難産にならないために知っておきたいこと

難産にならないためにやること、知っておきたいこと

妊婦さんなら誰でも、出産が安産で、短い時間でトラブルなく終えられるように願うもの。出産時間が長引くと、ママの体力が消耗してしまい、いきむ力も弱まり、結果として難産になります。

分娩時間が通常の範囲内で、なんのトラブルもなく出産を終えることが理想ですが、妊婦さんの状態によっては、分娩時間が長引いたため、陣痛促進剤を使用したり、緊急帝王切開が必要となる状況も生じます。

難産は分娩時間が長くなるというだけでなく、母体とおなかの赤ちゃんの両方にとって大きなリスクになるおそれがあります。妊娠中の方の参考になるように、難産にならないために知っておきたい情報を幅広くご紹介していきます。

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難産とは?

難産とは?

難産・安産という言葉はよく聞きますが、実際の定義についてご存知ですか?難産という言葉の響きから感じるのは、分娩が困難で、分娩時間が長引いている状態。

陣痛が始まって長い時間が経過しているにも関わらず、なかなか赤ちゃんが産まれてこない状態を思い浮かべます。場合によっては、緊急的に帝王切開を行い、赤ちゃんを取り出す必要に駆られることもありえます。

反対に安産というと、陣痛・破水から分娩が終了するまでの時間が比較的短く、陣痛の痛みもそれほどひどくない状態を思い浮かべます。これらは言葉の響きからなんとなく感じるイメージですが、では難産の医学的な定義とはどのようなものでしょうか?

難産の定義とは?

日本産科医学会の説明によると、難産とは安産の反対語で、分娩の経過を判断する三つのポイントのうち、一つあるいは二つ以上になんらかの問題がある状態を指します。これら三つの要素とは産道、娩出物、そして娩出力になります。

これらの分娩の三大要素のどれかひとつでも問題がある場合、難産になる可能性もあると覚えておきましょう。これらの三つのポイントを学ぶことにより、難産になりやすいのはどのような場合か?また難産にならないために必要なことは何か?を把握することができます。※1

産道について

産道について

産道とは赤ちゃんがおりてくる通り道のことで、二つの部分から成り立っています。ひとつは骨盤の内側にある骨産道(骨盤骨)、もうひとつは膣や子宮頸部などの柔らかい軟産道になります。

産道は広く、そして柔らかいほうが、安産になる傾向が高くなり、反対に産道が狭く、固いと難産になりやすくなります。

骨盤骨と軟産道とは?

骨盤骨と軟産道とは?

骨盤骨に関する問題では、低身長の方や、体格が小さく、骨盤が赤ちゃんが通れないほど小さい方などがこれに該当します。軟産道に関する問題とは、この部分の伸びが悪く、固いこと。いずれの場合も難産になりやすくなります。

軟産道の伸びが悪い状態は、軟産道強靭症と呼ばれていますが、経産婦さんに比べると初産婦さんは、この部分が伸びにくく、固い傾向が見られます。初産婦さんの出産時間が長くなるのはこのため。また高齢出産で初産の方も軟産道強靭症が多く見られるといわれています。

娩出物とは?

娩出物とは?

娩出物とは赤ちゃんや胎盤、その他の子宮の内容物になります。娩出物の側に問題があり難産になるパターンとしては、赤ちゃんが大きく成長しすぎている巨大児の場合など。赤ちゃんの頭が骨産道に比べて大きく、産道を通ることが困難な状態を、児頭骨盤不均等と呼びます。

赤ちゃんの大きさと骨盤の関係

赤ちゃんの大きさと骨盤の関係

しかし難産になるかどうかは、赤ちゃんの大きさだけに左右されるわけではありません。赤ちゃんが小さいほど産道をとおりやすいといえ、赤ちゃんの成長が悪く、小さい場合には他の問題が生じてしまいます。

赤ちゃんの頭が標準よりも多少大きくても、産道が広い場合には、安産で生まれてくることもあります。赤ちゃんの大きさと難産・安産の関係は、骨盤の大きさと深く関わっています。

娩出力とは?いきむ力

娩出力とは?いきむ力

最後のポイント、晩出力とは子宮に収縮を与える陣痛および妊婦さんのいきむ力を指しています。陣痛が起こることにより、子宮は収縮をはじめ、赤ちゃんを子宮の外に押し出そうとします。最初は弱かった陣痛の強さは、時間の経過とともに増していき、陣痛の間隔もどんどん短くなっていきます。

陣痛による子宮の収縮に加えて、妊婦さんのいきむ力(努責)があると、スムーズに分娩が行われます。晩出力に問題があるというのは、陣痛の強さが弱い微弱陣痛など。

陣痛の強さが弱いままだと子宮の収縮が十分に行われず、難産になる可能性が高くなります。他にも妊婦さんの体力が消耗している場合や、陣痛や分娩に対する不安感が強く、精神状態が不安定な場合など、十分にいきむことが出来ずに分娩時間が長引いてしまいます。

出産にかかる時間とは?

