妊娠後期~臨月の胃痛について知っておきたいこと

妊娠後期~臨月の胃痛について知っておきたいこと 妊娠後期

つわりから解放された安定期に入れば、赤ちゃんも順調に成長しお母さんも体調の良い日々が続きますね。このまま出産まで続けばいいなと思ってしまいますが、赤ちゃんが更に成長していくと、再び体のあちこちの不調に悩まされるようになってきます。

特に妊娠後期から臨月にかけて、胃痛や胸焼けなどつわりの気持ち悪さがぶり返したように感じる妊婦さんが多く、これらの症状を「後期つわり」と呼んでいることも多いです。妊娠後期から臨月は出産準備や体調管理など中々忙しいのですが、胃痛に悩まされていては準備も進まなくなってしまいます。

そこで、この忙しい時期少しでも胃痛の症状を改善させるためには何が必要なのか、どうすればよいのかを詳しくご紹介していきましょう。

妊娠後期~臨月の胃痛はどんな症状がでるの?

妊娠後期~臨月の胃痛はどんな症状がでるの?

後期つわりとも呼ばれる妊娠後期から臨月にかけての胃痛ですが、どのような症状が現れるのでしょうか。食べ物が胃に入ると、胃は消化液を分泌して食べ物を細かくします。

この消化液は酸性が強いのですが、通常ならば胃の中で機能するはずが何らかの原因によって胃の上部や食道で逆流してしまうことがあり、それが胃痛につながります。

特に妊娠後期から臨月にかけての胃痛で特徴的なのが、夜間のキリキリするような胃痛かも知れません。妊娠後期の特徴的な体型変化に加えて、食後消化液が盛んに分泌されると胃が空っぽになってもその状態が続くため、胃の粘膜や食道を刺激して痛みを感じるのです。

夜間に胃痛が続くと、それ自体がストレスとなって睡眠障害に陥ってしまう妊婦さんもいらっしゃるため、そのうち治るからと我慢せずに、辛い時は積極的な対策が必要です。

妊娠後期~臨月の胃痛は何が原因?

妊娠後期~臨月の胃痛は何が原因?

赤ちゃんが順調に成長しても、つわりのような胃痛がぶり返してくると毎日が憂鬱になってしまいますね。妊娠後期から臨月にかけての胃痛は、お母さんの体の変化が大きく関わっています。

もしかしたら、この時期の胃痛は出産のための準備が少しずつ始まっている証拠なのかもしれません。そこで、何が原因で胃痛につながるのか、詳しく見ていきましょう。

子宮の大きさ

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妊娠後期から臨月にかけては、姿勢を変えるのも辛いくらいお腹が大きくなります。それもそのはず、赤ちゃんは臨月には平均3000g前後の体重になり、妊娠前は鶏の卵大だった子宮は上から下までの子宮底長が30cm程度になり、お母さんの体型によってはみぞおちを超えてしまう場合もあります。

そこまで大きくなれば腸や膀胱だけでなく胃や肺までも押し上げるため、消化液が胃の入り口や食道に届いて胃痛や気持ち悪さを伴うようになります。

消化機能の低下 筋力の低下

消化機能の低下

妊娠中はエネルギーとなる炭水化物をメインとして赤ちゃんに栄養を送りますが、加えてたんぱく質やミネラル・ビタミンも赤ちゃんに優先的に回ってしまうため、お母さんはどうしても筋力が落ちやすい状態になってしまいます。

体の臓器は筋肉で出来ていますから、筋力の低下につられてこの時期消化不良を起こしやすいだけでなく、便秘やスキントラブルも現れやすくなります。妊娠前から消化不良に悩まされていた方は、胃痛や気持ち悪さが加速してしまう時期かもしれません。

食べる回数や量が増える 食べすぎ

食べる回数や量が増える 

臨月に入り赤ちゃんが出産準備のため下に移動すると、胃の圧迫感がなくなって悩まされていた気持ち悪さや胸焼けがスッキリする妊婦さんも多いです。胃がスッキリすれば、今まできちんと食べられなかった分ついつい食べ物に手が伸び、食べる回数や量が増えてしまう方もいらっしゃるでしょう。

妊娠中でなくとも食べ過ぎれば胃痛や腹痛が起きるパターンは多いですから、ホルモン分泌や胃腸機能が低下している妊娠中ならば、更に胃痛が起きやすいと考えられます。

特に臨月の食べすぎは、巨大児や産道に脂肪が付いて出産トラブルの可能性がアップするなど良い事は一つもありませんから、出産まで気を引き締めていきたいものです。

出産まじかのストレス

出産まじかのストレス

出産までのカウントダウンが始まると、入院準備や入院・里帰り中の夫の生活の準備、産後の手続きなど何かと忙しいのに加えて、自分はちゃんと赤ちゃんが産めるのだろうか、赤ちゃんは無事に生まれてきてくれるだろうか、とふと不安になってしまう事も多くなります。

