妊娠初期は基礎体温は高い状態をキープしています。そんな中いきなり基礎体温が下がると、もしかして流産したの?と不安に感じます。妊娠超初期・妊娠初期に体温が下がるのは、流産の兆候なのでしょうか?
妊娠超初期~妊娠初期に体温が下がる原因や症状から対処方法や注意点など、妊娠超初期・妊娠初期に体温が下がったときに知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
生理と基礎体温の関係
女性の体温は生理周期にしたがって規則的に変化しています。ホルモン分泌に異常がなく、生理周期が規則的であれば、女性の体温は低温期と高温期の二層にくっきり分かれます。
低温期とは生理が終わり、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が活発な時期に相当します。高温期はプロゲステロン(応対)の影響が強い時期で、排卵日を境に高温期に入ります。プロゲステロンには体温をあげるはたらきがあり、このため黄体期の体温は卵胞期に比べると約0.3℃から0.5℃高くなります。
プロゲステロンの主なはたらきは子宮を妊娠に適した状態に整えること。子宮内膜に血液を集め、ふかふかに整えることで、受精卵が着床しやすい状態にしてくれます。
基礎体温とは?
女性の生理は女性ホルモンの分泌によって司られています。生理は女性の健康状態を如実にあらわすバロメーター。生理周期の規則性や基礎体温の推移を観察することで、女性ホルモンの分泌の正常・異常を把握することができます。
生理周期を把握する上で重要なのが基礎体温。基礎体温とは、体をもっとも安静にしているときの体温のこと。体の動きや外部の環境に影響を受けないよう、朝目を覚ましたときに、布団の中でできるだけ静かにじっとしたまま体温を計測します。
いったん布団を出て体を動かしてしまった後に基礎体温を測っても、正確な数値は得られません。基礎体温は朝目が覚めたときに、そのまま体を動かさずに計測することがポイントです。
平熱とは?
基礎体温と平熱とは異なるものを指しています。平熱とは1日を通して刻々と変化するもので、また測る場所によっても違いがあり一定していません。さらに平熱は人それぞれ違っていて、体質的に体温が低めの人もいれば、やや高めの人もいます。
人間の体の内部の温度は一定していますが、手足や顔の表面は外気温や環境の影響を受けやすく、一定していません。平熱を測るのに適しているのはわきの下、耳の中、舌の裏などで、これらの部分は体の内部の温度を反映しやすい場所といわれています。
平熱は朝起きたあとは低く、その後徐々に上がっていき、夕方にピークになります。体温を変化させる要素は他にもあります。食事、入浴、運動なども体温を変化させます。平熱は体調を知るバロメーター。普段から自分の平熱を計測し把握しておくと便利です。
妊娠と基礎体温の関係
妊婦さんの体温のほうですが、妊娠が成立しなかった場合には、基礎体温は再び低温期に移ります。反対に排卵後に受精・着床が起こった場合、プロゲステロンの分泌は増えたまま。これにより基礎体温も高温期が続きます。
生理予定日を過ぎても基礎体温が下がらず、高温期が16日以上続いている。このような場合は妊娠している可能性がありますので、しばらく様子を見た上でなるべく早めに産婦人科で妊娠検査を受けるようにしましょう。
妊娠超初期~妊娠初期の体温の変化について
ここで妊娠超初期~妊娠初期の体温の変化について詳しく見ておきましょう。妊娠を心待ちにしている女性にとって、排卵日から生理予定日までの期間は非常に気になる時期。排卵日から妊娠初期の体温はどのように変化するのでしょうか?
