妊娠中にくしゃみが出るときに知っておきたいこと

妊娠中にくしゃみが出るときに知っておきたいこと 妊娠中

妊娠中はつわり・切迫流産・切迫早産など、大きなトラブルばかりに目がうばわれがちですが、実際は「こんなこと他の妊婦さんにも起こるの?」と感じてしまうような、マイナートラブルが増加します。

その中でもひそかに心配になってしまうのが、妊娠中のくしゃみ。妊娠するとくしゃみが増えるという妊婦さんは多いのですが、腹圧がかかるだけに赤ちゃんに何か影響が出てしまうのでは、と心配になってしまう方もいらっしゃるでしょう。

そこで、妊娠中のくしゃみはなぜ起きるのか・赤ちゃんへの影響・どうしたら減らせるか、等々詳しくご紹介します。マイナートラブルを一つでも減らして、妊娠生活を楽しく過ごしていきましょう。

妊娠中くしゃみが起きやすい原因

妊娠中くしゃみが起きやすい原因

妊娠が分かったら急にくしゃみが増えて困っている妊婦さんも多いと思われますが、実は妊娠中の体の変化によるものが大きいのです。

免疫力の低下

免疫力の低下

受精卵が着床すると、まずお母さんの体は体内にある異物を排除しないように免疫力を低下させます。

お母さんの免疫力を低下させる働きはお腹の赤ちゃんが順調に成長していくためには必要不可欠なシステムなのですが、その代わりに普段なら全く問題にならないアレルギー物質やウイルスに敏感に反応を示すようになってしまうのです。そこで、体の防御反応としてくしゃみが増えるようになります。

自律神経の変化

自律神経の変化

妊娠すると、妊娠状態を維持するための女性ホルモンや、胎盤を形成するためのhCGホルモン分泌量が短期間に増加します。

実はホルモン分泌を司る視床下部は、血圧や体温調節機能に関係している自律神経をも司っているため、妊娠中の急激なホルモン変化によって自律神経も影響を受けやすくなります。

ホルモン分泌の影響で自律神経が乱れると、寒い室外から暖かい室内へ入った時など、寒暖差によってもくしゃみが出やすくなるのです。

妊娠超初期~初期にくしゃみで妊娠がわかることも

くしゃみで妊娠がわかることも

まだ妊娠検査薬が使えない時期に、普段の生理前の症状と何かが違うと感じて妊娠超初期症状に気づく方がいらっしゃいます。

普段の生理前よりも強い眠気やだるさ・熱っぽさ・おりもの増加などの症状が挙げられますが、その他にもアレルギーじゃないのに急にくしゃみや鼻水が増えたことで、妊娠に気づく方もいるようです。

もちろん個人差が大きいため一概に当てはまるわけではありませんが、妊娠を期待している方は、普段から自分の体調をよくチェックしておくと良いかもしれません。

くしゃみによる赤ちゃんの影響は

くしゃみによる赤ちゃんの影響は

妊娠中はくしゃみが出やすい状態であるということは分かっても、あまりにも頻繁にくしゃみが続くと赤ちゃんは大丈夫なの?と心配になってしまいます。

赤ちゃんは筋肉で出来た子宮と羊水・子宮内膜に守られていますから、お母さんのくしゃみくらいでは全く影響を受けないといって良いでしょう。

しかしお母さんの状態によっては、くしゃみに気をつけたほうが良い場合もあります。そこで、気になる赤ちゃんへの影響を見ていきましょう。

[噂]流産につながる?

[噂]流産につながる?

免疫力の低下やホルモン変化の影響で、妊娠初期はくしゃみが増えやすくなります。妊娠初期は全妊娠中で最も流産が多い時期に当てはまりますから、こんなにくしゃみばかりしていると流産してしまうのでは、と心配する妊婦さんが多いのも頷けます。

しかし、流産とは受精卵に異常がありそれ以上成長できない状態を指しますから、くしゃみなど外側からの影響によって流産が引き起こされることはありません。

お腹の張りが悪化する?

お腹の張りが悪化する?

妊娠後期や臨月に入ると、出産への準備が少しずつ始まります。赤ちゃんを体外へ押し出す練習として子宮が収縮し、お腹の張りを感じ始める時期ですが、こんな時にくしゃみが頻繁に出ると、お腹の張りと重なって強い痛みを感じる妊婦さんもいらっしゃるでしょう。

しかし、その場合一時的なもので、しばらくすると治まります。辛い時は無理をせず横になって、痛い部分をさすると緊張が和らぐでしょう。そんな時、赤ちゃんに話しかけながらだと、気持ちもリラックスできるかもしれませんね。

安静を指示された方は注意して

安静を指示された方は注意して

妊娠中のくしゃみが赤ちゃんに影響することはないと述べましたが、実は注意すべき妊婦さんもいらっしゃいます。安定期に入ると赤ちゃんはどんどん成長していきますが、その重さに出産まで閉じているはずの子宮頸管が短くなってしまうことがあります。

