妊娠初期にはホルモン分泌の変化のせいで、体にさまざまなマイナートラブルがおきます。体のだるさもそのひとつで、妊娠超初期から妊娠初期にだるさを経験する妊婦は少なくありません。体のだるさの他にも、熱っぽさ、ほてり、眠気、頭痛、めまいなど、妊娠初期の症状はさまざま。その上つわりがはじまると、妊婦はさらにつらい思いをします。
妊娠超初期~妊娠初期のだるさの原因から対処方法まで、知っておきたい情報を幅広くご紹介します。ぜひ参考にしてください。
妊娠初期のだるさの症状
妊娠する前は倦怠感など覚えたことがなかったのに、妊娠した途端に体にだるさを感じるようになった。これは大勢の妊婦が経験することで、妊娠に伴いあらわれる変化のひとつです。
一日中体がだるく、何もしたくない、ちょっと動くだけで疲れてしまう、疲労感やだるさが抜けない、やる気がでないなど、妊娠初期は倦怠感や疲労感が強くあらわれる傾向にあります。
妊娠初期の症状のいろいろ
まただるさや疲れだけでなく、ほてり、熱っぽさ、肩こり、頭痛、眠気など、風邪の症状に似たマイナートラブルがでることもあります。体の不調だけでなく、イライラ、気分の落ち込み、憂鬱感、不安感、情緒不安定、不眠など、精神的な不調もあらわれやすく、いわゆるマタニティブルーになる妊婦もいます。
さらにつわりが始まると、吐き気や嘔吐も加わり、妊婦の状態は身体的にも精神的にも悪化。つわりは安定期に入るまで続き、この間ずっと体調の悪さに悩まされる妊婦も少なくありません。
つわりは別にして、妊娠初期のだるさに代表されるマイナートラブルに関しては、その原因や対処方法を知ることが、症状の緩和や予防につながります。妊娠初期をできるだけ快適に過ごすためにも、妊娠初期の原因について知っておきましょう。
妊娠初期のだるさの原因とは?
妊娠初期のだるさの原因にはいくつかの原因が考えられます。主な原因は排卵以降に分泌が増えるプロゲステロンの影響ですが、他にもホルモンバランスの変化や精神的なストレスなど、妊婦初期に特有の原因をいくつか挙げることができます。以下に妊娠初期のだるさをもたらす原因についてひとつずつみていきましょう。
プロゲステロンの分泌の影響
妊娠初期のだるさの主原因は、妊娠にともない生じる女性ホルモンの分泌変化にあります。妊娠の成立・維持に不可欠なホルモンがプロゲステロン(黄体ホルモン)。プロゲステロンは排卵日以降に分泌が増え、妊娠が成立しなかった場合には分泌量は減ります。妊娠が成立した場合はそのまま分泌が続き、妊娠を継続させます。
プロゲステロンのはたらきと影響
プロゲステロンには体温を若干高くするはたらきがあり、このためプロゲステロンの分泌が盛んな間は基礎体温が高温期になります。体温が上がることで、血液循環も促され、骨盤や乳腺の周りに血液を集めていきます。
他にもプロゲステロンには、水分や栄養分を体に溜め込もうとするはたらきがあり、このことが原因でむくみが生じることもあります。
プロゲステロンの分泌による影響とは、だるさ、疲れ、消化不良、ほてり、気分の浮き沈みなどで、これ生理前の症状とも似通っています。
ホルモンバランスの変化
妊娠するとプロゲステロンの分泌だけでなく、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の分泌が起こり、さらにエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌も増えます。複数のホルモンの分泌量に変化が起こると、自律神経のバランスも崩れ、このためだるさや疲れを感じやすくなります。
ホルモンバランスと自律神経の関係
ホルモン分泌の変化は自律神経のバランスにも影響を与えます。ホルモン分泌は脳下垂体で行われていますが、これをコントロールしているのが脳の視床下部で、視床下部には自律神経があります。ホルモン分泌に急激な変化が起こると、視床下部に負担がかかり、交感神経と副交感神経のバランスも崩れてしまいます。
自律神経の崩れは、疲れ、だるさ、めまい、動悸、ほてり、不眠、微熱、便秘・下痢といった体の不調につながります。妊娠初期のだるさの一因は、ホルモンバランスの崩れにあります。
精神的なストレス
妊娠すると日常生活のさまざまな局面においていろいろな制約が生じます。食べ物や飲み物もそのひとつで、おなかの赤ちゃんの安全のために、妊娠中は食べてはいけない、あるいは避けたほうがいい、とされるものがたくさんあります。
また日常生活の過ごし方についても、安定期に入るまではなるべく安静にするように、といわれ、知らず知らずにストレスを溜めてしまうことがあるようです。
妊娠は心待ちにしていたものの、いろいろいろな制約やつわりのせいで、精神的なストレスがたまり、これが引き金になり、倦怠感や気分の落ち込みを感じる妊婦もいます。精神的なストレスもまた、妊娠初期のだるさの原因のひとつです。
妊娠超初期のだるさは妊娠の兆候?
