臨月に入り、予定日もいよいよ迫ってきたころに気になるのが、出産の兆候です。出産経験のある方に聞くと、みな一様になんらかの兆候を感じた、と話します。
出産の兆候のあらわれかたは妊婦さん一人一人によって異なります。破水から始まる方もいれば、おしるしがあって気が付いたという人もあり、他の人がそうだったからといって、自分の場合にも即当てはまるとはいえません。
陣痛のはじまりである前駆陣痛が軽い妊婦さんの場合、なんとなくお腹がはるという感じだけで、それが前駆陣痛であることに気が付かない人もいるほどです。
出産の兆候は
妊婦さんは出産予定日が近づくと、自分でも無意識のうちに出産の兆候を探してしまいます。いよいよ出産を控えた方が覚えておくと便利な出産の兆候の知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
前駆陣痛(ニセ陣痛)
前駆陣痛は本物の陣痛の前に不規則に起こる痛みのことを指します。痛みの強度が本陣痛に比べると弱く、これが前駆陣痛だとは気が付かない人もいるほどです。
前駆陣痛の特徴としては、痛みが規則的にやってこないこと。陣痛の場合は一定の間隔をもって痛みが起こりますが、前駆陣痛の場合は、痛みの強度、回数、間隔が規則的ではありません。軽い方であればお腹が少し痛いかな、という程度なので、見過ごしてしまうことが多いといわれています。
また前駆陣痛が本陣痛のどのくらい前に起こるかも、人によりまちまちですので、とくにはじめての出産の方は臨月に入ったら注意深く気をつけるようにしましょう。
赤ちゃんの胎動に変化がある
妊娠後期は赤ちゃんの胎動を大きく感じる時期ですが、臨月になると赤ちゃんの胎動が少なくなることが多いといわれています。これは赤ちゃんの頭がいよいよ子宮口に降りてきて、骨盤に挟まれる形になり、動きづらくなるため。胎動が少なくなるもう一つの原因は、子宮の中で赤ちゃんが大きく成長してきたため、あまり動き回るスペースがなくなってきたことにあります。
ただし胎動の感じ方には個人差がありますので、妊婦さんの中には出産日ぎりぎりまで胎動を感じたという方もいます。いずれにしても臨月前までは活発に感じられていた胎動がやや大人しくなるのが特徴といえます。
おりものの量が増える
安定期に入ってから少なくなってきたおりものの量も、出産時期が近づくと再び増えるようになります。プロゲステロン分泌量が減るこの時期は相対的にエストロゲンの分泌量が多くなりますが、エストロゲンはおりもの分泌量と比例していますから、出産前におりものが増えるのは当たり前のことなのです。
また、分娩の時に赤ちゃんが産道をスムーズに通れるようサポートするために、おりもの量が増えるとも言われています。
おりものは水っぽくサラサラしていますが、中には増えたおりものと破水を勘違いしてしまう方もいらっしゃいますから、トイレのたびに確認すると良いでしょう。一般には、ずっと水分が体外に流れているような場合だと破水の可能性が高いと言われています。
足の付け根の部分が痛く感じられる
出産に備えて子宮口が柔らかくなりはじめ、恥骨の部分が開いてきます。このため恥骨や太ももの付け根に引っ張られるような感覚を覚えます。赤ちゃんが下に降りてきますので、膀胱がさらに圧迫されるのも、足の付け根が張る原因になります。
胃がすっきりとした感じになる
これまでは子宮のせいで、胃と膀胱が圧迫されていましたが、臨月に入り出産予定日が近づいてくると、赤ちゃんが徐々に下に降りていきます。
このため胃のあたりはすっきりした感じになり、食欲が出てくる方が多いといわれています。これまで一度にたくさんのものを食べられなかったのが、急にいろいろなものを一気に食べたくなったら、出産日が近づいているという兆候になります。
膀胱が圧迫されている感じ
胃は楽になりますが、子宮はさらに下に下がってきていますので、膀胱に対する圧迫感は以前よりも大きくなります。トイレが近くなり、なんとなく残尿感があるのもこの時期の特徴です。
夜中に何度も目が覚めてトイレに行くことになり、一度にたっぷり睡眠を取ることが難しくなります。ゆっくり寝たいのに何度も起きてしまうことからついイライラする方が多いようですが、ここまで来たら出産まであと少し、辛抱強く頑張るようにしましょう。
