妊婦が明太子やたらこを食べるときに知っておきたいこと

妊娠中

妊娠すると食べ物や飲み物にいろいろな制約が出てきます。食べ物や飲み物の中には、過剰摂取するとおなかの赤ちゃんに悪影響を与えかねないものがあるためで、妊娠中はそのような食べ物・飲み物はできるだけ控えるようにしなければなりません。

妊娠前は何も考えずに食べていたものも、妊娠が分かったら摂取量や食べ方、食べる回数に注意しなければなりません。妊娠中は塩分や辛いものも控えめにといわれていますが、では明太子やたらこはどうでしょうか?

明太子は唐辛子、たらこは塩分を多く含んでいますが、妊娠中に食べてもおなかの赤ちゃんに差し支えないのでしょうか?

妊婦さんは明太子やたらこを食べていいの?悪いの?明太子やたらこを食べるときに知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。

妊婦は明太子やたらこを食べていいの?悪いの?

妊婦は明太子やたらこを食べていいの?悪いの?

妊娠中は加熱調理していない食べ物は絶対に禁止というわけではありませんが、出来る限り控えるように注意されます。食中毒や感染症のリスクを考え合わせると、あとで後悔しないためにも、しっかり加熱したものを食べたほうが安心です。

明太子や塩漬けたらこは生のたらこに塩分や唐辛子で味付けをしたもので、加熱または鮮度にさえ注意すれば妊婦さんが食べても問題ありません。

ただしどちらも食べ方や食べる量に十分に注意する必要があります。たらこも明太子もどちらも生もの。妊娠中に明太子やたらこが食べたくなったら、鮮度の良いものを選び、早めに食べきることがポイントです。以下に明太子とたらこの特徴や食べ方について詳しくみていきましょう。

たらこについて

たらこについて

明太子もたらこも原材料は同じ。スケトウダラの卵に味付け加工をしたものを指します。まずはたらこについて詳しくみていきましょう。

たらこの種類と食べ方について

たらこの種類と食べ方について

たらこには塩漬けされたものと、生のまま加工のされていない生たらこがあります。どちらにしても非加熱食品ですので、鮮度が非常に重要なポイントになります。

塩漬け加工のされていない無加工たらこは、当然ですが加熱調理をしてから食べなければなりません。塩漬けたらこは生の卵に塩と調味料で味付けをしたもので、そのまま生で食べることが一般的です。

塩漬けたらこはそのまま食べることができますが、鮮度が落ちたものは加熱して食べなければなりません。ちなみに塩漬けたらこは鮮度の良し悪しに関わらず、以前には焼いて食べることが一般的でした。これは冷蔵・冷凍流通が普及する以前の話で、当時は加工水産品が消費者の元に届くまでに、かなりの時間が要されていました。

しかし加工水産物の冷蔵・冷凍流通が普及した現在では、鮮度の高い塩漬けたらこが手に入るようになり、現在では生でそのまま食べることが一般的になったという経緯があります。たらこをそのまま生で食べる際には、賞味期限だけでなく、保存方法に注意し、鮮度が高いうちに食べ切ることが重要です。

たらこに含まれる塩分について

たらこに含まれる塩分の割合ですが、これはそれぞれの製品によってよって異なります。ちなみに標準的なたらこの塩分は100g相当で4.6g(日本標準食品成分表2015年版)。

具体的に言うと、たらこ一腹の4分の一の重さは25g程度、塩分量は1.2g弱になります。妊婦さんの塩分摂取の目標値は一日7gですので、一切れ、二切れ食べる分には問題ありませんが、スパゲティの具として一腹全部を使い切った場合は、一日の摂取量の約3分の2を摂取したことになりますので、他の二食で塩分量を調整するようにしましょう。※参考2

明太子の特徴について

明太子の特徴について

明太子の原材料はたらこと同じスケトウダラの卵巣で、これを唐辛子を含む調味料に付けたものが明太子。明太子にはもうひとつ辛子明太子という呼び方がありますが、一般的に明太子と辛子明太子は同じもの、すなわち唐辛子を含む調味料に漬け込まれ、辛く味付けされたものを指します。

明太子の辛味について

妊婦さんは辛いものを食べてもいいの?という疑問を持つ方もいますが、適度な辛味であれば妊娠中に食べても差し支えありません。ただし胃腸への負担を考えると、辛味が強すぎるものは控えておいたほうが安心です。辛味のあるものは大量に食べることにより、下痢や腹痛が生じる可能性があります。

