出産予定日が近づくと気になるのが陣痛の痛み。経産婦の方にとってはすでに経験済みのことですが、初産婦さんにとってはすぺてが初めての体験で、疑問なことや不安なことが多いはずです。
陣痛の痛みに関しては知っておきたいことがたくさんあります。陣痛のはじまりの感じ方、前駆陣痛と分娩陣痛の違い、陣痛の痛みが続く時間や強さ、陣痛の痛みの逃し方など、出産を控えた妊婦さんに知っておきたい情報です。
陣痛の種類について
陣痛には前駆陣痛と分娩(本)陣痛の二種類があります。前駆陣痛とは本陣痛が起こる前にある、いわば予行練習のような痛みで、本陣痛に比べると痛みは軽く、しばらくするとおさまってきます。
前駆陣痛の痛みはどんな感じ
前駆陣痛は本陣痛の前に起きる痛みで、起きる時期に関しては個人差があり、本陣痛が起きるよりも一ヶ月近く前に起こることもあります。
前駆陣痛の特徴は痛みが軽度で、痛みの間隔が不規則なこと、さらに本陣痛とは違い、痛みは徐々に小さくなりしばらくするとまったくなくなってしまうことです。
前駆陣痛の痛みの感じ方にも個人差があり、生理痛のようなおなかの張りだけで終わる方もいます。本陣痛のように長引くことがないため、前駆陣痛に気がつかず、本陣痛を迎えることもあります。
本陣痛の痛みはどんな感じ
いよいよ分娩前に起こるのが本陣痛。前駆陣痛と異なり、本陣痛は痛みがだんだんと増していき、痛みと痛みの間の間隔も短くなっていきます。
陣痛の続く時間に関しては個人差が大きく、陣痛から破水、そして分娩までわずか数時間で終わってしまう方もいれば、一晩中陣痛が続くこともあります。
本陣痛の始まり
経産婦の場合は以前に経験したことがあるため、陣痛のの始まりにすぐ気がつきますが、初産婦さんにとっては陣痛の始まりがどんな感じなのか分からず、陣痛の兆候を見逃してしまうこともあるようです。
陣痛の始まりについてあらかじめ知っておくと、いざというときに必ず役に立ちます。陣痛の始まりの痛みや痛みの持続時間、痛みと痛みの間の間隔などについて知るようにしましょう。
陣痛の始まりの痛みはどんな感じ
陣痛の始まりは弱い痛みからはじまります。痛みの感じ方はさまざまで、おなかに張りを覚える、下痢のような感じ、おなかがしくしくする感じ、何かにぎゅっと掴まれるような感じ、と妊婦さんによって痛みの感じ方にはかなり差があります。
痛みの感じ方にこそ差はあれ、我慢できないほどの強い痛みはないという共通点があります。
陣痛の痛みの持続時間
陣痛が始まった時点では痛みも弱く、痛みが持続する時間も短く、最初は10秒から20秒程度しか続かないので、陣痛とは気がつかないこともあります。しかし痛みの持続時間は短くても、陣痛の場合、規則的に起こるという特徴がありますので、陣痛かも?と思う痛みがあったら、痛みが規則的に起こっているかどうか計るようにしましょう。
痛みと痛みの間隔が短くなるにつれて、痛みの持続時間は長くなるという相関関係があります。
陣痛の痛みの起こる場所
痛みの起こる場所は子宮や恥骨の上、腸のあたりで、痛みというよりも生理痛のような鈍い痛みや腰のだるさとして感じる方もいるようです。またおなかをこわしたときのような感じと表現する人もいます。
最初は局部的に感じていた痛みですが、陣痛が進行するにつれ、おなかと腰全体に広がっていきます。
陣痛の痛みの間隔
痛みと痛みの間の間隔は最初は長く、陣痛の度合いが進むにつれて、間隔が徐々に短くなっていきます。陣痛の始まりの時点では、痛みは一時間に3、4回程度ですが、時間がたつにつれて、痛みの起こる回数は増えていきます。
痛みの間隔は陣痛の進行ぐあいを示す重要な目安になります。陣痛が始まったら必ず痛みの間隔を計るようにしてください。
陣痛の間隔と病院に行くタイミング
痛みの間隔が重要なのは、病院に向かうタイミングをこれにより計るため。経産婦さんと初産婦さんでは陣痛の進み方に差があります。初産婦さんの場合は経産婦さんよりも陣痛の進行が遅く、一般的には痛みの間隔が10分おきになったら病院に向かうように指示されます。経産婦さんの場合は陣痛の始まりから分娩までにかかる時間が短いことが多いため、痛みの間隔が15分おきになったときが病院に向かうタイミングです。
陣痛の痛みはどんな感じ?
