妊婦が牛乳を飲むときに知っておきたいこと

妊婦が牛乳を飲むときに知っておきたいこと いいの?悪いの?メリット、デメリット 注意など 妊娠中

妊娠前には自分の体と健康にだけ留意していれば済んでいたものの、妊娠中は心構えを正し、自分自身とおなかの赤ちゃんの両方にとって良いことをしなければなりません。

生活習慣の乱れ、過労、不規則な睡眠、ストレスは、お母さんだけでなく、おなかの赤ちゃんにも悪い影響をもたらすことがあります。ただでさえ辛いマタニティ生活、妊婦さんの注意不足が原因で、さらに体調を悪化させるのは残念なことです。

妊娠中に気をつけなければならないのは、生活習慣だけではありません。食事の内容や摂取カロリーに留意することも、妊婦さんにとっては非常に重要な課題となります。栄養価が高くて良質、しかしカロリーオーバーにはならない食材をいかに上手に食事に取り入れるか、これが妊婦さんの食事のポイントといえるでしょう。

牛乳はカルシウムを豊富に含む理想的な食材のひとつですが、同時にアレルギーの原因ともなります。妊娠中に牛乳を飲むことにはメリットとデメリットの両方がありそうです。妊婦さんが牛乳を飲むときに知っておきたい情報を、さまざまな角度からご紹介していきたいと思います。

目次

妊娠中にNGなこととは?

妊娠中にNGなこととは?

妊娠中にNGなことと言えば、暴飲暴食、睡眠不足、過度のアルコールやたばこの摂取、過労、不規則な生活態度、偏食や過食など。マタニティ期間を出来るだけ快適に過ごすには、妊婦さん自身の自覚や努力が不可欠です。

妊娠中はまた生活習慣だけでなく、食事の内容にも十分配慮しなければなりません。栄養に偏りのある食事内容や必須栄養素の不足した食事は、妊婦さんだけでなく、おなかの赤ちゃんの健やかな成長を妨げる原因ともなりかねません。食事内容に気をつけることは、妊婦さんにとって非常に重要なことといえるでしょう。

食材についても同様で、とくにアレルギーの原因になることの多い食材については、妊娠中に食べると赤ちゃんにアレルギーが出てしまうのでは?と懸念する妊婦さんも多いようです。アレルギーの原因になる食材はたくさんありますが、その中でも三大アレルギー源と呼ばれるのが、牛乳、卵、小麦粉。食物アレルギーの原因になる食材は、アレルゲン食材と呼ばれています。

アレルゲン食材の種類は

アレルゲン食材の種類は

アレルゲン食材のうちもっとも一般的な食材が、卵、牛乳、小麦になります。これら三つの食品は。乳幼児の食物アレルギーの主原因。とくに0歳から3歳までの乳幼児のアレルギーは、そのほとんどがこれら三大アレルゲン食材によって引き起こされます。

0歳の赤ちゃんの食物アレルギーのうち、これら三つの食材が原因のものは約9割、1歳の赤ちゃんでは約8割程度、2、3歳では約7割と、三大アレルゲン食材にはとくに注意を払う必要があります。他にアレルゲン食材として挙げられるのは、甲殻類、バナナなどの果物類、ピーナッツなどのナッツ類、そばや大豆、魚などになります。

妊娠中はアレルゲン食材を食べていいの?

妊娠中はアレルゲン食材を食べていいの?

妊娠中は食物アレルギーの原因となる食べ物を避けたほうがいいのでしょうか?妊婦さんがアレルゲン食材を食べることと、おなかの赤ちゃんのアレルギー発症との間には直接関係はないといわれています。

妊娠中は牛乳や卵を摂っても大丈夫?

妊娠中は牛乳や卵を摂っても大丈夫?

