胎動はおなかの中の赤ちゃんの様子をうかがい知ることの出来る重要なサイン。胎動が感じられるようになると、お母さんやお父さんとおなかの赤ちゃんのコミュニケーションが成立します。
胎動は赤ちゃんとお母さんやお父さんをつなぐコミュニケーションというだけでなく、赤ちゃんに異常が発生していないかどうかを判断する材料にもなります。
妊娠後期の早産防止にも役立つといわれる胎動カウント。最近では産婦人科病院でも積極的に胎動カウントを導入するところも多く、とくに出産予定日が近づいてきた妊婦さんに対しては、胎動カウントを忘れずに行うように勧めています。
胎動カウントは正しい方法で行い、その上で毎日の記録を付けておくことが大切。胎動カウントの正しい方法とポイントを押さえ、毎日きちんと計測するようにしましょう。
胎動とは?
胎動とはおなかの中ですくすく成長している赤ちゃんが、手足を伸ばしたり、羊水の中で動いている動きが、お母さんの子宮の壁を通しておなかに感じられることを指します。
赤ちゃんはお母さんのおなかの中で規則的に眠ることと起きて動くことを繰り返していますので、胎動のリズムをカウントし、記録することにより、おなかの中の赤ちゃんの様子を把握することが可能です。
胎動とはどんな感じ?
胎動カウントを始めたばかりのお母さんは、どのような動きが胎動なのか、なかなかはっきりと把握できないことが多いといわれています。
最初の頃はそれが胎動とはまったく気が付かずに、おなかがなんとなくごろごろしている感じ、おなかの調子が悪くてぎゅっとしている感じ、としか捉えられない妊婦さんもいます。
初めての胎動は、それと気が付かないことも多いのですが、胎動を感じてもおかしくない時期になって、上に挙げたような動きを感じたら、胎動の可能性が高いと思って間違いないでしょう。
初めての胎動はどんな感じ方?
初めての胎動がどんなふうに感じられるかに関しては、個人差があり、胎動はこんな感じ、と断定することは出来ません。
腸がぴくぴく動く感じ、むにゅむにゅ、ぐにゅぐにゅ、もぞもぞする感じ、おなかがぎゅっとする感じ、ぽこぽことした小さな動き、びくびくした動き、腸が小刻みに動いているような感じ、おなかの中で空気が動いているような感じ、と初めての胎動の感じ方は人それぞれです。
あれ?と思うような動きがおなかのあたりに感じられたら、とりあえずじっと静かにして様子を見てみましょう。
胎動とは赤ちゃんの手足や体が子宮壁に触れ、その振動をお母さんが感じ取るもの。最初の頃は胎動の動きも小さく、静かな場所で、じっと動かずにいないと気づかないことが多いので、もしかして胎動かも?と思われる動きがあったら、絶対に見逃さないようにしましょう。
羊水の中で赤ちゃんの動き
羊水の中で赤ちゃんは寝ることと起きることを規則的に繰り返しています。寝ているときには赤ちゃんの動きは少なく、羊水の中で体勢をかえたり、身動きをするなどの小さな動きになりますが、起きているときには手足を大きく動かしたりと、大きな動きとして感じられます。
赤ちゃんの動きには個性がある
赤ちゃんの動きは一人一人の赤ちゃんによって異なります。羊水の中で活発に動く赤ちゃんもいれば、比較的静かにしている赤ちゃんもいて、胎動の強さ、頻度、感じ方は千差万別。胎動の強さ・弱さだけを元に、赤ちゃんの状態を判断することは出来ません。
胎動の感じ方には個人差があり、胎動が弱くても超音波検査や医師の診察でまったく問題ないとされることもあります。ただ自分では問題ないのかどうなのか、判断できないこともありますので、胎動に関して気になることがあれば、妊婦健診のときに医師や助産婦さんから詳しく説明を受けるようにしましょう。
胎動カウントを行うことの必要性
胎動は毎日定期的にカウントし、記録することにより、赤ちゃんの様子や状態を伺い知るひとつの判断材料になります。一回の胎動だけをもとに、元気がないのでは?と心配することは意味がありません。胎動が感じられないのは、赤ちゃんが静かに眠っているせいかも知れません。
胎動カウントは決まった時間に行い、毎日続けていくことが大切。毎日続けるうちに胎動の感じ方によって、赤ちゃんの寝起きのリズムも掴めるようになります。
胎動カウントは自分で行い記録するだけでなく、妊婦健診の際に持参するように医師や助産婦さんから指導されることもあります。正しいやり方でカウント・記録された胎動カウントは、おなかの赤ちゃんの状態を把握する立派な判断材料になります。胎動カウントの正しい方法を学び、毎日規則的にカウントし、記録するようにしましょう。
胎動が感じる時期は?いつから始める?
