高齢出産において知っておきたいこと

高齢出産において知っておくべき障害の知識 妊娠前

子供が欲しいと思っていても、高齢出産だから難しいだろう。そう考えるカップルはたくさんいらっしゃいます。35歳以上の年齢で妊娠、出産することを高齢出産と言いますが、この歳を堺に女性の卵子はどんどん老化していきます。受精しにくくなる、出産まで至らず流産してしまうなど、たくさんの障害を体験する確率も高くなるでしょう。

そこで、これから出産を考えている35歳以上のカップル達に向けて、高齢出産にはどのような障害があるのかなどの情報をご紹介していきます。

高齢出産のさまざまな障害

出生前診断について

35歳以上の年齢で妊娠して出産することを高齢出産と言いますが、35歳以下の年齢に比べるとたくさんの障害が待ち受けています。

初期流産の可能性

早期流産の可能性

まずひとつは初期流産の確率です。初期流産とは、妊娠発覚から12週までに流産してしまうもので、高齢出産の方に限らず多くの方が体験する可能性のあるものです。「妊婦全体の約15%が流産すると言われており、その内8割程度が妊娠初期で最も高いです。」参考:日本産科婦人科学会

ただ、35歳以上になるとその確率は上がります。初期流産する確率が高まるため、無事に出産できないことが多いのです。

初期流産の理由

初期流産してしまうのは、老化が原因です。まず、卵子そのものが35歳を過ぎると老化してしまい、不完全な状態で排卵することが増えてきます。

不完全な卵子だと、受精したとしてもうまく細胞分裂を繰り返すことができないため、初期流産に至ってしまうのです。

どんなに健康的な生活を送っている方であっても、年齢が進むにつれて自然に良質の卵子を生み出す力は弱まってしまいます。このことから、初期流産が発生してしまうのです。

不完全な卵子でダウン症の障害児

不完全な卵子

不完全な卵子とは、染色体に異常があることを指します。染色体に異常があると、細胞分裂を進めることができないため、成長が止まってしまいます。もしくは、一部の機能が成長しないまま、育っていくこともあるでしょう。

その結果、先天的に障害を持つ赤ちゃんとして生まれてくることになります。高齢出産では、染色体異常でダウン症になり生まれてくる赤ちゃんの割合が増える傾向にあります。

高齢出産は先天性異常の障害児

高齢出産は先天性異常の障害児

高齢妊娠の一番の問題は染色体の異常にあります。染色体は23組ありますが、どの組の染色体に異常があるかでお腹の赤ちゃんの先天性異常が変わるのですが、この染色体異常は高齢になるにつれて確率が高くなります。

染色体異常の中にはダウン症のように妊娠継続できるものがありますが、それでもやはり不安定なため早産や陣痛から分娩までの時間が非常に短くなりやすいのが特長です。

染色体は卵子と精子が23本ずつ持っていて受精の瞬間に完成するので、卵子だけでなく精子にも加齢による染色体異常があると、先天性異常が発生する確率は更に高くなります。

先天性異常とは生まれつき体の代謝、ホルモンの仕組みに異常があり、ダウン症、意識障害、知能障害などの心身トラブルが発生します。

男性側の高齢による障害

男性側の高齢による障害

妊娠・出産に年齢が影響するのは女性だけと思われがちですが、実は男性側の年齢も胎児の障害に非常に大きく関わっています。高齢出産の定義は女性の場合は35歳以上ですが、男性は40歳以上だといわれています。
毎日作られる精子も身体の老化と共に異常を起こすようになり、自閉症や成長してからの統合失調症や精巣がん・乳腺がんなどの先天性異常が見られる可能性が30代男性の6倍にのぼるという研究結果があります。

男性の初婚平均年齢は30歳と、妊娠・出産の面から見れば結婚と同時にすぐ自分達の子供について考えなければならないぎりぎりの年齢となっています。高齢出産を望むカップルはこのような点も話し合うべきでしょう。

卵子の質に障害がある場合

35歳以上のリスク

高齢出産だと、卵子の染色体異常が置きやすくなってしまうため、早期流産を起こしやすかったり、ダウン症など障害のある赤ちゃんが生まれてきたりする可能性があります。

では、35歳以上になるとこのリスクが高まるのは何故なのでしょうか。本来、女性の体が妊娠に適しているのは20歳~34歳とされています。妊娠においては年齢が若いほど妊娠しやすく、健康な体を持った赤ちゃんが生まれてくる確率が高まります。

これは、女性の体にさまざまな不要物が蓄積していないからです。年齢が若いほど、不要物が体に溜まっている量が少なく、年齢が重なるに連れて、体に溜まった不要物の量が蓄積されているため、卵子の質に影響してしまうのです。

日々の生活で溜まる不要物

日々の生活で溜まる不要物

35歳以上の高齢出産だと、その年齢まで出産を経験していないことから、体にさまざまな不要物が溜まっています。例えば、毎日の食事で摂取する栄養分の中には、体に良いとされているものもあれば、良くない成分も含まれています。

水銀や鉛といった重金属です。魚を好んで食べる人や、土の性質によって蓄積される量が変わってきます。また排気物質や光化学スモッグなど、都市に住む人ほど何らかの公害の影響を受けていると考えられるでしょう。

この期間が長ければ長いほど、体に蓄積される物質は溜まっていきますので、高齢出産の障害となってしまうのです。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病

高齢での妊娠・出産は、お腹の赤ちゃんの先天性異常の原因となるだけでなく、妊娠中のお母さんにも35歳未満の妊婦さんには起こりにくいトラブルが頻発します。

社会人になってストレスや食生活の偏りが続く生活を続ければ内蔵器官の機能が鈍くなるため、高血圧を伴う妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になりやすく、発病する確率は20代の妊婦さんの妊娠高血圧症候群の発生率の2倍と言われています。