以前には、妊娠中は牛乳や卵などの食品は、出来るだけ避けたほうがいいといわれていました。妊娠中に牛乳や卵を摂ると、生まれてくる赤ちゃんにアトピーやアレルギー症状が出やすくなる、というのがその理由です。しかし現在では、この話には医学的な根拠はないといわれています。

妊娠中に卵や牛乳を食べると、赤ちゃんがアトピーやアレルギーになりやすいというのは、単なる推測に過ぎません。妊娠中だからとって卵や牛乳を避けて通る必要はありません。

妊婦さん自身にアレルギー症状がある場合

妊婦さん自身にアレルギー症状がある場合

ただし妊婦さん自身にすでにアレルギーの症状が見られる場合には、アレルゲン食材を摂ることは厳密に控えなければなりません。すでにアレルギー症状が起きている食材だけでなく、その他のアレルゲン食材についても、度を越えて摂取しないよう注意してください。

アレルギー症状のまったくない妊婦さんに関しても、一つの食材を過剰に摂取することは、栄養的な観点からも、またアレルギーの誘発という点からも望ましくありません。

妊娠中の食事に関しては、普段よりもさらに十分な注意を払い、たくさんの食材を少しずつ、栄養バランスに配慮しながら摂取するようにしましょう。

妊婦中に必要な栄養素とは?

妊婦中に必要な栄養素とは?

妊婦さんにとって絶対必要な栄養素、たとえばビタミン類、カルシウム、鉄分やマグネシウムなどのミネラルなどを著しく欠く食事を続けていると、体調を損ねたり、体力を消耗しやすくなったりと、悪い影響を及ぼしてしまいます。妊娠中は必須栄養素はもちろんのこと、出来るだけ多くの栄養素を満遍なく摂ることを心がけましょう。

妊婦が牛乳を飲んでいいの?悪いの?

妊婦が牛乳を飲んでいいの?悪いの?

妊婦さんはなるべく牛乳を飲まないほうがいい、といわれた時代もありましたが、現在では、妊婦さんの牛乳の摂取と赤ちゃんのアトピー・アレルギーとの相関性は否定されていますので牛乳は飲んでも大丈夫です。

妊娠中の牛乳のメリットとは

妊娠中の牛乳のメリットとは

牛乳はタンパク質やビタミン、ミネラル、カルシウムを豊富に含むヘルシーな飲み物。妊娠中に牛乳を飲むことには多くのメリットがあります。まずは牛乳に含まれる栄養素などについて詳しく見ていきましょう。

豊富な牛乳の栄養素

豊富な牛乳の栄養素

牛乳といえばカルシウム。牛乳には三大栄養素と呼ばれるタンパク質、脂質、炭水化物だけでなく、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、カリウム、リン、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸など、ほとんどすべての栄養素が満遍なく含まれています。

牛乳のカロリーは

牛乳のカロリーは

牛乳が理想的な飲み物といわれるのは、少ないカロリーで十分な栄養素を摂取することが出来るため。効率良く栄養素を確保でき、いつでもどこでも手軽に飲めるので、幅広い年代の方にお勧めの飲料です。

カロリーですが、牛乳200g(グラス一杯程度)で134kcal、これは一般的な普通乳の場合で、高脂肪乳の場合は145kcal程度になります。反対に低脂肪乳であれば、グラス一杯で100kcalを切りますので、妊娠中の体重増加が気になる方は、低脂肪乳を取り入れるようにすると安心です。

牛乳の健康効果について

牛乳の健康効果について

栄養豊富でカロリー控えめな牛乳、牛乳にはどんな健康効果があるのでしょうか。ここで牛乳の健康効果をいくつか挙げてみましょう。

便秘解消、コレステロールの改善、ダイエット効果、美肌効果、髪質向上、骨粗鬆症予防、安眠効果、高血圧予防など、牛乳には実にさまざまな健康が備わっています。

妊婦が牛乳を飲む際に注意したいこと

妊婦が牛乳を飲む際に注意したいこと

すでに見てきたように、妊娠中であっても牛乳を飲むことはまったく差し支えありません。ただし飲む量や飲み方などに関してはいくつかポイントがあります。

飲みすぎに注意!

