胎教についてはさまざまな意見があります。おなかにいるときから赤ちゃんに対する英才教育を授けたいと思う方もいれば、おなかの赤ちゃんとのコミュニケーションを深めたいと考える方、情緒豊かで感受性のある子供にしたいという方など、一言で胎教といってもさまざまな目的があり、それにより胎教を行う方法も違ってきます。
妊婦さんなら誰でも気になる胎教について、その目的効果、おすすめな方法は、いつから行うのか、効果など知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
胎教とは
胎教とは何か?に関してはさまざまな考え方があります。胎教(胎内教育)という言葉を聞くと、あたかもおなかの赤ちゃんの知能や感受性を高めるための教育を指すような気がしますが、本来胎教とは、妊婦さんが自分自身の精神状態を安定させ、これにより胎内の赤ちゃんに良い影響をもたらすことを意味します。
つまり妊婦さん自身の精神状態が安定して、リラックスしていると、その効果がおなかの赤ちゃんにもあるはずというのが胎教の基本的な考え方です。
胎教の目的とは?
胎教を行う目的に関してもいくつか異なる考え方があり、それによりどんな胎教を行うかも違ってきます。おなかにいるときから、いわば赤ちゃんに英才教育を授けたいと思う方もいれば、感受性豊かな赤ちゃんにすることが目的と考える方もいます。
胎教の目的はおなかの赤ちゃんの知能や才能を伸ばすことだけにはありません。赤ちゃんとの精神的な絆を築くことやコミュニケーションを図ることもまた胎教の目的の一つです。
おなかの赤ちゃんの感覚機能
おなかの赤ちゃんは成長するにしたがって、じょじょに感覚を身に付けていきます。とくに聴覚に関しては比比較的早い時期から発達し、20週目以降になるとお母さんの心音や血液の流れ、お母さんが話しかける声のくぐもった響きを感じ取れるようになります。
赤ちゃんの聴覚は以降どんどん増していき、8ヶ月目にはほぼ完全な状態になるといわれています。
聴覚以外の感覚に関しても、成長とともにどんどん発達していきますので、お母さんとの触れ合いによる影響は決して少なくありません。妊娠36週目になる頃には五感のうち視覚をのぞいた感覚がほぼ整います。
胎教はいつから?はじめる時期は?
胎教は妊娠何週目から始めるのが適当でしょうか?胎教を始めるのに適当な時期とは、通常妊娠5ヵ月目から7ヵ月目といわれています。
妊娠中期になり、妊婦さんの体調も安定してくるようになったら、おなかの赤ちゃんとコミュニケーションを取るつもりで、気分の落ち着く音楽や赤ちゃんに対して積極的に話しかけるようにしましょう。
胎教効果とは?
胎教による効果といわれるものを挙げてみると、生後夜泣きの少ない子供になる、情緒の安定した子供になる、胎児の脳の発達が進む、表情が豊かで感受性の高い子供になる、などを挙げることが出来ます。
ただしこれらはいずれも科学的に立証されたことではありません。現在のところ、胎教をしたかどうかで、生まれた赤ちゃんになんらかの差が出るかどうかは明らかではありません。
ただし胎教を行うことにより、胎内にいるときから、お母さんとの絆がより深く培われるのは確かなこと。おなかの赤ちゃんとコミュニケーションを養うつもりで行うようにすると、これからお母さんになるという自覚も目覚め、出産後の育児に対する心構えを自然に身につけられるようになります。
胎教には科学的根拠があるのか?
胎教に科学的根拠があるかどうかに関しても、さまざまな見解があります。胎教に積極的な意味合いを求める人たちは、胎教を行うことにより、赤ちゃんの情緒が安定し、育てやすい子供に育つということを主張します。また他にも胎教を行うと、安産になりやすいともいわれていますが、これらは科学的・医学的に証明されているわけではありません。
すでに述べたように、胎教とはおなかの赤ちゃんよりもむしろ、妊婦さん自身が快適に、そしてリラックスした気分で妊娠期間を過ごせるような方法を指すと心得ておきましょう。
胎教の種類は?おすすめな方法は?