こういったことが重なるとストレスとなり、機能低下している胃腸にダイレクトに影響して胃痛や消化不良といった症状が現れます。色々心配な気持ちも十分理解できますが、自分の体と赤ちゃんを信じて準備を進めていきましょう。

ホルモン分泌の変化

ホルモン分泌の変化

妊娠中に起こるホルモンバランスの急激な変化は、実は胃痛にも関係しています。妊娠初期から妊娠後期まで分泌量が多くなるプロゲステロンは、子宮の筋肉を緩めて妊娠状態を維持させる働きがあります。

また子宮だけでなく消化器官の筋肉をも緩めてしまうため、便秘になったり胃酸が逆流して胸焼けや胃痛を引き起こすのです。臨月に入ればプロゲステロンの分泌は減少しますが、代わりにエストロゲンとオキシトシンというホルモンの分泌が増加します。

オキシトシンは子宮収縮を促すホルモンで陣痛促進剤にも使用されていますが、このホルモンの働きが胃腸にまで影響し、胃が収縮して痛みを感じるようになるのです。ただ、臨月で胃痛が現れた時はいよいよ出産までカウントダウンが始まったのかもしれません。いつ陣痛が起きても良いように準備をしておきましょう。

病気の可能性はあるのか?

病気の可能性はあるのか?

妊娠後期から臨月にかけての胃痛はよくある事、といっても、辛い時は我慢せずに病院で相談してください。この時期に良くある胃痛なら問題ないのですが、もしかしたら病気が隠れている可能性があるかもしれません。

早い段階で相談すれば、もし病気だった場合に病院側も早期治療が可能になりますから、出産や産後に影響する可能性も少なくなります。それでは、この時期の胃痛で疑われるような病気はどのようなものがあるか、見ていきましょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群

妊娠20週から産後12週までに高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群と呼ばれます。妊娠高血圧症候群は重症化すると子癇・HELLP症候群・常位胎盤早期剥離・胎児発育不全など、お母さんと赤ちゃん双方に命の危険が及ぶ非常に怖い病気です。

妊娠高血圧症候群は自覚症状があまりないため発見が遅れがちという難点がありますが、子癇やHELLP症候群には予兆ともいえる症状が表れることがあります。

たとえば子癇は目のチカチカや強い頭痛といった症状で、HELLP症状群には上腹部痛やみぞおち付近が急に痛む症状があらわれます。

今までまったく問題なくても出産間近に妊娠高血圧症候群を発症する妊婦さんも少なくありませんから、急に強い胃痛がした時は頭痛やむくみの悪化がないかをチェックし、病院を受診してください。

過敏性腸炎症候群

過敏性腸炎症候群

子宮に圧迫されて再び便秘になりやすいこの時期、胃痛とともに便秘症状が重くなったり下痢が長く続く・ガスがたくさん出る時は、もしかしたら過敏性腸炎症候群の可能性があるかもしれません。

腸の不快感や便通異常といった症状があるのに、検査をすると異常が見つからないのが過敏性腸炎症候群の特徴で、腸の異常ではなくストレスが原因と言われています。

妊娠中はちょっとしたことでもストレスを感じる事が多いですから、それが積み重なれば胃腸の痛みを引き起こすのも無理はないかもしれません。

妊娠中は整腸剤や下痢止めなどの薬が飲めないからと我慢してしまいがちですが、悪化すれば妊娠中や産後の生活にも影響しかねません。現在は妊娠中でも服用できる薬がありますので、思い当たる方は我慢せずに病院で相談してください。

胃潰瘍 胃の炎症

胃潰瘍 胃の炎症

菌によって胃の粘膜が炎症を起こして赤くただれた状態になってしまうのが胃潰瘍ですが、暴飲暴食や生活習慣の乱れ以外にもストレスが大きな原因に数えられます。

妊娠中は普段なら気に留めないことでもストレスを感じてしまう事が多く、加えて免疫力も低下したままの状態ですから、後期つわりとは違う強い胃痛や胃もたれ等の症状が続く時は胃潰瘍を疑っても良いかもしれません。

胃潰瘍は胃の粘膜に生息するピロリ菌と深い関係がありますが、このピロリ菌退治には抗生剤の服用が必須です。

ただ妊娠中や産後は服用できないので、病院では粘膜保護薬や胃酸抑制薬といった妊娠に影響のない薬を処方するに留まります。胃潰瘍改善には、ストレスを緩和する・ピロリ菌抑制に効果的な食品を食べるなど、毎日の生活の見直しも大事になってくるでしょう。

胃痛への対処法

胃痛への対処法

胃痛がひどい場合は、病院で症状を緩和する薬が処方されます。医師が処方するものですから、赤ちゃんへの影響はないと思ってよいのでしょうが、それでもやはり気になってしまう妊婦さんも多いでしょう。

