少子化が進む現代社会。一人の女性が生涯に経験する出産の回数は、昔に比べると減少しています。現在日本では出産は、生涯に数回しか経験することのない貴重な体験と言えるでしょう。
大切な赤ちゃんとの感動的な対面「出産」。貴重な体験だからこそ、出来るだけ自分の希望するやり方で行いたい、と考えるのは、妊婦さんの自然な思いではないでしょうか?
バースプランとは自分が希望する出産の形を書き記したもの。陣痛に始まり、分娩方法や出産後の授乳方法まで、出産に関することすべてに関して、自分の希望をあらかじめ産婦人科医や助産婦さんに伝えておくことを指します。
バースプランを書きだすことにより、出産に関する具体的なイメージが沸いてきます!バースプランの書き方を学び、悔いの残らない出産を目指しましょう。バースプランについて知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
バースプランとは?
バースプランは出産に関する計画を意味します。分娩の形が多様化する中、出産に関する妊婦さんの要望を積極的に受けいれる産院の数も増加しています。バースプランのメリットは、あらかじめ提出することにより、分娩および分娩後の入院生活に対する希望を詳しく伝えることが出来ること。
バースプランを提出することで、医師および助産婦さんとのコミュニケーションも円滑になります。バースプラン全般について具体的にみていきましょう。
病院によって違うバースプランの受け付け方
バースプランとは、どのような形で分娩を行いたいかを妊婦さん自身の言葉で書き記すものです。基本的には自由に自分の希望を書けばいい、ということになりますが、まずは出産予定の病院がどのような形でバースプランを受け付けているかを調べるようにしましょう。
バースプランの受け付け方はさまざま
病院によっては所定のバースプラン書式を用意していて、妊婦さんはそれに記入するだけ、というところもありますが、多くの病院では妊婦さんに自由に希望を書いてもらう形を取っています。
所定の書式がある場合でも、質問項目とは別に自分の希望を自由に書く欄が設けられていることがあります。いずれにしても、自分の言葉で分娩や授乳に関する希望を書かなければなりませんので、妊娠後期に入ったら、どのような形で分娩したいか、きちんと考えておくようにしましょう。
また病院によっては、妊婦さんからの希望があった場合に限り、バースプランを受け取っているところもありますので、自分の希望に沿った分娩がしたい方は、バースプランの提出の仕方について事前に相談しておくことが必要です。
バースプランの書き方や内容について
ではバースプランでは、どのような内容について記入すればいいのでしょうか?病院側で書式を用意してくれているところは比較的楽ですが、妊婦さんが自分で自由に記入する場合には、どのような内容にしたらいいのか、迷ってしまいます。
自分の希望を自由に書いたとしても、ポイントがきちんと押さえられていないと、うまく対応してもらえないこともあります。バースプランを書く際のポイントについて押さえておきましょう。
上手なバースプランの書き方はポイントを絞ってまとめること。分娩に関することと、赤ちゃんのケアに関することを分けて考えるようにすると書きやすくなります。
出産日について
出産予定日は決まっているものの、これはあくまでも目安。陣痛がいつ始まるかは、そのときにならないと誰にも確定的に予測できません。
妊婦さんの中には家族や仕事の都合により、前もって日にちを決めて計画出産したい方もいれば、自然に陣痛が来るまで出来るだけ待ちたい方もいるでしょう。自然に陣痛が来るまで待つか、それとも計画出産を行いたいかについては、必ず言及するようにしましょう。
無痛分娩や和痛分娩を希望するかどうか
痛みに弱い方や体力的に自信のない方は、分娩の痛みを和らげるため、無痛分娩や和痛分娩と呼ばれる方法を選ぶことが出来ます。無痛分娩は硬膜外麻酔という方法で行われ、全身麻酔ではありませんが、痛みを効果的に和らげてくれます。
経膣出産?帝王切開手術による出産?
