妊娠中期の頭痛について知っておきたいこと

妊娠中

妊娠初期のつわりがようやくおさまったと思ったら、今度は頭痛に悩まされる。安定期に入ってようやく一息ついたばかりなのに、頭痛やめまいがひどくなった。妊娠中期に頭痛が始まり、そのまま出産まで続いた。このように妊娠中期に頭痛に悩まされる妊婦さんは少なくありません。

妊娠していないときであれば、市販の頭痛薬を服用すれば、症状も軽減されますが、妊娠中は自己判断で市販薬を服用することは避けるべき。おなかの赤ちゃんへの悪影響が心配で、妊娠中はできるだけ痛み止めは飲みたくないと考える方もいるでしょう。

しかし頭痛がひどくなると、めまいや吐き気といった症状を誘発することもありますので、妊娠中期の頭痛はその対処方法をきちんと心得ておく必要があります。妊娠中期の頭痛の原因から対処方法など、知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。

妊娠中期のマイナートラブル

妊娠中期のマイナートラブルについて

妊娠中期とは妊娠16週目から妊娠27週目までをさします。この時期は安定期とも呼ばれ、大多数の妊婦さんはこの時期に入るとつわりがおさまり、食欲も増してきます。

つわりによるさまざまな不調が改善される一方で、おなかの赤ちゃんが大きく成長することにより、子宮は大きさを増し、これにより胃腸や膀胱が圧迫されるようになります。子宮が周辺の臓器を圧迫することにより、マイナートラブルが生じることもあります。胃腸が圧迫されることにより起こるマイナートラブルは、逆流性食道炎や便秘、膀胱が圧迫されることにより起こるのが頻尿や尿漏れです。

また妊娠を機に運動量が減った方の場合、運動不足が原因で肩こり、頭痛、むくみ、血行不良が起こることもあります。総じて過ごしやすい妊娠中期ですが、マイナートラブルがまったく起きないわけではありません。妊娠中期をリラックスして過ごすためには、このようなマイナートラブルの対処法をしっかり学んでおくことが大切です。

妊娠中期の頭痛の原因とは?

妊娠中期の頭痛の原因とは?

妊娠中期に起こる頭痛の原因について挙げてみると、まず最初に挙げられるのがホルモンバランスの崩れ。妊娠中期の入ると本来であれば体調は安定してきますが、精神的なストレスや緊張・不安、ホルモン分泌の変化により、自律神経のバランスが乱れることがあります。その他の原因についても挙げてみましょう。

体型の変化

体型の変化

妊娠中期は後期ほどおなかは大きくなっていませんが、それでも初期に比べると子宮は際立って大きくなっています。

おなかが大きくなったことにより、姿勢や体勢にも変化が起こり、前かがみになったり、歩くときについおなかをかばってしまうことにより、肩こりや筋肉が緊張することも妊娠中期の原因のひとつになります。

妊娠中期の貧血

妊娠中期の貧血

妊娠中は貧血になりやすい状態が続きます。妊娠中はおなかの赤ちゃんへ血液を供給するため、血液循環量が増加します。血液循環量は増えますが、赤血球や血漿などの血液成分がそのままの割合で増加するのではありません。

赤血球の増加の割合よりも、血漿量の増加の割合が高くなります。このため妊婦さんの血液がいわば薄められた状態になり、貧血になる傾向が見受けられます。

頭痛は貧血の症状のひとつ、他に動悸、息切れ、めまい、倦怠感なども感じます。妊娠中は定期健診の際に血液検査が行われますので、貧血が見逃され放置されることはほとんどありませんが、それでも妊娠中は普段にも増して貧血予防を積極的に行う必要があります。

眼精疲労からの頭痛

眼精疲労からの頭痛

安定期に入ると、出来上がった胎盤を通して赤ちゃんに栄養を送るため、血流量が増加します。妊娠中期後半から妊娠後期前半には血流量が最大となります。目の毛細血管は非常に細いのですが、そこへ増えた血流が流れ込むため眼圧が上がりやすい状態になります。

その状態で目を使うので目に負担がかかり、眼精疲労が起こります。妊娠中目がかすむ、重く感じる、視力が落ちたように感じるのはこのため。さらにそのまま目を使い続けていると、目の疲れや緊張が脳に伝わって頭痛へとつながります。妊娠中は頭痛予防のためにも、目を休める時間を設ける必要があります。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群