胎教にはさまざまな方法があります。主なものとしては、音楽を聴く、おなかの赤ちゃんに話しかける、本の読み聞かせを行う、おなかを軽くタッチする、散歩やヨガを行う、胎教用のCDを聴くなどを挙げることが出来ます。
いずれも妊婦さん自身がリラックス出来るもので、気分が落ち着き、妊娠中のイライラを解消できることを行うようにしましょう。散歩やヨガ、体操を行うときには決して無理をしないよう、体に負担のかからない範囲で行うようにします。
音楽を聴く
胎教の中でも音楽を聴くことは、もっとも手軽で簡単にできるものになります。胎教にはクラシック音楽が適しているといわれていますが、その他にも環境音楽や胎教用に開発された音楽CDなどもあります。
胎教用音楽という特別なジャンルがあるわけではありません。自分にとって心地よい、リラックスが出来る音楽があればそれを聞くようにしましょう。
胎教用というとクラシックや環境音楽のような比較的静かなものを思い浮かべますが、アップテンポの音楽が必ずしも胎教に悪いということはありません。聞くだけで心拍数が上がるような大音量の曲を聴くことは避けるべきですが、それ以外にはとくにジャンルにこだわる必要はありません。妊娠中のイライラを解消できるようなものが最適です。
おなかをなでる
おなかをなでたり、タッチしたりすることも胎教の一つです。お母さんはもちろんのこと、これはお父さんにも参加してもらえる胎教になりますので、二人でこれから生まれてくる赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しめます。
出産後お父さんにも育児に積極的に参加してもらいたいのであれば、赤ちゃんがおなかにいるうちから、お父さんにも赤ちゃんとの精神的な絆を持ってもらうようにしましょう。おなかをなでる、という方法は簡単でありますが、おなかの触り方により、赤ちゃんには誰が触っているのか分かることがあるようです。
赤ちゃんに話しかける
五感の中でもっとも早くから発達するのが聴覚。おなかの赤ちゃんは子宮の中にいながら、自分に話しかけるお母さんの声の響きを感じ取れるといわれています。いまだ言語能力のない赤ちゃんですので、お母さんの話の内容がそのまま分かるわけではありませんが、不思議なことに、言葉を話せるようになってから、自分がおなかの中にいたときに、お母さんが話していた内容を事細かに話してくれる子供もいます。
これは科学では説明できない不思議なことで、すべての場合に当てはまるわけではありませんが、おなかの赤ちゃんに話しかけることにより、お母さんの気分も落ち着くというメリットがあります。一人前のお母さんとして出産後赤ちゃんのケアをきちんとするという心構えを養うことも出来ます。
本の読み聞かせ
本の読み聞かせも胎教の一つです。おなかの赤ちゃんに話しかけるといっても何をどのように話しかけたらいいか、ちょっと迷ってしまうお母さんにお勧めの方法です。おなかの赤ちゃんを相手に話しかけることが苦手な方は、かわりにぜひお気に入りの絵本を読み聞かせるようにしましょう。
胎教用に読み聞かせる絵本を選ぶ場合には、優しく心に響くもの、読後感がさわやかで分かりやすいものを選ぶようにしましょう。赤ちゃんは理解できないのだからと、適当にだらだら読むのはやめましょう。
おなかの中の赤ちゃんが成長したときのことを想像し、子供が理解しやすいように、ゆったりとしたリズムで一つ一つの単語をはっきり発音しながら、きれいに読み聞かせるようにしましょう。
胎教用の音楽CD
胎教用に市販されているCDにはさまざまな種類があります。胎教に良い音楽CDの典型はクラシックCDですが、他にもオルゴール曲や童謡、環境音楽、世界各地の民族音楽、ディズニーやジブリの音楽、ヒーリング用にアレンジされた曲など、さまざまなものがあります。
クラシックCDといってもその種類はさまざま、バッハやモーツアルトから、現代風にアレンジされたクラシックまで、好きなタイプのCDをお好みで選ぶようにしましょう。
胎教用のCDには音楽だけでなく、お話の読み聞かせCDもありますので、音楽CDと合わせてこちらも利用してみましょう。
様々な胎教グッズ
胎教グッズとしておなかの赤ちゃんの心音を聴くためのグッズや、赤ちゃんに朝晩聞かせるだけで済むという音声プレーヤーグッズなど、さまざまな製品が販売されています。
胎教CDや絵本などに加えて、このようなグッズを利用すると、妊娠生活もさらに楽しくなります。
美術鑑賞
自宅で音楽を聴くだけに飽きたら、美術館やアートホールでの美術鑑賞に出かけてみましょう。美術鑑賞もまた胎教に良いとされています。静かな環境の中で美術作品を鑑賞することにより、妊婦さんの情緒も落ち着き、適度に体を動かすことも出来ます。