出産にかかる時間とは?

一般的にいうと、分娩にかかる時間は初産婦さんの場合で15時間前後、経産婦さんの場合は6、7時間程度といわれています。分娩にかかる時間に関しては、妊婦さんや赤ちゃんの状態によっても変わってきますので、いちがいに経産婦さんのほうがかかる時間が短いと決め付けるわけにはいきません。

ただし一般的な傾向としては、一度出産を経験している方のほうが、産道が柔らかく開きやすくなっていますので、分娩時間は短くなります。

また経産婦さんには前回の妊娠・出産の実体験があるだけに、初産婦さんに比べると分娩に対する心構えや準備がより整っています。これも分娩時間が余計に長引かない原因のひとつと考えられます。

難産になりやすいタイプとは?

難産になるか、安産になるか、分娩の経過を判断する三大要素についてはすでに説明してきました。では具体的にどのような場合に難産になりやすいのか、症例を挙げながら説明してみましょう。

身長が低く、小柄な体型の方

身長が低く、小柄な体型の方

低身長で小柄な体格の方は、骨盤骨も小さいことが多く、赤ちゃんの頭が通りにくくなり、難産になる可能性が高まります。

身長が150cm以下の方は出産前に骨盤骨の測定を行い、自然分娩が可能かどうか判断します。自然分娩が可能ではないと判断されたら、帝王切開手術により赤ちゃんを取り出すことになります。

妊娠中の体重増加が著しい方・肥満体型の方

妊娠中の体重増加が著しい方・肥満体型の方

妊娠中の体重増加が多過ぎる場合、産道にも脂肪がついてしまい、難産になるおそれがあります。妊娠中の著しい体重増加は、妊娠高血圧症候群などの原因にもなります。

また産道が狭くなると、赤ちゃんの回旋に問題が生じる回旋異常のリスクも高まり、総じて難産になりやすい状況が出来上がってしまいます。

体力のない方

体力のない方

体力がない方や運動不足の方もまた難産になりやすい傾向があります。出産は体力勝負といわれるように、陣痛から分娩が終了するまでには、長い時間がかかりますので、体力のない方は陣痛が弱まり微弱陣痛に陥ることもあります。

体力がないと陣痛の痛みや長さに耐え切れず、体力を消耗させてしまい、いきむ力も不十分になってしまいます。

出産適齢を外れている場合

出産適齢を外れている場合

15歳以下の方や高齢出産で初産の場合にも、難産になる可能性が高まるおそれがあります。年齢が若過ぎる場合には骨盤骨が小さく、体格的にも出産に適しているとはいえません。

また高齢出産の場合も同様で、軟産道が伸びにくいなどの理由により、過強陣痛が起こり体力を消耗させてしまうこともあります。過強陣痛とは微弱陣痛の反対で、陣痛の強度が強過ぎるため、子宮が過度に収縮してしまう状態を指します。

妊娠糖尿病の方

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病の方や糖尿病合併妊娠(妊娠前から糖尿病にかかっていた方)の場合、おなかの赤ちゃんが巨大児になる傾向が見られます。

妊婦さんの体の血糖値が上昇すると、胎盤をとおしてたくさんの糖が赤ちゃんにも送り込まれます。これにより赤ちゃんはインスリンの分泌量を増加させ、結果として赤ちゃんが巨大児になる可能性が高まります。

難産のリスクとは?

難産のリスクとは?