帝王切開手術による出産は、医学的な必要があったときに行われる方法ですが、妊婦さん自身がなんらかの理由により帝王切開手術を希望することも考えられます。
これとは反対に、母体と赤ちゃんにリスクが及ばない限り、出来る限り経膣出産を行いたい方も、その旨伝えるようにしましょう。
分娩を行う場所について
入院部屋についてリクエストがあれば、それもバースプランに書き出すようにしましょう。
最新の設備を備えた産婦人科病院では、陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、そして出産後の回復(Recovery)を同じ部屋で行うことの出来るLDR室が設けられています。
LDR室は費用は若干割高になりますが、その分個室で寛ぐことが出来ることと、分娩室に移動する必要がないため、お母さんの精神的な負担も軽減されます。
夫や家族の立会いを望むかどうか
立会い出産を望んでいるかどうか、もし望んでいるならば、どなたの立会いを望んでいるかを伝えることも必要です。立会い出産が可能な病院は増加傾向にありますが、あらかじめ誰が立ち会うのか伝えておかなければなりません。
基本的に立会いはご主人だけ、という病院もあれば、上のお子さんやご家族も可能というところもありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
立会い出産とは反対に、分娩が終わり、完全に処置が済むまでは家族に入室してもらいたくない、という希望を持つ方もいるでしょう。立会い出産希望だけでなく、このようなリクエストをすることも可能です。
陣痛の際にしてもらいたいこと
陣痛の際にやってもらいたいことがあれば、それも合わせて書きだすようにしましょう。最近人気なのがアロマトリートメント。痛みを和らげ、神経を鎮めてくれるハーブを使い、陣痛の痛みを緩和してもらえます。
他にも呼吸法を誘導してもらいたい、自由な体勢で陣痛を乗り越えたい、陣痛のときからご主人に立ち会ってもらいたいなど、陣痛の際にしたいことの希望もバースプランに書くことが出来ます。
会陰切開について
会陰切開とは、赤ちゃんが出てくるときに会陰部が裂傷してしまうことを防ぐために、会陰部を切開する処置を指します。
会陰切開は妊婦さんがもっとも神経質になる処置のひとつではないでしょうか。会陰切開が必要かどうかは、医師の判断にもよりますが、どうしても会陰切開をしたくない場合は、バースプランで伝えてみましょう。
出産の様子を撮影したい
出産の様子をご主人に撮影してもらいたい、臍の緒を自分で、あるいはご主人に切ってもらいたい、産声を録音したい、赤ちゃんをまずご主人に抱いてもらいたいなど、出産直後にしてもらいたいことがあれば、それも忘れずに記入しておきましょう。
カンガルーケアを希望するかどうか
カンガルーケアとは生まれてすぐの赤ちゃんをお母さんに裸の胸で抱いてもらうこと。初乳を飲ませられるだけでなく、お母さんの肌に直接触れることにより鼓動が感じられ、体温を維持することが出来ます。カンガルーケアは、生まれてきた赤ちゃんとお母さんの両方に問題がなく、医師からの許可が出た場合にのみ行うことが出来ます。
授乳について
授乳について母乳のみを希望するかどうかについても、バースプランに書くようにします。授乳に関しては、完全母乳のみ、母乳と人口乳の混合栄養、人口乳だけの人口栄養と三種類を選択することが出来ます。
授乳の希望があったとしても、母乳の出方やお母さんの体調によって、必ずしも希望が適うかどうか分かりませんが、まずは自分の希望を伝えるようにしてください。
赤ちゃんとの過ごし方
赤ちゃんとの過ごし方もバースプランの内容のひとつです。これは病院側の設備や受け入れ体制によって、リクエストできる内容が違ってきます。生まれたときから赤ちゃんと同室、翌日から赤ちゃんと昼夜同室、早く回復したいので授乳のときだけ同室、夜間は新生児室・昼間のみ同室など、とりあえず自分の希望を書き出します。
赤ちゃんと同室できるかどうかは、出産後の赤ちゃんや母体の容態や体調によりますが、バースプランを提出することにより、病院側のほうでもあらかじめ対応しやすくなります。
育児サポートの希望
授乳や沐浴など、退院後の育児にとって不可欠な重要事項を助産婦さんから学びたいかどうかに関しても、バースプランに書くようにしましょう。
授乳の仕方や沐浴などは、出産前に母親教室などできちんと学んでいるはずですが、退院する前にもう一度、豊富な経験と知識のある助産婦さんから大切なことを習っておきたい方もいるでしょう。
また沐浴の練習は、ご主人にも立ち会ってもらいたいと考える妊婦さんもいます。育児サポート全般に対する諸々のリクエストも、合わせて書くようにしましょう。
バースプランはいつ書く?