日本産婦人科学会の定義によると、妊娠高血圧症候群とは妊娠20週目以降分娩12週以内に高血圧の症状がみられる場合、あるいは高血圧に尿蛋白を伴う場合とされています。

妊娠高血圧症候群は放置すると、おなかの赤ちゃんにも母体にも悪影響を与える危険な症状。早期発見・早期治療が重要です。妊娠高血圧症候群は自覚症状がないことが多く、早期発見が難しいことが特徴。

妊婦さんの多くは産婦人科での診察や健診を受け、はじめて妊娠高血圧症候群にかかっていることに気づきます。兆候を感じにくいとはいえ、頭痛、眠気、体のだるさ、むくみ、頻尿などの症状があれば、健診の際に必ず医師に伝えるようにしましょう。※参考1

妊娠中期の頭痛の症状について

妊娠中期の頭痛の症状について

妊娠中期の頭痛の度合いや症状は、妊婦さん一人一人異なります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のようなリスクの高い症状は別にすると、妊娠中期の頭痛のほとんどは肩こりや血行不良から起こるマイナートラブル。

軽い頭痛がたまに起きる程度で、しばらく横になれば治ることもありますが、マイナートラブルとはいえ頭痛が絶え間なしに起こるのは辛いもの。症状が軽く、痛む部位を温めれば症状が緩和される頭痛もあれば、片頭痛が延々と続き、吐き気やめまいまで併発することもあります。

頭痛といっても、その度合いや痛む場所は様々。こめかみから前頭部にかけて痛む場合、後頭部が痛む場合、ずきずきとした痛み、頭を締め付けられるような痛みと、痛み方や種類はいろいろです。妊娠中期の頭痛の種類にはどのようなものがあるのでしょうか?

頭痛の種類

頭痛にはとくに原因がないにも起こる一時性頭痛と、なんらかの疾病が原因で引き起こされる二次性頭痛の二種類があります。原因がある二次性頭痛の代表はくも膜下出血や脳腫瘍などにより起こるもの。

これらはそのまま何もせずに放置すると、命に危険が及ぶリスクがあります。これに対して一次性頭痛は明確な原因がないにも関わらず、繰り返す起こる頭痛でいくつかの種類に分類できます。

片頭痛

片頭痛

片頭痛は女性に多い頭痛で、ずきずきと脈打つような頭痛が特徴です。吐き気を伴うこともあり、光や音に過敏に反応します。

また頭や体を動かすと痛みが激しくなる傾向が顕著。原因に関してはまだはっきりと解明されていませんが、20代から40代の女性に多いことからホルモン分泌になんらかの形で関係があるのでは?と考えられています。

他にもストレスや緊張、気圧や天気の変化とも関係があるといわれています。脳の血管が拡張することにより炎症を起こし、これが引き金になり頭痛が起こります。

片頭痛の対処法とは?

片頭痛は血管が拡張しているため、痛む部分を温めると血管の拡張がさらに広がり、頭痛がひどくなります。こめかみを押さえる、あるいは痛む箇所を冷やしながら、静かに横になりましょう。痛む部分をマッサージすることや体を動かすことも控えるようにします。

音や光に過敏になる傾向がありますので、眩しくない、静かな部屋で休むことがいちばんの対処法です。必要以上に頭や体を動かすと痛みが強くなりますので、なるべくじっとすることが対処法になります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛

緊張型頭痛は一次性頭痛の中でもっとも一般的なもので、性別や年齢に関わりなく起こります。痛み方の特徴ですが、後頭部を中心に頭全体に持続する痛みを感じます。

肩こりや首の周りにコリを感じることも多く、温めると頭痛もコリも緩和されることが特徴です。片頭痛は月に1、2度起こり、数日間以上持続することは稀ですが、緊張型頭痛の場合、数時間で止まることもあれば、数日から一週間程度続くこともあります。

緊張型頭痛の原因とは?

緊張型頭痛の原因は、ストレスや緊張、長時間同じ姿勢を取ることなどにより、血行不良が起こること。血行が悪くなることにより、肩、首、頭周辺の筋肉が強張り、これが原因となり頭痛が起こります。

緊張型頭痛の対処法とは?