胎動が感じられるようになる時期は、妊婦さんによって異なります。早い方では妊娠第16週、17週目くらいから、遅い方では妊娠第22週目頃に胎動を感じ始めます。
標準的には、妊娠第20週目前後から胎動を感じる妊婦さんが多いので、胎動カウントを早く始めたい方はこの頃が目安になります。病院によっては出産予定の妊婦さんに対して、妊娠後期に入ったら胎動カウントを行うように勧めるところもあります。
胎動を感じ始める時期が異なる理由とは?
胎動を感じ始める時期と赤ちゃんの成長の度合いに関係があるのでは?と考える妊婦さんもいますが、胎動を感じる時期に早い・遅いの違いが生じるのは、妊婦さん自身の体質や体型、感じ方によるものが大きいといえるでしょう。
これはあくまでも傾向ですが、体格が良く、肥満気味の方よりも、痩せ型でおなかまわりに脂肪がついていない方のほうが胎動を早く感じることが多いようです。しかしこれはあくまでも傾向で、胎動の感じ方には、妊婦さんの体格だけでなく、振動に対する感受性も関わっています。
また妊娠週が早いうちは赤ちゃんの動きも少ないため、部屋の環境が静かで、妊婦さん自身が横になって静かにしていないと、胎動を感じられません。
胎動を感じ始める目安は妊娠20週目前後ですが、おなかの赤ちゃんになんの問題もないにも関わらず、妊娠22週目以降になってはじめて胎動を感じた、という妊婦さんもいますので、あまり心配する必要はありません。どうしても気になるときは、妊婦健診の際に医師に相談するようにしましょう。
正しい胎動カウント方法とは?10カウント法
胎動カウントは正しい行い方をしっかり覚えて行わないと意味がありません。またただカウントするだけでなく、きちんと毎回記録に残しておくことが重要です。胎動カウントを記録するのが面倒な方は、胎動カウントアプリを利用すると便利です。
毎日決まった時間に正しいやり方で行い、これをきちんと記録していく、これが胎動カウントの基本。面倒に感じられるかも知れませんが、妊娠後期の早産防止や赤ちゃんの急な異変を察知するのに、胎動カウントは役に立ちます。
もっとも一般的な胎動カウントの方法は、胎動を10回数える方法で、10カウント法と呼ばれています。正しい胎動カウントの方法を学んでおきましょう。
胎動カウントを行う時間帯
まずはいつ胎動をカウントするかを決めます。毎日同じ時間帯や条件で計測することが大切ですので、たとえば起床時や食事後、昼寝後、就寝前など、毎日続けることが可能な時間帯を選ぶようにします。
一日一回でも構いませんが、産婦人科病院によっては、朝晩一日2回の計測を勧めるところもあります。胎動カウントのチャートを持参するよう求められる場合には、胎動カウントを行う回数などについても確認するようにしましょう。
胎動を感じやすい体勢で
胎動を感じやすい体勢を取ります。一般的には体の片側を下にして横になったほうが胎動を感じやすいようですが、胎動を感じやすい体勢は一人一人違いますので、自分がもっとも胎動を感じやすい体勢を取るようにしましょう。
胎動カウントを行う時間帯になったら、気持ちを静かに落ち着かせ横になります。カウントしているときは集中して行なうようにしなければ、正確なカウントは計測できません。静かな場所を選び、気持ちをリラックスさせて行いましょう。
胎動の数え方
すでに述べたように、胎動カウントの一般的な方法とは、10回胎動を感じるまでにかかる時間を計測する方法を指します。しゃっくりのような小さな生理的動きは除外し、はっきり胎動と分かる動きを10回カウントし、何分間時間がかかるか計測します。
平均的には10回の胎動に10分から20分かかることが多いのですが、赤ちゃんが眠っているときなどは、もっと時間がかかってしまいます。胎動10回に30分程度かかる、という場合もあり、胎動の感じ方同様、個人差があります。
胎動10回に30分以上かかる場合や、普段よりも時間が多くかかってしまう場合は、時間を置いてもう一度計測するようにしましょう。
毎日カウントして記録する