美術館だけでなく、アート展や博物館などでも構いません。自分の興味のある展示を選び、人ごみの少ない時間帯を選び訪れるようにしましょう。
景色の良いところに出かける
景観の良いスポットに出かけるのも胎教に良いとされています。季節の花が見られる庭園や公園、緑溢れる自然公園など、お天気の良い日には散歩をかねて、景色の良いスポットを訪れるようにしましょう。
自然に触れることにより、自律神経のバランスが整えられ、妊娠中に多いイライラや倦怠感を癒すことが出来ます。体に負担をかけないよう、人ごみの多くなる曜日や時間帯は避け、ゆっくりと景色を楽しみ、リフレッシュするようにしましょう。
体操やヨガを行う
軽い体操やヨガを行うことも胎教の一つです。妊婦さんの運動不足はおなかの赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。よほど体調が悪くない限り、毎日少しずつ体を動かし、体重が増加しすぎないよう注意しましょう。
妊娠初期は安静にしているべきですが、安定期に入ったら、妊婦さんのために考えられた体操や軽いストレッチを取り入れ、運動不足に陥らないように努力します。
体操やストレッチ、ヨガを行うことで、妊婦さんの体調は整えられ、適度に体を動かすことで精神的なストレスを軽減することが出来ます。とくに妊娠後期に入ったら、出産に備えて妊婦運動を行うことが勧められています。激しい運動は避け、様子を見ながら休み休み運動するようにしましょう。
赤ちゃんとキックゲーム
おなかの赤ちゃんとのコミュニケーションを取る絶好の胎教が、キックゲームです。キックゲームのやり方とは、おなかの赤ちゃんが動いた場所をキックといいながら叩いて、そのあと赤ちゃんが同じ場所を蹴り返してくるのを待ちます。しばらく待っていると、赤ちゃんが再びおなかを蹴り返してきますので、そこで再びキックといいながらその場所を叩くようにします。
お母さんが叩いた場所と同じところを蹴り返すことが出来るようになったら、今度はお母さんの主導ではじめます。赤ちゃんが蹴ってきたところとは別の場所を叩き、赤ちゃんにその場所を蹴ってもらうようにしましょう。
最初は反応がないこともありますが、続けて行ううちに赤ちゃんからの反応も良くなり、お母さんと赤ちゃんの二人で行うゲームのようになります。
自分の思いを赤ちゃんとシェアする
自然や芸術作品、音楽や映画など、心に感銘を覚えるものを見聞きしたら、それについての感想を赤ちゃんに向けて話してみるようにしましょう。散歩の途中に見つけた野花や子供の笑顔、きれいだな、良かったなと思うことがあれば、その感情をそのまま言葉にして赤ちゃんに話しかけてみるようにしましょう。
心の中で思っていることを言葉にすることで、自分の情緒も育まれ、おなかの赤ちゃんに対しても良い刺激を与えることが出来ます。
胎教スクール
自宅で一人で胎教をするのも効果的ですが、受講式に胎教を行いたい方には胎教スクールがお勧めです。マタニティヨガ、ストレッチや体操、食事管理から、呼吸法の練習など、妊婦さんにとっては大切なプログラムが盛り込まれていますので、不安なことがあればいろいろ質問することも出来ます。
助産院や産婦人科やクリニックでも独自の胎教教室を開いている場合もあるので、予定が合えばぜひ積極的に参加してみましょう。
胎教で注意すべきポイント
胎教にお勧めの絵本や音楽などが沢山紹介されていますが、それでは反対に胎教で避けるべきポイントはあるのでしょうか。まずはあまりにもうるさい音や激しいライブ、コンサートの参加は、お母さんの心拍数が上がる原因となり赤ちゃんにはあまりよくありません。
近所が工事をしていて毎日うるさいというケースは多いですが、あまりにもストレスになるようならば、しばらく実家に滞在するのも良いでしょう。
また振動を与えるのも、お腹の中で寝ている時間の多い赤ちゃんにとっては無理やり起こされるようで嫌がります。胎教は、赤ちゃんが起きているタイミングをしっかり計って行うようにしましょう。
妊娠を楽しみ出会いを待ちましょう
胎教という言葉の響きから、胎教というとおなかの赤ちゃんへの早期教育とばかり考えてしまいがちですが、胎教の目的はこれだけに留まりません。
工夫を凝らした胎教を行うことにより、お母さんと赤ちゃんの絆は深まり、出産後の育児にスムーズに移行することが出来るでしょう。妊娠期間を気分よく、リラックスして過ごせるような胎教を実践してみましょう。
まとめ
妊婦さんもお父さんも胎教には興味があるものの、その効果ややり方などについていまひとつ悩んでしまうことが多いようです。
おなかの赤ちゃんへの英才教育なんて必要ないから、と胎教を行わないのではなく、赤ちゃんとのコミュニケーションを深める絶好のチャンスと捉え、気軽に胎教に取り組んでみましょう。