妊娠初期のつわりも乗り越え、黄金期と呼ばれる安定期も満喫し、いよいよ出産が近づいてきた妊娠後期、臨月。突如イライラに悩まされた経験はないでしょうか。安定期を経験しただけに、再び気持ちが乱れ、動揺する妊婦の方も少なくないようです。
しかし、妊娠後期、臨月にはイライラしてしまう妊婦はたくさんいらっしゃいます。何故イライラしてしまうのか、そのイライラの原因をつきとめ、どのような対策、解消法が有効か、知っておきたい情報をご紹介します。
妊娠後期・臨月のイライラの原因
妊娠後期にイライラしてしまうのは、さまざまな原因が隠されています。まず、ホルモンが影響していると考えられるでしょう。妊娠後期にはエストロゲンというホルモンが分泌されます。
つわり症状を引き起こすプロゲステロンは妊娠初期でその分泌が納まりますが、エストロゲンは妊娠後期にむけて緩やかに上昇し続け、ピークを迎えるのです。特に妊娠9か月~臨月が最もエストロゲンが分泌されると言われており、イライラを誘発させると考えられています。
思うように動けないイライラ
妊娠後期に差し掛かると、お腹の赤ちゃんは大きく成長しています。子宮も大きくなっていますし、羊水もたっぷりあるので、とてもお腹が重たくなってしまうのです。
お腹が重いと、ちょっと立ったり座ったりするのも一苦労します。ちょっとテレビのリモコンを取りたいだけなのに、重い体をがんばって起こして歩き、スイッチを押してまた座るという行為が辛くなります。思うように自分の身体を動かせないという不満が、イライラを引き起こしてしまうのです。
不眠のイライラ
妊娠後期・臨月近くになるとお腹が大きくなるため、寝ているときも圧迫感を感じるようになります。仰向けで眠ることが困難になるため、横向きに寝なくてはなりません。
しかし、片方の肩や腕が圧迫されてしまうため、しびれてしまい、また体制を変えなくてはならなくなります。ゆっくり眠りたいのになかなか熟睡できないことから、イライラしやすくなってしまうのです。
胎動にビックリ
妊娠後期に差し掛かると、胎動を強く感じることができるようになります。起きているときは、動く様に赤ちゃんへの愛おしさが増すことでしょう。
しかし、寝ているときやリラックスしているときに急にお腹を蹴られたり、暴れたりされるとビックリしてしまいます。赤ちゃんの動きは予測することができないため、不意のお腹の動きに戸惑ってしまい、イライラしてしまうのです。
出産への不安
妊娠後期、臨月は、出産を強く意識し始めます。初めての妊娠の場合、出産がどれくらいの痛みなのか、どれくらいの時間がかかるものなのか、想像することはできないでしょう。
また最近は、さまざまな出産方法が出てきており、妊婦にとっては何を選べばよいのかわからないという方もたくさんいらっしゃいます。情報が多すぎて、何がベストかわからず、決断を下せない自分にイライラしてしまうのです。
夫にイライラ
妊娠後期・臨月はイライラを夫にぶつけてしまうという妊婦の方も少なくありません。出産への不安を抱えているのに、ちっとも気遣ってくれないからです。優しい声をかけてほしいのにかけてもらえない。
お腹が重くて家事も大変なのに手伝ってくれないという不満が、イライラを増幅させます。
上の子供がいてイライラ
第2子を出産する方は、自分の体調よりも上の子の面倒をみるので1日が終わってしまいます。理想の兄弟年齢差は2・3・5歳などと言われていますが、この年齢ではお母さんは妊娠して身体が大変だという事を理解できず、お構いなしの行動を取ります。
また自分はお兄ちゃんお姉ちゃんになるけれど、これまで自分1人のお母さんだったのにこれからは違う、と本能的に理解するので、なんとなく不安になってお母さんにベッタリくっつき甘えるようになる子もいます。
これらの行動を赤ちゃん返りと呼びますが、疲れやすく情緒不安定なこの時期にやられると、頭では分かってもどうしてもイライラしてしまうのです。
里帰り出産でイライラ
妊娠後期に差し掛かると、里帰り出産の為、実家に帰るという妊婦の方もたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、久々の実家でゆっくりできると思ったのに、家事を手伝わされたり、厳しく指導されたり、赤ちゃんへの教育までチクチク言われたりすることにイライラしてしまうことが多いようです。
気心が知れた家族とはいえ、久々に実家に帰ってきた分、理想を高くしてしまいがちです。だからこそ、そのすれ違いがイライラを育んでしまうのでしょう。
イライラの解消法
妊娠後期、臨月は、さまざまなイライラが発生するものです。では、どうしてもイライラして仕方がないというときは、どのように対処していけばよいのでしょうか。
イライラを解消するためには、気分を変えるのがイチバンです。その気分を変えるさまざまな解消法をご紹介していきましょう。
とにかく話す
妊娠後期のイライラは、先輩ママや、妊婦仲間に話してスッキリ解消していきましょう。女性は悩みを話すことで解消しやすい生き物です。だからこそ、イライラを自分で溜め込まず、周囲に話すことでイライラを放出していくのです。
また、イライラしている気持ちを理解してもらえるということは、心の落ち着きにも繋がります。先輩ママも経験していることであれば、「自分だけじゃない」と安心感を得られることができるでしょう。
ドラマや映画を見る