そんな方には、日々の暮らしや食事の中で胃痛を緩和するちょっとしたポイントをご紹介します。

胃痛がひどくなってからでは効果のない可能性もありますから、なるべくなら「ちょっと胃がチクチクするな」くらいの症状が軽いうちに試してみましょう。

胃の粘膜を保護する食べ物をとろう

胃の粘膜を保護する食べ物をとろう

胃の内部を覆っている粘膜は、強い胃酸から胃を守るための大事な役目があります。しかし、食事内容やストレス・免疫力の低下によって粘膜がはがれてしまうと、胃酸が直接胃に触れて炎症を起こし胃痛が発生するようになります。

これを見ると妊娠中は胃の粘膜がはがれやすい状態であることが分かりますが、これを改善させるには胃の粘膜を保護する食材がおススメです。代表的なのが牛乳と大根で、牛乳には胃酸を和らげ粘膜を保護する働きがあり、大根には消化酵素が多く含まれています。

これらに加えて、胃粘膜の成分でもあるムチンを含んだ、オクラ・納豆・サトイモ・ナガイモ・レンコンなども胃痛の緩和に一役買ってくれるでしょう。野菜やたんぱく質はこの時期お母さんや赤ちゃんにとって必要な栄養ですから、積極的に摂っていきたいですね。

食事後はできるだけ横にならない

食事後はできるだけ横にならないで

妊娠後期は子宮の圧迫から少量でもすぐにお腹がいっぱいになりますし、臨月は赤ちゃんが生まれる前に好きなものを食べておきたい!とつい食べ過ぎてしまうことも多いため、食後は座っているのが辛くつい横になってしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。

食後安静にする事は栄養をたくさん含んだ血液を全身に送る効果がありますが、普段から胃痛や気持ち悪さ・むかつきを感じている方は横にならないようにしましょう。

この時横になると、食べたものや胃液が逆流しやすくなるからです。ただ体の左側を下にして寝ると、胃の入り口や食道が上の方向になるため逆流は起こらず、胃痛やむかつきの発生を抑えられるといわれています。

食事回数を増やして量は減らして見る

食事回数を増やして量は減らして見る

妊娠後期は子宮が胃を圧迫して、食事をしてもすぐにお腹がいっぱい、またはお腹が空かないから一食抜いてしまったという方も多いです。

しかし、お母さんはお腹が空いていないとしても、赤ちゃんに送られる栄養が少なかったり多かったりと変動が大きければ、赤ちゃんの成長に影響が出てしまう可能性もありえます。

3食分の食事を数回に分けるのがおススメですが、仕事を続けていたり忙しくて毎回座ってゆっくり食べられないという方には、一口サイズの消化の良いものを更に少量ずつ用意し、空いた時間に口に入れていく方法もあります。自分に合った食事の方法を見つけて、ぜひ胃痛を改善していってください。

つわりと同じ食事内容はNG

つわりと同じ食事内容はNG

妊娠後期から臨月にかけての胃の不調や痛みは、後期つわりとも呼ばれます。しかし、つわりに似た症状だからと妊娠初期のつわりのように過ごすのはNGです。

つわり中はホルモンの変化や免疫の働きによって気持ち悪い状態が続くため、無理をせず食べたいものを食べられる時期に食べるという風に過ごしてきた妊婦さんも多かった事でしょう。

しかし、赤ちゃんがお腹の中でどんどん成長している今、同じように食事をしていてはどんどん体重が増えて、出産時に思わぬトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。臨月に入れば赤ちゃんはほぼ成長が完成していますから、この時点で太ってしまった分はほとんどお母さんに付くと考えましょう。

体を温めることを心がける

体を温めることを心がける

胃やお腹が痛い時は自然と手でさすっている事も多いです。手の摩擦で温かくなり、痛みが和らいでホッとした経験を持つ方もいらっしゃるでしょう。

安定期後は、ホルモン分泌の影響で体が冷えやすくなっています。体が冷えれば内臓機能が鈍り、ただでさえ胃の動きが低下しているところへ拍車がかかってしまい、胃痛やむかつきが悪化します。

温かい飲み物を意識して飲むようにしたり、ゆっくり入浴すれば次第に痛みも緩和しますが、即効を期待したい時には使い捨てカイロを活用しましょう。肌に直接触れないようにして痛む部分に貼れば、じんわり温かくなってリラックスしているうちに胃痛も治まってくるでしょう。

痛みが気になる場合は医師の診断を

痛みが気になる場合は医師の診断を

妊娠中の胃痛はよくある事ですが、あまりにも強い痛みや便秘・下痢が続いたり突然目がチカチカするようであれば、妊娠高血圧症候群や過敏性腸炎症候群など病気の可能性が出てきますから、放置せずにすぐ病院を受診してください。

まとめ

後期つわりとも呼ばれる胃痛や気持ち悪さに苦しむ方の多い時期ですが、これもまた赤ちゃんの成長やホルモン等この時期特有の体の変化が影響しています。

辛い時病院で相談すれば赤ちゃんに影響のない胃薬を処方してくれますが、それでもやはり薬は使いたくないという方は、胃痛に効果的な食材を取り入れたりストレス緩和など日常生活の見直しから胃痛を抑えていくようにしましょう。胃のトラブルは早く改善して、元気な状態で赤ちゃんと会えるよう、今から対策していきましょう。