胎動カウントはどんなに正確にカウントしても、一日のデータだけでは赤ちゃんの様子を判断する材料にはなりません。胎動カウントは毎日行い、平均値を求めることが重要です。カウントしたら、その都度きちんと記録しておきます。
記録に残すのは、日付、妊娠週・日、時刻、10回カウントするのにかかった時間など。この他にも、その日の体調や胎動の感じ方などについて記録しておくと、後ほど参考になります。
胎動カウントを記録する専用のチャート紙もありますので、これを利用するのも便利でしょう。記録用紙などに記入するのが面倒な方には、胎動カウントアプリをお勧めします。
いずれの方法で記録するにしても、継続してカウント・記録することが大切。出産予定の病院から胎動カウントのグラフの提出を求められている場合には、どんな項目を記録すべきか、確認してから始めるようにしましょう。
妊娠週によって違う赤ちゃんの動き
胎動は妊娠週が進むにつれて赤ちゃんは大きく成長していきますので、妊娠週が増えるほど胎動も大きく感じられるような気がしますが、これはちょっと違う場合もあります。
臨月に入り赤ちゃんがどんどん成長して大きくなると、羊水の中で動き回れる場所が減りますので、臨月になるとかえって胎動は小さく感じられることがあります。臨月でも胎動の感じ方が変わらない妊婦さんもいます。
またはじめて胎動を感じる時期は、赤ちゃんがまだそれほど成長していないために、羊水の中での動きも小さく、胎動の強さはそれほどでもありません。
一般的な傾向として、赤ちゃんの胎動がもっとも強く感じられるのは、安定期の後半です。
胎動カウントはいつまで続ける?
胎動カウントを頑張って毎日チェックしているけど、一体いつまで続ければいいの?と思う妊婦さんもいるでしょう。
臨月は胎動が少なくなるから必要ないのでは?と思ってしまうかもしれませんが、臨月の胎動はこれまでの胎動と異なるため少ないように思えますが、実際は分娩まで胎動が減るということはありません。ですから、胎動カウントは陣痛が始まる前まで続けてよいものです。
お腹の赤ちゃんの異常は無事に生まれてくるまでは、いつ変化するか誰にもわかりません。赤ちゃんの異常が分かるのは胎動の変化だけですから、臨月だからといって安心せず、毎日の胎動カウントを習慣にしてください。
異常を感じたときは病院に連絡を
胎動の感じ方は人それぞれ。胎動の強さ・弱さは、妊婦さんの体質や感受性、そしておなかの赤ちゃんの個性ともいうべきものにより異なります。一度の胎動カウントをもとに、おなかの赤ちゃんの異変を察知したり、成長の度合いを判断するのは出来ません。
胎動カウントを継続して行うのはこのため。毎日繰り返しカウントを行うことにより、平均値が割り出されますので、万が一この平均値からあまりにもかけ離れた数字が出る場合には、すぐに病院に連絡するようにしましょう。以下に挙げるようなことがあれば、軽く考えずに病院に連絡して、指示を仰ぐようにしてください。
1、10カウントに60分以上かかるとき
2、一度目の計測で30分以上かかり、その後時間を置いて再びカウントした際にも30分以上かかったとき
3、それまでは感じていた胎動をまったく感じなくなったとき
4、いつもとは明らかに違う、異常な動きを感じるとき
5、普段感じる胎動よりも、明らかに弱い胎動を感じるとき
まとめ
赤ちゃんの胎動や胎動カウントの方法について詳しくご紹介しました。おなかの赤ちゃんの胎動を感じられるようになると、愛おしさも格別。胎動をはっきりと感じるようになると、お母さんだけでなく、お父さんも参加して、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しむことが出来ます。
おなかの赤ちゃんとのコミュニケーションというだけでなく、胎動カウントは赤ちゃんの異変を察知するための有効な方法のひとつ。毎日正確に胎動をカウントすることにより、赤ちゃんに異常な点が生じた際にもすばやく病院と連絡を取ることが可能になります。
胎動を感じはじめる時期には個人差があり、早い方では妊娠5ヶ月くらいから感じ始めます。妊娠初期のつわりが落ち着いてきたら、胎動カウントの正しい方法を知っておくようにしましょう。