バースプランをいつ提出するかですが、これは通常、妊娠9ヶ月目の検診の際に出すことが多いようです。時期についても病院に確認をすることをお勧めします。バースプランは妊婦さん本人だけでなく、パパの希望や意見も聞く必要があります。
バースプランを提出すると決めたら、出来るだけ早めに話し合い、妊娠9ヶ月目に入る前にはある程度自分の考えや希望を固めておくようにしましょう。とくに所定の書式がない場合には、妊婦さん自らが自分の希望を書いて提出しなければならないので、早めに書き始めることが必要です。
バースプランを書く際のポイント
バースプランの内容については把握したものの、具体的にどのように書いたらよいのか、いまひとつ迷ってしまう方も多いでしょう。バースプランの書き方のポイントについて見ていきましょう。
自分の正直な気持ちを書く
バースプランは自分で考えているだけでは実現しません。医師や助産婦さんは、妊婦さんにバースプランを提出してもらうことによって、妊婦さんの希望や期待をはじめて把握することが出来ます。自分がどのような出産を望んでいるか、躊躇わずに正直な気持ちを伝えるようにしましょう。
こんなことは書いてはいけないのでは?と思うあまり、自分の希望をうまく伝えることが出来ず、後で後悔するよりは、思い切って自分の希望やリクエストをはっきり伝えたほうが必ずうまくいきます。
自分の理想の出産の形をイメージしてから書く
バースプランを書く前に、まずは自分の理想の出産の形をはっきりさせましょう。分娩や入院に関しての下調べを行い、どんな形で出産をしたいのかきちんと考えておかないと、要領の得ないバースプランになってしまいます。
最優先事項は何かを考えてから書く
自分が何を最優先したいかを考え、それを軸にバースプランを書くようにしましょう。陣痛や出産に関わることに些細なことなどありませんが、まずは何が最優先事項なのか、その点をはっきりさせるようにしましょう。
箇条書きでポイントをまとめる
自由形式でバースプランを書く場合、そのまま書いてしまうと、だらだらと読みにくくなることがあります。指定の記入フォームが用意されている場合は楽ですが、自由な形式で書いてくださいといわれると余計難しく感じてしまいます。
書きやすく、読みやすいバースプランにするには、箇条書きで項目を挙げていくと便利です。陣痛、分娩、入院と分けて考え、それぞれの場面で希望することを箇条書きで挙げていきましょう。
早めに取り組む
病院からバースプランの提出を求められたら、提出期限を守り、早めに提出するようにしましょう。病院からの求めではなく、自分から率先してバースプランを出したい場合には、定期健診の際にその旨伝え、いつ頃までに提出すればよいか、きちんと確認しておきましょう。
バースプランを書くと決めたら、後回しにせずに出来るだけ早めに取り掛かるようにしましょう。バースプランを書いたことのある方が身近にいたら、経験談やアドバイスを求め、バースプランをまとめる参考にしましょう。
バースプランどおりに出産できるとは限らない
バースプランはあくまでも妊婦の希望。希望やリクエストが叶えられるかどうかは、陣痛の進み方や母体や赤ちゃんの容態次第になります。
出産でもっとも重要なことは、母体と赤ちゃんの両方に危険が及ばないこと。いくら希望を出していても、もっとも優先されるのは母体と赤ちゃんの安全であることを理解しておきましょう。
まとめ
妊婦さんの希望を盛り込んだバースプラン。最近では分娩予定の妊婦さんに提出してもらう病院の数が増加しています。出産に関する希望や要望といっても、どの程度自分の気持ちを伝えたらいいか、迷ってしまう方も多いと思いますが、悔いの残らない出産にするには、自分の希望をはっきりと言葉にして表現することが絶対に必要です。
出産予定日が近づいたら、自分の求める出産の形をはっきりさせ、分かりやすく、具体的なバースプランを書き出すようにしましょう。