その場合、子宮頸管を縛る手術をしたり入院安静を指示することで流産・早産を避けられます。しかし、そこでくしゃみや咳など余計な腹圧がかかってしまうと、その効果を得られない可能性が出てきます。もし、安静を指示されていてもくしゃみや咳が続く場合は、担当医に相談してみましょう。

くしゃみによるお母さんへの影響は

くしゃみによるお母さんへの影響は

妊娠中のくしゃみは赤ちゃんへほとんど影響しないことが分かって、お母さんは一安心かもしれません。

しかし、妊娠中の体の変化によってお母さんへの影響が出てくることがあります。妊娠中のくしゃみはマイナートラブルの原因の一つにもなっていますから、出来るなら上手く対応していきたいものです。

尿漏れする場合も

尿漏れする場合も

妊娠中は大きくなる赤ちゃんと子宮を支えるために、骨盤底筋群が大きく伸びます。骨盤底筋群には尿道や膣の筋肉が含まれているため、筋肉が伸びて薄くなると動きが鈍くなり、尿漏れしやすくなります。

加えて、妊娠中は大きくなった子宮に膀胱を圧迫されて頻尿になりやすいのも、尿漏れするもう一つの原因です。このように多くの妊婦さんが悩む尿漏れですが、くしゃみは腹圧をかけるために尿漏れを悪化させやすいのです。

破水してしまうか心配?

破水してしまうか心配?

臨月に入っていつ陣痛が起きてもおかしくない時期にくしゃみが続くと、大きくなったお腹に響きやすくなります。いつ生まれてもおかしくない時期と腹圧の痛み・お腹の張りの痛みが重なって、もしかしたら破水してしまうのではと心配される妊婦さんも、この時期少なくありません。

しかし、破水は通常陣痛が始まりその刺激によって起こるものですから、くしゃみ自体がきっかけで破水することはないと考えて良いでしょう。

もちろん、陣痛が始まる前に破水が始まってしまうこともありますが、それでもくしゃみが直接原因となることはありません。くしゃみに対してあまり不安に考えず、出産準備を進めていきましょう。

くしゃみで痛い時の対処法

くしゃみで痛い時の対処法

妊娠中は赤ちゃんに優先的に栄養が回るため、免疫力だけでなく体力も低下しやすくなります。

いつもなら何ともないくしゃみですが、体力や筋力が低下している妊娠中は体のあちこちに影響して痛みが出やすくなります。そこで、くしゃみをして体が痛くなった時の対処法をご紹介します。

くしゃみをすると胸・わき腹が痛い

くしゃみをすると胸・わき腹が痛い

子宮が大きくなってくると周りの臓器を押し上げ、肋骨を内側から押すようになります。そこでくしゃみをすると肋骨を走る神経が刺激を受けて、わき腹・胸・背中・横隔膜にかけて痛みを感じる肋骨神経痛が起こりやすくなり、痛くてまっすぐの姿勢を保てない・息苦しい・寝返りすると痛いといった症状が現れます。

妊娠中の鎮痛剤や湿布の使用は控えたほうがよいため、対処法としてはアイスパックなどで痛む箇所を冷やす程度しかなく、数日に渡って痛みが続く方もいるようです。

肋骨神経痛は急に動かした時に起こりやすいので、普段から上半身のストレッチなどをすると、くしゃみをしても痛みを抑えることが出来るでしょう。これから出産に向けて体力が必要になってきますから、出産準備も兼ねて始めてみてはいかがでしょうか。

くしゃみをすると腰が痛い

くしゃみをすると腰が痛い

妊娠中お腹が大きくなってくると、どうしても背中を反らした姿勢をとってしまいます。この姿勢が日常だと背中や腰に負担がかかってしまうので、ある日くしゃみをした瞬間にぎっくり腰になってしまうことも少なくありません。

また、くしゃみをするとお腹の張りを抑えようと自然と前かがみの姿勢になりますが、その姿勢だとくしゃみの反動が腰や背骨に来るため、腰を痛めがち。くしゃみが出そうな時は何かに掴まるか胸を張るような姿勢をとって、なるべく腰に力を集中させないようにしましょう。

また、すでに腰痛のある方は腹帯や骨盤ベルトで腰周りを固定すると腰痛が楽になります。骨盤ベルトはお腹の下に巻き、下から支えるような形にするのがポイントです。

くしゃみをすると足の付け根が痛い

くしゃみをすると足の付け根が痛い

妊娠中期に入ると、くしゃみをした時に子宮から足の付け根がピーンと張ったようになって強い痛みを感じる妊婦さんが増えます。

これは子宮を支えている円靭帯という靭帯が、子宮の伸びによって引っ張られる時に現れる痛みで、円靭帯痛と呼ぶこともあります。

子宮が大きく伸びる時期に出やすいため妊娠中に根本的な解決は出来ないのですが、円靭帯を急に引っ張らないようにゆっくり動く・痛むほうを下にして横になるなどの方法で痛みを緩和できます。ただし、痛みが酷くなる時や下腹部全体が痛むような時は切迫早産・切迫流産の可能性も無視できませんので、辛い時は病院を受診してください。

