妊娠初期にはつわりなど辛い症状がありますが、妊娠中期には母体も安定し、出産まで何の問題もなく過ごせるように思えます。しかし、妊娠後期・臨月になるとむくみに悩む妊婦が増えてくるのです。
妊娠後期のむくみは何故起きてしまうのか、知っておきたいメカニズムや対処方法など詳しくご紹介していきましょう。
妊娠後期・臨月の時期
妊娠後期は、妊娠8ヶ月~10ヶ月の期間を指します。臨月は妊娠36週0日~39週6日までとなります。赤ちゃんがどんどん成長しているので、お腹の大きさも立派になっている時期です。
妊娠後期に目立ち始めるむくみですが、実は妊娠時期に限らず多くの妊婦が経験します。つわりにより体調の変化が影響したり、ホルモンバランスの変化が影響したりしているからです。しかし、妊娠後期には悪化する傾向が強まります。何故、妊娠後期・臨月に集中するのでしょうか。
妊娠後期の身体の様子は
妊娠後期に差し掛かると、お腹は大きくなり出産体制へと近づいていきます。人により、むくみが出る部位には違いがありますが、一般的には、脚、腕、顔が多いようです。
特に脚のむくみはだるさを伴うことも多く、辛い思いをする妊婦の方も多くいらっしゃいます。むくみは何故生じてしまうのでしょうか。
妊婦がむくみがあるのは当たり前?
妊娠後期になると、お腹の赤ちゃんへスムーズに栄養や酸素を送れるように体内に溜まる水分量がピークを迎えるようになります。
最大時には通常体内にある水分量の1,6~1,7倍にまで増えるので、腎臓の働きが追いつかず体内に溜まったままになってしまい、それがむくみとなるのです。
体の動きを考えると、妊婦さんがむくんでしまうのは当たり前の事で、ひどいむくみになったとしてもお腹の赤ちゃんに何らかの影響を与える事はほぼないという研究結果もありますので、むくみがひどいから何かの病気ではと不安になる事はありません。出産後は元に戻るので後数週間の我慢です。
妊娠後期・臨月のむくみの原因
むくみが生じてしまうのには、いくつかの原因があります。下記で詳しく説明いたします。
妊娠後期の食生活の乱れ、増加
妊娠すると味覚が変わると言われていますが、妊娠初期の頃のつわりを除けば、比較的安定して食べられるケースがほとんどです。
ただ、甘いものや塩気のあるものを欲する傾向にあるため、体内の水分バランスが崩れやすくなると言います。特に妊婦の方が好んで食べたがるのが、ファーストフードのフライドポテトです。たっぷりと塩がかかり味の濃いフライドポテトですが、大きいサイズを簡単に平らげてしまう妊婦は多いのです。
また、安定期に入る妊娠中期は、つわりからの開放により食欲が増幅する傾向にあります。そのまま妊娠後期まで継続してしまった結果、むくみやすい身体になってしまうのです。
妊娠後期の運動不足の影響
むくみの原因として、もうひとつ取り上げたいのが、運動不足です。妊娠後期になるとお腹が大きくなるため、自分の足元が見えづらくなります。靴を履いたり着替えたりすることが大変になるため、つい外出する頻度が下がってしまうのです。
運動する機会が減ってしまうと、筋肉が刺激されなくなるため、むくみはどんどん悪化してしまいます。特に脚のむくみは筋肉が動かない限りなかなか循環しませんので、動かなければ動かないほど、悪化してしまうのです。
妊娠後期のストレスや疲れ
妊娠後期になると出産に対する不安が出てきたり、お腹が大きくてうまく動けなくなったりすることからストレスが溜まりやすくなります。ストレスは自律神経の乱れにつながりますから、むくみを生じさせやすくなるのです。
特に、顔がむくみやすいという方は、ストレスを強く受けている可能性があります。自分ひとりで溜め込まず、うまくストレス発散させることが大切です。
同じ姿勢の時間が長い
妊娠後期になると、うまく動けなくなることから、一度楽な姿勢をとると動く気が起きにくくなります。座ったままの状態、横になったままの状態が長く続くため、よりむくみやすくなってしまうのです。
少しでも動いて刺激を与えるためには、さまざまな姿勢になることがベストですが、大きなお腹をかかえている以上、簡単ではありません。周囲のサポートを受けながら、こまめに体制を移動するように心がけましょう。
隠されたむくみの怖さ
妊娠後期になると悪化する傾向が強いむくみですが、他の症状も出ている場合、怖い病気が隠されていることがあります。つわりのほかに尿タンパクや高血圧がある場合、妊娠高血圧症候群である可能性があるからです。
妊娠高血圧症候群とは、通称妊娠中毒症とも呼ばれ、妊娠後期の妊婦に見られる傾向があります。そのまま放置すると、後遺症が残ったり、帝王切開を余儀なくされる可能性もあったりするので、むくみがひどい場合は、妊娠高血圧症候群の疑いを考え、検査を受けてみると良いでしょう。
むくみは体重増加の原因にも
妊娠中は体重が増えるのが当たり前ですが、それでも考えられないほど短期間で体重が激増した場合は、皮下脂肪に加えて体内の水分が過剰に増えた分が含まれていると考えてよいでしょう。
むくみは妊婦の方に起こって当然のもので、糖尿病や高血圧のように赤ちゃんに大きな影響を与える事はありませんが、体重に反映してしまうほど強いむくみはその裏に血圧の高さや血糖値の高さが隠れているかもしれません。
かかりつけの医師に相談し必要な場合は検査を受けて指示に従います。妊娠が原因のむくみは出産後に解決するので、あまり不安にならないようにしましょう。
むくみの改善、解消方法