妊娠前から辛いものが好きな方でも、妊娠中は激辛なものは避け、食べる量も控えめにしましょう。また妊娠前から辛いものが苦手な方は、明太子やカレーはマイルドな辛さのものを選ぶようにしてください。

明太子の塩分について

明太子の辛味について

健康に対する意識が高まったせいで、以前に比べると明太子に含まれる塩分量は減っています。塩分はたらこのほうが多いような気もしますが、実際には明太子の塩分量のほうが多いこともありますので、食べる前に必ず確認しておきましょう。

辛味に加えて塩分量も多い明太子、妊婦さんが食べる際にはたらこ同様、食べる量や回数に注意し、塩分や辛味成分を過剰に摂取しないことがポイントです。

明太子の食べ方について

明太子の食べ方について

たらこ同様、明太子もそのまま生で食べることが一般的ですが、妊婦さんの場合はできれば加熱して食べたほうが安心です。明太子もたらこも生ものですので、鮮度および賞味期限には十分に注意を払うようにしましょう。

常温保存はできませんてので、数日間で食べ切る場合には冷蔵保存、時間を置いて食べたい場合には冷凍保存するようにします。一般的に賞味期限は冷凍で10日間から14日間程度になります。

明太子とたらこの栄養成分について

明太子とたらこに含まれる栄養成分について挙げてみましょう。明太子もたらこも原料は同じなので、栄養成分に違いはありません。明太子とたらこに含まれる栄養成分は、タンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸など。また明太子には唐辛子のカプサイシンも含まれています。

ビタミンB1、ビタミンB2には皮膚や粘膜を健康に保つ効果が、またビタミンEには抗酸化作用があり、老化による疾病を予防する効果があります。さらにDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸も含まれていますので、栄養成分的には申し分ない食品といえます。

妊婦が明太子とたらこを食べるときに注意すべきこと

妊婦が明太子とたらこを食べるときに注意すべきこと

明太子とたらこについて詳しくみてきました。食べる量および回数にさえ注意すれば、妊婦さんも明太子やたらこを食べることに問題はありませんが、問題は塩分。妊娠中の塩分の摂りすぎは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、浮腫につながるおそれがあります。

これらの症状が重篤になると、母体やおなかの赤ちゃんに危険が及ぶことも。他にも鮮度や添加物など、妊婦さんが明太子やたらこを食べるときの注意点やポイントを挙げてみましょう。

塩分に注意すること

塩分に注意すること

明太子やたらこは、ビタミンやタンパク質を含む高タンパク低脂肪食品ですが、塩分量が多いため、妊婦さんが食べる際には食べ方や食べる量に注意することが重要です。購入する際にはパッケージに記載された成分表示を確認しましょう。正確な塩分量を把握できます。

厚生労働省による女性の塩分摂取量の目標は一日7g。この数値は目標値ですが、妊娠中は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病予防のために、この目標値にできるだけ近づけることが求められます。

明太子やたらこをよく食べる方は減塩タイプを選ぶようにするといいでしょう。減塩タイプの製品は通常のものより、塩分が20%から25%程度控えめに作られていますので、これに替えるだけで楽に塩分カットができます。

たらこの減塩の方法

たらこの塩分をカットできる効果的な方法があります。たらこを15分間から30分間氷水につけておき、その後水分をしっかりふき取ります。この方法を用いるとたらこの粒はぷちぷちと大きくなり、さらに塩分も30%程度大幅にカットできます。

鮮度に注意すること

鮮度に注意すること

明太子やたらこは鮮度が肝心。妊娠中に食中毒やウイルス・細菌による感染症にかかることは、母体にとっても、またおなかの赤ちゃんにとっても多大なリスクを伴います。

明太子やたらこを食べる際には賞味期限以内に食べ切るようにしましょう。保存は冷蔵、あるいは冷凍で。冷蔵保存したものは数日以内に食べ切るようにしてください。冷蔵庫内での保管場所にも注意。冷蔵庫の扉や前方部分は扉の開け閉めにより、庫内の設定温度よりも高くなっている場合がありますので注意しましょう。

加熱して食べる

加熱して食べる

リステリア菌による感染リスクを避けるためには、妊婦さんの場合は明太子もたらこも加熱調理をして食べることが基本になります。そのまま食べても美味しい明太子やたらこですが、加熱調理ならメニューの幅も広がります。加熱する場合には軽くあぶるのではなく、中までしっかり火を通すようにしましまょう。

