妊娠が発覚して、妊娠初期の状態でただ横になっていればOKという妊婦の方はごくわずかです。ほとんどの妊婦の方が妊娠中に仕事や買い物に出かけることでしょう。
自宅が最寄り駅から離れていたり、交通手段が限られていたりする場所の場合、車でのお出かけは必須となります。ただ、妊娠中に運転することに不安を感じる妊婦の方も多いのではないでしょうか。
そこで、妊娠初期や妊娠中の妊婦さんが運転するときに注意すべき点、いつまでいいの?などの知っておきたいことを紹介いたします。
妊婦が運転する車の事故トラブル
妊娠中の女性が運転する車の事故は、妊娠していない女性が運転するよりも多い傾向があります。
車の運転中は、信号・標識・人・前の車と確認しなければならない事が山ほどありますが、妊娠初期のつわりや妊娠中期のお腹の成長・妊娠後期の出産間近の状態では、集中力や注意力が続きにくいためフッと気が緩む瞬間が多くなり、事故につながりやすいのだと考えられています。
また、お腹で下半身を圧迫するわけですから、その重さで足が痺れたり痛みを感じて思うように動かず事故の原因となるケースも見られます。妊娠が発覚してからは、いつも以上に車の運転に注意する必要があります。
いつまで運転していいの? 時期は?
妊婦が運転を避けるべき時期は基本的に、妊娠中に運転してはいけないという期間はありません。しかし妊婦の体調や状態によっては避けたほうが良いこともあるでしょう。
妊娠初期~安定期
特に気をつけたいのが妊娠初期です。妊娠初期はつわりや体調が不安定になりやすいため、運転中に気分が悪くなる確率が高く、安全面において不安要素が高まります。
また、安定期に入る前なので、運転による振動が悪影響を及ぼすこともあるでしょう。きちんと舗装された道ならそこまで激しい振動が起きることはありませんが、デコボコとした道が多い場合、身体を激しく揺さぶっていることと同じになります。
妊娠初期の頃は流産する確率が高いため、刺激はできるだけ控えたほうがよいでしょう。
妊娠後期は注意が必要
妊娠後期のお腹が大きくなってくる時期も、運転は注意すべきです。お腹が大きいことから運転がしづらく、ハンドル操作が乱れてしまう可能性があるからです。
数ヶ月前はスイスイ行えていた車線変更も、お腹が大きくなると途端に動作が鈍くなることもあります。また、車線変更時の周囲確認も、お腹が大きいことで身体がねじりにくく、顔を動かせる範囲だけでの確認になってしまうため、危険性がより高まってしまうと言えるでしょう。このことからも、お腹が大きくなってきた妊娠後期の運転は注意するべきです。
なるべく二人で運転
妊娠後期特に妊娠37週目からは正期産に入るので、いつ陣痛や破水が起きてもおかしくありません。妊娠後期はなるべく1人で乗るのを避けて、パートナーや実家の誰か・友人に同乗してもらいましょう。
出産の兆候があっても自分で何とかできるという方もいますが、その痛みや始まり方は個人差があって、突然今までに無い痛みが来れば1人では対処のしようがありません。
また、同乗者がいれば運転して少し疲れたと思えばすぐ交代できるので、身体に負担を強いる事も少なくなります。どうしても1人で運転しなければならない場合は、行き先や帰宅予定時間を告げておき、すぐ連絡が取れるように準備をしてから出かけましょう。
臨月は運転をしない
出産も間近に迫った臨月は、妊婦さんはできるだけ運転を避けたほうが良いでしょう。臨月に入れば、いつ生まれてもおかしくない状況になります。
出産予定日より早く生まれるケースはたくさんありますので、いつ産気づくか分かりません。運転中に急に陣痛が起きてしまうと、パニックになってしまうことも考えられますので、臨月は運転を変わってもらうか、車に乗らないようにしましょう。
もちろん、産気づいた時に自分で運転して病院へ行こうとすることは絶対にやめましょう。
その他運転しないほうがいいケース