緊張型頭痛は痛む部分を温めると楽になります。コリや痛みを感じる部分を動かし、マッサージすることも効果的です。片頭痛と違い、緊張型頭痛は筋肉の強張りにより血管が収縮していますので、冷やすのではなく、温める、筋肉の強張りをほぐすことが効果的です。

こまめに首や肩のストレッチや体操を行うようにすることもポイント。また同じ姿勢を長時間取らないことが大切。デスクワークやパソコンを使う際には、こまめに休憩を取り上半身の筋肉の強張りを取ることも、緊張型頭痛の予防および緩和に効果的です。

妊娠中期の頭痛の対処方法について

妊娠中期の頭痛の対処方法について

妊娠中期に頭痛が起こった場合の対処法ですが、まずは自分の頭痛のタイプがどれなのか、これを見極めることが大切です。

上記のとおり女性の頭痛のタイプは主に二つ、緊張型頭痛と片頭痛に分けることができます。頭痛のタイプによって対処法も変わってきます。自分ではどちらか判断出来ない場合には、医師に相談することをお勧めします。

頭痛のタイプに応じた対処法を取る

頭痛のタイプに応じた対処法を取る

肩こりや筋肉の緊張による頭痛の場合は、痛む場所を蒸しタオルで温めると楽になります。マッサージや肩の運動を行うことにより筋肉の緊張を取ってあげると、うまく頭痛の緩和につながりますが、片頭痛の場合は逆。マッサージや患部を温めてしまうことは症状の緩和にはつながりません。

温めると楽になるか、冷やすと楽になるかをまず確認し、その上で適切な対処法を取るようにしましょう。

体を冷やさないようにする

体を冷やさないようにする

体に冷えがあると痛みをより強く感じることがあります。おなかや下半身だけでなく、肩、背中、腕も冷やさないように注意しましょう。冷え性による血行不良は頭痛の引き金になります。

ストレスの緩和につとめる

ストレスの緩和につとめる

精神的なストレスや不安感は自律神経のバランスを崩す原因のひとつ。ストレスや不安感が増大すると交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、頭痛やめまいといった症状があらわれます。

つわりのおさまった妊娠中期は、妊婦さんにとって比較的過ごしやすい時期ではありますが、体重や体調管理にストレスを感じてしまう妊婦さんもいます。ストレスはできるだけ溜めないようにし、疑問なことや不安なことがあれば、医師や看護士さんに質問し解決しておくようにしましょう。

軽い運動を行う

軽い運動を行う

医師の許可がある場合には軽く体を動かし、運動を行いましょう。血行不良やむくみは運動不足からも生じます。軽いストレッチや妊婦体操を行うことにより、体重の著しい増加を予防できます。

体を動かすことはストレス解消や自律神経のバランスを整えることにもつながります。軽い運動を行ってもいいかどうか、疑問に思う方は必ず医師に確認するようにしましょう。医師から絶対安静あるいは安静を命じられている場合は、その指示に必ず従うようにしてください。

体調を整えておくこと

体調を整えておくこと

不規則な生活習慣を正し、常に体調を整えておくようにしましょう。妊娠中期だからといって油断していると、体調が悪くなってしまいます。妊娠中は免疫力が少し落ちています。

体調が悪い上に頭痛が起こると体力を消耗させてしまいます。体力を消耗させないよう、常に体調を万全に整えておきましょう。

頭痛が我慢できないとき

頭痛が我慢できないとき

妊娠中は市販の頭痛薬を自己判断で服用することは絶対に慎まなければなりません。頭痛が頻繁に起こり、日常生活に支障が出る場合には必ず産婦人科に申出て、薬の服用を受けるようにしましょう。

異常な頭痛が起こった場合

ただの頭痛ではなく、明らかに体に異変が起こった際には躊躇せず、すぐに病院に連絡しましょう。手足の痺れ、けいれん、高熱、嘔吐を伴うもの、普段とは違う激しい痛み、意識喪失、ろれつが回らないなどの異常があった場合は、即刻病院に連絡しなければなりません。

このような異常はない場合でも、妊娠中に何度も頭痛が経験するときは、頭痛が持続する時間や状態について記録を取っておくと、自分の頭痛の状態を把握しやすくなります。

まとめ

妊娠中期の頭痛について、その原因から効果的な対処法など、知っておきたいさまざまな情報ををご紹介しました。妊娠中期の頭痛は決して珍しい症状ではなく、妊婦さんの多くが経験するマイナートラブル。

たかが頭痛と甘く見て、そのままにしておくと症状がひどくなり、めまいや吐き気を催すことも。妊娠中期の頭痛は早めに対処することが肝心です。妊娠中期の頭痛に上手に対応するためのポイントをしっかり覚えておきましょう。

※参考1 日本妊娠高血圧学会 日本妊娠高血圧学会Q&A

 

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