また40~50歳の日本人のうち、約25%が生活習慣病発病者またはその予備軍と言われていますが、そこに更に身体に負担がかかる妊娠が加わると、妊娠糖尿病の発生率が非常に高くなってしまうのです。

クリーンな体作りを心がける

高齢出産の心構え

毎日の適度な運動も、クリーンな体作りには欠かせないものです。体を動かすことにより、血流が促進され体内に溜まった老廃物を排出しやすくなります。

運動して汗をかくと、身体がすっきりとしてくるのは、汗が血液で出来ているからです。血液が汗になり体外へと排出されることで、新しい血液もめぐりやすくなるでしょう。

また、運動することで新陳代謝が活発になりやすく、老廃物を除去しやすくなります。軽いウォーキングはリフレッシュにもなりますので、習慣として行いましょう。

高齢出産の帝王切開の不安

高齢出産の心構え

高齢出産には、さまざまな障害が待ち受けていますが、無事に健康な赤ちゃんを出産している人もたくさんいらっしゃいます。全ての人にリスクがあるというわけではありませんので、必要以上に心配しないようにしましょう。ただ、さまざまな障害が増えてしまうという覚悟は持ち合わせておくべきです。

例えば、高齢出産において自然分娩で出産するのは難しいケースがとても多いのをご存知でしょうか。高齢出産になると、体力と気力が低下しやすいため、無事に出産できる確率が下がってしまうからです。

安全に出産を優先させるためには、帝王切開する必要が出てきます。自然分娩を望んでいる妊婦の方もたくさんいらっしゃいますが、安全を考慮するなら帝王切開が確実でしょう。

高齢出産は陣痛の間隔が特徴

陣痛から出産の間隔

高齢出産の場合、陣痛から出産までの間隔は極端に長くなるか、短くなる傾向が強まります。多くのケースで極端に陣痛が長引いてしまうのですが、これは妊婦の身体が出産態勢に適応できていないということも関係しているのです。

子宮口がうまく開かなかったり、体力的に限界が近づいたりしてくると、自然分娩は断念し途中で帝王切開に切り替えなくてはなりません。処置が遅いと赤ちゃんが産道につまり、呼吸ができなくなってしまうこともあります。

医師が、帝王切開が良いと判断した場合は、赤ちゃんと母体のためにも速やかに切り替えるようにしましょう。また、陣痛から出産までの間隔が極端に短いケースだと、ダウン症など赤ちゃんが障害を持っている可能性が高いと言えます。

陣痛が始まり、すぐに自家用車で病院に向かったものの、間に合わずに生まれてしまったということもあるくらいです。高齢出産では、陣痛の長さが極端になる可能性もあるため、臨月に入った場合は万が一の事態にいつでも備えられるようにしましょう。

不安を取り除くには出生前診断も

出生前診断について

高齢出産の場合、障害を持つ赤ちゃんが生まれる確率が高くなります。生まれる前に障害の有無を調べることができるのが、出生前診断です。ただ、倫理的な問題から積極的に勧める医師はまだ少ないのが現状です。

ただ、高齢出産の場合、障害を持つ可能性が高くなるため、不安な場合は試す方も多いようです。障害があってものびのびと成長する赤ちゃんはたくさんいますし、一概に障害が良くないとは言い切れません。

それぞれの夫婦でよく話し合い、出生前診断を受けるかどうかを決めるようにしましょう。

閉経と年齢の関係をよく知る

閉経と年齢の関係をよく知る

テレビによく映る芸能人の高齢出産が話題になっていたり実年齢より若々しい方も多いので、妊娠なんていつでも出来ると思ってしまうかもしれませんが、身体は着実に閉経へと進んでいます。閉経の平均年齢は50歳ですが、だからといって50歳まで望む方全員が妊娠できるわけではありません。

30代半ばから少しずつ女性ホルモン量が減少し始めるので、高齢妊娠・出産を望む方はちょうど女性ホルモン分泌量の下り坂にいるわけですね。一般的に自然妊娠できる上限は43歳までと言われています。

いわゆる高齢妊娠の35歳~40歳までの自然妊娠率は20代の半分以下なので、赤ちゃんが欲しいと思い始めてから妊娠するまでの月数を計算すれば、あまりのんびりしている余裕はないのが分かりますね。

出産後の育児が大変

出産後の育児が大変

高齢妊娠する確率が低いといっても、中には障害もなく元気に赤ちゃんを産むお母さんもいます。しかし、高齢での出産を望む方が妊娠前には想像しえなかった部分で、お母さんが大変な思いをする場面が多々あります。

よく聞かれるのが「赤ちゃんについていくのが大変」という事。歩く前から赤ちゃんの行動には目が離せませんし、歩き出せば1日中動き回る幼児のパワーに振り回されてお母さんの体力が続かなくなってしまうのです。

また、赤ちゃんの遊び相手を探そうとしても周りのお母さんは自分よりも10歳以上年下なんて事も多く、赤ちゃんはよくてもお母さんが疎外感を覚えるようになる事も考えられます。

まとめ

高齢出産におけるさまざまな障害についてご紹介しました。さまざまなリスクが上がってしまう部分もありますが、健康な赤ちゃんを産んでいる人達はたくさんいます。

選択肢を迫られることも多くなりますが、夫婦二人で出した結論を大切にしてください。可愛い赤ちゃんに出会うためにも、たくさんのことを学び、準備していきましょう。

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