陣痛は経験した人にしか、その痛みのほどが分からないと言われています。産みの苦しみという言葉があるとおり、陣痛の痛みは他の痛みとは比べ物にならないほどの強さで、痛みに耐性のない妊婦さんにとっては不安で仕方ないことと思われます。
陣痛の痛みの感じ方や強さには個人差があり、耐えられないほどの痛みと感じる方もいれば、思ったほどでもなかったという方もいます。ここでは陣痛の痛みがどのようなものか、主なものをまとめてみました。このとおりになるとは限りませんが、陣痛に関する予備知識として知っておくと、実際に陣痛が起こったときに見極める手助けになります。
陣痛初期の痛み
陣痛の始まりの痛みは、生理痛の強いときのような感じと形容されることがあります。他にも腰が異常に重く痛みを感じる、下痢のときのような痛み、下腹部をぎゅっと掴まれるような感じなど、感じ方はさまざまです。
陣痛が進行するにつれて
陣痛が進行するにつれて痛みは増していきます。前駆陣痛と本陣痛の違いのところで述べましたが、本陣痛はいったん始まったら痛みが和らぐ、止まるということはありません。
時間がたつにつれて痛みは激しさを増し、痛みの持続する時間が長くなります。部分的に感じていた痛みの場所がしだいに拡大していき、腰全体に痛みが広がっていきます。さらに腰だけでなく、痛みの波及が体全体に及び、悪寒や発汗などを伴うこともあります。
陣痛がいよいよ強くなってきたら
陣痛の痛みはどんどん強くなる一方ですが、陣痛には波があり、強い痛みが激しく襲ってきたかと思うと、次の瞬間にはすっと引くという流れの繰り返しになります。どんどん強くなる痛みが我慢できず、一刻も早く赤ちゃんを分娩しようとしていきんでしまうと、膣や会陰部分に裂傷が生じるだけでなく、赤ちゃんへの酸素の供給が滞るという悪影響が及ぶこともあります。いよいよ分娩というときまでは、痛み逃しを行わなければなりません。
陣痛の痛みが少ないうちにすることとは?
初産婦さんの場合、痛みの間隔が10分間隔になってから分娩が起きるまで、最低でも数時間、長い人では12時間以上もかかるといわれています。陣痛から分娩に至るプロセスは非常に体力を消耗します。まだ痛みが我慢できるうちに、軽食を取り、入院準備を整えておくようにしましょう。
破水が起こったらそれ以降はシャワーを浴びることも出来なくなります。陣痛の痛みがまだ軽いうちにシャワーを済ませておきましょう。また身に付けているアクセサリーはすべて外しておかなければなりません。
陣痛から出産までの時間は?
陣痛の痛みがどのくらい続くかについて見ていきましょう。基本的にいって、経産婦さんよりも初産婦さんのほうが陣痛から分娩までにかかる時間は長いといえます。
初産婦さんの場合は約15時間前後程度、経産婦さんの場合はその半分くらいの7時間前後で終了することが多いといわれています。数時間から数日まで個人差があります。
陣痛と分娩の進行、流れについて
分娩の始まりは陣痛が10分間隔で来るようになったとき、あるいは1時間に6回以上の陣痛が起こるようになったときを指します。その後分娩までの陣痛の進行段階は、分娩第一期、分娩第二期、分娩第三期に分けられています。それぞれ段階ごとの特徴を下に挙げてみます。
分娩第一期
分娩第一期とは子宮口が開き始める時期で、陣痛の持続時間は最初は15秒程度、痛みと痛みの間の間隔は10分を切ります。その後陣痛の持続時間は徐々に長くなり、分娩第二期が始まる直前には1分程度続くようになります。反対に陣痛の間隔は2、3分まで縮まります。
陣痛の痛みはじわじわと強くなってきますので、最初から体力を使い果たさないよう、痛みが来たら息を吐くことで紛らわせましょう。この段階ではいきむことは出来ませんので、痛み逃しの方法を工夫しなければなりません。痛み逃しの方法にはさまざまなものがありますので、助産婦さんや経産婦さんの話をよく聞き、痛み逃しの方法をよく学んでおくようにしましょう。
分娩第二期
分娩第二期は子宮口が完全に開ききってから、赤ちゃんが出てくるまでを指します。分娩第一期がゆっくりと進んでいくのに対して、第二期は1、2時間で終了することがほとんどです。
陣痛の持続する時間は1分から1分半程度になり、陣痛の間隔も1分から2分程度に縮まります。陣痛の痛みはいよいよ最高潮、分娩台に移動したら、陣痛が来るのにあわせていきむようにします。