妊娠後期のイライラは、何かに感情移入することで解消していきましょう。ドラマや映画などストーリー仕立てのものを見ることで、自分のイライラを忘れさせることができます。思いっきり泣ける映画でもいいですし、お腹を抱えるほど笑えるドラマもオススメです。涙を流すことで、ストレスを和らげることができます。
また、笑うことはストレス発散法として最もオススメな行動のひとつです。イライラした時はそれを抑えようとするのではなく、別の感情に切り替えるようにしましょう。
赤ちゃんの服を眺める
イライラを解消させる方法として、赤ちゃんの服を眺めたり、可愛い洋服のカタログをチェックしてみたりしてはいかがでしょうか。
生まれてくる赤ちゃんには、こんな服を着せてみたい、これを着たら可愛いだろうなと想像するだけで幸せな気持ちになることができます。スタイや服を作ってみるのも良いでしょう。
出産準備を黙々と進める
妊娠後期にイライラし始めたら、出産の準備を整えていきましょう。母子手帳、タクシーの手配、病院の住所、退院時の服、ベビーベッド、チャイルドシート、おむつ、哺乳瓶、消毒器具、ベビーバス、など出産や赤ちゃんが生まれてから必要になるものはたくさんあります。
何が必要で、いつまでにそろえるべきかを逆算していけば、自然と違う思考回路に入るため、イライラはどこかへ過ぎ去ってしまうでしょう。
イライラしていることを伝える
妊娠後期にイライラしていると感じたら、周囲に「今イライラしている」と言葉にして伝えましょう。イライラしているのにそれに気づかない夫に、さらにイライラすることもありませんし、イライラしていると声に出すことで、そのこと自体が馬鹿らしく感じてくるからです。
マッサージでリラックス
マッサージをしてリラックスするのもオススメです。家族に、「どうしてもイライラが納まらないから、マッサージしてほしい」と素直に伝え、優しくマッサージしてもらいましょう。むくみが出やすい脚や、腰痛が出やすい腰回りをほぐしてもらうと、徐々に気持ちが和らいできます。
背中をさする、手をさするといった行為だけでも充分です。スキンシップを得ることで、心は穏やかになっていくことを覚えておきましょう。
ゆっくりした呼吸は効果大
妊娠後期は子宮が横隔膜を圧迫するほど大きくなるので、息苦しさを覚える方が多いですが、イライラすると息苦しくなるという方はそれとはちょっと異なります。
原因は自律神経の乱れにあると言われているのですが、妊娠中はホルモン分泌量が増えることで自律神経も乱れやすくなっているため、息苦しさも増すのです。イライラした時には深呼吸とよく言いますが、妊娠中は腹式呼吸しづらい時期なので、浅い呼吸でゆっくり吸って吐く事を意識しましょう。
ゆっくりした呼吸は副交感神経を優位にするため感情を落ち着かせ、鎮静効果のあるセロトニン分泌を促進させる効果があります。ポイントは、吸う時間を短くして長く吐くように意識する事。3分程度で充分効果が出るので試してみてください。
子育て支援センターを活用する
イライラが頂点に達して自分でも抑制できないくらいの感情を周りに吐き出してしまう前に、ぜひ育児のプロや助産婦に相談してください。地域の公的機関である子育て支援センターでは、子供たちを遊ばせながら保護者が集まる企画を催したり、育児の不安を相談できます。
出産後でないと利用できないイメージがある子育て支援センターですが、妊娠中の悩みを相談できたりパパ・ママになるカップルに向けての教室など、地域によって妊娠中でも利用できる企画が沢山用意されています。
同じような立場や経験を持つ人達と話せば共感する部分も多いので、パートナーや周りの理解不足に対するイライラがすっきり解消できるでしょう。
タバコ・アルコールなどに手を伸ばさない
イライラしてタバコ吸いたい、お酒飲みたいと考えても、お腹の赤ちゃんの事を思えば大変でも我慢をするお母さんが多い中、ストレスが溜まるよりはマシだからと反対に吸ったり飲んでしまう方もいます。
タバコ・アルコール共に血液に悪影響があるので、お母さんがストレス解消をしている間、胎児にストレスが溜まります。また、タバコを吸った直後はストレスやイライラが低下しますが、30分後にはニコチンの血中濃度が半減してイライラが更に増し解消どころではありません。
もちろんお母さんがタバコやアルコールを摂取すれば、胎児性アルコール症候群や奇形・神経障害・発達遅延・早産など胎児にとって命取りになりかねない状況に陥る可能性が非常に高くなります。
胎児に影響が出る前にイライラ対策
イライラするのは妊娠中なら多かれ少なかれ誰にでもある事です。1人でずっと我慢して悩んでしまえば、うつ状態になってしまう事も考えられます。お母さんの心理状態は、血流量や筋肉の硬直を通してお腹の赤ちゃんへダイレクトに影響します。
ストレスが溜まると分泌されるストレスホルモンは血管を収縮させ血圧を上げる働きを持つので、赤ちゃんへ充分な酸素や栄養が届かず発育遅延の一因となったり、妊娠高血圧症行群となって日常生活の制限が増え、更にイライラが溜まってしまいます。
また、自分がイライラを持て余して当り散らせば、周りの環境もぎすぎすしてしまってイライラ増加の原因になりかねません。イライラすると思ったら、早めに対策を取りましょう。
ここまでのまとめ
妊娠後期のイライラについてご紹介しました。イライラの原因には、ホルモンや身体の重さ、出産への不安など、さまざまな原因が隠されています。イライラが募りやすい時期ですが、解消法を実践して、うまく乗り越えていきましょう。
素直に周囲に伝えることが大切ですので、ひとりで我慢しないことです。イライラを解消し、健やかな体と心で妊娠後期を過ごしてください。