妊婦の体調によっては、車で行かなければならない用事があるとしても運転を中止した方が良い場合もあります。妊娠初期ならつわりで気分が優れず、気持ちが悪い事へ意識が向いてしまうと運転中も集中できず、また急に吐き気を覚えた場合はハンドル操作を誤る可能性が出てきます。
それから妊娠中期・後期にかけては貧血や異常な眠気が原因で、めまいがしたりどんな方法で頑張っても眠さを抑えきれない場合はすぐに車を止めて休憩し、もしそれが車に乗る前に起きたのなら用事は諦めて安静にしていましょう。
用事が中止になるのは残念かもしれませんが、お母さんが無理をしたせいで母体と胎児に悪影響が出るのだけは避けたいですね。
仕事で車を運転している場合は
産休まで仕事を頑張る方も多いですが、その中には車を運転する仕事内容の方がいます。妊娠が発覚した場合はすぐに上司に相談しましょう。
お腹が大きくなれば周囲も気を使いますが、まだまだお腹の目立たない段階では通常通りの仕事を与えても問題ないと考える年配の男性は多く、妊娠初期の大事さを理解できない事がほとんどです。
妊娠している従業員に配慮するのは事業主の義務ですから、きちんと伝えるようにしましょう。自分の口からだけでは難しい場合は、医師から診断書や母性健康管理指導事項連絡カードを作成してもらい、それを提出する方法もあります。
気分転換に運転
妊婦が運転するときは、さまざまな注意点があります。しかし、体調が良い時なら一人で運転してリフレッシュすることもできるでしょう。
運転して変わっていく景色を眺めるだけでも良い気分転換になります。また、窓を開けて風に当たることでも気分が爽快になってくるでしょう。
さらに、電車でいけないエリアに行けるので、好きな時間に好きな分だけ滞在することができます。買い物をしても重い荷物を運ぶ時間が短くなるのでいい事づくしなのです。
妊娠中の運転の注意事項
妊娠中の妊婦さんが運転するときは、まず体調の変化に気をつけるようにしましょう。妊娠中は自分でも予期しないタイミングで体調が変わっていきます。
妊娠初期の頃だとつわりがひどかったり、めまいが起きてしまったりと、突然の変化に戸惑うことも多いでしょう。当たり前のことではありますが、体調が優れない時には運転しないようにしてください。過信して運転してしまうと、思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性が出てきます。
注意散漫や眠気に注意
妊娠中に運転するときは、制限速度を守っていつもより慎重に運転することを心がけましょう。妊娠中の妊婦の身体は、ホルモンバランスが常に変化しているため、とっさの判断が鈍る可能性があります。
また、いつもなら難なく行っていた車線変更もたくさんの確認作業があることから注意散漫になりがちです。また、運転中に急に眠気が襲ってくることもあります。ふっと意識が遠のいたり、眠気を感じたりしたら一旦停車して落ち着かせるようにしましょう。
足元が見えずに運転を誤る可能性も
お腹が本格的に大きくなり始めるのは安定期からですが、妊娠7ヶ月にもなると大きくなったお腹で、立っている時はもちろんですが、座り方によっては座った時でも見えなくなる場合があります。
普通の椅子やソファに比べれば運転席の高さはそれほどでもなく、車の種類によってはきちんと高さを合わせたとしても足元がお腹に隠れてしまう事も。隠れてしまえば今まで目視できていたブレーキやアクセルが見えなくなり、とっさの運転を迫られた時には間違えて踏んでしまう事も考えられます。
妊娠していない時ならありえない間違いも、妊娠中の集中力不足や注意散漫が原因となって起こりやすくなるのです。
時間に余裕を持って行動する
妊娠中の妊婦さんが運転して出かけるときは、時間に余裕を持ってスケジュールを組むようにしましょう。