夜中に何度も起きるという習慣は決して無駄にはなりません。赤ちゃんが生まれたあとはやっぱり授乳のために、夜中に何度も起きることになります。そのための特別なトレーニングだと思い頑張りましょう。
眠気がひどくなる
トイレが近くなり夜中になんども目を覚ますためか、昼間の眠気がひどいというのも、臨月になり出産が近づいた兆候です。夜中に何度も起きること以外にも、お腹が大きくなり体力を消耗することや、子宮が徐々に下に降りていることで腰が重く、疲れやすくなっていることも、眠気を覚える原因だといわれています。
中には朝起きたばかりなのに、またすぐに眠くなってしまう方もいるようです。ご主人にはこの状態について話し、理解を得るようにしましょう。体が辛いときは無理をしないことが肝心です。
腰痛がひどくなる
これもまた子宮が下に下がってくることから生じるもので、出産に備えて赤ちゃんは骨盤にはまっていくような形になります。そのため腰回り全体が重く感じられることが多いようです。
お腹が大きくなってきていますので、寝る体勢次第では腰に負担がかかることが多く、このため腰の痛みはひどくなります。お母さんと赤ちゃんが少しでも楽に休めるように、寝るときの体勢や寝具を工夫するようにしましょう。固い敷布団では寝返りがしにくいので、適当な弾力性のあるものを使用するようにしましょう。
外見が変化する お腹の変化
赤ちゃんが下りてくるのは、胃がすっきりした事や股関節が痛くなる事でなんとなく分かりますね。しかし、中にはお腹の形が明らかに変わったという妊婦さんもいらっしゃいます。
今までは胸の下から膨らんでいたのが、出産間近になると膨らみ初めがもう少し下の方に移動するので、お腹のカーブが変わった事で初めて赤ちゃんが下りたのを実感した、なんてことも。もちろんそんな外見の変化も、まったく自覚しない方もいれば周りからも指摘されるほどはっきりしている方もいて個人差が大きいです。
特に、お腹の大きさの変化を記録している方ならば、明白です。確認してみたい時は、全身が映る鏡で体を横から写してみましょう。今までとはちょっと違うお腹の形に気がつくかもしれません。
おしるしがある
おしるしとは子宮が開きかけていることから起こるもので、どのような色をしているかは、人それぞれ異なります。もっとも多いのは、乳白色のおりものに少量の血が混じりピンク色をしているものですが、血の量がごくわずかな場合気がつかない方もいるようです。また時として褐色のおりものが出ることもあります。トイレに行ったら注意しておくようにしましょう。
注意しなければならないのは出血の量が多いときや、それに加えてお腹の張りが強いときや痛みを感じるときです。この場合はすぐに病院に連絡するようにしましょう。
破水がある
破水とは出産のため、卵膜と呼ばれる膜が破れ、子宮の中の羊水が外に出てしまうことを意味します。多くの場合、破水はいよいよ出産が行われる寸前に起こりますが、場合によっては陣痛が起こるよりも先に破水してしまうことがあります。
破水に関しても個人差があり、出産ははじめての方は尿もれかと思っていたら、実は破水だった、ということもあるようです。臨月に入り出産日が近くなったら、いつ破水してもおかしくないとの自覚を持つようにしましょう。
本陣痛が起きる 始まる
本陣痛では規則的に、一定の間隔ごとに痛みが起こります。陣痛がはじまったらまずは落ち着いて冷静に、どのくらいの間隔で痛みがあるか確認するようにしましょう。最初は間隔が長かったのが徐々に痛みと痛みの間の間隔が狭まってきます。
病院に連絡すべきタイミングは、はじめての出産の方ならば10分おきに痛みが起こるようになったときです。経産婦の方の場合は、初産婦の方よりも早く分娩が始まるといわれていますので、痛みと痛みの間の間隔が15分程度になったら連絡するようにしましょう。
ここまでのまとめ
臨月に入り、赤ちゃんもいよいよ出産に備えて下へ下へ降りてくる時期になりました。出産経験のある方であれば、出産の兆候をキャッチできるようですが、はじめての方にとっては出産の兆候を捉えるのは容易ではありません。
出産の兆候とはどのようなものか把握しておくと、そのサインを見逃すことがなくなります。出産の兆候のあらわれ方にも個人差があり、みながみな同じような兆候を示すとは限りません。出産の兆候といわれているものを覚えておくと、出産日が近づいたときに役に立ちます。大事な兆候を見逃さないよう、自分の体の変化をしっかり観察するようにしましょう。