くしゃみの対処法、予防法

くしゃみの対処法、予防法

妊娠するとくしゃみが増えるのは理解できても、そのままにしておけばストレスや不安の原因となってしまうかもしれません。

少しでもくしゃみをどうにかしたいですが、なるべく薬に頼らず自然に減らしたいですよね。そこで、毎日できるくしゃみの対処法を見ていきましょう。くしゃみを減らすことは妊娠中の健康的な生活にもつながりますので、ぜひ試してみてください。

ウイルスなど感染を防ぐ

ウイルスなど感染を防ぐ

妊娠中は免疫力が低下しているので、すぐ感染しやすくなります。鼻はウイルスやアレルギー物質が入ってくる部分ですから、そこをしっかりガードすればくしゃみを抑えることが出来るでしょう。

まず最も簡単なのが、マスクです。くしゃみが気になる方は、風邪や花粉症の季節に関わらずマスクをするようにしましょう。

また、くしゃみをしている方がマスクをしていれば、感染源と思われることを避けられるでしょう。性能のよいマスクがたくさん市販されていますので、自分の体調に合ったものを選んでください。

免疫力アップのバランスの良い食事を

免疫力アップのバランスの良い食事を

もともと体型の細い方や体力の少ない方が妊娠すると、びっくりするほど体調が落ちることも多いのです。

そうなると感染しやすく、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても大変な妊娠生活になってしまうでしょう。そのような状態に当てはまる方は、ぜひ食事内容で免疫力アップを狙ってください。

ビタミンやミネラルはもちろんですが、たんぱく質や炭水化物・脂質も体の機能を高めるためには必要不可欠な栄養分です。体重管理もありますからバランスが難しいところかもしれませんが、くしゃみが続く方は普段の食事を再チェックしてみてはいかがでしょうか。

適度な運動で体力アップ

適度な運動で体力アップ

妊娠中期に入ると、体調に問題のない方はどんどん動くように指導されます。この時期から運動を習慣にしておくと、体重コントロールや出産時の体力の備えができるなどメリットが多いのですが、その他にも運動で血流がアップするため、免疫力が上がりくしゃみを減らせるという効果も期待できます。

ウォーキングが億劫という場合は、室内でのストレッチやスクワットでもOK。特にスクワットは出産に必要な筋肉や骨盤底筋を鍛えるので、安産効果だけでなくくしゃみによる尿漏れも防いでくれるでしょう。

部屋の環境を整える

部屋の環境を整える

室内にいてくしゃみが減らない場合は、これまで問題のなかったハウスダストやアレルギー物質が残っている可能性があります。掃除機だけでは取りきれませんので、しっかり水拭きをして室内にくしゃみの原因を作らないようにしましょう。空気清浄機などもいいかもしれません。

また、妊娠中は免疫力が落ちて感染しやすいというだけでなく、ホルモン分泌の変化によって自律神経に影響し、温度の差や光の加減でくしゃみが出ることがあります。

温度差の激しい時や朝だけくしゃみが連発するという方は、空調やカーテンを上手く使って自律神経を刺激しすぎないことも大事です。

軽減できるくしゃみの仕方とは

軽減できるくしゃみの仕方とは

色々対策をとっても、くしゃみが出てしまうのは仕方のないこと。そこで無理に抑えようとすると余計に辛くなってしまいますから、さっさとくしゃみをしてしまった方が楽です。

ただしくしゃみをする時は手すりや家具につかまりましょう。くしゃみをする時に手に力が入るので、くしゃみの衝撃をお腹以外に分散させることができます。もし周りに何もない時は、体を少し丸めて腹圧がかからないような姿勢になってからくしゃみするようにしましょう。

症状が気になるときは担当医に相談

症状が気になるときは担当医に相談

妊娠中に花粉症やアレルギー性鼻炎を発症する方も多いのですが、薬は使えないからと我慢してしまい悪化するというケースも少なくありません。

くしゃみに加えて、鼻水が止まらない・鼻づまり・目がかゆいといった症状が現れたときは我慢せず担当医に相談してください。症状によっては妊娠中でも使える薬を処方してくれますので、特に仕事を続けている方には安心かもしれません。

まとめ

妊娠すると、免疫力の低下やホルモン分泌の変化による自律神経への影響でくしゃみが出やすくなります。くしゃみはお腹に響きますから赤ちゃんへの影響が心配になりますが、流産・早産の直接的な原因にはなりませんので安心してください。

ただ、くしゃみはお母さんの尿漏れなどマイナートラブルを引き起こす原因となりえます。妊婦さんのくしゃみ改善には環境や食事内容など多方面からのアプローチが必要となってきますから、産後の生活も見据えて一度チェックしなおすのも良いかもしれません。

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