時間がないと体調不良を感じても一旦停車しなかったり、スピードを出して危険な運転をしたりしてしまう可能性が出てくるからです。時間に余裕があることで、気持ちにも余裕が生まれてきますので、体調不良も起きにくくなります。
長時間の運転は控える
妊娠中の妊婦さんは、基本的に運転しても大丈夫です。しかし、長時間運転し続けることは避けるようにしましょう。
長時間運転をし続けると同じ姿勢でいる時間が長くなるため、腰痛や腹痛を引き起こす可能性があります。また、足がむくみやすい人の場合、同じ姿勢が続くことで下半身がうっ血しやすくなるので注意しましょう。
また、思っている以上に運転に気を使うため疲れやすくなります。慣れているつもりの長距離移動も辛くなってしまう可能性もあるので、移動の範囲を縮小したり、運転を変わってもらったりするなど工夫をするようにしましょう。
安全グッズを携帯する
妊娠中に運転するなら、必ず母子手帳と携帯電話は準備しておくようにしましょう。万が一の事態が起きた時にすぐに対処することができるからです。
運転中に体調が悪くなり、帰宅できなくなってしまった場合も、携帯電話があればすぐに家族や友人に連絡して迎えに来てもらうことができます。
また、出先で体調不良に見舞われた時も、母子手帳があれば経過がひと目で分かるため、初めての病院でも適切に対応することができます。
できるだけ避けた方が良い道路とは?
妊娠中は、運転しても良い道路とできれば避けた方が良い道路があります。例えば妊娠中に良く知っている道を走るのならば問題ありませんが、全く知らない道や歩行者・自転車が入り乱れている混んだ道は避けた方がよいのは分かります。
知らない道を通るには普段よりも注意して標識や道の様子を確認しなければなりませんし、混んだ道ではそれ以上に左右を注視する必要があるので、余計な疲れを溜めてしまいお腹が張ったり気持ち悪くなったりでお母さんと赤ちゃんにとって良い事はありません。
またもし何かあった時に一時停止できない高速道路に乗るのも、避けた方がよいでしょう。
シートベルトの着用について
お腹が大きくなってくると、妊婦さんのお腹がハンドルにつっかえてしまうことがあります。運転しづらくなってしまいますので、座席位置を調整して運転しやすい位置を探りましょう。
また、お腹が大きくなってくると困るのがシートベルトです。お腹に直接かかるように締めてしまうと圧迫してしまうため、腰骨あたりを中心にお腹の膨らみを避けるように付けてください。
肩からかける部分も、胸の間を通し、お腹の出っ張りを避けるようにして付けると圧迫感が和らぎます。万が一衝突してしまった時も、このシートベルトの掛け方ならお腹にダイレクトに衝撃が伝わることはないでしょう。
マタニティ専用のシートベルト
車の運転が欠かせない妊婦さんなら、マタニティ専用のシートベルトを購入するのもよいでしょう。下半身を中心に装着できるのでお腹に圧迫感が及ぶことはありません。
クッションタイプのものなら、邪魔になりにくいので気軽に導入することができます。
運転しない場合で車に乗る場合
妊婦さんが運転しないという場合は、座る位置も工夫しましょう。おすすめは後部座席です。後部座席ならスペースが広いので、お腹が苦しくなったらすぐに横になることができます。
運転手との会話も楽しみたいという方は、助手席を倒してフラットシートにしておくのもよいでしょう。運転しない場合も長時間車に乗り続けることは妊婦にとって身体の負担となります。こまめに休憩を入れながら、目的地までゆっくり行くようにしましょう。
まとめ
妊娠中の妊婦と運転するときに知っておきたいことをご紹介しました。妊娠初期の頃は安定していないので体調不良や流産など気をつけるべき点はたくさんあります。
また臨月にはいつ生まれても不思議ではないので、ギリギリまで運転することの無いようにしましょう。時期に限らず妊婦の身体には突然変化が訪れるものだと自覚し、体調面に気をつけ、安全運転を守り、毎日のカーライフを楽しんでいきましょう。