昔のアジア地域では月の満ち欠けを周期にした太陰暦が良く使われていました。日本は明治5年に太陽暦へと移行しましたが、いまだに中国・台湾・ベトナムなどでは旧正月を祝い、イスラム教ではいまだに使用されています。
月の周期は満月から新月になり更に満月に戻る28日間なのですが、これは実は生理周期と同じです。太陰暦を使わない今は全く関係なくなってしまいましたが、昔は女性の生理と暦がピッタリ一致して出産の際には大きく役立っていたと言います。現在のように妊娠から出産まで詳細には分からなかったので、昔の産婆は月の満ち欠けを見て出産の予定を立てていたとの事。
妊娠・出産に関する科学が進歩した今でも「満月には出産が多い」と言われているのは、日本だけでなく世界中で知られている昔からの知恵なのでしょう。反対にこの事実を上手く利用すれば、妊娠を望んでいるカップルは従来の方法と併せて使い、妊娠確率を上げる事だって可能ですね。そこで満月と出産、妊娠について知っておきたいことを、いくつかご紹介します。
月の引力と人間は密接な関係がある
惑星はお互いの引力で引っ張り合っています。地球に一番近い月も引力を発していて、地球の7割を占める海水がそれに引っ張られて量が増えます。満潮・干潮なんて言葉を聞いたことがありませんか?満潮とは、まさに月と直角にあたっている場所と地球の中心をはさんだ反対側の海水量が引力で増えている事を指します。
ただ、水だからお風呂やコップの水も同じ事が起きるのか、と言えば違うのが面白い所です。おそらく量が少なすぎて引力の影響を受けられないからなのでしょう。しかし、満月になると感情的になったり気分が落ち着かなくなったりするなど、人間には少なからず影響している部分があります。
実は血液や細胞間にある細胞外液と呼ばれる水分は、海水の成分と同じ様な成分で作られています。生命は原始の海から来たなんて言われていますが、進化を遂げてもその名残が体内に残っているのは人体の神秘としか言いようがありませんね。しかも体の6割を水分が占めているのですから、影響があるのも当然です。
特に妊婦に影響があるのは何故?
こうみると老若男女全てが月の影響を受けていると見られますが、何故妊婦に対してよく言われているのでしょうか。それもやはり体内の水分量にポイントがあるのです。
妊娠すると大量の血液が身体に溜まりますが、その増えた分は主に羊水や赤ちゃんに栄養を運ぶための血液になっています。
特に羊水は主成分が母親の血漿、つまり血球を抜いた血液なのですが、その成分は細胞外液よりも更に海水に近い組成成分なのです。つまり海水と同じ成分が含まれている水分が普通の人以上に体内にあるのですから、更に強く影響を受けるのも納得できますね。
月の満ち欠けは女性の生理周期と同じ
月と生理の周期は28日で同じだと述べましたが、驚く事に数字だけでなく内容もほぼ同じなんです。
生理が始まると、卵子は再び成長を始めてちょうど半分の14日目に排卵し28日目に次の生理が起きるのは、皆さんご存知ですよね。この過程には排卵前まではエストロゲン、排卵後はプロゲステロンと2種類の女性ホルモンが非常に大きく関わっています。
これらのホルモンは子宮や卵巣・卵子を成熟させる以外にも、エストロゲンには内臓脂肪の蓄積抑制やデトックス効果があり、プロゲステロンには妊娠に備えて栄養や水分を溜め込む働きを持っています。生理後のダイエットは成功しやすいと言われているのは、こんな理由があるからなのですね。
さて月の満ち欠けを見てみると、満月から新月へ代わる時にはどんどん細くなり、新月から満月に代わる時はどんどん太っています。これって排泄するエストロゲンと溜め込むプロゲステロンと同じだと思いませんか。
月を見れば排卵時期が分かる?
満月と新月は最も月の引力が強い時で体が活性化しやすくなるため、排卵・出産しやすいといわれています。周期が月と同じ28日という人ならば、満月か新月のどちらかに排卵が起きている可能性が高くなります。チェックするのは簡単で、生理開始が新月ならば排卵日は満月、生理開始が満月ならば排卵日は新月です。
しかし正常な生理周期が25日~38日と非常に幅広く設定されているように、ぴったり28日周期という人は少ないですね。ホルモン分泌はストレスに大きく左右されますから、ストレス環境の中にいる女性の生理周期が崩れてしまうのも仕方ないのかもしれません。妊娠したい女性は、まずはストレスを少なくして生理周期を整える事から始めましょう。
満月の妊娠確率ってどれくらい?
満月は妊娠しやすい・出産しやすいと世界中で昔から言い伝えられています。満月と同等の引力を持つ新月は、一説には満月よりも妊娠確率が上がると言われています。
新月付近は身体に様々なものを吸収する時期だと言われていて、吸収する=妊娠して定着しやすいからというのが理由です。
それから地球は月だけでなく太陽の引力にも影響されています。太陽の引力は月の半分ほどなのですが、月と太陽の満潮が重なれば大潮となり、その場合もまた妊娠や出産に大きく関わっているのです。引力が強くなるほど身体も活性化しやすく、その結果妊娠確率が上がるという事なのでしょう。
満月と出産の関係
満月の出産は安産になりやすい?
