。
ソノヒステログラフィーの方法は、まず子宮内腔にバルーンを入れてその中にカテーテルで生理食塩水を注入し、それによって現れる筋腫やポリープが妊娠に影響するかどうかを調べます。
これは経膣プローブを使って検査をするのですが、子宮内部が生理食塩水で満たされているため、伝播力が高くなって通常のエコーよりも詳しく調べられるのがポイントです。
ただし、バルーンを入れる為に子宮口を開いたり生理食塩水を注入する際には痛みを強く感じる場合もあるので、病院側では痛み止めや座薬を用意しています。検査中痛くなったら、我慢しないできちんと伝えましょう。
子宮卵管造影検査
簡単に言えば卵管に特化したX線検査です。子宮卵管造営検査方法は子宮腔へカテーテルを入れて造影剤を注入し、卵管の通過性がきちんとあるかを確認します。
この検査によって卵管がふさがっている卵管閉塞や、子宮ポリープ・子宮癒着などを発見できます。検査を受ける人の中では、カテーテルを入れる際に痛みを感じる人がいて、そのような場合は検査後2・3日続く可能性があるので注意しましょう。
この検査のメリットは、造影剤を注入すると卵管が広がり、受精しやすくなる事です。特に検査後3ヶ月は妊娠率が上がるので、それを期待して検査を受けてみてもよいかもしれません。
男性の検査
精液検査
不妊の原因は男女ともに半分ずつあると言われていて、女性の検査と同様男性の精子の状態をチェックする男性妊娠力の検査もあります。
精液検査は採取日前4日~1週間の禁欲期間からスタートし、採取した精液から白血球数をはじめとして、精液の量や精子の数・濃度・ペーハー・運動率・正常形態率・生存率を調べます。
それらの値がWHO基準に満たない場合は、泌尿器科などで更なる精密検査を受ける必要があります
精巣生検
精液検査で精子量が極端に少ない「乏精子症」やまったく精子が見られない「無精子症」と診断された場合は、次に精巣生検を行う事があります。
これは精巣内の精子を確認して、精子が排出される前に何か支障箇所があるのか、それとも精巣内に存在しないのかを見る検査です。この検査では睾丸組織を切り取る手術を行うので、手術後数日は日常生活に影響があるかもしれません。
また保険適用外の手術なので費用も数十万かかるケースがほとんどなため、この検査を行う際には自分達が納得するまで医師にしっかり確認するのが大事です。
ブライダルチェックを活用
検査にかかる費用は実に病院によって様々で、思ったよりも安く済んだと言う方もいれば高すぎてびっくりと言う方も。やはり検査を多くすればその分費用がかかるのは当たり前で、例えば血液検査の分泌ホルモン量を調べる時に、1種類だけなのかそれとも複数種類調べるのかで、金額に大きな差が出てきます。
どんな検査を受けていくら位になるのか分からず不安な方は、産婦人科のブライダルチェックを受けてみてはいかがでしょうか。
ブライダルと言っても妊娠したい方ならどなたでも受けられて、セットになっているなら費用も抑えられます。今では男性もブライダルチェックを受けられるので、ぜひカップルで検査してみては。
検査後は日常生活の見直しを
検査の結果2人とも何の異常が見つからなかったとしても、この状態を維持し更に高めるためには日常生活をしっかり見直す必要があります。
女性ホルモンの分泌量や精子造成機能は、ちょっとしたストレスや食事内容・飲酒・喫煙などですぐ乱れやすくなってしまうだけでなく、年齢を重ねるほど妊娠する力が弱まり、せっかく検査をしても妊娠という結果が現れない可能性も。
せっかく良い結果がでたのですから、安心して生活が乱れてしまう事のないように二人で頑張りましょう。もし異常が見つかった場合は、治療を行うと同時に医師からの生活上の指導を良く聞いて改善していきましょう。
不妊治療について
治療の種類 排卵促進剤
検査後の結果治療が必要となった場合には、カップルに合ったそれぞれの治療が施されます。治療の中で最もポピュラーなのが排卵促進剤で、生理周期が一定でない方や排卵障害が認められた方に処方されます。
排卵促進剤は卵巣の働きを正常なものにし、きちんと卵胞が十分な大きさまで育ち排卵できるようにする働きがあるので、過激なダイエットで生理が止まってしまったけれど、なるべく早く妊娠したいなんていう方にも処方されます。
排卵誘発剤の効果は排卵率70~80%、妊娠率20~40%と自然妊娠とあまり変わらないため、検査結果に異常はないけれども、自然妊娠へのサポートとして卵巣の機能を更に高めるために処方される場合があります。
治療の種類 タイミング法
いくら性交の回数を増やしても、排卵した卵子が精子とタイミングよく出会わなければ妊娠は出来ませんね。不妊治療の基本の基本と言われるのがこのタイミング法ですが、不妊治療ではなくとも妊娠するための基礎としてとても大事な方法です。
卵胞は排卵に備えて毎日少しずつ成長しますが、タイミング法は排卵予定日の3・4日前に経膣エコー検査で卵胞の大きさを測定し卵胞の成熟度を計り、その上で妊娠確率の高い性交日を確認する方法です。
また注射後36~48時間の間に排卵させる排卵促進ホルモンを注射して、更に排卵日を絞り込む治療を行う事もあります。タイミング法の指導がどのレベルになるかは検査の結果次第で変わります。
まとめ
妊娠できない原因はすべて女性側にあるとはかぎりませんので、妊娠力があるかどうかを調べるには、夫婦や恋人同士で一緒に行う必要があります。
また、ご紹介した検査法は保険が適用されるものとされないものがありますので、検査を行う前には費用を確認しましょう。