妊娠超初期とはまだ妊娠しているかどうか確定できない時期を指します。時期的にはちょうど次の生理予定日の前後に当たり、妊娠を望んでいる方にとっては、妊娠の兆候の有無が気にかかる時期。だるさは妊娠の兆候のひとつとも考えられますが、これだけをもとに妊娠しているかどうかを判断することはできません。
妊娠の兆候を感じる時期はひとりひとり違う
妊娠の兆候をいつ感じるかに関しては個人差があります。病院での妊娠検査で妊娠が確定した後にだるさやほてりを感じる妊婦もいれば、生理予定日前後に兆候を感じる方も。また妊婦の中には、つわりがはじまるまでまったく体調に変化を感じない方もいます。
このようにだるさや熱っぽさを感じる時期には差がありますので、これをもとに一喜一憂しないことが大切です。妊娠を希望している方は毎日欠かさず基礎体温を測り、きちんと記録する習慣をつけることが重要です。
妊娠の可能性にいち早く気付くためには、だるさや熱っぽさといった妊娠の兆候のほかに、毎日記録した基礎体温も参考になります。不妊治療をしている方や妊活中の方で、妊娠超初期に気になる症状があったら、基礎体温グラフを持参して産婦人科医に相談しましょう。
妊娠初期のだるさの対処法
妊娠初期にだるさを感じるときの対処法についてみていきましょう。妊娠初期の体調の不調や精神的な落ち込みは、つわりが終わり安定期に入ると徐々におさまっていきますので、あまり心配いりません。
しかしそのまま放置しておくのは、体調だけでなく、精神面にもネガティブな影響を与えます。妊娠初期にだるいと感じたら行いたいことを挙げてみましょう。
十分に休養をとる
まだ妊娠初期だからといって無理をしないよう注意しましょう。外見的には妊娠前と変わりませんが、妊娠初期の妊婦の体には大きな変化が刻々と起こっています。
ホルモン分泌の影響、精神的なストレス、つわりといった理由により、ちょっとしたことでもすぐに疲れてしまい、昼間でも眠気に襲われてしまう妊婦も大勢います。妊娠初期は無理せず、休めるときに休み、体力を消耗しないことが大切です。
栄養バランスの取れた食事を心がける
つわりが始まると吐き気や嘔吐で、食事時間が不規則になり、食事内容も偏ります。つわりのせいで食事内容や時間が不規則になるのはやむを得ないことですが、意識的に栄養バランスに注意することも必要です。
無理をしてまで食べるのはかえってつわりを悪化させますが、比較的気分のよい日は、消化によく、胃腸に負担をかけない栄養価の高い食材を摂ることを心がけましょう。
昼寝しすぎない
だるさとともに不眠・過眠も妊娠初期のマイナートラブルのひとつ。昼間だるさを感じてしまうため、昼寝を習慣にする妊婦もいますが、昼寝をしすぎると夜寝付けなくなり、翌日再びたっぷり昼寝してしまう、という悪循環に陥ります。昼寝をしているので睡眠時間は十分、と思う方もいるようですが、夜間の睡眠と昼寝とでは睡眠のクオリティが違います。
夜の寝つきが悪いと、昼間も倦怠感が抜けず、だるさは増すばかり。妊娠初期に昼寝をするときは、寝すぎないように注意しましょう。
日光を浴びる
妊娠初期はホルモンバランスに大きな変化が起こる時期。ホルモンバランスの急激な変化は、自律神経のバランスをも崩す引き金に。妊娠初期に倦怠感を感じると、体を動かすこと自体が億劫になり、自宅に閉じこもりがちになる妊婦もいます。
だるさを緩和するために随時体を休めることは必要ですが、家に閉じこもり、日光を浴びない生活を続けると、自律神経のバランスはさらに崩れます。
起床時に日光を浴びると、セロトニンの分泌が促され、その結果交感神経と副交感神経のバランスが正常に戻りやすくなります。他にも睡眠と覚醒やホルモン分泌のリズムも整えてくれます。
倦怠感がひどいときは?
なんとなくだるい、やる気がでない、理由もなく気分が落ち込む、といった精神的な落ち込みは、妊娠初期によくあることで、妊娠週が進み、つわりが一段落する頃には落ち着くことがほとんどです。しかしだるさに加えてめまいや立ちくらみも起こる場合には、貧血も疑われます。
妊娠中の貧血の大半は妊娠中期の後半以降におこりますが、妊娠初期から貧血の症状があるケースも見受けられます。妊娠前から貧血気味だった方や、めまい、立ちくらみ、吐き気の症状がひどいときは、妊婦定期健診の際に産婦人科医に相談しましょう。貧血にかかっている場合には適切な治療を受ける必要があります。
まとめ
妊娠超初期~妊娠初期のだるさについて知っておきたい情報を幅広くご紹介しました。妊娠超初期・妊娠初期にはホルモン分泌の変化に体がついていけず、だるさや熱っぽさをはじめ、さまざまなマイナートラブルがあらわれます。
妊娠初期のだるさの主原因は、妊娠に伴うホルモン分泌の変化。ホルモンバランスの変化に体が慣れ、つわりがおさまる頃には自然におさまっていきますが、安定期に入るまでの間は無理せず、つらいときは体を休め、乗り切りましょう。