妊娠後期に現れるむくみですが、どのようにすれば改善できるのでしょうか。いくつか効果的な方法をご紹介していきたいと思います。
足湯でむくみを解消
簡単な方法として足湯を試してみましょう。深めの洗面器やポリバケツなどにお湯を入れ、ふくらはぎまでしっかりと浸かります。
お気に入りのアロマエッセンスを加えれば、水蒸気とともにいい香りがお部屋に広がるのでリラックスできるでしょう。足湯は血行促進を促してくれるため、むくみ改善に非常に効果的です。
足湯で指を動かそう
足湯をしている時に、さらにむくみを効率よく改善させたいなら、お湯につけたままの状態で、足の指をグーパーと動かしてみましょう。
お湯につけていることで、血管に圧力がかかりやすいため、少し指を動かすだけで、血流が促されやすくなります。
20回ほどグーパーしたら、足首をグルグルと回してみてください。時計回り、反時計回りと行っていくと、次第に脚全体がポカポカしてくるでしょう。そうなれば、血流が改善されて、むくみの原因となっている老廃物が流れ去り、徐々に改善されていくでしょう。
足裏を軽く刺激
足湯をするのが大変な場合は、足の指をグーパーしたり、足首をぐるぐる回したりするだけでも効果的です。それにさらに付け加えていただきたいのが、ボールを活用したツボの刺激です。
ゴルフボールやテニスボールなど、丸い形状のものなら何でもかまいませんので、足裏に当てて体重をかけ、ゴロゴロと転がしていきましょう。
足裏にはたくさんのツボが集まっているので、ボールを転がしながら軽く刺激することで、脚全体の血流だけでなく全身がポカポカしてくることがあります。足裏には子宮を収縮させる作用を持つ反射区域があるので、やりすぎはお勧めできません。
スクワットで筋肉を刺激
スクワットでふくらはぎの筋肉を刺激してみましょう。ふくらはぎにある筋肉は足元に溜まった水分を上に押し上げる働きを持っていて、運動する事でその効果を発揮します。しかしお腹の重さであまり運動できない今、ふくらはぎも本来の仕事が出来ません。
スクワットはふくらはぎだけでなく足全体を鍛えるだけでなく骨盤底筋群をも鍛えてくれるので、産後の尿漏れなどのトラブルを防いでくれます。そのままスクワットをすると転倒する可能性があるので、いすの背もたれにつかまりながら無理のない回数で行いましょう。
便利グッズの活用
脚のむくみがひどい場合は、便利なグッズを活用するのもひとつの方法です。圧力がかかるよう設計されたソックスなら、履いているだけでむくみを改善してくれます。
伸縮性があり、やや履きづらいこともありますので、お腹がつっかえて履きにくいという場合は家族にお願いしてサポートしてもらいましょう。このソックスを履いていれば、少し脚を動かしただけで大きく筋肉を刺激してくれるので、むくみが改善しやすくなるでしょう。
ウォーキングの効果
妊娠後期になると、動くのが億劫になりますが、ウォーキングがもたらすむくみ改善効果は絶大です。足裏を刺激し、筋肉を大きく動かすので、むくみはどんどん改善されていきます。
また、ウォーキングすることで外の空気に触れるため、ストレスの緩和にも繋がるでしょう。妊娠後期は出産への不安や、身体の重さなどさまざまなストレスに悩まされる時期でもあります。自律神経を整えるためにも、ウォーキングをしてストレス発散していきましょう。
姿勢を変える工夫を
座ったり横になったりと長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎの働きが弱まって余分な水分が下に溜まったままになります。むくみを少しでも減らすには、短時間で姿勢をあれこれ変えるようにするのが一番です。
例えばソファに座って足元がじわっとむくんできたら、そのまま横になって足をソファアームの上に乗せて姿勢を変えると一箇所に水分が溜まる時間がありませんから、むくみも抑えられます。
ウォーキングをすると体が温まり余分な水分は排泄するようになるのですが、妊娠高貴になってお腹が大きくなれば、毎日歩くのも中々難しいですね。そんな時はその場に立って足踏みをするとウォーキングと同じようになって、同様の効果が得られます。足踏みをする際は足元に気をつけて転ばないようにしましょう。
塩分コントロール 塩分の目安は
WHOが定めた1日の成人女性の塩分摂取量は10gで、妊娠中の女性は妊娠高血圧症候群を避けるために1日8gとなっています。
ただし、日本人は昔から塩分の多い食事をすると知られているので、実際にはもっと摂取しているかもしれません。特に加工品や外食に含まれる塩分は簡単に1日の摂取量をオーバーしてしまうので、なるべく避けるようにしましょう。
塩分を控えた食事は妊娠中だけではなくこれから年齢を重ねるにつれて必要になってきますから、今から薄味の食事に慣れておくのが良いですね。
利尿作用のある食材
むくみは、水分調整ができなくなった状態のことを指します。だからこそ、利尿作用のある食材をうまく活用していきましょう。
パセリや昆布、アボカドや納豆にはたくさんのカリウムが含まれているので、余分な水分を体外へと排出しやすくしてくれます。もちろん、塩を取り過ぎないことも大切です。
まとめ
妊娠後期・臨月に起きるむくみについてご紹介しました。むくみにはさまざまな原因がありますが、対処方法を実践することで少しずつ緩和されていくでしょう。出産まであと少し、気を緩めず健やかな状態で赤ちゃんと出会いましょう。