難産になると、陣痛の開始から分娩の終了までに丸二日以上かかるという事態もありえます。これほど分娩に時間がかかると、母体にかかる負担は大きく、産後の回復も遅れてしまいます。

難産でも帝王切開手術を行うことなく、自然分娩で出産を終える方もいますが、状況次第では陣痛促進剤の使用に始まり、吸引分娩、緊急帝王切開などが必要となる場合もあります。

このように緊急的な医学的措置が必要となる分娩には、一定のリスクが伴います。難産は妊婦さんにとって体力的に大変なだけでなく、赤ちゃんにとっても非常に深刻な障害を残すこともあります。

感染症のリスク

感染症のリスク

破水が起こってからあまりにも時間が経ってしまうと、感染症にかかるリスクが高まります。破水しているということは、子宮口が開いているということ。

このままの状態で何時間も時間が経過すると、赤ちゃんだけでなく、妊婦さんも感染症にかかる可能性が出てきます。

赤ちゃんに障害が残る可能性

赤ちゃんに障害が残る可能性

破水したままの状態が長く続くと、赤ちゃんへの酸素の供給が滞ってしまい、脳や体に重大な障害が残る可能性が生じます。

酸欠状態により起こる障害とは、脳性まひや胎児仮死など。どのくらい深刻な障害が残るかに関しては、どの程度酸欠状態が続いたかによります。

もちろん難産になったからといって、すべての赤ちゃんに障害が出るわけではありませんが、体重管理のように自分で注意できることは実行し、なるべく難産にならないように努力しましょう。

難産にならないためにやるべきこととは?

安産を目指すためには、妊婦さん自身の自覚や努力も必要です。難産にならないためにやるべきことをまとめてみましょう。

体重管理を厳重に行う。

体重管理を厳重に行う。

体重管理は厳重に行いましょう。妊娠中を通して何キログラムまで体重増加が認められるかについて、かかりつけの医師に必ず確認しておきましょう。

体重増加の目安

妊娠中にどのくらいの体重増加が認められるかは、妊娠した時点での体重やBMIや血圧値、その他の妊娠の状況などから医師が総合的に判断してくれます。

妊娠中の体重増加の目安ですが、標準よりも体重が少ない痩せ型の人は、10kgから12kg程度、標準体重の方は8kgから10kg程度、そして太り気味の方は5kgから7kg程度に抑えるべきでしょう。

BMI値が25を大幅に超えている方に関しては、別途医師から指示をもらい、その指示に従うようにしましょう。肥満体型の方は妊娠初期から厳重に体重管理を行うことが必要です。

定期的に運動を行う

定期的に運動を行う

運動不足は難産になる原因のひとつ。体力や筋力が低下している状態では、分娩の際に体力的に耐え切れず、結果として分娩時間が長引いてしまいます。分娩だけでなく、体力がない方は産後の回復も遅れてしまいますので、育児にも差しさわりが出てしまいます。

流産や早産のおそれがある方は別ですが、他にとくに問題がないようであれば、毎日体を動かし、体力を落とさないようにしましょう。

安産体操なども取り入れる

安産体操なども取り入れる

安産体操とは出産をスムーズに行うことが出来るよう、考えて作られた妊婦さん向けの体操。安産体操の目的は、股関節や骨盤まわりの筋肉を鍛えること。これにより股関節周辺が柔らかく動くようになります。

妊娠中は子宮が大きくなることにより、足の付け根や恥骨部分に痛みや違和感を感じることが多くなります。股関節を柔らかくし、骨盤底筋を鍛えるようにすると、体が柔らかくなるだけでなく、体力の低下も防ぐことができます。

これまでに流産や早産の経験がある方や医師から運動を禁じられている方に関しては、どの程度であれば体を動かして構わないか、必ず医師の指示を仰いでから行うようにしましょう。

体を動かすことにより、おなかに張りや痛みを感じたら、いかなる場合でもすぐにそれをやめ、動かずに安静にします。安産体操や妊婦体操は、無理のない程度に行いましょう。

分娩に対する不安解消に努める

分娩に対する不安解消に努める

陣痛の痛みや分娩に対する不安感や恐怖を感じているままでは、スムーズな出産は見込めません。精神的な不安感やストレスにより、陣痛の痛みを激しく感じてしまい、過強陣痛になることもあります。

産婦さんの精神的な状態は娩出力と大きく関わってきますので、出産に関しての疑問や不安な点は前もって医師や看護婦さん・助産婦さんに相談して、解消しておくようにしましょう。

まとめ

難産にならないために知っておきたい知識や出産に先立って行うべきことなどをご紹介しました。妊娠後期に入ると、いよいよ分娩のことが気がかりになってきます。難産にならないようにするには、体重管理を厳重にし、適度に体を動かし、体力を維持していくことが大切。分娩はまだまだ先のことと考えて、何も準備をしないでいると後で後悔してしまいます。

妊婦さんなら誰でも安産であって欲しい!と願うもの。難産を避けるために出来ることは必ずやっておくようにしましょう。参考 ※1日本産科婦人科学会 難産とその対策

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