昔からの言い伝えに満月の出産は安産になりやすい、というのがあります。満月は体力のない妊婦さんでも陣痛促進剤などを使わずに出産できると言われていますが、その根拠は未だ不明のようです。
ただ最近話題の生理周期と月の満ち欠けの関係を利用したダイエットでは、満月から新月へ移行する時はその形の変化から、身体に溜まっているものをだんだん排出する時期と考えられていて、ダイエットに最適の時期なんていわれています。
その体内から排出するという身体の動きが、出産にも当てはまるのではないかと考えられています。排出しようとする動きに陣痛が重なるのですから、スムーズに産まれやすいというのも納得できます。
満月に出産する確率
「満月には出産が多い」とは出産知識や技術の乏しい昔から言われてきた言葉ですが、では実際に満月に出産する確率はどれくらいなのでしょうか?研究では満月と新月当日よりはその前日と翌日の出産が、他の日よりも高いようです。
また、緯度が低い地域ほど満月・新月の出産が多い事も判明しています。やはり緯度が低いほど月との距離が近くなるからなのでしょうか。
出産と満月に関する科学的根拠はないと言う方もいますが、分娩を担当する医師や助産婦はその事実を実体験している方が多いようです。
潮の満ち引きと陣痛
月の満ち欠けによって海水も増えたり減ったりするのですが、その潮の動きが陣痛と連動しているのではないか、と昔から言われています。
干潮と満潮の差が激しいのが満月と新月に起こる大潮ですが、満月が過ぎればその差も緩くなり、最もその差が小さい半月を過ぎればまた新月に向かってその差は大きくなります。
出産件数は満月当日ではなく前日や翌日が多いですが、それも最大差になる大潮に向かってピークになる時期と、陣痛が強まって出産になる時期が一致しているからなのではと思われます。
ただ、潮の動きを見ると満月だけではなく新月にも出産件数が多いはずなのですが実は満月ほどではなく、また新月の出産は難産になりやすい、など満月の時とは逆の言い伝えがあるのが興味深いです。
出産が増えるのは満月以外にも
満月には出産件数が増えるのですが、実はそれ以外にも出産件数が増える条件があります。それは台風や大雨の時の低気圧です。
天候が悪い時に限って産気づく、なんて聞いた事がありませんか?低気圧になると空気中の酸素が減少するので、ちょっと高い山に登ったのと同じ状態になります。そのままでは体力を消耗してしまうので、それを避けるために自律神経の副交感神経を優位にさせて一時的に身体の機能を鈍くさせて対処します。
しかし、陣痛を起こすシステムはこの副交感神経と関わりがあるため、副交感神経が優位に働いている低気圧には、それにつられて陣痛もおきやすくなるという訳です。ちょうど台風が来る時間帯と大潮が重なる時もありますが、そんな時は相乗効果でもっと出産件数が増えるのかもしれません。
妊婦は満月を見てはいけない?
妊娠したら満月を見てはいけない、なんて言葉を聞いたことありますか?これも日本だけでなくブラジル・インド・アイスランドなど世界中でよく知られている慣用句なんです。これはお母さんよりも赤ちゃんに悪影響があるからと言うのですが、女性と関わりの深い満月を見るなというのも不思議な話ですよね。
確かに月を意味する英語のMoonやラテン語のLunaは、他に「ぼんやりした」「狂気の」なんて人が精神に異常をきたしている状態の意味を持っています。昔は今よりも月の光が地上に良く届いたので、感情が不安定になりやすい人も多かったのでしょう。妊娠中は普通の人よりも月の引力に敏感になる為、精神への影響も大きいと思われていたのが理由であると考えられます。
昔と比べると影響は少ないのかもしれませんが、夜に長時間外気に触れて月を見ていれば身体を冷やしてしまい、妊婦にとって良い事はないですよね。また暗ければ転びやすいですから、それらの点を見ても妊婦は満月を見るなというのは一理あるのかもしれません。
月光浴で気分をリフレッシュする
月は時として精神に悪影響を与える事がありますが、上手く利用すればリ大きなフレッシュ効果を得られます。月の光には内面を静める効果を持っていて、妊娠中の不安や出産への恐れを取り除いてくれる効果を持っています。
また、落ち着きとやる気を出すセロトニンは太陽の光だけでなく月の光でも分泌が促進されるので、日中あまり外に出られない方は夜にパートナーと一緒に散歩をするのも良いかも。ただし、夜は冷えやすいですから保温対策をしっかりしてから出かけてください。また、元々心配性・神経質の方は悪化する可能性がありますので、様子を見ながら行ってください。
Lunar birth controlで排卵日を増やせる?
このLunar birth controlは、日本ではあまり知られていませんが欧米では実践している女性も多い妊娠法です。「通常排卵以外にも、女性が生まれた月齢と同じ月齢に排卵が起こる」というこの理論によれば排卵日は月に2回、場合によっては3回訪れるというのです。ちょっとびっくりというか半信半疑な気持ちです。
過妊娠と言う医学用語があるのですが、それは「1回の月経周期内で受精した後、初回と異なる時期と性交で再度受精する」事を指します。犬や猫には良くある事なのですが、人間の身体の仕組みから考える不可能だと思いませんか。ここで登場するのが、このLunar birth controlです。過妊娠とこの理論を当てはめてみれば、確率は非常に少ないですが過妊娠する可能性があります。
ただ自分の月齢に合わせて排卵するにはいくつかの条件があり、その条件を満たすには男性に協力してもらう部分もあるのですが、Lunar birth controlを用いた場合の妊娠確率が高いと言われています。自分の月齢は調べれば簡単に分かりますので、気になる方はぜひ試してみては。
まとめ
月と生理周期が一致しているのをご存知の方は多くても、ここまで深く関わっているとは思いもよりませんでしたね。妊娠を望んでいる方や無事に出産したい方は、月の観察も習慣に加えてみませんか。