飲みすぎに注意!

分娩を楽にするためにも、妊娠中の体重増加には注意したいところ。甘味料を多く含む缶ジュースは飲まないようにしている方でも、牛乳なら大丈夫と軽く考え、ついつい飲みすぎてしまうこともあるようです。

牛乳は女性に不足しがちなカルシウムや葉酸、ビタミンB群などをたっぷり含んでいますが、だからといって一日何杯もがぶ飲みしていると、すぐにカロリーオーバーになってしまいます。

牛乳の一日の摂取目安量は、グラス一杯から二杯程度。200mlから400ml程度が一日の摂取量の基準になります。

牛乳を飲みすぎることのデメリットとは?

牛乳を飲みすぎることのデメリットとは?

牛乳の一日の摂取目安をグラス一杯から二杯程度に抑えておく分には支障ありませんが、飲む量を把握せず毎日好きなだけ飲んでいると、思わぬデメリットにぶつかります。

脂質の取りすぎによる体重増加

脂質の取りすぎによる体重増加

牛乳には三大栄養素の一つ脂質が含まれています。脂質は体に蓄積され、必要に応じてエネルギー源としての機能を果たします。体温を一定に保ち、脳神経細胞や細胞膜などを作りだすものとなるもので、体にとって必要不可欠な栄養素です。

このように脂質は、体を維持するためには絶対不可欠ですが、体に蓄積されてしまうため、摂取量を適量に保っておかないと、体重の増加につながってしまいます。牛乳コップ一杯のカロリーは約135kcalですので、飲みすぎないよう注意しましょう。

過度の摂取によるアレルギーの誘発

過度の摂取によるアレルギーの誘発

今のところ食物アレルギーがないからといって、アレルゲン食品を過度に摂取するのは考えものです。アレルギーの症状は誰にでも生じるわけではありませんが、同じ食品を継続して、しかも大量に摂取することは、アレルギー症状の誘発につながる恐れがあります。

妊娠中はつわりなどで普段食べられるものが食べられなかったり、とかく偏食になりがちですが、出来る範囲で構いませんので、幅広い食品を少しずつ食べる努力をしましょう。

妊婦が一日に必要なカルシウムの量とは?

妊婦が一日に必要なカルシウムの量とは?

妊娠中の女性は妊娠前に比べると、約1・5倍のカルシウムを必要とします。妊娠中に余分なカルシウムが必要とされるのは、おなかの赤ちゃんの骨や歯の形成のために、母体からカルシウムが運ばれるからです。

お母さんの歯や骨のカルシウムは妊娠を機にどんどん胎児へと流れていきます。妊娠・出産を経験した中高年の女性に、骨粗鬆症が多いのはこのことに原因があります。

牛乳一杯に含まれるカルシウムの量

牛乳一杯に含まれるカルシウムの量

妊娠を機に不足しがちなカルシウムの補給に、牛乳は欠かせません。カルシウムだけでなく、タンパク質やビタミンたっぷりの牛乳ですが、やはり牛乳といえばカルシウム。200gの牛乳に含まれるカルシウムの量は約220mg。妊娠していない女性の標準的な一日のカルシウム摂取量は600mgですが、妊婦さんは一日900mgを必要とします。

牛乳だけで必要なカルシウム量を補給しようとすると、最低でも牛乳グラス四杯は飲なければならない計算になります。しかしこれでは、カルシウムの摂取量は満たせても、脂質の摂取量が多すぎます。一日に必要なカルシウムを牛乳だけで確保するのは、妊婦さんには相応しくありません。

牛乳以外の食材も積極的に食べるように

牛乳以外の食材も積極的に食べるように

牛乳は一日一杯、あるいは二杯弱程度にし、あとは小松菜や大根の葉などの野菜、豆腐、ひじき、桜えび、小魚などから摂取するよう努めましょう。一日900㎎というのはなかなか大変ですが、食事を和食中心にすると、ひじきや豆腐などを取り入れやすくなります。

妊婦さんは豆乳を飲んではいけないの?