添加物や着色料に注意

添加物や着色料に注意

塩分、鮮度に加えてもうひとつ注意したいのが、添加物のこと。明太子やたらこは生もですが、塩漬けすることで賞味期限を延ばしています。

塩には防腐効果がありますが、それに加えて製造過程において保存料、着色料、保存料、発色剤といった添加物が加えられているものもあります。妊婦が明太子やたらこを食べる際には、できれば無添加の製品を選んだほうが安心です。

栄養バランスの取れた食事を心がける

栄養バランスの取れた食事を心がける

妊娠中は塩分の摂取量だけでなく、食事全般に細心の注意を払う必要があります。明太子やたらこを食べることは差し支えありませんが、栄養が偏らないよう注意しなければなりません。妊娠初期から臨月まで、毎日の食事は栄養価が高くカロリー控えめ、そしてすべての栄養成分を満遍なく摂るよう努力しましょう。

魚卵の種類とその違い

身近にある魚の卵と言えばたらこと明太子ですが、他にも多くの種類がありそれぞれに特長があります。たらこ・明太子以外の代表的な魚卵と言えばいくら、カズノコ、ししゃも、キャビアなどが挙げられます。

この中でもカズノコには他の魚卵に比べてEPA、DHAが豊富に含まれていますし、いくらは卵が大きいため魚卵の中でもかなりプリン体が少ないです。ただ、どれも塩漬けにして保存するため、塩分が高くなってしまうという欠点があります。

塩抜きするにしても魚卵の種類によって方法や加減が変わってきますので、不安な時は一度塩抜き方法を確認してから行うとおいしくできます。

妊娠と食べ物の制約について

妊娠と食べ物の制約について

妊娠中は食べ物や飲み物に制約が生じます。食べ物の中には妊婦さんが摂取するとおなかの赤ちゃんに悪影響を与える、あるいは与える可能性のあるものがあり、妊娠中はこれらに十分に留意する必要があります。

妊娠中に摂取量を控えるべき、あるいは摂取量や食べ方に注意すべき食べ物の代表は、生魚、生卵などの生もの、他にもナチュラルチーズ、ビタミンAを大量に含むうなぎやレバーなど。妊婦さんとおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性のある食べ物は、摂取量の上限を確認し、摂取量や摂取回数に注意して食べるようにしましょう。

食中毒のリスク

食中毒のリスク

生魚、生卵、生肉には体に有害な影響を及ぼす細菌やウイルスが生息している可能性があります。体や健康に害を及ぼす細菌とは、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、リステリア菌、黄色ブドウ球菌など。ウイルスにはノロウイルスやA型肝炎ウイルス、他にも寄生虫の類が生息している可能性もありますので、妊娠中は生ものは控えることが原則です。

妊娠中は免疫力が低下しているため、普段にも増して食中毒を予防するためのさまざまな注意点を遵守する必要があります。使い終わった調理器具を常に清潔に保つこと、しっかり加熱すること、調理済みの食べ物はできるだけ早く食べ終わることなど、食中毒予防に有効な手段をきちんと実行するようにしましょう。

リステリア菌について

リステリア菌について

リステリア菌は流産や胎児への悪影響がある菌で、妊娠中はリステリア菌に感染しないよう、細心の注意が必要です。妊婦さんはリステリア菌に感染しやすく、感染した場合さまざまな悪影響が心配されます。

リステリア菌の特徴は塩分に強いこと。そのため生ハムやスモークサーモンなどの塩分を多く含む加工食品が感染源になります。さらに低温でも増殖しますので冷蔵庫を過信せず、鮮度の落ちないうちに食べ終わるか、加熱調理して食べることが大切です。

リステリア菌の感染源となりうる食品は上記に挙げた生ハムなどの加工食品をはじめ、ナチュラルチーズ、スモークサーモンなどの燻製食品になります。※参考1

まとめ

妊婦が明太子やたらこを食べるときに知っておきたいさまざまな情報ををご紹介しました。明太子もたらこは副菜として大人気のアイテム。またパスタやお茶漬け、サラダや煮物にといろいろな食べ方を楽しめることもポイントです。

ビタミンやタンパク質といった豊富な栄養成分を含む明太子やたらこですが、塩分が多いのがデメリット。妊婦さんが明太子やたらこを食べる際には食べすぎに注意することが重要です。生ものですので鮮度にも注意し、新鮮なものを選ぶようにしましょう。

※参考1 農林水産省 食中毒をおこす細菌、ウイルス、寄生虫図鑑
※参考1 厚生労働省 これからママになるあなたへ 食べ物について知っておいてほしいこと
※参考2 文部科学省 日本標準食品成分表

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