陣痛と陣痛の間には出来るだけ体の力を緩め、次の陣痛に備えるようしましょう。ここでいきむ力が弱いと赤ちゃんが出てくるまでさらに時間がかかり、お母さんも赤ちゃんも大変な思いをします。陣痛に合わせていきみ、痛みのないときは可能な範囲でリラックスし、赤ちゃんに酸素が十分に行き届くようにします。
いきむタイミングと力を抜いてリラックスするタイミングをうまく計り、赤ちゃんの頭が出てくるまで頑張ります。赤ちゃんの頭が出てきたら、無理やりいきんで出そうとせずに力を抜いたほうが、赤ちゃんが自然に出てきやすくなります。助産婦さんの指示どおりにいきむことと、リラックスすることを繰り返しながら、赤ちゃんが出てくるのを促します。
分娩第三期
出産したら終わりではありません。今まで赤ちゃんが育つのに必要だった胎盤などの排出を行います。胎盤の排出は数分~30分程度で終了します。
陣痛の痛みの軽減、逃しの方法
分娩第一期ではどんなに痛みが辛くてもいきんではいけません。子宮口が全開していないうちにいきんでしまうと、赤ちゃんに酸素が届かなくなり、窒息状態寸前になってしまったり、会陰部分や膣、肛門に裂傷が生じる恐れがあります。どのような方法が痛み逃しに有効か、よく学んでおくようにしましょう。
呼吸法で陣痛緩和
いきみ逃しには呼吸法が重要です。母親教室やマタニティヨガの教室に通っていた方ならば、ラマーズ法やヨガの呼吸法、ソフロロジーでうまく痛み逃しをすることが出来ます。
以前には分娩の際の呼吸法というとラマーズ法が主流でしたが、現在では息を吐くことにより重点を置いたソフロロジーも普及してきているようです。ソフロロジーはヨガの呼吸法を基本にしたもので、気持ちを出来るだけリラックスさせ痛み逃しを行い、いきまないようにします。
テニスボールやゴルフボールで陣痛緩和
テニスボールやゴルフボールを腰や肛門の辺りに押し付けると、幾分なりとも痛みが和らいだように感じます。どの部分を押すのがいちばん効果的かは、妊婦さん一人一人異なりますので、そのときの状況に合わせて、いちばん気持ちいいと感じる場所を押してもらうようにしましょう。
利用するのはテニスボールがもっとも一般的ですが、中にはゴルフボールのようにもっと硬いもののほうが効果があったとする妊婦さんもいますので、迷ったら両方用意しておくようにしましょう。
マッサージしてもらい陣痛緩和
腰や背中などをマッサージしてもらうことも痛み逃しに効果があります。尾てい骨のあたりをぎゅっと押してもらうと、うまく力を抜いて痛みから気がそれます。マッサージをしてもらう際には、痛みのことばかり考えず、出来るだけ気持ちを他のことに集中させるようにしましょう。
陣痛の痛み逃しのコツとは?
痛み逃しに利用するもの、たとえばテニスボールやゴルフボールなどを用意しておくのはもちろんですが、いちばん重要なのは陣痛の痛みを不必要に怖がらないこと。痛みのことばかりを考えていると、体全体が緊張してしまい、呼吸が浅くなり、いきみを逃すことがうまく出来ません。
陣痛が始まったら出来るだけ気持ちを落ち着かせ、母親教室などで教わったことを今一度頭の中で反芻するようにしましょう。
怖いという気持ちが先走ってしまい、とにかく早く分娩を終わらせようと子宮口が全開する前にいきんでしまうと、分娩は長引くだけです。呼吸を正常に保ち、出来るだけ気持ちをリラックスさせることがスムーズなお産につながります。
怖がると余計に痛くなる?
陣痛はこんなに痛い!という体験談など、それを読んで「陣痛が怖い」「陣痛に耐えられる?」と不安に思ってしまうのも無理はありません。
もちろん陣痛は3kgの赤ちゃんをお腹の外に押し出すわけですから、それなりに痛くないと赤ちゃんが苦しくなってしまいます。
しかし陣痛が始まる前から怖いと思ってしまうと、そのこと自体がストレスとなってお母さんの体調に悪影響を与えます。お母さんの体調が崩れればダイレクトに赤ちゃんに影響しますから、なるべく陣痛をストレスに思わないことが大事です。
まとめ
陣痛の痛みに関して知っておきたいポイントをまとめてみました。陣痛の始まりから分娩まで、陣痛に関する確かな知識を備えておくと、陣痛の痛みと分娩に対する不安感が解消されます。痛みをむやみに怖がるのではなく、どうしたらうまく痛み逃しをすることが出来るかに集中するようにしましょう。