排卵日以降生理予定日まで
この時期はいわゆる妊娠超初期と呼ばれる時期に当たります。排卵日を境に基礎体温は高温期に移ります。理想的な移行は、低温期から高温期へと一気に上がること。高温期に移ったあとは体温はそのままキープされます。
排卵日後1週間から10日目に少しの間だけ体温が下がることがあります。これはインプランテーションディップ(着床体温低下)と呼ばれる症状で、その原因に関してはまだはっきりと解明されていません。インプランテーションディップは一時的な現象で、体温はすぐに高温期に戻ります。着床したからといってすべての妊婦さんがインプランテーションディップを経験するわけではありません。
受精が起こるのは排卵から8時間以内とも12時間以内ともいわれています。受精が成立すると受精卵は子宮に向かって移動し、受精後7ヶ目には子宮の中にいて子宮内膜の中に入り込みます。この後5日間ほどかけて、子宮内膜への着床が完了します。排卵から着床までにかかる時間は約2週間弱で、この間はプロゲステロンのはたらきが活発になるため、体温は高温相を保ちます。
基礎体温が高いのはいつまで?
妊娠すると体温は上がったままですが、この状態が出産まで続くわけではありません。いつ体温が下がるかには個人差がありますが、標準的には妊娠12週目から16週目に入った頃に体温が下がります。
しかしこれはあくまでも標準的な数字に過ぎす、妊婦さんの中には妊娠8週目頃に体温が下がる方もいれば、妊娠16週目以降になってはじめて体温が下がる方もいます。
基礎体温が下がるのは安定期になってから、と覚えている妊婦さんもいるようですが、体温が下がる時期には個人差があります。体温の低下に加えて、他に心配な症状や兆候がある場合には、念のため病院に連絡して指示を仰ぎましょう。
妊娠初期に体温が下がる理由・原因とは?
妊娠初期に体温が下がった場合、どんな理由が考えられるのでしょうか?妊娠初期の体温の低下は流産の兆候、という話を耳にします。妊娠が分かったばかりなのにもう流産したの?と不安になってしまいますが、妊娠初期の体温の低下には他にも原因が考えられます。
基礎体温の測り方が悪るい
基礎体温は目覚めてすぐに、正確な方法で計測しなければなりません。目が覚めたらそのまま布団の中で静かに測ることがポイントで、身体を動かしてしまうと正確な数値が出ません。
測る場所は舌の裏すじの付け根。しっかりとここに体温計を当て、口を閉じた状態で測るのが正しいやり方。舌の裏にきちんと体温計を当てなかった、測っているときに口を開けてしまった、二度寝のあと測った、いつもとは違う時間に測った。
このような状況下で計測した基礎体温は、正確でない可能性もあります。一日だけ体温が低かったという場合は、あまり心配せず、次の日もう一度測ってみましょう。
体調が悪かった
女性の基礎体温は身体や精神状態によっても変化します。体調が悪かった、精神的に落ち込んでいた、睡眠不足だった、疲れていた、ストレスがあった。このような場合にも基礎体温に変化が見られます。基礎体温は体調や精神状態の良し悪しにも左右されることを覚えておきましょう。
インプランテーションディップ
インプランテーションディップとは、着床時に基礎体温が一時的に下がる現象を指します。インプランテーションとは着床、ディップは低下、すなわち着床時の体温低下を意味します。
インプランテーションディップは欧米でよく用いられている用語で、起こる時期に関しては排卵後一週間から10日後頃といわれています。これはちょうど高温相の中間地点に当たります。受精と着床が起こる時期に相当することから、このような名称で呼ばれています。
インプランテーションディップは1日、2日続き、その後は再び高温相に戻ります。インプランテーションディップが起こるのは生理予定日数日前。これは超妊娠初期に当たります。
超妊娠初期について
超妊娠初期とは妊娠初期よりも前という意味で使われている言葉で、正確な医学用語ではありません。妊娠超初期とは、排卵日以降生理予定日の1、2週間後までを指すことが多く、産婦人科で正式に妊娠していると確定されるまでの期間に相当します。
化学流産が起こったため