妊婦さんは豆乳を飲んではいけない?

女性ホルモン「エストロゲン」に似た性質のある大豆イソフラボン。大豆イソフラボンを多く含む豆乳は、骨粗鬆症を防ぎ、肌に潤いを与える効果があるため、女性に大人気です。

しかし妊娠中は牛乳同様、豆乳も飲まないほうがいいという話を耳にします。これは果たして本当でしょうか。妊娠中に豆乳を飲まないほうがいいとされる理由は、豆乳の摂りすぎによる悪影響が心配されるためです。

おなかの赤ちゃんの生殖機能に異常をきたす恐れがあるとか、がんの発生や再発の恐れがあるとか、大豆イソフラボンの過剰摂取によるリスクについてはさまざまな憶測がなされていますが、これはあくまでもサプリメントを過剰摂取する場合のこと。

食材を通じて摂取する分には支障ないとされています。大豆イソフラボンの摂取量の上限目安は一日75mgですが、1パックの豆乳に含まれる大豆イソフラボンは約40mgに過ぎません。牛乳同様、豆乳も飲み過ぎないように注意さえすれば、妊娠中に飲んでも差し支えありません。

牛乳が苦手ならヨーグルトがおススメ

牛乳が苦手ならヨーグルトがおススメ

妊娠中は普段よりも多くの栄養摂取を心がける必要がありますが、同時にカロリーにも注意しなければならず、兼ね合いが難しいです。コップ1杯で手軽に栄養を取れる牛乳は妊娠中の大きな味方ですが、実は牛乳が苦手という妊婦さんも多いはず。

そんな時は無理をして飲む必要はありません。その代わりに栄養分が変わらないヨーグルトなどはいかがでしょうか。ヨーグルトは牛乳には無い乳酸菌が豊富に含まれていますから、妊娠中に陥りやすい便秘トラブルにも大きなヘルプとなるはずです。

同様の働きにチーズが挙げられますが、牛乳・ヨーグルトよりも塩分が多く含まれてることや、種類によってはリステリア菌の感染による食中毒の原因になりますので、これらの点を注意して食事に取り入れるようにしてください。

コーヒー牛乳やミルクティーなどを飲む際の注意

コーヒー牛乳やミルクティーなどを飲む際の注意

妊婦さんは出来るだけカフェインを摂らないほうがいいとされています。しかしコーヒーや紅茶が好きな妊婦さんにとっては、カフェインをまったく飲まずに過ごすことはかなり難しいでしょう。

コーヒー一杯に含まれるカフェインの量は50mgから100ミリグラム程度、妊娠中でも一日一杯から二杯程度であれば、カフェインを摂っても問題ないとされています。ミルクオレやミルクティーの場合は、カフェインの量はごく微量ですので、気にせず飲んでも構いません。ただし、砂糖をたっぷり入れた甘い飲み物を一日に何杯も飲むのはやはり禁物です。

ここまでのまとめ

妊婦さんが牛乳を飲む際の注意事項などについて、ポイントごとに詳しく説明してみました。牛乳は良質のタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルを豊富に含む理想の飲み物。カロリーも低く、安眠効果も期待できることから、妊婦中を通じて妊婦さんの健やかな健康を応援してくれます。

ただしどんなに優れた飲み物だとしても、度を越えての摂取はやはり控えたほうが良さそうです。カロリーが低いから大丈夫と軽く考えて、一日の何杯も飲んでいると、脂質を取りすぎてしまいます。

一日の摂取量の目安はコップ一杯から二杯程度、コーヒー牛乳や果物入りのジュースにして飲む場合には、加える砂糖の量にも注意しましょう。

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