化学流産とは市販の妊娠検査薬では陽性反応が出たにもかかわらず、その後の病院での超音波検査で妊娠が認められない状態を指します。妊娠超初期同様、化学流産も正確な医学用語ではなく、一般的に俗称として用いられている言葉です。
超妊娠初期に妊娠検査薬で陽性反応が出たにも関わらず、その後体温が下がった場合は化学流産が起きている可能性もあります。
化学流産のしくみ
現在市販されている妊娠検査薬は、生理予定日の一週間後から使用できます。化学流産という現象が起こるようになった背景には、市販の妊娠検査薬の精度が格段に高くなったことがあります。
これに対して妊娠検査のために病院に行くタイミングは、生理予定日の2週間後頃。生理予定日すぐに検査を受けても、超音波検査で胎嚢が確認できないことが多いためです。ただ生理予定日を過ぎても基礎体温が高いままだと、妊娠しているのかどうか非常に気になるます。
こんなとき便利なのが、生理予定日の1週間後から使える妊娠検査薬。病院の検査よりも早く妊娠しているかどうか自宅で手軽にチェックすることができます。中には生理予定日の1週間後まで待ち切れず、フライング検査してしまう方も。
上述のように、日本の妊娠検査薬のクオリティは高く、フライング検査でも陽性反応を示すことがあります。妊娠検査薬で陽性反応が出たあとに、体温が下がりその後生理が来たため病院で検査を受けたところ、子宮内に胎嚢が確認されなかった。化学流産とはこのような状況を指します。
流産の可能性
妊娠初期に体温が下がり、それと同時に下腹部に痛みや出血が起こった場合には流産の可能性もあります。おなかの痛みや出血の程度に関しては、流産が起こったときの妊娠週や流産の進行具合によって違いがあります。
ただし流産が起こったにもかかわらず、おなかの痛みや出血といった症状を伴わないこともありますので、表面的な症状だけをもとに判断することはできません。体温の低下に加えて他にも流産の兆候が見られる場合には、早めに病院で診察と検査を受けるようにしましょう。
妊娠初期の流産について
流産のうち妊娠12週目までに起こるものは早期流産、22週目までに起こるものは後期流産と呼ばれています。
妊娠初期に起こる早期流産は流産全体の約8割を占めますが、そのほとんどは胎児側に原因があると考えられます。妊婦さん側に問題があるわけではないので、早期流産は予防することができません。
受精卵に先天的な異常があるなど、いわば自然淘汰的に起こるものですので、起こる前から不安に思っても仕方ありません。胎盤が完成すると流産の可能性も少なくなりますので、妊娠初期はあまり不安がらず、安定期に入るまでの時間をリラックスして過ごすよう努めましょう。
妊娠超初期・妊娠初期に体温が下がったときの注意点
妊娠超初期・妊娠初期に体温が下がったときに、真っ先に頭をよぎるのは流産のこと。妊娠初期は体温が上がったまま、と聞いていたのに、急に基礎体温が下がってしまうのは不安なものです。
しかし上述したように、妊娠の状態が安定している妊婦さんでも、ある一定の時期になると基礎体温が下がってきますので、この場合は心配いりません。
また1日だけ体温が下がっていた場合には、計測ミスの可能性も十分にあります。他にも体調の良し悪し、外気温、ストレスや心配ごとなどの精神的な要因など、体温が下がる原因は様々。妊娠初期に1日だけ体温が下がったからといって、それだけで流産したと判断することはできません。
またたとえ流産が起こったとしても、体温はそのまましばらく高温期に保たれることもあります。体に起こる変化や症状だけをもとに流産したかどうかを判断することは出来ません。どうしても気になることがあれば、自己判断せず医師や助産師さんの診断を仰いだほうが安心です。
まとめ
妊娠超初期~妊娠初期に体温が下がる原因や注意点について知っておきたい情報を幅広くご紹介しました。妊娠初期は体温が高いまま、と聞いていたのに急に下がってしまうと、もしかして流産?と焦ってしまう方が多いようです。
妊娠初期の体温の低下は流産の兆候のひとつではありますが、すべてのケースがこれに当てはまるとは限りません。大切なことは焦ってパニックにならずに、気持ちを落ち着かせ適切に対応すること。体温の低下以外にも流産の兆候がみられる場合には、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。